【R18】きっかけはどうでも

テキイチ

文字の大きさ
上 下
49 / 58
番外編・個人授業!!

48 世界で一番楽しい義務 ③

しおりを挟む
 終わるといつも、尚さんはしばらく私を抱きしめてくれる。私が顔を上げると、ついばむような優しいキスをいくつもくれて、すごく安心する。身体を重ねるたびに、大切にされているという実感も、積み重ねられていく。
 私が微笑みかけると、尚さんも微笑み返し、耳元に口を寄せ、囁いた。

「ほんとは一回でやめとくつもりだったのに」
「え……」
「律さんがあんまりいい声出すから。興奮が冷めない」
「な、なにそれ……」
「罰として、もっかい付き合って」

 尚さんは、あたりはやわらかいのに、結構強引だ。言い出したら聞かない。観念して脚を開くと、尚さんはくすりと笑った。

「脚の開き方、大胆になったよね。律さん」
「なっ……」
「そそるよ。すごく興奮する」

 そう言うなり、尚さんはもう一度入ってきた。今度は前から。

「バックの残念なところは、このとろとろになった顔が見られないってことだよね」
「とろとろ……もう、やだ……」
「ん? すごく可愛いよ」

 尚さんは私の頬にちょんちょんとふれる。
 可愛いなんて言われ慣れてないから、どんな顔をしていいのかわからない。今、すごく、微妙な顔をしてると思う。

「可愛い」
「うぅ……」

 尚さんは優しい笑みを浮かべてキスを落とす。何度も。ああ、どうしよう、私は今、ものすごい多幸感に襲われている。おかしい。
 尚さんは愛してるとか好きだとか、実は言わない。でも、そんなの言われなくても、愛されていることは疑いようがなく伝わってきてしまう。

「尚さん、好き……」

 私は尚さんほど態度で愛情を示せていないと思うから、言葉にする。今までの人生で、上手く伝えられなかった反省も込めて。
 私が愛の言葉を口にすると、尚さんはとても嬉しそうな顔をするから。

 二度目だから、尚さんはゆっくり攻めてくる。私の手を取って指と指の間をそっと舐めたり、乳首を口に含んで舌で転がしたり。首筋を指でゆっくりなぞったり、脇腹をそっとさすったり。
 尚さんは覚えたポイントを絶対に外さないから、快感から逃れることができない。

「あっ……あっ……あ! んっ! んんっ!」
「いつでも、イッていいからね」
「んっ……」
「ほんと、すごくよさそう。可愛い」
「いっしょ……いっしょがいい……」
「……ん」

 膣が勝手にぴくぴく締まってきて、思わず目を閉じる。達してしまう前兆。
 尚さんは私の耳をそっと舐め、動きを速めた。
 私が脚を絡めてしまったのと、尚さんが最奥を突いたのと、どちらが先だったかわからないけれど。二人で一緒に果てた。



「枯れてるとか言いながら、絶対回数多い……」
「ほら、妻を愛でるのは夫の義務だから」
「夫の義務」
「そう。僕は律さんを見ていて、私生活の義務は自分の好きなことだけにしようと決めた。逆を権利と思うことにしようって。きっとその方が人生楽しい」
「意味わかんないよ……」

 尚さんはたまによくわからないことを言い始める。でも、そういう自由な物言いをするのは私の前でだけかもしれない、なんて、ちょっと思う。

「義務をきちんと全うしているおかげで、僕は今、愛妻家の称号をほしいままにしているよ」

 そう言って、尚さんは得意げに笑った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

甘い束縛

はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。 ※小説家なろうサイト様にも載せています。

一夜の男

詩織
恋愛
ドラマとかの出来事かと思ってた。 まさか自分にもこんなことが起きるとは... そして相手の顔を見ることなく逃げたので、知ってる人かも全く知らない人かもわからない。

逃げても絶対に連れ戻すから

鳴宮鶉子
恋愛
逃げても絶対に連れ戻すから

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

処理中です...