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【番外編】セックスしないと出られない部屋で未来の〇〇に童貞(仮)を捧げる話②

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 最後のは……すごく、可愛い声だった。
 声は低いのだけれど、響きが甘くて柔らかくて。
 斜め下から、じっと見つめられているのがわかる。わかるから目を向けられない。そんな僕の耳を、彼は舌で愛撫する。
 何故だろう、さっきとは感覚が違う。
 ぬるりとして、熱くて、ぞわぞわするのは変わらない。だが、獲物を捕らえる肉食動物みたいだった彼が、今は子猫が甘えてじゃれついてるように思えてしまうのだ。
 おいしいもの頂戴、とでも言っているみたいだ。
 まぁ、彼が求めているのは僕のペニスなのだが。

「君の中に……僕が?」
「んー?」
「入る?」
「おう。入るよ。ずっぽり全部」
「ん……」
「はは、低い雄クセェ声出たな。興奮してきた?」
「……見たい」
「見たい? 俺のケツの穴?」
「本当に、入るのか……見たい」
「ん。いーよ。しょうがねーなぁ」

 挿入させるつもりだったのにしょうがないも何もないだろう。
 何を言ってるのかと思ったが、ジーンズを脱ごうとベルトを外し前を開こうとしてる彼の顔は、ほんのり赤みがかっていた。そしてじっと見ている僕と目が合うと「そんな見るなよ」と唇を尖らせる。
 これは……もしかして恥ずかしがっているのだろうか。
 ジーンズを床に落とし、黒のボクサーパンツにも手をかける。それを下ろしていっても、見たくもない他人の男性器がぶら下がっているだけだ。
 やや硬くなり始めている……という様子の彼の性器に、なんだか悔しいような気持ちになった。僕のは相変わらず完全な勃起状態だからだ。

「くそ……なんかやりづれぇな」

 白い長袖のTシャツはそのまま、下半身だけ晒した姿でベッドに上がり、頬を染めたまま舌打ちをする。
 やりづらいとは。
 僕が首を傾げて見せると、もう一度舌打ち。下品だ。

「いつもはお前があれしろこれしろってうっせぇからさ。リードするのは慣れてんだけど、それ抱く時だし」
「……へぇ」
「セックスしないと出られねぇし、お前もなんか可哀想だしやるけどさ。変な感じ」
「可哀想?」
「だってソレ使えないと思ってんだろ。そんなことねぇのに。だから全然セックスすんだけどさ……そうやってこっちじーっと見ながら大人しく待たれんの、なんか小っ恥ずかしいんだよ。お前経験ないし、仕方ねぇんだけど」

 目の前で膝を抱えて、その膝に顎を置いている姿はやたらと小さく見えた。そういえばさっき部屋を二人で確認していた時は190cm以上ある僕と大して背丈が変わらなかったが、今はその時よりも目線がずっと下にある。
 座高が小さいのだ。そして長い足は歪みもなく真っ直ぐとしている。
 ふくらはぎと足首の奥……太ももの下に睾丸がある。その更に奥を想像して、喉を鳴らす自分に驚く。

「疑問がある……いくつか君に、聞きたい」
「あ? なんだよ」
「でも、とりあえず。一番の興味として、肛門が見たい。今の君の、体勢だと……全く、見えない」

 ぴったりとくっついてガードしている両膝を掴み、左右に割ろうとする。しかし彼はビクッとして膝に力を入れた。

「……君さ」
「わ、悪かったよ! 見せりゃいいんだろ?」
 バツの悪そうな顔で言い訳する姿にため息が出る。
「隼人」

 試しに名前を呼ぶと、目を丸くして僕を見つめてくる。良かった、名前間違っていなかった。

「仰向けに寝て……膝裏を抱えて。僕に、見えるように」
「あっ」

 肩を震わせ、目を細める姿を見て納得した。これでは本人が言う通り、先ほどの状況ではやりづらいだろう。様子を見るに命令されることに快感を得るタイプだ。

「僕が、リードする。その方が……効率的」
「はっ、童貞のくせにできんのかよ?」
「君が小っ恥ずかしいって……言い出した」
「そーだけどさ、無理だろどうせ」

 どうしてわざわざ、強がるのだろう。同性に男性器を挿入され尻の穴を女性器代わりにして犯されるような男でも、プライドがまだ残っているものなのか。
 まぁしかし、だ。
 彼の表情や態度は、よく観察すれば情報が読み取りやすい。女性は演技をするのでまったく何を考えているのかわからないが、彼女たちよりずっとこの男は素直だ。
 僕も極力素直に言葉として伝え、スムーズに物事がいくよう努めよう。
 なんといっても早く隼人の尻の穴が見たい。
 挿入が本当にできるならば……試してみたい。
 勃起している時点で男である彼に僕は興奮できるのだと証明された。
 自分の性的指向を決定するにはまだ検証が必要だが、とりあえず僕はきっと、隼人になら欲情できる、セックスすることができる。
 挿入ができるなら。

「わからないことは……君に教えてもらう。君の知ってる僕が、耳を責めるのが好き……だって?」
「え」

 膝を掴んだ体勢のまま、ずいっと顔を近づける。
 綺麗な耳だ。皮膚も異常がなさそうだし、耳垢も見られない。
 僕はその綺麗な耳の縁をべろりと舐め上げた。

「あッ……!」
「それは……君の耳が、性感帯だから……だろうね」
「やっ、ンっ……! おまえ、きゅうにっ」
「なんて言われると、興奮する?」

 耳ならば女性と性感帯は変わらないはず。どこが気持ちがいいのかは調べてあるし、例の彼女達で実証もしている。
 耳の穴を隠すようにある突起のような軟骨を、舌先でくすぐると、隼人は僕が力を入れずとも膝を割り開いた。

「ん、ん、んゃっ、おまえっ、なん、ンッ」
「性器の呼称は?」
「は、はぁ……? あ、や……ンン、穴の中っ、やめっ」
「僕はまだ、自分の好みは……よくわからない。君に、合わせる。どこを見せてと言えば、見せてくれる……?」
「はぁ? え、あ……? どゆ、こと……」

 低い声が吐息混じりになって、ぼやける。足も力が抜けて、どんどん開いていってる。
 上半身を寄せると、すんなりと張りのある筋肉質な身体はベッドへ倒れていった。
 僕より胸板が厚いな。そのぶん胸筋で胸にも弾力があるだろうか。

「お尻の穴……見せて?」
「あ、わ、わかった、い、いいよ、それで見せるからッ……!」
「だめ。反応、いまいち……アナル、見せて?」
「なぁ、やめろってもう……あ、耳たぶ吸うなって!」
「肛門? 色気が、ないか……女の子の代用、なら……」
「あっ……」
「隼人のおまんこ、見せて?」
「んんッ……!」

 湿った瞼をキュッと閉じて顔を逸らし、ビクッと腰を跳ねさせる。いつのまにか完全に勃起した隼人の男性器がぷるんっと揺れる。

「……いい反応。きみ、マゾなんだ」
「違ぇよ、そんなんじゃねぇよ!」
「うん。早く、見せて。君から……言い出したのだから」
「お前があんな言い方するから……! 見せんのさっきより恥ずかしいだろ?! ふざけんなよ!」

 恥ずかしいのが気持ちいいに繋がる人間は多いらしい。彼の怒りより、恥ずかしいという言葉を信じて続行する。

「うん、わかった。足、持って?」
「あ、やっ、開くなよ、やだ!」
「君が……誘った。やだ、は……おかしい」

 太ももに手を添え、ぐっと上にあげる。
 ああ、やっと拝める。ぎゅうっと窄まった小さな尻の穴を思い浮かべ、本当に入るのだろうかとまだ信じ切ることができなかった。どんなものか、早く確かめたい。

「だってなんか、んっ……」

 そしてやっと対面する。
 しかしそれは僕が想像していたものと全く形状が違かった。

「ああ……これは確かに、おまんこだ。こんな風に……なるのか」
「あークソもうまじヤダお前、やっぱセックスしねぇ、やだ、俺がちんこ入れる!」
「君が話す度に、きゅうきゅう動く。全然、窄まってない。皺の、名残り? 膨らんで、ボコボコしてる。力んだらどうなるか、見せてほしい」
「人のケツの穴の形状を説明すんな! やだよ! ぜってぇやだ!」
「潤いが、ない……中が見たい」
「そうだよ、ケツは濡れねぇの! 入れるとか無理なんだよ、お前騙されたの!」
「そう……」
「あっ、ちょぉっ……! なにぃ、やめろぉぉ、やめろってぇ!」

 唾液を口内に溜めて、舌にたっぷり乗せて尻の穴に塗りつける。
 便をする場所に口をつけるなど、どう考えても有り得ないのだが。
 中がどうなってるのかどうしても知りたいという好奇心と、ヒクヒク開閉する縦にスリットの入ったいやらしい性器にしか見えない目の前の穴が、僕を誘ってたまらなかった。
 舌の表面をぴったりとくっつけると、舌の上で入口? 出口? が、むず痒そうに蠢いてるのがわかる。何度か大きく動かしベロベロと舐め上げ、今度は舌先を尖らせて内臓に続くスリットをつつく。

「あ、やめ……あ、あ、俺、それだめぇ……やめろってぇ、やめ、んっ」

 ああ、すごい。僕の舌先を飲み込もうときゅうきゅう締まってる。

「隼人、君のおまんこ凄いね……こんなに、動くんだ」
「まんこ、て言う、なぁ……ン、んぅ、いきなり舐めんなよ、見るだけだって……! あっ」
「ん、やだ……隼人のおまんこ、いっぱい舐めたい」
「だ、だからぁっ!」
「きみ、変態だね。まんこって言われると、内腿に力が入る。言葉で、感じるんだね。想像力が豊かなんだ。自分が男に犯されるおまんこだって思って、気持ちよくなってる」
「ちげーし! ちがっ、あっ、あっあっ、あぁン……! くそ、やだ、もうまんこ舐めちゃ、やだぁぁ……」

 その声は、やばい。首の後ろがゾクゾクした。
 僕と同い年の二十一歳の大人の男が、背も高くシャツからバキバキに割れた腹筋を覗かせている男が。
 最後、ちょっと半泣きみたいな不安定な声を出して、子供みたいに「やだぁ」なんてお願いして。
 あんなに綺麗な顔をした男が、僕に無防備な尻の穴を開いて見せながら、それをベロベロに舐められ涎まみれにされながら、べそをかいてる。
 こんなの止められるわけがない。何時間でも舐められる。
 でももっと情けない声が聞けるのなら止めてあげてもいい。僕の性癖を刺激するような、えっちで可愛い言葉が聞けるなら。

「じゃあ……隼人のおまんこ舐めちゃだめって、言って?」
「は、はぁ……?」

 一度中断して顔を上げると目が合った。隼人は眉根をめいっぱい寄せているが、その目は涙が滲んでる。

「俺の、じゃ……だめ。隼人のって。あ、やっぱり、隼人の感じやすいエッチなおまんこ舐めちゃだめ、で」
「はぁぁぁー? なんだそれ、なんで? キモすぎんだろ……」
「ううん。そういうの、好き。えっち。言って?」
「おまえ、エロ漫画の見すぎ! そんなこと言うくらいなら舐めしゃぶられてるほうがマシだっつーの!」
「あ、そう。しゃぶるって、いいね」
「え、あっ」

 穴は普通なら凹んでいるはずだが、隼人の穴はフチがむしろ膨らんでいる。ディープキスでもするみたいに唇で完全に穴を覆い、じゅるじゅると啜りながら中心は舌でベロベロと舐め回す。

「あ、あ、あ、らめ、しゃぶっ、ケツ吸っちゃ、あ、あっ、あぁぁー……あー、あー、らめ、やぁぁ……」

 さっきより一段高い、鼻の抜けた声。こんなトロトロした声を上げるのか。腰が浮いて逃げようと暴れるので、太ももをがっちり抱え込むようにホールドして顔をもっと深く尻肉の間に埋める。
 じゅるじゅるといやらしい音を真っ白い壁が反響させている。

「うぅ、うぅうっ、はなしぇ、やら、やっ、ンンッ、ううぅう」
「はぁ、はぁ、あー……いくらでも、舐められる……」
「ひぅっ……! い、いくられもぉ……むり、やめろぉっ」
「やめても、いい。さっきの、言って?」
「そ、そこまでぇ、ぁん、そこまれ、はずかしーこと、言わせねぇじゃんんっ……いつも、おれのやなの、あっ、わかってくれっ……る……」
「……知らない。いつもは、ない。今日、初めて」
「でもっ……」
「いいよ。飽きるまで、舐める」
「やだ、やらぁぁっ……」

 ぶんぶんと首を左右に激しく振って泣いてる。ゾクゾクがさっきからずっと止まらない。
 よくこんなにメス臭くて僕のこと抱こうと思ったな。抱く時はリードしているっていうのも疑わしい。男に抱かれるのが大好きなヤリチンならぬヤリマンなのではないか。
 そう思うとちょっとここまでべちょべちょに舐めまわしてるのが少し嫌になるが。将来の僕はなんでこんな派手な赤毛の、誰の目も惹くような、誰とでも遊べそうな子と。
 知らない男性器が入っていた尻の穴だと思うと汚いと汚いの掛け合わせで最悪じゃないかと思ったが、止めることができず、とうとう僕は舌をぬぽぬぽと挿入までさせてしまっていた。
 入口がキュ、キュ、と舌に吸いついてくる度、男性器が熱くなる。ここに挿入したら出し入れする度にこんな媚びた動きをしてくるのだ。頭がおかしくなりそうになる。

「あっんっ、ん、んんんっ、いっク、それ、あっ、んんんんッ」

 イク? 射精するのか? 尻を舐めてるのに?
 そんな疑問が浮かんだ直後、隼人は僕の頭を自分の股ぐらに押さえつけるようにして(引き剥がそうとしていた可能性も否定できない)、ビクぅッと激しく全身を強ばらせた。曲げていた膝がピンッとつま先まで伸びて、太ももがガクガク揺れる。
 尻穴から口は離さず、手探りに隼人の男性器を確認する。すると驚くほどとろとろの粘液を垂れ流していた。しかし精液にしてはサラサラとしている。
 イッた……?
 いや、でもこれは。見覚えはある。女の子が達した時と、同じような力の入り方。

「あ……あ……や、ゆるし、て、や、う……」

 啜ったり穴をぬぽぬぽと刺激するのはやめ、ねっとりと表面を何度も何度も舌を往復させて舐め回しながら、様子を見る。隼人の身体はまた時折小さく跳ねている。
 こんなに自分の舌で感じている姿を見て、黙っているのはつらい。下半身がズクズクする。
 一度起き上がり、下を脱ごうと思った。自分で扱きながらもっともっと舐めたい。今のイキ方をするところをもっと観察したい。
 しかし隼人は表面張力でギリギリまで目に涙を溜め込んだ眼差しを向け、真っ赤に染まった薄い唇で荒い呼吸を繰り返しながら、僕の望むお願いごとをした。

「は、はやとの、感じやすい、エッチなおまんこぉ……もぉ、舐めちゃ、やらぁ……おまんこ舐めない、れぇ……」

 舐めてないこのタイミングで言うのか。いや、今僕が離れてる隙じゃないと言えないのか。
 ヤダといいながら、なぜ腰を揺すって媚びてくるのか。

「……舐めちゃダメって、言うように……僕は指示した。やだ、じゃない」
「あっ……」
「間違えたから、やめない」
「は、ふざけ……むり、だってぇ……」

 ついにボロボロっと涙が数粒落ちてくる。形の整った凛々しい眉毛がしっかり八の字に下がってる。もっともっと舐めまわしてもっとボロボロにしたい。

「待てよっ、なぁ、し、しつもん……あるって、さっき」
「ああ……うん」
「いま、こたえる……」
「あとで、いい」

 この状況からなんとか脱したいようだが、そうはいかない。
 僕は揺るがないぞと思ったが、隼人は戸惑いがちに、目をぎゅっと瞑って、蚊の鳴くような声で興味のひくワードを呟いた。

「じゅ、授乳手コキ……」
「……なに?」

 授乳という行為と手コキを組み合わせるなんてどうかしてると思ったが、どちらも男としては聞き流せないワードだ。

「お前ずっとしたがってて……あれやっても、いい、から」
「僕は、知らない」
「俺のちくび、お前が吸って……俺が手コキ、すんの」
「名称からして……赤ちゃんプレイの、一種?」
「しらね」
「いいよ」
「まじ……?」

 切れ長の目を丸くしてホッとした表情を浮かべる彼に、黙って頷く。
 そのワードもだが、隼人のおっぱいはかなり気になっていた。乳首も普通の男とは違うかもしれない。女の子みたいにふっくら大きいのだろうか。見てみたい。

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