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第一章 人の好みは説明できない
029 僕の彼女は素直で可愛い ③
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性欲は強い方だと自分でも思う。当時は、年頃もあるけど、たぶんストレスもすごく大きくて、めちゃくちゃしたかった。
だから、彼女達が特に希望しない場合、つい、セックスで場をつないでしまった。ラブホ直行だったらデートコースを考えずに済むから。
『あなたは私の気持ちなんて、全然わかってない』
言わずにわかってもらおうなんて面倒だな。
『新くんは優しそうに見せかけて、全然優しくない』
優しくないのは認めるが、見せかけようとしたことなんかない。面倒だから。
『新くん、実は勝手だよね』
ようやく気づいたか、その通り。
全部自分からごめんねと謝って終わらせてきた。揉めたらあとが面倒だから。
五人ほど付き合って、僕は姉からもらった眼鏡を掛けるのを止めた。いろいろ疲れるから。眼鏡を元のものに戻すと、ずいぶん女子の反応が変わった。というか、ほとんど寄ってこなくなった。それでも寄ってきた女子も、デートによれた服を着ていき、察してほしそうな態度を総スルーしたら、二度目のお誘いはなかった。ちなみに、一度デートの誘いに乗るのは、向こうから振られたいからである。振るより振られる方が楽だ。
僕にとって、眼鏡とサイズの合わない服は、鎧であり、魔除けであり、お守りだった。特に、よれっとしたチェックのシャツに眼鏡は最強。男女とも、この格好でも悪い方向に態度が変わらない人間は、信頼できた。
そして、この格好は楽なのだ。決して美しいとは思っていないし、気に入っている訳でもないけれど、眼鏡はレンズが大きいから見やすくて負担が少ないし、服も窮屈じゃない。
ただ、ずっとこうしている訳にもいかないのはわかっている。社会に出れば外見で判断される部分はどうしても増える。簡単に改善可能な部分で切られるのは不利だし、不利な状況から這い上がるのは面倒だ。
でも、現在の状況が気楽すぎて、僕は自分を変えるきっかけをなかなか持てずにいた。
だから、彼女達が特に希望しない場合、つい、セックスで場をつないでしまった。ラブホ直行だったらデートコースを考えずに済むから。
『あなたは私の気持ちなんて、全然わかってない』
言わずにわかってもらおうなんて面倒だな。
『新くんは優しそうに見せかけて、全然優しくない』
優しくないのは認めるが、見せかけようとしたことなんかない。面倒だから。
『新くん、実は勝手だよね』
ようやく気づいたか、その通り。
全部自分からごめんねと謝って終わらせてきた。揉めたらあとが面倒だから。
五人ほど付き合って、僕は姉からもらった眼鏡を掛けるのを止めた。いろいろ疲れるから。眼鏡を元のものに戻すと、ずいぶん女子の反応が変わった。というか、ほとんど寄ってこなくなった。それでも寄ってきた女子も、デートによれた服を着ていき、察してほしそうな態度を総スルーしたら、二度目のお誘いはなかった。ちなみに、一度デートの誘いに乗るのは、向こうから振られたいからである。振るより振られる方が楽だ。
僕にとって、眼鏡とサイズの合わない服は、鎧であり、魔除けであり、お守りだった。特に、よれっとしたチェックのシャツに眼鏡は最強。男女とも、この格好でも悪い方向に態度が変わらない人間は、信頼できた。
そして、この格好は楽なのだ。決して美しいとは思っていないし、気に入っている訳でもないけれど、眼鏡はレンズが大きいから見やすくて負担が少ないし、服も窮屈じゃない。
ただ、ずっとこうしている訳にもいかないのはわかっている。社会に出れば外見で判断される部分はどうしても増える。簡単に改善可能な部分で切られるのは不利だし、不利な状況から這い上がるのは面倒だ。
でも、現在の状況が気楽すぎて、僕は自分を変えるきっかけをなかなか持てずにいた。
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