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第一章 人の好みは説明できない
031 僕の彼女は素直で可愛い ⑤
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おしゃれな女子は二分されるものだと思っていた。
姉が言っていた、完全に男ウケを狙った清楚系と、武装系と。
北村さんはどちらかといえば後者なのだろうけど、なんだかしっくりこない。別に戦ってる感じはしないから。
北村さんは僕が今まで出会ってきた、特に付き合ってきた女子とは、一線を画していた。彼女からは確かに強い力を感じる。でもそれは抑圧するような、捻じ伏せるようなものではない。
「お昼、何食べる?」
「お魚! 今日フィッシュボーンだから!」
そう言って彼女は自らの頭を指す。編み込んでるけど普通の三つ編みとはちょっと違うな、と思っていた髪型の名前を初めて知った。
北村さん、この髪型よくしてるな、お気に入りなのかな。そう思った時、自分が彼女を無意識に目で追っている回数の多さに気づいた。
「共食いじゃん」
彼女の友達がそう言うが、いや、どっちかっていうと、ゾンビが襲いかかってる感じだと思う。骨だし。
「共食い……そっかあ! 玲美ちゃん上手いねえ!」
北村さんはケタケタ笑う。とても無邪気に。
その笑顔を見て、ようやくわかった。
ああ、あれだ。「子供と動物には勝てない」っていうやつ。
北村さんは、完全に男ウケを狙った清楚系でも、戦うために武装している訳でも、ない。それらはどちらも他者の目線がベースにある気がする。
そんなの関係なく、彼女は単純に好きだからやっているだけなのだ。何にもとらわれず、自由に。
自由。僕とは最も遠い、憧れの世界だ。
彼女から目が離せなくなってしまった瞬間。唐突な恋心の自覚。
姉が言っていた、完全に男ウケを狙った清楚系と、武装系と。
北村さんはどちらかといえば後者なのだろうけど、なんだかしっくりこない。別に戦ってる感じはしないから。
北村さんは僕が今まで出会ってきた、特に付き合ってきた女子とは、一線を画していた。彼女からは確かに強い力を感じる。でもそれは抑圧するような、捻じ伏せるようなものではない。
「お昼、何食べる?」
「お魚! 今日フィッシュボーンだから!」
そう言って彼女は自らの頭を指す。編み込んでるけど普通の三つ編みとはちょっと違うな、と思っていた髪型の名前を初めて知った。
北村さん、この髪型よくしてるな、お気に入りなのかな。そう思った時、自分が彼女を無意識に目で追っている回数の多さに気づいた。
「共食いじゃん」
彼女の友達がそう言うが、いや、どっちかっていうと、ゾンビが襲いかかってる感じだと思う。骨だし。
「共食い……そっかあ! 玲美ちゃん上手いねえ!」
北村さんはケタケタ笑う。とても無邪気に。
その笑顔を見て、ようやくわかった。
ああ、あれだ。「子供と動物には勝てない」っていうやつ。
北村さんは、完全に男ウケを狙った清楚系でも、戦うために武装している訳でも、ない。それらはどちらも他者の目線がベースにある気がする。
そんなの関係なく、彼女は単純に好きだからやっているだけなのだ。何にもとらわれず、自由に。
自由。僕とは最も遠い、憧れの世界だ。
彼女から目が離せなくなってしまった瞬間。唐突な恋心の自覚。
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