ブルガリブラックに濡れる〜恋人の元・セフレ(攻)を優しくじっくりメス堕ちさせる話〜

松原 慎

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俺をメス堕ちさせた奴が弱って酔った隙にあれこれしたいのに結局あれこれされる③

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 話を聞きながらも、顔が近いなと根元から綺麗に通った鼻を見つめる。そしてこの距離で鼻なんか見てたら寄り目になってるかもしれない自分を思い、可笑しくなる。あ、眉間にがっつり皺寄せてる。やや顰める、みたいなのはよく見るが、これは珍しい。

「大鳥?」
「なんだよ」
「怒ってるんだよ? わかる? 聞いてた?」
「聞いてるけどさー……そもそもお前が俺と浮気したのが悪いのに、出雲の家出を俺のせいにするのは違うんじゃねぇの?」

 ド正論かましてやったら、加賀見はさすがに口を噤んだ。眉間だけでなく鼻根まで皺を寄せて目を細めた、とびきりのしかめっ面で。

「どうだ? ぐうの音も出ねぇだろ?」

 それがおかしくて、皺の寄った鼻根を唇で喰む。歯は立てない。ほんの少し、舌先だけ当てて皺をなぞる。

「おおとり、本当にずるい……」
「今日はどうしてもって頼まれたから来てやったんだ。俺が優位だろ? おっと、触んなよ?」

 にじり寄ってくる気配に、トンと胸を軽く押す。
 舌は引っ込めて、鼻根から鼻先に向けて、挟んだままの唇を滑らせていく。
 鼻先に到達した時にチュッと吸いながら唇を離し、加賀見の鼻を解放した……が。酔って濡れた瞳は今にも食いつきそうなほど俺の唇に魅入っていた。思わずこちらもゾクリと背を震わすほどに。

「君……何がしたいの?」
「別に。もう会いたくねぇなって思ったから会わないって言ったし、面白そうだなって思ったから来てやったし、実際面白ぇから遊んでる」
「どうして、会いたくなくなちゃったの。あの日の君は自分からあんなに僕のこと求めてくれたのに。あんなに幸せそうに、また舐めたいって言ってくれたのに。そんな君が可愛くて……」
「なー、鼻高いやつってちんこデカいって言わね? お前も鼻高いけど、ちんこのデカさ考えたら普通の鼻だよな」
「大鳥!」

 鼻先に舌先をつけて、キスして、唇で挟んで。
 そうやってじゃれついてたら、聞いたことないような低く、叱責するような声で呼ばれた。

「ちゃんと聞いて」

 いっつもふざけてるんだか何だかわかんねぇお前が、クソ真面目な顔で何言ってんだか。はぁーっと、クソでかいため息がわざとらしく漏れる。

「ちんこおっ立てて真面目なツラしてんじゃねぇよ」

 再びパツパツになってるスウェットの股間を撫でる。根元から、曲がった形を撫でて確かめ、先端を親指でクリクリッと刺激する。

「このソファーでかくていいな。俺も実家出たらこういうの欲しい」

 迫られすぎて押され気味だった身体を起こし、加賀見の上半身を押しのけながらソファに倒していく。
 二人暮らしのくせして四人から五人は座れそうな、ブラウンのソフトレザー地のコーナーソファー。窮屈そうではあるものの、この巨体が一応は身体を倒せるのは良い。しかし足の行き場がなさそうだったので、片足だけ膝を立てさせソファーに導き、片足は床をつかせる。
 俺は足の間に入り、張り詰めたそこを布地の上から上下に擦った。

「ん……僕も、君に触りたい……」
「だめだって何度言ったらわかんだよ? 今日は俺がサービスしてやるから大人しくしてろ」
「えー……」

 文句ありげなわりにはコーナー部分を背もたれ代わりに体勢を整え、テーブルに手を伸ばして小さな瓶ビールをとり、ラッパ飲みしてやがる。少し角度はついてるとはいえ寝っ転がったままで行儀が悪い……ずっとこんな感じでだらだらと一人飲んでいたんだろう。

「サービスしてくれるなら、授乳手コキがいい……」
「発想がいちいちキモい。ぜってぇヤダ」
「おっぱい気持ちよくなっちゃうから? 手コキどころじゃなくなっちゃうから?」
「そうだよ」

 スウェットの紐を解いてズボンを下着を一緒くたに脱がしてやろうとするが、チンコが引っかかってなかなか脱がせられない。

「いやに素直だね? どうしたの?」
「うるせぇな」

 一瞬の間があったぶん、より驚いてる加賀見の声が強調されてるのにムッとする。

「ここで意地になって否定したらまたお前の思うツボじゃん。んなことねぇ、ならやってみようって具合にさ。そしたら絶対……」
「絶対?」
「なぁー! これ脱げねぇんだけど! 自分で脱げよ!」
「おっぱい負けちゃう?」

 なんでそういう、恥ずかしいことを平気で言えるんだよ。耳が、服の中がそわそわする。先が尖るみたいな感覚がする。
 言葉だけでこれなんだ、舐められたりしたら耐えられない。
 それでもなかなか肯定の言葉が出なかった。違うって言いたい。恥ずかしくて顔が見られない。あー俺、今すっごい負け顔してんだろうな。

「……うん」

 やっと蚊の鳴くような小さな声で頷くと、加賀見はそれに鼻で笑って返した。

「かしこくなったね、大鳥。なでなでしたいな」
「だめ」
「ほんと、かわいい」
「なぁ、そうじゃなくて脱いで」
「いいよ。可愛いから言うこと聞いてあげる」

 楽しそうに声を弾ませてそう言った加賀見は、瓶の底を天井に向けてビールをあおり、ゴン、といい音をさせてテーブルに置いた。そして腰を浮かせて足を蹴飛ばすようにやや乱暴にスウェットパンツを脱ぐ。
 トレーナーに、下半身はすっぽんぽん。やや情けない姿ではあるが、バキバキに立ち上がってるドデカイちんこの主張が強くてそんなことはどうでもよくなる。目が離せない、ごくりと喉が鳴る。

「エッチなことはしないのかと思ったのに」

 そう言って頬に伸びてきた手にハッとして、慌てて叩いて退けさせた。

「お、俺が……俺がするのは、いいんだよ。今日はお前のことアンアン言わせてやる。なんなら抱いてやろうか」
「……隼人」

 もちろんそこまでする気はない。けれど強気に見せるために薄ら笑いを浮かべ口を滑らせたら、低く、子供を躾ける時のように重い響きで名を呼ばれた。
 これまで躾されてきた自分を思い知らされるように、ビクッと反射的に顔を上げる。冷や汗まで浮かべて。
 加賀見はそんな俺の様子に満足したのか、いつの間にか手にしていたグラスを傾けて微笑んだ。

「僕が君に触らないのは……君のゲームに付き合ってるからだってこと忘れちゃダメだよ? 賢くなってきたんだからわかるよね?」
「は、はぁ?! お前が泣きついてきたから来てやったんだぞ俺は?! ムカつく! もう帰る!」
「帰らないでしょ。帰さないし。やっと会えたのに」
「やっと会えたとか、知るかよそんなの……お前がそんな態度なら帰るっ……」

 別に俺は会うつもりなかった。出雲と喧嘩でもして落ち込んでるなら慰めてやるかって思っただけで、そのついでにちょっと悪戯してやろうかなって。お前への感情になんかしらのケジメのつけ方が見つからないかなって。
 会うつもりはなかったけど、会えないのはちょっと、ほんのちょっとは寂しい、し。
 本当に帰ろうとか思ってねぇけどムカつく。帰さないって言われてちょっと安心してる自分にさらにムカつく。
 このままもしかしたら触らない約束なんて破られて、無理矢理犯されるかもなんて考えてる自分もムカつく。
 グラスに入っている透明な液体……恐らく日本酒を舐めながら、加賀見の手がまた伸びてくる。
 さっきは叩いてやった。でも今は気付かないふりで俯いたままでいた。
 けれど触れる寸前。期待に熱がわずかに上がった途端、加賀見の手は触れずに下がっていった。

「君がいい子にしてるなら、僕も大人しくしてるよ」

 ゾワッときて、喉の奥が震える。
 あ、と小さな声が漏れる。
 なんで体が喜んでんの。今そんな要素なかっただろ。
 違う。違う。優位に立ってるのは俺だ。今日は俺がやってやる。せいぜい余裕かましてればいいんだこんな奴。

「で。何してくれるの?」

 目の前で、煽るように根元からちんこを扱きあげる大きな手。ほんと、ちんこも手もでっけぇ。ゴツくて、筋立ってて。見てるだけで息が荒くなる。

「アンアン言わせてくれるんだよね? そんなやらしい顔して舌出して、舐めてくれるのかな?」
「へ、えぁっ……?」

 気が付けばハッ、ハッ、と息を短く吐きながら、大口開けて舌を垂らして加賀見のちんこに顔を寄せていた。
 そうだよ、そうだよな。
 フェラすれば気持ちいいんだから、これは正しい流れだよな。でも俺あんまりフェラには自信がない。でもやっぱりちんこ気持ち良くするって言ったら、舐めるか、挿れるか、で。

「あ、あ……」

 挿れる、なんて考えてしまったら、腹の奥がズクンと重くなってヤバくなった。
 あれ、なんか全然わかんねぇ。舐めるの正解? 腹うずうずして堪んねぇんだけど、本当に正解?
 ちょっと落ち着こうと口を閉じる。そしたら思い切りちんこの匂いを吸い込んでしまった。
 カリ首んとこ、蒸れてる。すっげぇやらしい匂い。

「ン、ン……ちんぽぉ……くっせぇにおいするぅ……はぁ、はぁ、あー……」
「あーあ、またそんなに鼻の下伸ばして。お尻ふりふりしてるよ? 匂い嗅いだだけで気持ちよくなっちゃったの? 僕まだ何もしてもらってないんだけど?」
「だってケツがっ……ケツ、そわそわして……」
「やっぱり君がアンアン喘ぎたいんじゃないの?」
「ち、違っ……! 違ぇ、俺がお前に……くっそぉ……ん、ふぅ、んんっ……」

 ダメだ、このままじゃ俺ちんぽおねだりしちゃう。
 違うって、こうじゃないってわかってるのにまだ匂い嗅いで興奮してる。離れなきゃ、ちょっと匂いしないとこまで離れないと、あ、でもすげぇ好きこの匂い……気持ちいい、頭ぽーっとする。あーまた舌垂れる、だめ、もうだめ、このちんぽ大好きぃ……加賀見のちんぽだいすき。
 すぐこうなっちゃうから会えなくなる。
 自分がわからなくなるから会えなくなる。

「あー、くっせ! やだ、きもい、ちんぽキモイキモイキモイ!」

 手で鼻から下を覆って、なんとかチンコから顔を背ける。もう見ない、ちょっと落ち着くまで見るのも危険。
 やっばいもう。ケツがキュンキュンしてるのがわかるし、俺のチンコもしんどいくらい勃起してるし、下着が張り付いてるのがわかるくらい濡れてる。
 抱くなんて無理に決まってる。ちょっと気持ちよくして喘がせようとしたってこれだ。なんだよ。なんなんだよ俺は。

「何もしてくれないの?」
「臭くて顔近づけたくねぇんだよ、待てよ今考えてるから」
「あんなに必死で匂い嗅いでたのに?」
「うるせぇ、黙れって!」
「舐めてくれないの? ぺろぺろしたいって言ってくれてたし、調度いいと思うのだけど」
「やだ!」

 ぺろぺろしたいとか言ったっけ俺? また舐めたいとは言ったか?
 でも今は無理。なんかもっと間接的にできるやり方。

「……なぁ。ローションはまぁ、あるだろ? オナホとかガーゼとかねぇの?」
「あるけど」
「それだ! 出せよ! 気持ちよくしてやるから!」
「ふぅん?」

 間接的に! 距離をとりつつ! フェラや手コキよりも下手したらセックスより強い快感が得られる!
 これほど今使うのに適当な物もない。俺冴えてるじゃん。
 しかし加賀見は未だに日本酒をちびちびやりながらフッと嫌味ったらしく鼻で笑った。顎を上に向け口角だけあげた、いやーな顔をして。

「道具に頼るんだ?」
「頼る。煽られねぇからな」

 その手には乗らない、と俺も鼻で笑って返した。

「ふふ、学習してるねぇ。かわい」
「何がだよ」
「ちょっとだけ頭撫でちゃだめ?」
「ダメ!」
「けち」

 不貞腐れたように口をへの字にしてはいるが、目を細めて小首を傾げるその様はなんだか嬉しそうで。
 なんか知らねぇけど俺は恥ずかしくなって、早く道具を用意しろと顔を顰めて催促するのだった。


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