ブルガリブラックに濡れる〜恋人の元・セフレ(攻)を優しくじっくりメス堕ちさせる話〜

松原 慎

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番外編・最愛の恋人には俺の知らないことがたくさんある(前編・隼人×玲児)

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※注意※


少し番外編を挟みます。
今回のお話は玲児視点のお話で「隼人×玲児」です。


つまり、隼人が攻めです!!


本来彼はタチなのですが「ブルガリ・ブラックに濡れる」ではウケなので……こちらしか読んでない人は見慣れないと思い、閲覧注意です。


隼人が普通に雄雄してます。
それでも良いよ!という方は番外編もお楽しみください。





―――――――――――――








 自分は恋人にとても愛されていると思う。
 しかもこれが、かなり良い男なのだ。

「玲児、この展示見に行きたいって行ってただろ? チケット取ったよ。少し遠いって気にしてたけどさ、もうすぐ誕生日じゃん。ついでにお泊まりでもしちゃおうぜ。ここ良くね? 部屋に温泉ついてんの」

 行事や記念日はしっかりと覚えていて、絶対に何か用意してくれているし。

「起きてて良かった、仕事終わってさー。寝る前に声聞きたかったから。大丈夫、すぐ切るよ」

 学業だけではなく仕事も忙しいのに、まめに連絡をくれるし。

「駅向かうとこって連絡見てさ、待ってた。え、仕事だよこの後。ごめん。一緒に帰れねぇけど、顔見たくて。玲児の顔見られたからすっげぇ頑張れる!」

 少しでも顔が見たいとたった五分や十分のためでも会いに来てくれる。

「寒くね? 平気? 俺は体温高いから気にならないんだけど……あ、ほら! 腕冷てぇじゃん! ブランケット借りてくるから待ってて」

 体調を崩しやすい俺をいつも気にかけ、変化があればすぐに気がついてくれ。

「最近夜更かししてんだろー。今日は無理しなくていいよ。ちゃんと食べてるかー? あとでいちご大福でも持ってくか。好きなもんなら食えるだろ。いやいやいや、出てこなくていいって、玉貴ちゃんに渡しておくから」

 無理をしていればすぐに指摘して、休むように促し、栄養をとらせるために手土産を用意して。
 俺は不器用で、隼人みたいに色々と気がつくことができない。連絡などもマメなほうではない、寧ろ自分からすることはない。
 自分で連絡をとったり予定を立てなくても隼人が全部やってくれるから甘えきってしまっている部分もある。
 そう、本当に本当に甘いのだ、この男は。
 家事がてんでダメなので、隼人が家に来てくれてもお茶すら入れられない俺に、客だと言うのにお茶を入れてくれるし。おまけに「俺が煎れたお茶を玲児が飲んでくれるの嬉しい」なんて言うし。
 二つしか入ってない大福のアイスを俺が好きだからといつも一つくれるし。言い出したらまたキリがなくなる。

「玲児」
「むっ?」
「眉間の皺、すっげぇ深くなってる。考えごと?」
「いや……大したことではない」
「なんだよ、それ。な、手繋いでいい?」

 二人で並んで歩いてる道の、周囲を確認する。誰もいない。当たり前だ、俺が気にするので人がいない時にしか隼人は聞いてこない。

「む……」
「お、やった」
「喜ぶことか? いつも繋いでいるだろう」
「だって嬉しいじゃん、手繋いで歩くの」
「むぅ……」
「はは、照れてる。かーわい」

 俺より一回り大きながっしりとした手はとても温かい。
 そして何より。
 こちらを覗き込んでくる顔が、いちいちカッコいい。
 彫りの深く、アイラインでも引いてるかのようにくっきりした目元を柔らかく細めて。温かみのある琥珀色の瞳でじっとこちらを見つめてくる。
 キュッと口角のあがった薄い唇は、低く落ち着いた声でまっすぐに愛情を俺に向けてくる。

「なんだ、見るな」
「見ちゃうだろ」
「何故だ」
「好きだなーって」
「お前は、まったく……たわけ!」
「恋する男は馬鹿なもんだぜ」
「黙れ、恥ずかしいだろう」

 本当に、この男は。
 気がつけばこっちを見て、ニヤニヤニヤニヤと笑っているのだから。
 しかし、だ。
 こんなに、こんなに愛情を表現してくるのに。
 確かに、絶対に、自分は愛されていると、それだけはわかるのに。
 この男には、女が何人もいる。
 いや、この言い方は正しくない。
 一夜限りの関係の女が後を絶たないのだ。
 こんなに俺に構っておいて、よく時間が作れるものだ。
 マメな連絡のうちいくつかは、女といる時に行われているのかもしれない。

「な、今日うち寄ってけよ。誰もいないんだ。久しぶりに俺の部屋でってのも……良くね?」
「明日は朝早くないから構わんぞ」
「じゃあ俺のベッド、たっぷり玲児の匂いつけてってくれよ」
「むっ?! に、匂わんだろう?!」
「匂いするよ?」
「くさい……のか?」
「うーうん、いい匂い。ほら」

 スっと綺麗に伸びた鼻先が、耳の後ろに寄せられる。すんと匂いを嗅がれているのが息遣いでわかって恥ずかしい。

「あーやべ、玲児の匂い嗅いでたら勃ってきちゃった」
「き、きさまっ! まだ外だぞ!」
「ごめんごめん。早く家行こ」

 こういうやりとりは、俺だけが知るものなのだろうか。
 この握った手は、最後にいつ、他の女に触れたのだろうか。
 気にしないようにしている。隼人の浮気性は、病気のようなものでもうどうにもならない。他に気移りすることはない。
 だから、こいつはこういう男なのだからと、割り切るのが一番楽だ。
 そう、前までは考えないようにしていた。
 こんなに考えるようになったのは、自分が過ちを犯してしまってから。
 そして思っていたよりずっと、したことに対して罪悪感を感じなかったから。
 隼人のせいなのだろうか。どうせこの男も浮気をしているのだからと、罪悪感が薄れたのだろうか。
 そして自分のことは棚に上げ、隼人が相手とどんな行為をしているのかが気になるようになった。
 どんな態度をとって、どんな顔で相手に触れるのだろう。 
 俺は出雲を愛しているとは言えない。
 でも確かにあの時、出雲が可愛らしく思えた。自分のしたことで声を上げ、気持ちよく身体を震わす姿が嬉しかった。
 あんな感情を隼人も相手に抱くのだろうか。
 ああ、まさか自分の浮気を通して相手の浮気について考えることになるとは。そもそも今更になって友人相手に童貞を捨てることになるなんて想定外がすぎるのだ。
 俺は隼人と恋人でいる限り、一生挿入することなどないと思っていたのだから。


 ※※※※※※※※



「もっと奥まで咥えられる?」
「ン、待て、ゆっくり……」

 制止の声など気にも止めず、しかし強引にではなく、ゆっくりと亀頭が喉奥までずるりと侵入してくる。
 硬く、上反りの大きなモノを喉の奥まで押し込むのは、かなり無理がある。つらい。上顎を強く擦り、喉の上を引っかかって、往復されるとまるで叩かれてるような気さえしてくる。

「ンぐぅっ……! ゔ、ゔぅっ……」
「ごめんな、つらい……? 玲児の白い肌、すっげぇ真っ赤……」

 ベッドに座る隼人の前に跪いて、後頭部を押さえつけるようにされて奉仕する。顔の両サイドにある隼人の太ももに添えた手に、力が籠る。
 苦しい時は、太ももを叩くようにするのが決まり事だ。今も本当は苦しい。でも大丈夫。隼人もそれはわかっているから無理なことはしてこない。
 苦しい。
 苦しいけれど、隼人でいっぱいになっている証拠なので、苦しいで埋め尽くされるのは好きだ。
 喉のうんと奥を、ゴリ、ゴリ、と擦られる。この後、腸の中でも同じことをするからな、と言われているようで期待する。
 もっと苦しくなると、ふわふわと気持ちよくなってくる。酸欠によるものなので危険なのだが、ちょっと癖になっている。

「あー……きもち……頭動かすから、キツかったら足叩けよ。すっげ、あー、喉ざりざりしてて、はぁ、すっげぇいい……」

 頭を捕まれ、角度を変えられ、好き勝手に喉を擦られて、嘔吐くのを必死で我慢する。
 あんなに、あんなに大事にしてくる癖に。
 自分勝手に、モノみたいに俺を扱うことに、ひどく興奮してしまう。
 昂った自分の男性器に堪らず手を伸ばそうとする……が、俺よりも隼人の足の方が早かった。つま先が触れ、足の親指と人差し指を使って、濡れそぼった鈴口をくちゅくちゅと弄る。

「こんなんされて自分でシコんの? 相変わらず変態じゃん」

 頭部を押さえつけていた手がふっと離れる。苦しさから後ろへ退けて、亀頭が舌の上にくるくらいまで喉を解放した。口の中に溜まっていた涎がだらりと唇から漏れて溢れるのがわかる。

「挿れる前に一緒にイッとくか? なぁ?」
「は、あ……待へ、あっ、まだっ……!」
「聞こえねぇ」

 ベッドに後ろ手をついたままの隼人の長い足が、俺の頭をグッと抱え込む。膝裏で絞められ、今度は一気に喉奥まで性器が到達する。
 隼人の匂いに包まれる。
 外側からは、隼人の愛用する香水の、お香を思わすようなスモーキーで甘い香り。
 内側からは生臭い、滾った雄の匂い。
 抑えつけられた喉の奥で、がはっと咳き込むが、解放されない。目の前がチカチカする。
 ああ、隼人、隼人、隼人。
 俺は、隼人のモノ。
 苦しいのに気持ちよくなってきて、ぎゅっと瞑っていた目の力がふっと抜ける。とろんとした目からぽろぽろと涙が溢れて、苦しさに出た涙なのにとても幸福だと感じた。

「先にイッてんじゃねぇよ」
「ん、ふぅ、ふぅ……」
「は、堪んね。俺でいっぱいだった? こんな奥まで突っ込まれて、俺のことしか考えらんねぇよな? 俺の足に精液ぶっかけて気持ちいい?」

 頭を抱えていた足が離れていき、床に着く。そうして男性器が喉から抜けていった。

「あ、あ、やだ、いくな、いやだっ……」

 ふらふらとしながら離れていくぬらぬらと光る先端に舌を伸ばす。しかし俺の舌が届いたのは汚れた隼人の親指だった。

「玲児は本当に可愛いのな」

 文句を言わず、自分の精液も気にせずに親指に舌を這わす。指の根元も、指の間も、丁寧に。
 指の間を舐めた時、あぁと漏らした隼人の吐息があまりにいやらしくて、下半身が疼いた。

「言われなくても俺の足、舐めるんだ。自分の舐めても興奮すんの? 精液大好物だもんなー?」
「はっ、はっ、ん、すき……しかし、隼人のが、よい……」
「ダーメ」
「なぜっ……」
「泣きながら睨むなよ、興奮しちゃうだろ」

 精液を綺麗に舐めとった隼人の足が離れていく。よくできましたと頭を撫でる手はとても優しい。

「ベッド来いよ、ほら。手貸すから」

 差し出された手を掴んで立ち上がろうとするが、上手くできない。立とうとしても太ももが震え、膝が笑う。
 すると隼人はニヤニヤと意地悪く笑って、子供のように腰から俺を抱きかかえた。

「玲児は軽いな。食べてくれないと心配になるけどさ、この抱いてるとすぐに骨を感じるの、好きなんだよな……玲児のぜんぶ、俺が握ってるって感じ」

 支配欲に満ちた言葉と、優しい腕。
 そっと仰向けでベッドに倒されて、額を撫でられ口付けをされる。
 微笑む顔が、逆行なのにとても綺麗だ。
 なんでそんなに飴色にチラチラと瞳が輝くのだろう。

「俺は、お前のもの、だ……」
「うん、知ってるよ」
「口に、出してくれんのか……?」
「んー……ちょっとまだイケなそうだから、挿れたいな。いいだろ?」
「む……」

 額に、こめかみに、眉間に、鼻先に、頬に、唇が落ちていく。
 ここのところ隼人に抱かれていて思うところがある。
 昔よりも肉体より、精神に重きをおいた性行為を好んでいる気がする。
 誇示される支配欲、独占欲。
 俺が善がるのを見て、興奮に頬を染め、口元を歪める姿。
 しかし一度の性行為で射精する回数は前よりも減っている。以前は二回は達していたのに対し、最近は最後に一回だ。
 まだ性欲の落ち着く年齢でもないだろうに。何回も相手をするのは無理だが、できることなら口に出してもらって、そのあと挿入して出してもらいたい。


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