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後日譚・取り違えたその後の二人
102 にくいあんちくしょう ②
しおりを挟む「ほれ」
諦めて作ってきた。一人で食べるのもアレなので、二人分。
「俺、ベジタリアンだから、野菜しか入ってねーけど」
「ベジタリアン?」
「味は嫌いじゃねーけど、肉類食べると腹壊すんだ。だから食わない」
「宗教上の理由とかじゃなく?」
「そんなんはむしろどうでもいい」
「……ふーん。ありがと」
「「いただきます」」
黙々と食べる。これ、女子からすごく不評だ。俺といると食べ物が限られるし、どうも、食べる姿がまずそうに見えるらしい。それに加えて、なに考えてるかわかんない、思ってたより粗暴、とかとのコンボで、大概数回のデートで振られる。
でも、ジュリエッタはそんなの全然気にしてないみたいだ。そりゃそうか、自分も味覚ないしな。
「……え……?」
「どうかしたか?」
料理を口に含んだ途端、ジュリエッタが驚きの表情を浮かべるので、訊ねる。
「これが、おいしいって、こと?」
「……味覚、ねーんじゃなかったのか?」
「だから、わかんないのよ。こんな体験、初めてで」
なんかとまどってる様子だけど、わかんねーしなあ。
「ルーカと過ごし始めてから、なんか、おかしい」
「俺のせいかよ?!」
「感覚が、通じ始めてる、気がする」
「味覚だけじゃ、ないのか?」
「匂いもなんとなくわかる気がするし、いつもより耳の聞こえもいい」
「俺が、神託の相手だから?」
「わからないけど……」
寝室はまとも。それにびっくりした。
「だって、寝る時にはふわふわのおふとんの方が、気持ちいいじゃない」
「そりゃそうだけど、じゃあ、他の部屋のぐちゃぐちゃぶりはなんだよ」
「見なければいいし」
風呂上がりの彼女は、余計かぐわしくて、くらくらする。目の前には広くてふかふかのベッドがある。そして、中身はアレでも、見た目は天使……しかも巨乳の。
疲れが極まっていたことは否定できない。冷静な判断ができなくなって、思わず押し倒してしまった。
「痛覚ないってことは、ちょっと、乱暴にしても、いいんだよな?」
はっきりいって最悪なおうかがいである。
「……好きにすれば」
そんなこと言われたら、止められない。止まる訳がない。
夜着を容赦なく剥く。白い肌があばかれ、双丘があらわになる。今日一日見たくてたまらなかったものは、とんでもないお宝であった。見せないとかむしろ罪だろ、これ。手触りを確かめるために、もまずにおれない。しっとりしてて、ふにふにで、このやわらかさ、男を堕落させるためのもんだろこれ、たまらん。そして、気分が高まってきた頃、魅惑の蜜壺に一気にツッ込んだ。
「……っ!」
「ジュリエッ、タ……?」
予想外の反応に思わず動きを止めると、ちょっと楽そうな表情になる。これは……。
「……続ければ……?」
「お前、強がってるけど……処女か?」
「……悪い?」
ふいと横を向く、ジュリエッタ。
「そんで、ないはずの痛覚、つながってる?」
ジュリエッタは横を向いたまま答えてくれない。けど、この反応と表情は。
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