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本編・取り違えと運命の人
082 ボタンを掛け違えたまま ②
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「そんなに大事ですか? 神託」
ルーカさんが淡々と言う。意味がわからない。
「神託に従う気で登録したんですよね? ルーカさん」
「いや、俺は、もう決めてもらえたら楽かなという程度で、もし途中で惚れた女ができたら、登録抹消しようと思っていました」
「私もモテないから登録した程度ではありますけど……」
「あっちのジュリエッタに至っては、運命って偶然と意思のどっちが勝つか見てみたかったから、とか、訳わかんないこと言ってましたよ」
さすが、不思議美少女ロリ巨乳。意味がわからない。
「でも、神託の相手を断るとか、別れるとか、全然聞いたことないです」
神殿が関わっているから、相手を決められた後に従わないという選択肢は、普通、ないんだろう。私も、別に信心深い訳じゃないけど、神託を反故にするなんて考えすらしなかった。
「ごめんなさい。俺、あなたと添い遂げる気で、今日、ここに来た訳じゃないんです」
「え? じゃ、なんで?」
「ちょっと、ムカついて」
「は?」
「あいつ、かんじんな時にはなにも言いやがらねえ。俺と二人だけの時はずっとやりたい放題で、さんざっぱらわがまま言ってたくせに……」
なんか、えらく饒舌になってきてますよ、おにいさん。しかも口調が雑。
「『そんなのどうだっていいでしょ。行くわよ、ルーカ』の一言でよかったのによお……」
「……つまり、ジュリエッタさんに惚れてしまっているんですね?」
「悪い? 趣味悪い? 俺もそう思うよ!」
「誰もそんなこと言ってない」
ちょ、ルーカさん、壊れた。
「ジュリエッタさん。あなた、普通に可愛いし、常識的だし、料理も上手いし、部屋も綺麗に整ってるし、あいつに会う前だったら割と理想的だったんだと思います。でも」
「もう出会ってしまったから」
「そう」
「わかります。私も、ぶっちゃけ最初に家に来たのがあなただったら、理想通りと思ったに違いないです」
「なかなか、うまくいきませんね」
「でも、似た者同士すぎてだめね、きっと。茶飲み友達にはよさそうだけど」
「似た者同士だから、ほんとはリカルドさんがいいって、わかりましたよ」
ルーカさんが微笑んでそう言う。
「……期待しちゃったの」
つい、神殿の町で言えなかった本音をもらす。
「リカルド、すごく『運命の人』っていうのに憧れを持ってて。一緒に過ごしてて、毎日楽しくって、とても大切にしてもらって、どんどん好きになっていってしまって。私が運命の人じゃなかったとしても、それでも私を選んでくれるんじゃないかなって」
目から涙がこぼれるのを止められない。
「でも、やっぱり、『運命の人』には勝てなかったです……」
ルーカさんが淡々と言う。意味がわからない。
「神託に従う気で登録したんですよね? ルーカさん」
「いや、俺は、もう決めてもらえたら楽かなという程度で、もし途中で惚れた女ができたら、登録抹消しようと思っていました」
「私もモテないから登録した程度ではありますけど……」
「あっちのジュリエッタに至っては、運命って偶然と意思のどっちが勝つか見てみたかったから、とか、訳わかんないこと言ってましたよ」
さすが、不思議美少女ロリ巨乳。意味がわからない。
「でも、神託の相手を断るとか、別れるとか、全然聞いたことないです」
神殿が関わっているから、相手を決められた後に従わないという選択肢は、普通、ないんだろう。私も、別に信心深い訳じゃないけど、神託を反故にするなんて考えすらしなかった。
「ごめんなさい。俺、あなたと添い遂げる気で、今日、ここに来た訳じゃないんです」
「え? じゃ、なんで?」
「ちょっと、ムカついて」
「は?」
「あいつ、かんじんな時にはなにも言いやがらねえ。俺と二人だけの時はずっとやりたい放題で、さんざっぱらわがまま言ってたくせに……」
なんか、えらく饒舌になってきてますよ、おにいさん。しかも口調が雑。
「『そんなのどうだっていいでしょ。行くわよ、ルーカ』の一言でよかったのによお……」
「……つまり、ジュリエッタさんに惚れてしまっているんですね?」
「悪い? 趣味悪い? 俺もそう思うよ!」
「誰もそんなこと言ってない」
ちょ、ルーカさん、壊れた。
「ジュリエッタさん。あなた、普通に可愛いし、常識的だし、料理も上手いし、部屋も綺麗に整ってるし、あいつに会う前だったら割と理想的だったんだと思います。でも」
「もう出会ってしまったから」
「そう」
「わかります。私も、ぶっちゃけ最初に家に来たのがあなただったら、理想通りと思ったに違いないです」
「なかなか、うまくいきませんね」
「でも、似た者同士すぎてだめね、きっと。茶飲み友達にはよさそうだけど」
「似た者同士だから、ほんとはリカルドさんがいいって、わかりましたよ」
ルーカさんが微笑んでそう言う。
「……期待しちゃったの」
つい、神殿の町で言えなかった本音をもらす。
「リカルド、すごく『運命の人』っていうのに憧れを持ってて。一緒に過ごしてて、毎日楽しくって、とても大切にしてもらって、どんどん好きになっていってしまって。私が運命の人じゃなかったとしても、それでも私を選んでくれるんじゃないかなって」
目から涙がこぼれるのを止められない。
「でも、やっぱり、『運命の人』には勝てなかったです……」
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