ブルガリブラックに濡れる〜恋人の元・セフレ(攻)を優しくじっくりメス堕ちさせる話〜

松原 慎

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ウケ彼持ち・メス堕ち済・オナホ希望の元バリタチとなかよし即ハメ記録③

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 水泡が息を切らしながら目を閉じて、俺の首筋あたりに顔を埋め、フェイスラインを唇が滑る。
 息がかかる、唇が触れる、体温が近くなる。
 首の付け根がぞわぞわして、つま先が伸びる。
 だめだ俺。まだ気持ちいいのから戻ってこれてない。腹の中じゅくじゅくする。

「はやと……今度からはお尻、柔らかくしてね? ちゃんと……手間のかからないオナホちゃんに、なれる?」
「ぁんっ……! 待って、みなわ、息が」
「うん?」
「おれ、まだだめぇ……だめ、なんだよぉ。ずっとぼんやりして、きもちーの、戻ってこれてねぇの……待って……」

 肩口から見上げてくるのが視界の端に見える。そしてまだぴくん、ぴくん、と反応してる俺を見つめたまま、とちゅん、と奥をゆっくり突かれた。

「あッ!」

 とちゅ……とちゅ……とちゅ……とゆっくり押される。熱くてどろどろした中が優しく優しく甘やかされる。

「あん、あっ、みなわ、だめぇぇ……っ。も、だめ、あっ……あー……」
「やっぱりちゃんと、準備……してくれないと。こんなセックス週に二回も三回もしてたら……本当に僕たち、おかしくなっちゃうよ?」
「はぁっ、はぁっ、あっ……」

 汗を拭うように額に手のひらを当てられると、自分と相手の境界線がわからないほど熟れて溶けた身体から水泡が抜けていく。
 一人になったのに体はまだ地に戻ってこられず、ゆったりとしたリズムで体の奥を一定間隔に震わせた。

「この部屋、シャワーないのに。こんなに汗だくになるまで、セックスしちゃって……全身、べたべた」
「もーおわり……?」
「おわり。帰らないと」

 起き上がってベッドの端に座った水泡は、汗に濡れた髪をかきあげながらソファーに放ったジャケットを雑に手繰り寄せた。そうしてごそごそと胸ポケットから煙草とライターを取り出す。

「吸い終わるまでに……体、落ち着かせて? そんな状態の君、一人で帰らせたくないから」
「ん……」

 手も足も投げ出して大の字になり、目を閉じる。深呼吸して、自分の呼吸に意識を集中させて。
 そうしていると煙草の匂いばかりに気がいく。水泡の吸ってる煙草は甘い匂いだけど、キスするとバニラの香りよりほろ苦さが勝る。
 慣れてしまったその香りに落ち着いてくれば、ベッドの小ささが今度は気になってくる。大の字になってるとはみ出てしまいそうだ。あんなに大股開いて、足の先は完全に浮いてたんだろうな。こんな小さいベッドでよくヤるよな、デカイ男二人でさ。

「なぁ」
「うん?」
「金曜、ちょっと会えたりしねぇ? 定時間で上がれよ」
「金曜か……どうかな。もし上がれたらでいいなら」
「それでいーよ。どうせ時間潰さなきゃなんねぇから部屋とってゴロゴロしてる」
「仕事?」
「ううん、玲児と飯食い行く。部活動参加してからだから遅くなるんだと。適当にゆるめのサークルとかにすりゃいいのにさぁ、部活入っちまうんだもんアイツ。すげぇ忙しそうだよ」

 話している内に身も心も覚めてきて、よっこらせっと起き上がる。確かに汗だくで気持ち悪い。髪の根元がベタついて嫌な感じだ。
 最後にゆるパコされてた時に精液流れ出たっぽいけどケツもキモいし、帰ったらさっさとシャワーを浴びよう。とりあえずトイレ行ってウォシュレットだけでも……。
 ベッドから立ち上がると少しフラついたが、しっかりと両足を踏みしめ一呼吸おけばなんとか安定した。ふぅ、と力を抜いてそのまま歩き出す、が。
 なんだか違和感を感じて、ベッドを振り返る。
 そこには勿論、水泡が座っている。

「……なんだよ?」

 床のある一点をじっと見つめながら、指に挟んだままの煙草も吸わず灰をのばし放題にしている。
 俺に声をかけられると灰皿にそれを落とし、煙草を口元にやった。

「君は自分としたあと、出雲とするなって言うけど……君は、するんだ?」

 そんなこと言われるとは少しも思っていなかった俺は、ハッと息を飲んだ。手のひらに、体を重ねた時とは違う、じっとりとした脂汗が滲む。

「するよね? 食事の後。セックス」
「え、あ、多分」
「まぁ、僕は気にしないよ? 僕とした後に恋人を抱く君を想像しながら楽しむ。プレイの一環として」

 ふっと片側の口の端を上げて笑いながら、細い煙を吐き出す姿に少しほっとする。
 そうだよな、こいつ変態だし。普段から俺と感覚違うじゃん。俺の場合、水泡には抱かれるけど玲児のことは抱くんだからやること違うし。
 傷つけたり、怒らせたりしたのではないかと肝が冷えた。何されるかわかったもんじゃねーし。
 でもそんなことじゃ全然、怒んねぇよな。気になんねぇよな。

「ああ、でも……お尻はちゃんと、即ハメできるようにするんだよ? 今日も、楽しみにしてたのに」

 トイレへ行こうとしてたのに、ついと腕を引かれ止められる。煙草を灰皿に押し付けて立ち上がったら、俺の肩に顎をのせて背中にぴったりとくっついてきた。
 そうして……尻の割れ目にするりと指が滑り込んでくる。

「おいっ! もう触んなよ!」
「ここ。ここ、に。頑張って、エネマ入れて。それだけでいいから。ね?」
「うっ……できっかなぁ……自信ねぇけど……」

 穴の表面をくちゅくちゅ指が滑って、ついつい尻を突き出して差し出してしまう。くそ、せっかく熱が冷めたのに。 

「入れるだけできれば、君なら上手に気持ちよくなれるから。ね? たくさん気持ちよくなって、トロトロにして待ってて? ね?」
「んー……頑張る、けどさ」
「けど、じゃない。解してなかったら、帰る」
「つかお前来れるかわかんねぇんだろ? そんなんで待ちぼうけ食らったらキレるぞマジで」
「……大丈夫。事情が変わったから。無理してでも……絶対、行くよ。すぐ行く」

 尻を撫でられるのは止まったが今度は首筋をカプカプと甘噛みされ、熱くなりそうな身体をどうにかこうにか抑えながら「事情って玲児のこと?」と野暮なことを聞きそうになったのを慌てて飲み込んだ。
 でもなんか話でもしないと、またやらしい声をあげてしまいそうで。そうしたらまたスイッチ入っちまう。

「お前、帰る帰るって言うけど……もし俺が準備してなくても、結局帰んねぇだろ?」
「え?」

 痕がつかないよう、歯を当ててほんの少し力を入れては抜いてを繰り返していた口が離れてく。

「だめだとか悪い子だとか叱るけど、帰んねぇじゃん、絶対……俺が目の前にいたら触りたくなっちゃうんだろ? お前が我慢できねぇじゃん、ヘタレ。スケベ。ヘタレスケベ」
「それは…………君ねぇ」

 お、否定しないんだ。可愛いじゃん、とニヤニヤしてしまう。
 後ろにいる水泡に寄りかかり、背中越しに見上げて。あんまりよく見えねぇけど口をへの字に曲げた顎を、わしわしと猫にするみたいに指先で撫でてやる。

「俺のこと大好きなんだろぉーみなちゃんはぁー。言葉にできない恥ずかしがり屋さんなだけでぇー」
「大人をからかうと……本気噛みされちゃうよ?」

 かぷりとからかう指先に歯が当たるが、やはりそれも甘噛みだった。

「はぁ? これ本気噛みかよ?」
「ううん。僕はね、君に優しいから。甘やかしすぎちゃうんだ」

 その言葉に反して水泡は、中指の関節にしっかり歯を食い込ませて噛みついてきた。場所が場所だから痛くはない。痛くはないけど、なんとなく不安にさせる。
 その後はすっと離れていき、またベッドに座って煙草に火を点ける。
 会計は自分がするからこれを吸っている間に先に出な、とだけ言って、その後は言葉も発さず、触れることもなく。

 ――……何かアクションを起こせば、名残惜しくなりそうで。

 後ろ髪を引かれながら黙って部屋を後にする。
 去り際は寂しかったけれど、それでも俺は嬉しかった。本当に前よりたくさん水泡に会えるようになったんだって。嬉しくて緩む口元をさりげなく手で隠しながら廊下を歩きだした。



 ※※※※※※



『お前がうっせーから今からエネマグラ入れてやらぁ!』
『どうぞ』

 ――…………

『もう入れた?』
『まだ入れてねぇけどだから何』
『逆ギレ』
『してねぇし』
『かわいいお尻の穴、自分でえっちなおまんこにしておいて?』
『うっわ、文字で淫語見んのやだ。キモ』
『興奮してないで早く』
『してねぇし』
『入れたって報告、聞きたいな』

 ――……………………

『もう入れた?』
『いれた』
『えらいね』『どう? 痛くない? 気持ちいい?』

 ―……………………………… 

『はやと?』
『いたくない』
『良かった。気持ちいい?』
『うん』『きもちいい』
『そっか。隼人がとってもいい子だから、できる限り早く終わらせるね。待っててね』
『はやくしろ』



 悪戦苦闘の末、やっとこさ震える手で玩具を挿入した時。
 また後でと別れる時の、玲児のはにかむような微笑みが瞼の裏に浮かんで胸が締まるような感覚があったが、快感にすぐ飲み込まれてしまった。
 水泡に抱かれているからって、前はあまり罪悪感はなかった。
 他の女とも浮気してたし、それを玲児も把握しつつも許してくれていたし。
 でも水泡に「玲児と抱くより水泡に抱かれる方が気持ちいい」とか言わされたり、ケツの快感にどんどんハマっていき玲児とのセックスで身体的満足感が得られなくなってくると、一気に罪悪感が押し寄せてきた。
 全てにおいて玲児が一番で、玲児で満足しない俺なんておかしいのに。
 水泡と玲児を比べたところでどう考えても玲児を、玲児だけを愛してるのに。
 しかし今みたいに、身体の中をどろどろにするこの快感を目の前にしてしまえば全部忘れてしまう。今この身体を支配する快感に従うしかなくて、ただ、しがみつく。

「ぁっ……ん、くっ…………んんんぅーっ……ん、ん、んぁっ!」

 一人であんあん言うのが嫌で、必死で声を我慢する。
 でも的確にメスんとこ押してくる器具に、仰向けがに股で寝転んだ腰がビクッビクッと何度も反応しては声が漏れた。
 しかもビクッて跳ねた時に締めてしまってるみたいで余計にグッと食いこんできて、さらに腰が浮いてしまって。
 さっきまで普通だったのに。もう俺のケツまんこになっちゃった。
 止まらない、ずっとチンポの奥から腹ん中が痺れるみたいな感じに、頭ん中まで切羽詰まっていく。切羽詰まってんのに終わることがなくて、それでももうだめってくらい高まった時、チンポがビュッと胸元まで精液を吐き出した。
 でもだからといって、快感が止むわけでもなく。

「イッた、ぉっ、んぉっ、イッたっ、のにぃぃっ! ひざ、ひざガクガクすんのっ、止まんねぇよぉ……っ。あっ、あっ、きもちー、う、うぅみなわぁ……みなわぁ……っ。はやく、はやく来いよぉ……っ」

 腰を浮かせたかと思えば、ベッドに深く腰を沈めて膝がガクガクと小刻みに震えたり。ずっと身体がそわそわびくびくしてたまらない。
 身体の外側だけじゃなくて、腸壁もビクビクと痙攣しているのがわかる。気持ちいいけど反応しすぎてつらい。でも気持ちいい。そうやって反応してぎゅっとすんのが気持ちいい。
 でももう少し奥を押してほしいとか、さらに奥のヒダ擦ってほしいとか、中にある口までこじ開けて欲しいとか、欲しくなってしまってもそれは叶わない。
 ずーっと、ひたすら、前立腺が痺れる。
 そのちょっと焦れる感じもこの身体を昂らせる。
 もっともっとしたいのにくれない。でも気持ちいい。ビンビンに固くなって勃起したチンポも我慢汁でぬるぬるになってる。
 今亀頭くちゅくちゅ捏ね回したらすっげぇ気持ちいいだろうな。
 そんな考えにちょっとまんこがヒクつけば、また快感に引っ張られて。

「う、うぅぅっ……きもちい、きもちーよぉ、甘イキずっと、止まんねぇよぉ……あ、こわいっ、ひとりできもちいいなるの、こわい、あ、あっ……みなわぁ、みなわぁ、なんでぇ? まだぁ? みなわぁ、こえぇよぉ、みなわぁ……」

 上擦ったへろへろの声で、頭ん中に靄がかかってふらふらになりながら水泡を呼ぶ。
 この間は足音で水泡かどうかわかったのに、今はもうわかんない。そんな余裕ない。足音がする度に、声が聞かれるんじゃないかっていう恐怖と、水泡が来たかもっていう期待に、ハァッハァッと荒い呼吸に大口開けながら扉をじっと見つめる。

「うっ……きもちい……ぅ、うあっ……みなわぁ……ひぐ、ぐすっ…………やっぱおなに、やだっ……こわぃ……」

 だらしない喘ぎ声は涙混じりになって、鼻がぐすぐす鳴って、すげぇ気持ちいいのに不安感が強く、泣きじゃくりながら身体をヒクヒクと震わせる。
 抜けばいいのに、なんでか抜けなくて。もう玩具に触るのも怖くて。

「あっ…………ぁ、あっ、ンッ……ぐす、ぅ、あぁ……」

 ただこの無機物が与えてくる快感を無力に受け入れるしかできない。

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