【R18】取り違えと運命の人

番外編・取り違えと運命の人 小話集

194 取り違えられた二人のその後 ④ （その２ おっちゃん再び・２）

「そのまま親も離縁することになったらしくて、親友は主人と夫人のどちらについていくか打診されたそうなんだが、嬢ちゃんにつくことを選んだんだそうだ」
「ジュリエッタ、あんだけ家事できないのに、一人でどうやって暮らしてたんだろう、と正直疑問に思ってたんです」
「あいつが亡くなって三か月くらいでルーカが来たみたいだからな。それくらいなら、なんとかなったんだろ」

　ジュリエッタが干からびる前に来られて、よかった、ほんとに。

「親友は幼かった娘を不慮の事故で亡くしてしまってな。奥さんはそれからどんどん病んでいって、親友といるのもつらいってんで、やむなく離縁したんだ。そんなだから、嬢ちゃんと自分の娘を重ねてたんだろうな。すげえ大事にしてたよ」
「親代わりだったんですね、その方」
「だから、病気で余命いくばくもないことがわかった時、俺に、これからもまめに様子を見に来てやってくれと頼んできた。まあ、見に来るだけでなにもできなかったんだが……」

　おっちゃんがニヤリと笑う。

「ルーカが来てから、嬢ちゃん、めちゃくちゃ表情豊かになったぜ。毎日楽しくて、幸せなんだろう。あいつもきっと、喜んでると思う」

　そう言うと、俺の背中を再びバシバシ叩く。痛え。

「ルーカも会うたびに楽しそうだし、俺も安心だ。もう、大丈夫だろ」

　ん？　……ちょっとひっかかった。念の為、訊ねてみる。

「……また、来てくれますよね？」

　おっちゃんが、少し真顔になる。

「え……？お前がいれば嬢ちゃんも問題ないし、別に……」

　直感した。このままだと、この人はもう来なくなる。