ブルガリブラックに濡れる〜恋人の元・セフレ(攻)を優しくじっくりメス堕ちさせる話〜

松原 慎

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俺をメス堕ちさせた奴が弱って酔った隙にあれこれしたいのに結局あれこれされる④

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 ※※※※※※


 知らない寝室を漂う、よそよそしい空気にそわそわする。
 部屋の主はダブルベッドよりも大きなベッドに横たわり行儀悪く酒をあおっては、サイドチェストの上に置かれた日本酒をグラスに注ぐ。
 床に借りた風呂桶を置きローションを入れ、そこにガーゼを浸しながらその姿を眺めていれば、目が合った。

「なぁ」
「うん?」
「そのベッドで俺とエロいことしていいのかよ」
「なんで?」

 アルコールを激しく追加しているために、またぽやーっとした様子が戻ってきてる。首を傾げる顔がヘラヘラと笑ってる。

「だってそこで出雲抱いてるんだろ」
「へぇ? きみ、そんなこと気にするの? ふふ……繊細。かーわいい」
「気にするだろ、フツー。出雲に悪いなとか……またここで出雲抱くんだろうし」

 ベッドに寄り掛かると、清潔感のあるパウダー系の香りがした。いかにも出雲が好みそうなやつ。シーツもサラッとしていてアイロンをかけたように張りがあり、手入れが行き届いているのがわかる。
 リビングのソファーで眠っていたようだから、ここは出雲が出て行ったきり、そのままなのだろう。
 ――こいつが平気だとしても、こんなに痕跡があったら嫌でも出雲のことがチラついてしまう。
 とりあえずガーゼは風呂桶へ沈めたまま、ベッドに上がる。寝転ぶ加賀見の上を股がって、トレーナーの裾をついと引っ張った。

「それも脱げよ」
「なんで?」
「亀頭責めするんだぜ? 潮ふいちゃうかもしんねーじゃん。汚れるだろ?」
「僕が……? それは、楽しみ」

 グラスを置いて、大人しくトレーナーに手がかけられる。
 細い、しかし腹筋の浮かぶ腹が見え、白い肌が全て露わになった。こんなだらだらした三十半ばのおっさんが、なんでこんな綺麗な身体しているんだか。
 あんな激しいセックスしまくってるからか? ここで、出雲と。

「……どんぐらい抱いてんの? 出雲のこと。週何回くらい?」

 肌に指を滑らせながら問いかける。

「んー……四回くらい」
「毎日じゃねぇんだ」
「オナニーは、毎日してるよ?」
「聞いてねぇっつーの。つかしすぎじゃね? おかずは?」

 腹筋の浮かぶ縦のラインを下から上へなぞっていき、次はもっと上へ滑らせていく。
 肌の白い玲児の乳首は色素の薄いピンク色でとても可愛いのだが、こいつは同じくらい色白な癖して乳首は薄茶色をしている。爪で軽く引っ掛けると、瞼をやや伏せて反応を見せてきた。

「君の写真集」

 こっちが攻めているつもりたったのに、思いもよらぬ返事にドキリとして大袈裟な動作で顔を上げる。しかし加賀見はゆっくりと瞬きするだけだ。

「いま、四冊あって」
「四冊?」

 四という数字に疑問を抱き、首を傾げて指折り数える。

「ファースト写真集とセカンド写真集は前にあげたやつ、だろ? この間出たやつ買ってくれたってこと? じゃー三冊じゃね?」
「ううん、四冊」
「なんで?」
「最新の写真集が、四冊」
「…………なんで?」

 めっちゃ買ってんじゃん。
 いやでもマジでなんで? 一冊買ってくれただけでもマジかって感じなんだが。

「汚しちゃって」
「汚した……」
「ていうかさ」

 ふーっと一息ついて、加賀見は日本酒を舐めて喉と唇を湿らせた。

「あの写真集……えっちすぎる……いいの君。あんなの世に出して……みんなおかずにしちゃう。みんな君を見ておちんちんギンギンになっちゃうよ?」
「はぁ?」

 何言ってんだ気持ち悪いと返す前に、加賀見はまた語り出す。

「シャツ着たまま海に入ったり……濡れたシャツから透ける肌がすごいえっちで、特に十四ページのカット、濡れたシャツが肌蹴てギリギリ乳首が見えてて……撮影中、寒かったの? いつも欲しがってる時みたいにおっぱいがツンとしてて堪んなかった。あと砂浜に寝転がってる写真。口の中ジャリジャリになっても良いから君の肌に乗ってる砂を全て舐め取りたくなったよ。十八ページめの上から三番目のカットが凄くいい。煽りのカットで見下してる君の目が凄く良くて、あの目で見られながら舐め回したくなる。それから岩場で水着から少しお尻の割れ目が見えそうなカットも、そのまま水着をずり下ろして挿入したくなるし、あと」
「あー、お前、酔ってる、うん、酔ってるから。黙れって……」

 出た、酔っぱらいの長台詞。
 しかしさすがにこれは聞いてて辛い。居た堪れない。やめてくれ。
 加賀見は喋るのを止め、じろりと俺を見る。目が座ってる。怖。

「黙らない。巻末のインタビューと一緒に掲載されてた写真も良かった。オフショットって感じで……なんか、あれ。串に刺さったお肉食べてた。君がよく食べてる姿って可愛いし、口と喉がよく動くのがエッチだよね。咥えさせたい……食べちゃだめだけどね」

 あ、ちょ、待って。
 距離また近い。
 首筋に顔が埋まって、でも触れてはこない。
 首筋にキスされるんじゃないか、舐められるんじゃないか、そう何度もビクビク体を震わすが、触れてはこない。

「写真集だと君の匂いがしないのが残念だよ」
「あ、そー……」

 鼻息がかかる。
 匂い嗅がれながらずっと、どの写真のどこがやらしかった、可愛かったって語られてる。
 恥ずかしすぎるんだが。拷問だろ。しかし酔っぱらいの口は止まらない。
 それどころか振動を感じて、目線を下げる……と、加賀見が自分の扱いて、でっかくてエロい匂いするちんこから我慢汁垂らしてた。

「……それで、汚しちゃって。最初に買ったのはもうぶっかけ用にしたんだけど、買い足したのもちょっと……汚しちゃって」
「なっ、なんでだよ!」

 汚した、と言われてちんこの先から垂れる汁から益々目が離せなくなる。

「ムラムラしちゃった」
「つかぶっかけ用の意味ないってか、ぶっかけ用てなんだよ意味わかんねっ!」

 こいつ、こいつ、俺の写真集エロ本にしてんのかよ!
 別にエロいやつじゃねぇのに。ぶっかけって、俺の写真で興奮して、そんな風にぐちゅぐちゅ言わせながらちんこ扱いて、精液かけてんのかよ。変態じゃん。
 鼻息がくすぐったくて身を捩る。ン、と声が漏れる。決してこいつの変態行為に反応している訳ではなく。 

「それがね、出雲に見つかったんだ」
「……は?」

 ちんこから目を離し、顔を上げる。
 加賀見と額が触れ合いそうで、騎乗位してる時と同じ目線で、思わず少し後ろに仰け反った。

「同じ写真集がなんで四冊あるんですかって聞かれて。たくさんもらったって、誤魔化したんだけどね」
「誤魔化せたのかよ」
「怒られちゃった」
「アホかよ……」
「カピカピだったしね」
「キモイ、マジ無理、出雲なんでこんなやつ好きなんだよ別れろよマジでぇ……」
「君がエッチなせいで、いっぱい出たんだよ」
「あ……」

 言いながらちんこを扱くのをやめて、その手を見せつけてくる。
 精液ではないけれど、テカテカとしていて濡れているのがわかる。
 こいつ、俺と会わない間も俺にずっと精液ぶっかけてたんだ。俺ずっと犯されてるんだ。
 鼻を寄せて、手のひらの匂いを堪能する。
 ああ、馬鹿になる、この匂い……おまんこの中、肉壁にたくさんマーキングされた、身体が覚えてるこの匂い。
 加賀見が俺を嗅いでいた時よりもずっと、息が荒くなる。そして気が付いたら舌を出し、べろべろと大きく舌を上下させてその手のひらを舐めまわしていた。

「ね、大鳥……」
「あ、はぁっ……はぁ、はぁぁ……」
「君も、脱ぎなよ? 僕が潮ふいたら、汚れちゃうよ?」
「潮……?」
「吹かすんでしょ?」
「んん……うん……」

 頭がぽーっとする。
 そうだ、俺が潮吹かせるんだ。
 でも手のひら舐めながら加賀見の太ももにケツ押しつけんの止まんねぇ。

「あ、あ……」

 そんな俺を見てふふっと笑うが、頭を撫でたりはしてこない。本当に触ってこない。首筋とか、顎撫でられたい。我慢できないって、撫でねぇのかな。

「ずっと、ページ越しの君しか見てなかったんだ。生の素肌が見たいな。触らないから、見せて。その方が僕のおちんちんも元気になるよ?」
「触っ……」
「うん?」

 首を傾げて微笑まれ、首を横に振る。

「んな話聞いたあと、に……見せたくねぇっ……」
「でも汚れたら困るよ? ね?」
「うぅぅー……」
「触らないから。見せて。見るだけ」
「で、でも写真集の時ほど仕上がってねぇ……トレーニングとか、あん時はいつもよりメニュー増やして、飯も気をつけてた、し……」
「うんうん、わかったよ。大丈夫。いつも綺麗だから。ほら脱いで。汚れたら困るよ」

 とかなんとか言って、脱いだらこいつ触ってきたりして。
 押し倒されるかも。
 匂い嗅ぎながら、舐め回されるかも。
 所詮は酔っぱらい、いい子ぶってたって本性だしてくるかもしれない。
 そう思うのに、カットソー、そして肌着のタンクトップを脱いでいく。
 外気に晒された胸の先がきゅうっとする。そわそわして、胸を突き出してしまう。
 でも本当に手が伸びてくることはなく、俺がストリップしているだけ。
 ベルトを外して、ジーパンを脱いで……べったり濡れた布地を押し上げる勃起したちんこを避けながら、ボクサーパンツも脱いでいく。
 あと一歩でも加賀見に近づけば、亀頭同士が擦れあって、我慢汁を絡めながらキスをする。

「どうしてそんなに濡れてるの?」
「黙れよ、脱いだだろ、満足か……」
「スケベ汁まみれでえっちなおちんちんだね……くちゅくちゅしたいね……?」

 言われただけで、腰が震える。
 したい、したい、でっかいちんこでゴリゴリ擦られたい、一般よりデカイってイキってる俺のちんこにサイズの違い見せつけられたい……。あ、腰ヘコっちゃう、我慢、我慢しねぇ、と。

「おちんちんでなら触っていい?」
「だめだって、触んな、触んなよぉ……っ?」

 聞かないで、触ればいいのに。
 いやいや、何考えてんだよ。

「残念だな。ね、あれからオナニーした?」

 首を横に振る。
 加賀見の精液で中掻き回したのはオナニーなんだろうが、でもあれは仕方ないというかノーカンってことで。あれからはしてないから、してない。

「しねぇ、よぉ……おなに、やだ……」
「ずっとメスイキしてないの?」
「してな…………あ」

 してるわけがない、と言おうとしたけれど、思い当たってしまうことがあった。あれはメスイキだったかもしれない、と。

「あ?」

 うわ、声低すぎかよ。酔っぱらいのポワポワどこいった。

「あ……って、なに?」
「べつに……」
「……お尻の穴、見せて?」
「や、やだよっ!」
「なんで? 見せられない理由があるんだ?」

 ない。普通にぴったり閉じてるだろうし、こいつが思うようなことはない。
 でも尻の穴なんか見せたら俺、触るなって言ってるのに、セックスしないって思ってるのに、俺。
 さっきから既に、俺、変なのに。
 なんで俺がこんなに焦らされてる気分になってるんだよ。
 メスイキの件は話したくないし、なんとかして話の流れを変えるしかない。
 つか違くね? むしろ今が話がそれてる最中じゃん。軌道修正が必要だ。
 やっとまともに思考できるようになった俺は、床に置いたままの洗面器を指差し懸命に呼びかけた。

「て、てかそろそろ俺に攻めさせろ! ローションガーゼ! ローションガーゼしようぜ! 気持ちよくしてやるから!」
「じゃあガーゼ取りに行くついでに、四つん這いになってこっちにお尻向けて? その後はガーゼを手に取って、僕のこと好きにしていいよ? 潮吹かせてくれるんだよね。僕にエッチなことしたいんだもんね」
「や、やだ」
「だめ。見せて。無理やりしちゃうよ? いいの?」

 無理矢理してもらいたくなるから見せるの嫌なのに、という複雑すぎる感情を抱えながら首を横に振る。
 やだ。やだなぁ。ケツ見せたくない。
 加賀見に見られた瞬間に排泄器官じゃなくて、性器になる。つっこまれて性感得るための場所になって、ヒクヒクしてしまう。
 でももう手遅れってくらいうずうずして、穴が開いてるんじゃないかってくらい、そわそわして。
 ゆっくりと、加賀見に背を向ける。そして、上半身を前に倒して、両手をつく。
 情けない格好だ。もう好きにしてくださいって言ってるみたいだ。
 加賀見が近づく気配に、穴がヒクつく。
 太ももがガクガク震えて、あ、と声が出る。
 絶対痛いのに、あの汁まみれのエロいおちんぽが挿入されるのを想像することが止められない。
 口ん中の我慢汁の味が蘇って、下唇を舐める。
 あ、また匂い嗅がれてる。鼻先触れちゃう。舐められちゃう。クンニされちゃう。発情したまんこべちゃべちゃに濡らされちゃう。
 頭湧いてる。欲しすぎてバカになって、腰フリフリして誘う。おまんこ舐めて舐めてって、おねだりしてる。
 でも加賀見の気配は遠ざかって。

「いいよ。ガーゼ取りに行きな?」
「あ……」

 肩越しに振り返り、遠くにいる加賀見の顔を必死で見つめる。

「どうしたの? 泣いちゃいそうな顔してるよ?」
「加賀見ぃ……」
「うん?」
「おれのこと、犯したくねぇのぉ……?」
「え? どうしちゃったの、きみ。触らない約束を僕は守ってるんだよ? それじゃあまるで、犯して欲しいみたいだよ?」
「う……おれ、おれぇ……」

 無理矢理に犯されるなら、自分に言い訳ができるのに。
 もう何の抵抗なんだか頭がクラクラとして、わかんねぇけど。でも自分から求めるのは違う。駄目。もうセックスしないんだ。
 今やろうとしてるのは、俺が優位に立つためにコイツを攻め攻めて、情けないくらい喘がせてやること。
 ああ、でも目眩がする。身体中ひくひくする。
 ベッドに突っ伏して、シーツにごしごしと顔を擦って、ふらふらとベッドから降りる。
 喘がせる、めちゃくちゃにする、なんなら俺が犯してやる。
 のぼせたみたいな頭で、必死で自分に言い聞かせる。
 ガーゼを手に取って、滴るローションに気をつけながら、加賀見の足元へ向かう。
 ベッドボードを背もたれに座る加賀見の足の脛に座って、勃起したちんこを覗き込んで。

「ふふ、ちょっと緊張するな」

 ちっとも緊張してなさそうな声が聞こえてくる。

「めっちゃくちゃ、喘がせてやるよ……」

 ガーゼの端と端を持ってそっと亀頭に被せると、冷たかったのか加賀見の足が少し跳ねた。
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