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本編・取り違えと運命の人
065 行く年 ①
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リカルドが一昨日から年末年始の休暇に入っているので、普段できない家の補修や大掃除をしている。気になりつつも手が回ってなかったところが整って、安心するし、とても助かる。ありがとうとお礼を言ったら、お安い御用! と笑顔で返ってきた。こっちもなにかできることはないかと思って、服の補整や繕いをまとめてやったところ、大喜びされた。こちらこそ、本職なんだから、お安い御用。
今日は大晦日なので、年越し市に行くことにした。ちょっとしたお祭りだから外でにぎやかに過ごす人もいる。私達は新年を家でゆっくり過ごすための買い出しが主な目的だけど、デートも兼ねているから、ちょっとはおしゃれな格好したいなあ、と思う。私がおしゃれすると、リカルドも嬉しそうだし。
「とはいえ、いっぱい動くし、荷物もたくさん持つから、あんまり繊細な服はちょっとなあ……」
鏡を見ながらちょっと考える。そうだ。
「今日は、髪の編み方を変えてみようかな」
リカルドは私の髪がほんとに好きみたいで、プレゼントのシュシュや髪飾りを使ってるとすごく喜ぶ。だいぶ髪も伸びたし、ちょっと複雑な編み方をしてみよう。
「ごめんね、お待たせしました」
リビングにいるリカルドに声をかけると、リカルドは読んでいた本をぱたりと閉じた。
「ううん、全然。じゃ、行こうか」
リカルドは私を見ると、あっと声を上げた。
「今日、髪、凝ってる!」
「荷物多くなりそうだから、服じゃなく髪でおしゃれしてみたの」
「すっごく可愛い! リボンを髪に編み込むのっていいね」
「このリボン、気に入ってるのに、あんまり使えてなかったから」
髪がド直毛というのもあって、ただ結ぶだけだとすぐ落ちたりほどけてしまって、リボンはシュシュや髪飾りと違ってほとんど使えてなかった。でもせっかくのプレゼントだから使いたくて、町でおしゃれな女の子を観察したり、ヘアアレンジ本を熟読したりで、研究していたのだ。
「髪の中に編み込むと落ちにくいって気づいたから、やってみようとずっと思ってたの」
「いろいろ工夫してくれて、ほんと嬉しい!」
リカルド、もう、にっこにこだ。最初に会った時のあのおひさまみたいな笑顔。
リカルドと一緒にいると、おしゃれするの、楽しいな。喜ばれるのもあるけど、手を掛けたところに絶対気づいてくれるし、リカルドの「これがいい!」っていうのは結構的を射てるから、仕事の参考にもなる。
「リカルドにデザインのアイデアもらった頃から、町で女の子めちゃくちゃ観察するようになったの。今まで観察全然足りてなかったんだよね。ほんと反省した」
自分のおしゃれのためだけじゃなくって。仕事、がんばってるつもりだったけど、肝心のターゲットがなにを求めてるかに、少し鈍感すぎた気がする。
「全然反省しなくていいと思うけど、ジュリエッタがいろんな服着てくれるの、俺、見ててすごーく嬉しいし、仕事にも役立ってるなら、よかったよね!」
そんなたわいないことを話しながら、年越し市へと向かう。つないだ手が温かくて、寒さなんか全然気にならない。去年同じ買い出しに出た時は、寒いし荷物多くなりそうだしやだなあ、としか思ってなかったのにな。
今日は大晦日なので、年越し市に行くことにした。ちょっとしたお祭りだから外でにぎやかに過ごす人もいる。私達は新年を家でゆっくり過ごすための買い出しが主な目的だけど、デートも兼ねているから、ちょっとはおしゃれな格好したいなあ、と思う。私がおしゃれすると、リカルドも嬉しそうだし。
「とはいえ、いっぱい動くし、荷物もたくさん持つから、あんまり繊細な服はちょっとなあ……」
鏡を見ながらちょっと考える。そうだ。
「今日は、髪の編み方を変えてみようかな」
リカルドは私の髪がほんとに好きみたいで、プレゼントのシュシュや髪飾りを使ってるとすごく喜ぶ。だいぶ髪も伸びたし、ちょっと複雑な編み方をしてみよう。
「ごめんね、お待たせしました」
リビングにいるリカルドに声をかけると、リカルドは読んでいた本をぱたりと閉じた。
「ううん、全然。じゃ、行こうか」
リカルドは私を見ると、あっと声を上げた。
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「髪の中に編み込むと落ちにくいって気づいたから、やってみようとずっと思ってたの」
「いろいろ工夫してくれて、ほんと嬉しい!」
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そんなたわいないことを話しながら、年越し市へと向かう。つないだ手が温かくて、寒さなんか全然気にならない。去年同じ買い出しに出た時は、寒いし荷物多くなりそうだしやだなあ、としか思ってなかったのにな。
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