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第一章 人の好みは説明できない
001 私の彼氏は穏やかで素敵 ①
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渋沢くんの第一印象は「声が素敵だな」だった。
「渋沢新です。よろしくお願いします」
入学してすぐに振り分けられたゼミがたまたま一緒だったので、自己紹介を聞いたのだ。あまりにも短すぎたからか「漢字は?」とツッコまれていて、「新しい一万円札の渋沢と覚えてください」という返しがキャッチーだったから、漢字も覚えてしまった。少し低めで、やわらかく心地よく響く声が、なんだか印象に残った。
同じ学科だから、ゼミ以外にもかぶる授業は多いけれど、話したことはほとんどなかった。渋沢くんはそんなに喋る方じゃないから。服装も地味で、若干サイズが合ってなくて、だぼっとしたものを身に着けている。あとは少し古い型の眼鏡を掛けているくらいしか特徴を思い出すことができない。でも、暗い雰囲気ではなく、穏やかで優しそうな人だなとは思っていた。
二年に進むと、コースが違うからかぶる授業も少なくなった。渋沢くんとその後関わることになるなんて、思ってもいなかったのに。
時に世界は一瞬で変わる。
「渋沢新です。よろしくお願いします」
入学してすぐに振り分けられたゼミがたまたま一緒だったので、自己紹介を聞いたのだ。あまりにも短すぎたからか「漢字は?」とツッコまれていて、「新しい一万円札の渋沢と覚えてください」という返しがキャッチーだったから、漢字も覚えてしまった。少し低めで、やわらかく心地よく響く声が、なんだか印象に残った。
同じ学科だから、ゼミ以外にもかぶる授業は多いけれど、話したことはほとんどなかった。渋沢くんはそんなに喋る方じゃないから。服装も地味で、若干サイズが合ってなくて、だぼっとしたものを身に着けている。あとは少し古い型の眼鏡を掛けているくらいしか特徴を思い出すことができない。でも、暗い雰囲気ではなく、穏やかで優しそうな人だなとは思っていた。
二年に進むと、コースが違うからかぶる授業も少なくなった。渋沢くんとその後関わることになるなんて、思ってもいなかったのに。
時に世界は一瞬で変わる。
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