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本編・取り違えと運命の人
074 騎士はお姫様がいるからがんばれるんだ ③
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「もし、誰かがジュリエッタを口説いちゃって、ジュリエッタが受け入れてたら、神託申し込んだりしないし、この町俺の故郷から結構遠いし、たぶんジュリエッタに会えてすらなくて。あああ! もう、そんなの考えただけで嫌だ! ジュリエッタが神託申し込んでくれて、俺の相手に選ばれてくれて、ほんとよかった!」
「リカルド……」
「俺、十中八九、周りの男達は、見る目がなかったんじゃなくてヘタレだったんだと思ってる! だって、ジュリエッタ、すっごく可愛いもん! すっごくすっごく可愛いもん!!」
ものすごい勢いでリカルドは言って、私をぎゅうっと抱きしめる。
「ええと、でも、ジュリエッタが一年前より、もっとずっと可愛く綺麗になったのは……俺と一緒に過ごしたからだって、ちょっとうぬぼれてる」
リカルドの鼓動が伝わってくる。どきどきしてるの、私だけじゃないんだ。
「ジュリエッタ。俺にとって、君は、初めて見た時から、運命のお姫様なんだ。君がもっと幸せになるように、俺、これからもがんばるから」
少し腕をゆるめて、リカルドは私の目をじっと見つめ、続けた。
「だから、運命に感謝してる俺に付き合って、明日はお礼参りに行ってくれない?」
「……お礼参りって、なんか任侠の世界みたいね」
「ゴロツキが出てこようとも、不測の事態が起ころうとも、騎士は全力でお姫様の幸せを守るので!」
だからごほうびに、と言って、リカルドはそっとキスをしてきた。話の流れがなんだかもうめちゃくちゃで、思わずくすりと笑ってしまった。
「まだ、なにも起きてないのに」
「やっぱり、ジュリエッタ、笑った方がいい」
リカルドがいつものおひさまみたいな笑顔でそう言うので、つられてもっと笑ってしまう。
「おなかすいた! 早くジュリエッタのごはん食べたいな。明日もいろいろお祝い考えてるけど、まずは腹ごしらえしなきゃ!」
「うん。ごはん食べよ」
また、お祝い考えてくれてるみたいだけど、ほんとは既に毎日いろいろもらっているんだよね。明日も、俺に付き合ってとか、リカルドはすぐ自分のためって体にするけど、私の方こそ神託にお礼を言わなくちゃいけない。私の相手がリカルドでほんとによかったですって。
「気持ちとしては、その、すっごくしたいんだけど! 明日朝早いし、お楽しみは明日の夜にとっとくとして!」
ベッドに入ると、リカルドが訳のわからない主張を始めるから、またくすりと笑ってしまう。
「今夜は、抱きしめて眠っていい?」
「うん、もちろん」
リカルドは後ろから私を抱きしめると、寝息を立て始めた。おやすみも言わずに。知らない間にがんばっていた騎士が、ゆっくり休めますように。そう思いながら、私も眠りについた。
「リカルド……」
「俺、十中八九、周りの男達は、見る目がなかったんじゃなくてヘタレだったんだと思ってる! だって、ジュリエッタ、すっごく可愛いもん! すっごくすっごく可愛いもん!!」
ものすごい勢いでリカルドは言って、私をぎゅうっと抱きしめる。
「ええと、でも、ジュリエッタが一年前より、もっとずっと可愛く綺麗になったのは……俺と一緒に過ごしたからだって、ちょっとうぬぼれてる」
リカルドの鼓動が伝わってくる。どきどきしてるの、私だけじゃないんだ。
「ジュリエッタ。俺にとって、君は、初めて見た時から、運命のお姫様なんだ。君がもっと幸せになるように、俺、これからもがんばるから」
少し腕をゆるめて、リカルドは私の目をじっと見つめ、続けた。
「だから、運命に感謝してる俺に付き合って、明日はお礼参りに行ってくれない?」
「……お礼参りって、なんか任侠の世界みたいね」
「ゴロツキが出てこようとも、不測の事態が起ころうとも、騎士は全力でお姫様の幸せを守るので!」
だからごほうびに、と言って、リカルドはそっとキスをしてきた。話の流れがなんだかもうめちゃくちゃで、思わずくすりと笑ってしまった。
「まだ、なにも起きてないのに」
「やっぱり、ジュリエッタ、笑った方がいい」
リカルドがいつものおひさまみたいな笑顔でそう言うので、つられてもっと笑ってしまう。
「おなかすいた! 早くジュリエッタのごはん食べたいな。明日もいろいろお祝い考えてるけど、まずは腹ごしらえしなきゃ!」
「うん。ごはん食べよ」
また、お祝い考えてくれてるみたいだけど、ほんとは既に毎日いろいろもらっているんだよね。明日も、俺に付き合ってとか、リカルドはすぐ自分のためって体にするけど、私の方こそ神託にお礼を言わなくちゃいけない。私の相手がリカルドでほんとによかったですって。
「気持ちとしては、その、すっごくしたいんだけど! 明日朝早いし、お楽しみは明日の夜にとっとくとして!」
ベッドに入ると、リカルドが訳のわからない主張を始めるから、またくすりと笑ってしまう。
「今夜は、抱きしめて眠っていい?」
「うん、もちろん」
リカルドは後ろから私を抱きしめると、寝息を立て始めた。おやすみも言わずに。知らない間にがんばっていた騎士が、ゆっくり休めますように。そう思いながら、私も眠りについた。
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