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最終話 ドラゴンに転生したら心優しい少年にテイムされました
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カイルの就職をひとしきり喜んだ後、俺達は闘技場の外に出た。
「「「「カイルっ!!」」」」
すると、カイルの両親・リリとその従魔達に親父さん、それにボンズが俺達を出迎えてくれた。
「みんな聞いて! 僕――」
「カイル、良い戦いぶりだったぞ! その、何だ……また来年頑張ればいいさ!」
「お父さんの言う通りよ! カイルは凄い! よく頑張ったわ! もちろん、アイズ君達もね!」
「え? う、うん。ありがとう」
言葉を遮って異様に明るく話し掛けてきた両親に、カイルは戸惑った様子で言葉を返した。
「カイルっ! また来年一緒に頑張りましょ! だから前向きに! ねっ?」
「そうだぞ、カイル。初出場で準々決勝まで行くたぁ、見事なもんだ。だから自信を持て!」
続いて掛けられたリリと親父さんの言葉に、カイルはさらに困惑した顔を浮かべた。
一体どうしたんだろう、みんな。
何かテンションがおかしいけど……。
そんなことを思っていると、リリの従魔達が俺達の目の前にやってきて話し掛けてきた。
『アイズっ! それにエリノアとフィル。あんた達はよーく頑張った。だから自分を責めちゃあいけないよ』
『そうよっ! 今回は相手が悪かっただけなんだから!』
『気にしちゃ……ダメ……。アイズ達は……凄い……』
『お、おう。ありがとう……』
モモ達の様子もおかしい。
何か気を遣われているような……。
「おい、カイルっ! お前はこの俺に勝ったんだ。だから……負けたからって落ち込むな! 分かったな!?」
「う、うん、ボンズありがとう。でも僕、落ち込んでないよ……?」
「「「「――えっ?」」」」
ボンズの言葉にカイルがそう返すと、そこに居た全員が心底驚いたかのような表情を浮かべた。
……なるほど。みんなは負けた俺達を励まそうとしてくれてたんだな。
きっと落ち込んでいるだろうと思って。
「あ、そうだ! みんな聞いて! 僕、テイマー養成学院で講師として働くことになったんだ!」
「え、えっと……。どういうこと?」
「さっき控え室で――」
カイルはその後、控え室で院長先生からスカウトされたことをみんなに説明した。
すると、みんなが自分のことのように喜んでくれて、祝福してくれた。
「あっ! 父さん、母さん! 僕をテイマー養成学院に入れてくれてありがとう! これからは僕がいっぱい稼いで楽をさせてあげるから、無理をしないでね!」
おいおい、カイル。ここでそんなことを言ったら――
「か、カイル……」
「この子ったら……」
あーあ。ほら、泣いちゃったじゃないか。
……でも、カイルの両親も本当に嬉しそうだ。
本当に良かったな、カイル。
「よぉーし。今日はカイルの就職を祝って、みんなで盛大にやろう!」
「あっ、お父さんナイスアイデア! じゃ、みんな家に来て!」
その後、親父さんの提案で俺達はリリの家で、カイルの就職を祝う会を開いてもらえることになった。
そうして、リリの家に向かっている道中、俺は空を見上げて心の中で言葉を紡ぐ。
――勇斗。
兄ちゃんがそっちに行くのは、まだだいぶ先になりそうだ。
実は兄ちゃんな。
ドラゴンに生まれ変わって、勇斗に似た優しい男の子と仲間達と一緒に暮らしているんだ。
旅に出たり、戦ったりと退屈しない日々だよ。
良い子にしていられたら、とびっきり面白い話を聞かせてやるから、もうちょっとだけ待っててな。
兄ちゃんは第二の人生も精一杯生きてから、必ず勇斗に会いにいくから。
「アイズーっ! 行くよー!」
『何してるんですか、アイズさんっ! 空なんか眺めて!』
『早くしろ。置いていくぞ』
『――悪い悪い! 今行くよ!』
「「「「カイルっ!!」」」」
すると、カイルの両親・リリとその従魔達に親父さん、それにボンズが俺達を出迎えてくれた。
「みんな聞いて! 僕――」
「カイル、良い戦いぶりだったぞ! その、何だ……また来年頑張ればいいさ!」
「お父さんの言う通りよ! カイルは凄い! よく頑張ったわ! もちろん、アイズ君達もね!」
「え? う、うん。ありがとう」
言葉を遮って異様に明るく話し掛けてきた両親に、カイルは戸惑った様子で言葉を返した。
「カイルっ! また来年一緒に頑張りましょ! だから前向きに! ねっ?」
「そうだぞ、カイル。初出場で準々決勝まで行くたぁ、見事なもんだ。だから自信を持て!」
続いて掛けられたリリと親父さんの言葉に、カイルはさらに困惑した顔を浮かべた。
一体どうしたんだろう、みんな。
何かテンションがおかしいけど……。
そんなことを思っていると、リリの従魔達が俺達の目の前にやってきて話し掛けてきた。
『アイズっ! それにエリノアとフィル。あんた達はよーく頑張った。だから自分を責めちゃあいけないよ』
『そうよっ! 今回は相手が悪かっただけなんだから!』
『気にしちゃ……ダメ……。アイズ達は……凄い……』
『お、おう。ありがとう……』
モモ達の様子もおかしい。
何か気を遣われているような……。
「おい、カイルっ! お前はこの俺に勝ったんだ。だから……負けたからって落ち込むな! 分かったな!?」
「う、うん、ボンズありがとう。でも僕、落ち込んでないよ……?」
「「「「――えっ?」」」」
ボンズの言葉にカイルがそう返すと、そこに居た全員が心底驚いたかのような表情を浮かべた。
……なるほど。みんなは負けた俺達を励まそうとしてくれてたんだな。
きっと落ち込んでいるだろうと思って。
「あ、そうだ! みんな聞いて! 僕、テイマー養成学院で講師として働くことになったんだ!」
「え、えっと……。どういうこと?」
「さっき控え室で――」
カイルはその後、控え室で院長先生からスカウトされたことをみんなに説明した。
すると、みんなが自分のことのように喜んでくれて、祝福してくれた。
「あっ! 父さん、母さん! 僕をテイマー養成学院に入れてくれてありがとう! これからは僕がいっぱい稼いで楽をさせてあげるから、無理をしないでね!」
おいおい、カイル。ここでそんなことを言ったら――
「か、カイル……」
「この子ったら……」
あーあ。ほら、泣いちゃったじゃないか。
……でも、カイルの両親も本当に嬉しそうだ。
本当に良かったな、カイル。
「よぉーし。今日はカイルの就職を祝って、みんなで盛大にやろう!」
「あっ、お父さんナイスアイデア! じゃ、みんな家に来て!」
その後、親父さんの提案で俺達はリリの家で、カイルの就職を祝う会を開いてもらえることになった。
そうして、リリの家に向かっている道中、俺は空を見上げて心の中で言葉を紡ぐ。
――勇斗。
兄ちゃんがそっちに行くのは、まだだいぶ先になりそうだ。
実は兄ちゃんな。
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良い子にしていられたら、とびっきり面白い話を聞かせてやるから、もうちょっとだけ待っててな。
兄ちゃんは第二の人生も精一杯生きてから、必ず勇斗に会いにいくから。
「アイズーっ! 行くよー!」
『何してるんですか、アイズさんっ! 空なんか眺めて!』
『早くしろ。置いていくぞ』
『――悪い悪い! 今行くよ!』
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