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本編・取り違えと運命の人
093 リカルド日記(抜粋) ①
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○月×日
ぼくのたんじょうびに、とうちゃんがこのにっきちょうをくれた。
なにからかこうかまよったけど、とうちゃんからうけとったときのことをまずはかこうとおもう。
「おれとおなじだいくになりたいのはうれしいが、べんきょうはだいじだ。おれはがくがないばっかりに、かあちゃんにいらぬくろうをかけた。おまえもしょうらいきっと、うんめいのひととであうから、そのときふたりでしあわせになれるように、がんばるんだ。きろくをつけるしゅうかんをつけてほしいから、このにっきちょうをやる」
まいにちはむずかしくても、とにかくつづけること、と、とうちゃんとやくそくした。
かあちゃんはよこでにこにこわらってた。
「おとうさん、わたしはくろうなんかしていませんわ。おとうさんとりかるどとさんにんで、とてもしあわせじゃありませんか」
とうちゃんとかあちゃんはとてもなかよしだ。
うんめいのひとって、どんなひとなのかよくわからないけど、とうちゃんとかあちゃんみたいになかよくできたらいいな。あと、にぎやかなかぞくになるといいな。
○月×日
先生から、学校でしょうらいなりたいものについてたずねられたから、大工だとこたえた。
「リカルドはゆうしゅうだから、せっけいときかいの勉強をするといい。そうすればもっとやくにたつ大工になれるから」
先生はそう言ってくれた。きょねんまでのたんにんの先生は、口うるさいしえこひいきするからにがてだったんだけど、この先生は教えかたもじょうずだし、一人一人のことを見ていてくれて、みんな毎日楽しそうだ。
ぼくも勉強が楽しくなって、テストが100点ばっかりになったので、「リカルド、おまえすごいな!」と父ちゃんもうれしそうだ。テストでいい点を取るとごほうびに母ちゃんがごちそうを作ってくれるから、ぼくもうれしい。
せっけいときかいの勉強をするといいと先生に言われたと、夕はんを食べながら話すと、父ちゃんは「たしかにそういうのがわかるやつがげんばにいるとやりやすい。先生はリカルドのことをちゃんと考えてくれてありがたいな」と言っていた。
○月×日
先生から、上級学校に行くために放課後勉強しないか、と持ちかけられた。リカルドならがんばればきっと合格できる、と。普通は合格するために家庭教師をつけたり塾に通うのだそうだが、僕の家の経済状況を考えてくれたのだろう。先生は僕にかなり目をかけてくれているように思う。とてもありがたいのだけど、断った。母ちゃんの具合が悪く、医者にかかる費用を稼ぐために父ちゃんが前よりも仕事を増やしたので、家のことを僕がしなければならなくて、そんな時間はないのだ。
そう伝えると、先生は「お母さんの具合が早くよくなるといいね。相談があればいつでも言っておくれ」と言ってくれた。
ぼくのたんじょうびに、とうちゃんがこのにっきちょうをくれた。
なにからかこうかまよったけど、とうちゃんからうけとったときのことをまずはかこうとおもう。
「おれとおなじだいくになりたいのはうれしいが、べんきょうはだいじだ。おれはがくがないばっかりに、かあちゃんにいらぬくろうをかけた。おまえもしょうらいきっと、うんめいのひととであうから、そのときふたりでしあわせになれるように、がんばるんだ。きろくをつけるしゅうかんをつけてほしいから、このにっきちょうをやる」
まいにちはむずかしくても、とにかくつづけること、と、とうちゃんとやくそくした。
かあちゃんはよこでにこにこわらってた。
「おとうさん、わたしはくろうなんかしていませんわ。おとうさんとりかるどとさんにんで、とてもしあわせじゃありませんか」
とうちゃんとかあちゃんはとてもなかよしだ。
うんめいのひとって、どんなひとなのかよくわからないけど、とうちゃんとかあちゃんみたいになかよくできたらいいな。あと、にぎやかなかぞくになるといいな。
○月×日
先生から、学校でしょうらいなりたいものについてたずねられたから、大工だとこたえた。
「リカルドはゆうしゅうだから、せっけいときかいの勉強をするといい。そうすればもっとやくにたつ大工になれるから」
先生はそう言ってくれた。きょねんまでのたんにんの先生は、口うるさいしえこひいきするからにがてだったんだけど、この先生は教えかたもじょうずだし、一人一人のことを見ていてくれて、みんな毎日楽しそうだ。
ぼくも勉強が楽しくなって、テストが100点ばっかりになったので、「リカルド、おまえすごいな!」と父ちゃんもうれしそうだ。テストでいい点を取るとごほうびに母ちゃんがごちそうを作ってくれるから、ぼくもうれしい。
せっけいときかいの勉強をするといいと先生に言われたと、夕はんを食べながら話すと、父ちゃんは「たしかにそういうのがわかるやつがげんばにいるとやりやすい。先生はリカルドのことをちゃんと考えてくれてありがたいな」と言っていた。
○月×日
先生から、上級学校に行くために放課後勉強しないか、と持ちかけられた。リカルドならがんばればきっと合格できる、と。普通は合格するために家庭教師をつけたり塾に通うのだそうだが、僕の家の経済状況を考えてくれたのだろう。先生は僕にかなり目をかけてくれているように思う。とてもありがたいのだけど、断った。母ちゃんの具合が悪く、医者にかかる費用を稼ぐために父ちゃんが前よりも仕事を増やしたので、家のことを僕がしなければならなくて、そんな時間はないのだ。
そう伝えると、先生は「お母さんの具合が早くよくなるといいね。相談があればいつでも言っておくれ」と言ってくれた。
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