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僕限定でメス堕ちさせたタチがおしりを我慢できないのでアナニー調教してみる⑧
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いいところを抉れば、背中が反る度に胸を張る。後ろ手に縛られた状態では、まるでビンビンに立ち上がった可愛い胸の先を主張しているみたいだ。
しかもシーツに擦れるのか、その度に小さく震える……それに誘われて、ギュッと尖った乳首に指を伸ばす。そこを指の腹でくすぐってから優しく爪を立てた。
「あっ、あっ、だめぇ、イッちゃう、おっぱいしゅるとすぐ、イッちゃ、あんっ、あ、あっ」
「ははっ、ほんと好きだね……? 出雲にも弄らせてたんだもんね?」
「ン、ちが……」
「違くない、知ってる」
声は途切れない。あ、あ、と漏らしながら鼻を啜って、ベッドに顔を埋め、シーツに顔を擦るようにして首を横に振る。
「イケないとき、だけぇ……あ、あ、ちくび、しごくのやだっ……!」
「僕もやめるのやだ」
「うっ、ン、ンぁ……おっぱいきもちいぃ……! あーあーっ、きもちーよぉ、きもちいぃ……すげぇいいぃ……」
奥までハメこんだ、大きい自分の男性器全体が、ビクビクと痙攣する肉壁の刺激を受ける。一瞬でせり上ってくるものを感じ、思わず腰を引いて動きを止めた。
ああ、だめだ。まだ動いて。僕が何もしてなくてもこんなに気持ちがいい。
「おまんこヒクヒクしちゃうね、ン、いい……きもちいい。ね? おちんちんだけでイケない時、おっぱい弄って射精させてもらってたの? どこでそんなこと覚えたの? エッチな子だな……」
「ちが、ちがっ……あぁっ! アッ、おくっ、奥っ、いま奥、らめ、乳首できゅんきゅん、してるのにぃ……っだめぇ……だめぇ……っ」
「何が……だめ? そんなに気持ちよくて、全然ダメじゃない。いつからおっぱいで気持ちよくなってたのかな……?」
自慰をするわけでもない。行きずりの女の性癖か。
「おば、さんが」
「うん?」
「そうしてた、からっ、だから……」
それとも、後ろ手に縛ったこの子を犯していた人間の性癖か。
「隼人」
腰を抱き寄せて背中に密着しながら、赤くなった肌に唇をあてる。そうやって、今は僕のものだと苛立ちを隠した。
「おばさん、て……だれ?」
大鳥は答えない。
肩が激しく上下している。
それに伴う、激しい呼吸音だけ。
そして少ししてから、動かずに体をくっつけている僕に向かって、くいくいっと腰を寄せた。
「おっぱい、いじってぇ……乳首しこしこしながら、おまんこほじってぇ……? もっと、もっときもちくして……きもちいの、しゅき……きもちいのしか、いらねぇ、からぁっ」
いつか聞けるかと思ってた。
ちゃんと知りたいと思い始めてた。
たまに漏れる、彼の心にへばりついた泥のような……“おばさん”という人について。
しかし大鳥は、気持ちいいのしかいらない、と言った。
「……わかった。僕もそろそろイキたいな。一緒にいこう?」
もう時間もない。
抱いた腰を高く突き出させて、深く、深く、それでもまだ足りないと密着した結合部をぐりぐり擦り付け、何度も自分を大鳥の身体に埋め込む。
もちろん、胸をいじるのもやめない。勢いにのって時おりギュッと強く摘んでしまうと、入口が締まって気持ちいい。
「う、ンッ、ゔ、ゔぅー、やばいっ、やばい、やばいいぃぃ、やべぇ、も、アッ、やべぇよぉぉ……ッ!」
「やばい……? うん、やばいね……はやく、イキたい……」
あまり可愛いとは言えない、大鳥の低い呻き声に興奮する。喉仏の振動に触れたい。射精してるかな。男性器にも触れたい。
たった二本の腕でこの子を可愛がるのは難しい。
そんな焦燥感が、射精したいこの気持ちをさらに刺激してくる。
胸の先を弄っていた手を腹へ滑らせ、中にいる自分を撫でた。
「ふふ、ボテ腹みたいっ……」
「あ゛っ、押しゅ、なッ、う……!」
「あぁ、しまる……出るよ? 孕んで」
「あっ、アッ、アッ……!」
ぐっぽりと押し込んだ結腸に射精する。
びくんっ、びくんと痙攣する狭い結腸口がカリ首を繰り返し締め、顎が上を向いて声も出ないのに大きく口が開いてしまう……気持ちがいい。強く締めあげられてるおかげで、ドクンドクンと吐精する感覚がより鋭利に伝わる。
重なった荒い呼吸音だけが聞こえてくる。
部屋はじっとりと濡れている、僕たちの肌も。
キスしたかったけど、大鳥はぐったりとしていて頭を持ち上げるのは無理そうだった。
だからまた、首の根元にキスをする。生え際をちゅうちゅうと何度も吸う。
僕の精液がたまった男の子の子宮を、腹の上から優しく、愛おしく撫でながら。まるで本当に孕ませたかのように。
この身体に痕跡を残したい。
ダメだと思うと、余計に残したい。
僕だけ全部知ってる、本当は僕のなんだよ。
誰もこの子をこんなに乱れさせることはできないし、可愛がることもできやしない。
僕が一番このこの子を甘やかすのが上手だし、わかってるんだ。
「僕の精子……流れないように、締めてて?」
そう告げて、萎みはじめた性器を抜き取る。
覗き込んでみれば、ひくん、と震えながら濡れそぼった穴がキュッと締まる。奥に出したので漏れてる様子もない。
垂れてないのを確認し、その場を離れ。
さきほど購入したアナルプラグを、ゆるんだ穴に突き入れた。
「あぁっ……」
「僕のを中に入れたまま、収録出て?」
日常生活での使用に適すよう作られたそのプラグは、本体こそスリムなものの、外から動かしてやればもちろん肉壁をよく抉る。
試しに揺らしてみたら、ピュッ、と薄い色をした精液が、股の間でぶら下がっている性器から少量飛び出した。大鳥の股の下を見れば、シーツがどろどろになっているのがわかる。白濁した液体は一回に出されたものではなく、何度も出され重なったものだ。
僕は二度射精したが、口から、お尻から、それぞれ大鳥の中に出したのでそれは全部彼の出したもの。
腹を……下腹部だけでなく、上から下まで、じっとりと、撫でる。
「テレビの中の君はどんなにカッコよくても、お腹の中は僕のでどろどろなんだ。ね、僕でいっぱいなところ、みんなに見せてきて」
大鳥は動かない、返事をしない。だから抵抗もしない。
ベッドに伏せて見えない顔の、わずかに覗いた頬に後ろから手を伸ばす。すると確かに大鳥は、僕の手に頬を擦り寄せた。
動けない大鳥のどろどろになってしまった身体を、できる限りウエットティッシュや即席で作ったおしぼりで拭きあげ綺麗にし、服を着せてあげた頃には、もう出ないといけない時間になっていた。
ベッドの端にボーッと座る大鳥をソファから眺めつつ、煙草を灰皿に押し付ける。
「大丈夫?」
返事はない。
「送る?」
「いい……」
「もう、お酒を言い訳に……できなくなっちゃったね。お互いに」
大鳥は僕に視線をやらず、斜め下あたりを見つめたままだ。
「なぁ……こっち来て」
言われるままにソファから離れて一歩踏み出し、大鳥の前に立つ。すると長い腕が気怠げに伸びてきて、僕の腰をきゅっと抱いた。
「ケツの違和感やべぇ。勝手に抜けたりしねぇの、これ」
「一応、おさんぽ用」
「そんなもんがあるのがやべぇよな」
「放送日、たのしみ」
「お前に見られてるって意識しちまうだろ、そーゆーこと言うな」
「見られてるって、思って」
「馬鹿。変態。こっそり抜いてやる。衣装汚したら買取なんだからな」
「抜くの……? 元気だな。早速、オナニーの仕方教えた、成果……?」
「そっちの意味なわけねぇだろ! 頭沸いてんじゃねーの。まーこんなことさせる時点で沸いてるよな」
「だって……見せびらかしたい。僕の子種孕んでる、君のこと。だめ?」
「チッ、知るかよ」
舌打ちしたあと唇を尖らせて、僕の身体に頬を寄せたままそっぽを向いて。かと思えば、上目遣いに僕を見上げる。
そんな一連の動く視線、流れる睫毛が、美しいし可愛い。
「満足した? まだ出せんの?」
「出せなくもないけど、もういい」
「とか言って帰ったら出雲とすんの? 俺はお前の精子でケツ濡らしたまま、ずーっとお前のこと意識したまま、収録すんのに?」
「しない」
「口で抜いてやるからチンコ出せよ」
「だめ」
「はぁ?」
「時間、ないよ? 行こう?」
眉根をよせ、睨んでくる大鳥の頬を撫でる。
目つき、悪いんだけどな。甘えてるのが見え見えで可愛い。
その場でしゃがんで、僕を追って下を向いた顔にキスをする。ちゅ、と軽く唇に触れればいいと思ったのに、舌を入れられて、絡ませて。
離れた彼の顔を見た時に、足りてないのは君じゃないかと言いたくなった。
「これだけ直させろ。結び目汚すぎて出雲にバレる」
長い指がネクタイの結び目に引っかかり、そのままするりと解いていく。
「お前ほんっと下手な」
「君は、手慣れてきた」
前は人のネクタイは結び慣れないと首を傾げながら結んでいたのに。
朝、出雲に結んでもらったネクタイは大鳥にほどかれて、結ばれた。きゅっ、と締める時の感覚が、手の力なのか出雲より重い。
「手首、痛くなかった?」
そのネクタイは先程まで大鳥を拘束していたものでもある。
「……別に」
別にというその顔が、明らかに曇る。
ぼんやりとはしていたが、甘えてはいたが、普段通りに思えたのに。
目を伏せ、苦しそうに薄い唇を結ぶ。
彫りの深い顔に陰影ができて、密度の高いまつ毛が映える。彼がふと作る表情の全ては、とても深い意味があるような、物語の最重要部分だと思わせてしまうような、画の強さがある。
しかしそれ全てを気に止めていたらキリがない。彼が作る絵は目を惹くものばかりだから。
「行こうか」
背を向けて足を前に踏み出せば、背後に立ち上がる気配を感じた。それに内心胸をなでおろし、部屋を後にする。
これ以上ここにいたら、誘惑に負けてしまいそうだ。
自動延長になった追加料金を大鳥がフロントで支払い、そのままビルのエレベーターに乗り込む。
狭いエレベーターだ。あの夏の日に、閉じ込められたような。
そんなセンチメンタルなことを考えながら、黙って俯いたままの大鳥の隣で、頭上にある階下を知らせるランプの数字が小さくなっていくのを目で追う。
「俺、お前に会うのやめる」
突然だった。
確かに大鳥の声で、隣から聞こえてきた、言葉。
その台詞に我が耳を疑った。そしてそのまま反応できずにいたら、今度はすすり泣く声が漏れだした。
振り向く前にエレベーターの扉が開き、気を取り直すように頭を降って前を向いた大鳥が、先陣を切って街へ出ていく。
なんで。
その言葉が頭に浮かぶばかりですっかり出遅れた。
走って後を追いたい、けれど彼の立場上、レンタルルームを出たところで目立つ行動は得策ではなく、その手を掴むこともできずに早歩きで彼についていく。
「会わない? やだ」
「やだじゃねぇよ」
「なんで」
「こーゆー関係は、いつ切ってもいいんだぜ」
「急すぎる。どうして」
強がっているけど鼻声だよ。すらすらと言葉が出てないよ。
指摘したいけど、それは可哀想な気がしてできなかった。
「理由」
やっと隣に並ぶまで追いついて、息が上がるのを感じながらそれだけ聞く。
「あぁ?」
「理由、は」
あまりに急だ。なんの前触れもない。
別れどころか、関係が動く予感すらしていたのに。
我慢できずにルールを破ってまで連絡してきたのはそっちじゃないか。あんなに可愛い顔をしてまたフェラしたいって言ってたじゃないか。
あんなに甘えて、腹の中を見せてきて、それはないじゃないか。
「俺、おかしくなっちゃうもん、お前といると」
やっと隣に並んで顔を見れば、大鳥は眉を八の字にして笑った。
「おかしいだろ、だって俺、今だってケツん中……もうやだよ、怖ぇよ。もうやだ」
「僕の前、だけ……いつもと違う、君になればいい」
「な。それなら、いいんだけどな。俺どうなっちゃうんだろ、て……ダメだろ、もう。割り切れてねぇ。俺の一番はさ、俺が一番大事なのはさ……」
元々口角の上がった唇の形をしているが、今はその口の端を無理やり引き上げているようにしか見えない。汐らしく眉も目尻も下がっているのに、口だけ笑ってる。
しかし急にハッと目を見開いて、僕を見る。
「でも、今夜は出雲とすんなよ。しないで。してもいいけど、しないって言え。言えよ」
「しないよ」
即答したら目を丸くして、また前を見て頷いた。
「はは、ありがと」
「ほんとに、しない」
「わかったわかった」
もう、駅に着く。時間ギリギリだ。間に合わないかもしれない。
引き止めたい、どうして。どうして今、こんな場所でそんな話を。説得もできやしない。
話し合いをさせないため? 一方的に別れを突きつけるため?
「やだよ」
置いていかれる子供のような、縋るような声が出た。
「やだよ、隼人……」
首の後ろ、付け根の部分に触れる。さっきまで光の下で赤みをさしていた、夜の街では黒く見える髪の下には、僕の吸い痕がある。
僕の痕跡があることを教えるつもりだった。
身体の中も、ここも、まだ僕がいるんだよと。
けれど撫でた襟足からは、香水の匂いが香って。
スモーキーで重いバニラの香りが君自身の存在感を際立たせる。
「隼人……」
「そんな情けねぇ顔すんなよ」
ふわっと柔らかい風のあと、節のしっかりした、けれども細く長い指が、僕の頭を撫でる。頭頂部から後頭部まで、髪の流れをなぞるように、二往復だけ。
「お前、俺が連絡しなきゃそのままだろ。いいじゃんそれで。自然消滅ってやつ、それが一番普通の、なんでもない終わり方だ。よくあることだろ?」
「知らない。こんな関係は、君が初めてだから」
「なら覚えとけ。こんなもんでいいんだよ」
「もっと、君のことが……知りたい」
「だから……そんなこと考えだしたら終わりだろ、もう」
駅前のロータリーを見渡しながら、僕よりずっと若い癖に随分と大人びた声で語る。
「いつ……決めたの?」
「ついさっき」
左右を確認していた大鳥は、タクシー乗り場を見て動きを止める。
「俺、タクシーで行くわ」
そして僕を見上げて笑う。
その瞬間を切り取りたいくらい、いい顔で。街頭の少ない光すらその瞳に取り込んで。
出雲もこんな風に唐突に捨てられたんだと実感する。毎日泣いてたあの子を思い出す。
酷い子だ。もうこちらは沼の奥底に足を絡め取られだしているというのに。今までどれだけ人を泣かせているのだろうか。
戸惑いに、怒りが混じり始める。自分勝手すぎるだろう。
文句を言ってやろうと思った。チクチクとした嫌味を並べてやろうと思った。
しかし大鳥は離れる寸前、僕の首筋に顔を埋め、鼻先をひくつかせた。そしてすでに懐かしむような声で「お前の煙草の匂い」とため息とともに呟く。
見えないように、前を開いたコートの下に手を滑り込ませて腹を撫でる。
エレベーターに閉じ込められたあの夏の日はTシャツを着ていても汗だくだった。
「連絡、する。また会おう?」
撫でていた下腹部の筋肉がヒクッと震え、首筋に熱い息がかかる。
そしてその熱だけ残して、大鳥の身体は離れていった。
「マジで時間やべぇから。じゃーな。お前もまっすぐ帰れよ」
大鳥はなんでもないような清々しい顔をして、左手で軽く手を振って去っていく。
タクシーに乗り込むまでを遠目で見送りながら、君の香りが残る手の平を握って、それを閉じ込めた。
しかもシーツに擦れるのか、その度に小さく震える……それに誘われて、ギュッと尖った乳首に指を伸ばす。そこを指の腹でくすぐってから優しく爪を立てた。
「あっ、あっ、だめぇ、イッちゃう、おっぱいしゅるとすぐ、イッちゃ、あんっ、あ、あっ」
「ははっ、ほんと好きだね……? 出雲にも弄らせてたんだもんね?」
「ン、ちが……」
「違くない、知ってる」
声は途切れない。あ、あ、と漏らしながら鼻を啜って、ベッドに顔を埋め、シーツに顔を擦るようにして首を横に振る。
「イケないとき、だけぇ……あ、あ、ちくび、しごくのやだっ……!」
「僕もやめるのやだ」
「うっ、ン、ンぁ……おっぱいきもちいぃ……! あーあーっ、きもちーよぉ、きもちいぃ……すげぇいいぃ……」
奥までハメこんだ、大きい自分の男性器全体が、ビクビクと痙攣する肉壁の刺激を受ける。一瞬でせり上ってくるものを感じ、思わず腰を引いて動きを止めた。
ああ、だめだ。まだ動いて。僕が何もしてなくてもこんなに気持ちがいい。
「おまんこヒクヒクしちゃうね、ン、いい……きもちいい。ね? おちんちんだけでイケない時、おっぱい弄って射精させてもらってたの? どこでそんなこと覚えたの? エッチな子だな……」
「ちが、ちがっ……あぁっ! アッ、おくっ、奥っ、いま奥、らめ、乳首できゅんきゅん、してるのにぃ……っだめぇ……だめぇ……っ」
「何が……だめ? そんなに気持ちよくて、全然ダメじゃない。いつからおっぱいで気持ちよくなってたのかな……?」
自慰をするわけでもない。行きずりの女の性癖か。
「おば、さんが」
「うん?」
「そうしてた、からっ、だから……」
それとも、後ろ手に縛ったこの子を犯していた人間の性癖か。
「隼人」
腰を抱き寄せて背中に密着しながら、赤くなった肌に唇をあてる。そうやって、今は僕のものだと苛立ちを隠した。
「おばさん、て……だれ?」
大鳥は答えない。
肩が激しく上下している。
それに伴う、激しい呼吸音だけ。
そして少ししてから、動かずに体をくっつけている僕に向かって、くいくいっと腰を寄せた。
「おっぱい、いじってぇ……乳首しこしこしながら、おまんこほじってぇ……? もっと、もっときもちくして……きもちいの、しゅき……きもちいのしか、いらねぇ、からぁっ」
いつか聞けるかと思ってた。
ちゃんと知りたいと思い始めてた。
たまに漏れる、彼の心にへばりついた泥のような……“おばさん”という人について。
しかし大鳥は、気持ちいいのしかいらない、と言った。
「……わかった。僕もそろそろイキたいな。一緒にいこう?」
もう時間もない。
抱いた腰を高く突き出させて、深く、深く、それでもまだ足りないと密着した結合部をぐりぐり擦り付け、何度も自分を大鳥の身体に埋め込む。
もちろん、胸をいじるのもやめない。勢いにのって時おりギュッと強く摘んでしまうと、入口が締まって気持ちいい。
「う、ンッ、ゔ、ゔぅー、やばいっ、やばい、やばいいぃぃ、やべぇ、も、アッ、やべぇよぉぉ……ッ!」
「やばい……? うん、やばいね……はやく、イキたい……」
あまり可愛いとは言えない、大鳥の低い呻き声に興奮する。喉仏の振動に触れたい。射精してるかな。男性器にも触れたい。
たった二本の腕でこの子を可愛がるのは難しい。
そんな焦燥感が、射精したいこの気持ちをさらに刺激してくる。
胸の先を弄っていた手を腹へ滑らせ、中にいる自分を撫でた。
「ふふ、ボテ腹みたいっ……」
「あ゛っ、押しゅ、なッ、う……!」
「あぁ、しまる……出るよ? 孕んで」
「あっ、アッ、アッ……!」
ぐっぽりと押し込んだ結腸に射精する。
びくんっ、びくんと痙攣する狭い結腸口がカリ首を繰り返し締め、顎が上を向いて声も出ないのに大きく口が開いてしまう……気持ちがいい。強く締めあげられてるおかげで、ドクンドクンと吐精する感覚がより鋭利に伝わる。
重なった荒い呼吸音だけが聞こえてくる。
部屋はじっとりと濡れている、僕たちの肌も。
キスしたかったけど、大鳥はぐったりとしていて頭を持ち上げるのは無理そうだった。
だからまた、首の根元にキスをする。生え際をちゅうちゅうと何度も吸う。
僕の精液がたまった男の子の子宮を、腹の上から優しく、愛おしく撫でながら。まるで本当に孕ませたかのように。
この身体に痕跡を残したい。
ダメだと思うと、余計に残したい。
僕だけ全部知ってる、本当は僕のなんだよ。
誰もこの子をこんなに乱れさせることはできないし、可愛がることもできやしない。
僕が一番このこの子を甘やかすのが上手だし、わかってるんだ。
「僕の精子……流れないように、締めてて?」
そう告げて、萎みはじめた性器を抜き取る。
覗き込んでみれば、ひくん、と震えながら濡れそぼった穴がキュッと締まる。奥に出したので漏れてる様子もない。
垂れてないのを確認し、その場を離れ。
さきほど購入したアナルプラグを、ゆるんだ穴に突き入れた。
「あぁっ……」
「僕のを中に入れたまま、収録出て?」
日常生活での使用に適すよう作られたそのプラグは、本体こそスリムなものの、外から動かしてやればもちろん肉壁をよく抉る。
試しに揺らしてみたら、ピュッ、と薄い色をした精液が、股の間でぶら下がっている性器から少量飛び出した。大鳥の股の下を見れば、シーツがどろどろになっているのがわかる。白濁した液体は一回に出されたものではなく、何度も出され重なったものだ。
僕は二度射精したが、口から、お尻から、それぞれ大鳥の中に出したのでそれは全部彼の出したもの。
腹を……下腹部だけでなく、上から下まで、じっとりと、撫でる。
「テレビの中の君はどんなにカッコよくても、お腹の中は僕のでどろどろなんだ。ね、僕でいっぱいなところ、みんなに見せてきて」
大鳥は動かない、返事をしない。だから抵抗もしない。
ベッドに伏せて見えない顔の、わずかに覗いた頬に後ろから手を伸ばす。すると確かに大鳥は、僕の手に頬を擦り寄せた。
動けない大鳥のどろどろになってしまった身体を、できる限りウエットティッシュや即席で作ったおしぼりで拭きあげ綺麗にし、服を着せてあげた頃には、もう出ないといけない時間になっていた。
ベッドの端にボーッと座る大鳥をソファから眺めつつ、煙草を灰皿に押し付ける。
「大丈夫?」
返事はない。
「送る?」
「いい……」
「もう、お酒を言い訳に……できなくなっちゃったね。お互いに」
大鳥は僕に視線をやらず、斜め下あたりを見つめたままだ。
「なぁ……こっち来て」
言われるままにソファから離れて一歩踏み出し、大鳥の前に立つ。すると長い腕が気怠げに伸びてきて、僕の腰をきゅっと抱いた。
「ケツの違和感やべぇ。勝手に抜けたりしねぇの、これ」
「一応、おさんぽ用」
「そんなもんがあるのがやべぇよな」
「放送日、たのしみ」
「お前に見られてるって意識しちまうだろ、そーゆーこと言うな」
「見られてるって、思って」
「馬鹿。変態。こっそり抜いてやる。衣装汚したら買取なんだからな」
「抜くの……? 元気だな。早速、オナニーの仕方教えた、成果……?」
「そっちの意味なわけねぇだろ! 頭沸いてんじゃねーの。まーこんなことさせる時点で沸いてるよな」
「だって……見せびらかしたい。僕の子種孕んでる、君のこと。だめ?」
「チッ、知るかよ」
舌打ちしたあと唇を尖らせて、僕の身体に頬を寄せたままそっぽを向いて。かと思えば、上目遣いに僕を見上げる。
そんな一連の動く視線、流れる睫毛が、美しいし可愛い。
「満足した? まだ出せんの?」
「出せなくもないけど、もういい」
「とか言って帰ったら出雲とすんの? 俺はお前の精子でケツ濡らしたまま、ずーっとお前のこと意識したまま、収録すんのに?」
「しない」
「口で抜いてやるからチンコ出せよ」
「だめ」
「はぁ?」
「時間、ないよ? 行こう?」
眉根をよせ、睨んでくる大鳥の頬を撫でる。
目つき、悪いんだけどな。甘えてるのが見え見えで可愛い。
その場でしゃがんで、僕を追って下を向いた顔にキスをする。ちゅ、と軽く唇に触れればいいと思ったのに、舌を入れられて、絡ませて。
離れた彼の顔を見た時に、足りてないのは君じゃないかと言いたくなった。
「これだけ直させろ。結び目汚すぎて出雲にバレる」
長い指がネクタイの結び目に引っかかり、そのままするりと解いていく。
「お前ほんっと下手な」
「君は、手慣れてきた」
前は人のネクタイは結び慣れないと首を傾げながら結んでいたのに。
朝、出雲に結んでもらったネクタイは大鳥にほどかれて、結ばれた。きゅっ、と締める時の感覚が、手の力なのか出雲より重い。
「手首、痛くなかった?」
そのネクタイは先程まで大鳥を拘束していたものでもある。
「……別に」
別にというその顔が、明らかに曇る。
ぼんやりとはしていたが、甘えてはいたが、普段通りに思えたのに。
目を伏せ、苦しそうに薄い唇を結ぶ。
彫りの深い顔に陰影ができて、密度の高いまつ毛が映える。彼がふと作る表情の全ては、とても深い意味があるような、物語の最重要部分だと思わせてしまうような、画の強さがある。
しかしそれ全てを気に止めていたらキリがない。彼が作る絵は目を惹くものばかりだから。
「行こうか」
背を向けて足を前に踏み出せば、背後に立ち上がる気配を感じた。それに内心胸をなでおろし、部屋を後にする。
これ以上ここにいたら、誘惑に負けてしまいそうだ。
自動延長になった追加料金を大鳥がフロントで支払い、そのままビルのエレベーターに乗り込む。
狭いエレベーターだ。あの夏の日に、閉じ込められたような。
そんなセンチメンタルなことを考えながら、黙って俯いたままの大鳥の隣で、頭上にある階下を知らせるランプの数字が小さくなっていくのを目で追う。
「俺、お前に会うのやめる」
突然だった。
確かに大鳥の声で、隣から聞こえてきた、言葉。
その台詞に我が耳を疑った。そしてそのまま反応できずにいたら、今度はすすり泣く声が漏れだした。
振り向く前にエレベーターの扉が開き、気を取り直すように頭を降って前を向いた大鳥が、先陣を切って街へ出ていく。
なんで。
その言葉が頭に浮かぶばかりですっかり出遅れた。
走って後を追いたい、けれど彼の立場上、レンタルルームを出たところで目立つ行動は得策ではなく、その手を掴むこともできずに早歩きで彼についていく。
「会わない? やだ」
「やだじゃねぇよ」
「なんで」
「こーゆー関係は、いつ切ってもいいんだぜ」
「急すぎる。どうして」
強がっているけど鼻声だよ。すらすらと言葉が出てないよ。
指摘したいけど、それは可哀想な気がしてできなかった。
「理由」
やっと隣に並ぶまで追いついて、息が上がるのを感じながらそれだけ聞く。
「あぁ?」
「理由、は」
あまりに急だ。なんの前触れもない。
別れどころか、関係が動く予感すらしていたのに。
我慢できずにルールを破ってまで連絡してきたのはそっちじゃないか。あんなに可愛い顔をしてまたフェラしたいって言ってたじゃないか。
あんなに甘えて、腹の中を見せてきて、それはないじゃないか。
「俺、おかしくなっちゃうもん、お前といると」
やっと隣に並んで顔を見れば、大鳥は眉を八の字にして笑った。
「おかしいだろ、だって俺、今だってケツん中……もうやだよ、怖ぇよ。もうやだ」
「僕の前、だけ……いつもと違う、君になればいい」
「な。それなら、いいんだけどな。俺どうなっちゃうんだろ、て……ダメだろ、もう。割り切れてねぇ。俺の一番はさ、俺が一番大事なのはさ……」
元々口角の上がった唇の形をしているが、今はその口の端を無理やり引き上げているようにしか見えない。汐らしく眉も目尻も下がっているのに、口だけ笑ってる。
しかし急にハッと目を見開いて、僕を見る。
「でも、今夜は出雲とすんなよ。しないで。してもいいけど、しないって言え。言えよ」
「しないよ」
即答したら目を丸くして、また前を見て頷いた。
「はは、ありがと」
「ほんとに、しない」
「わかったわかった」
もう、駅に着く。時間ギリギリだ。間に合わないかもしれない。
引き止めたい、どうして。どうして今、こんな場所でそんな話を。説得もできやしない。
話し合いをさせないため? 一方的に別れを突きつけるため?
「やだよ」
置いていかれる子供のような、縋るような声が出た。
「やだよ、隼人……」
首の後ろ、付け根の部分に触れる。さっきまで光の下で赤みをさしていた、夜の街では黒く見える髪の下には、僕の吸い痕がある。
僕の痕跡があることを教えるつもりだった。
身体の中も、ここも、まだ僕がいるんだよと。
けれど撫でた襟足からは、香水の匂いが香って。
スモーキーで重いバニラの香りが君自身の存在感を際立たせる。
「隼人……」
「そんな情けねぇ顔すんなよ」
ふわっと柔らかい風のあと、節のしっかりした、けれども細く長い指が、僕の頭を撫でる。頭頂部から後頭部まで、髪の流れをなぞるように、二往復だけ。
「お前、俺が連絡しなきゃそのままだろ。いいじゃんそれで。自然消滅ってやつ、それが一番普通の、なんでもない終わり方だ。よくあることだろ?」
「知らない。こんな関係は、君が初めてだから」
「なら覚えとけ。こんなもんでいいんだよ」
「もっと、君のことが……知りたい」
「だから……そんなこと考えだしたら終わりだろ、もう」
駅前のロータリーを見渡しながら、僕よりずっと若い癖に随分と大人びた声で語る。
「いつ……決めたの?」
「ついさっき」
左右を確認していた大鳥は、タクシー乗り場を見て動きを止める。
「俺、タクシーで行くわ」
そして僕を見上げて笑う。
その瞬間を切り取りたいくらい、いい顔で。街頭の少ない光すらその瞳に取り込んで。
出雲もこんな風に唐突に捨てられたんだと実感する。毎日泣いてたあの子を思い出す。
酷い子だ。もうこちらは沼の奥底に足を絡め取られだしているというのに。今までどれだけ人を泣かせているのだろうか。
戸惑いに、怒りが混じり始める。自分勝手すぎるだろう。
文句を言ってやろうと思った。チクチクとした嫌味を並べてやろうと思った。
しかし大鳥は離れる寸前、僕の首筋に顔を埋め、鼻先をひくつかせた。そしてすでに懐かしむような声で「お前の煙草の匂い」とため息とともに呟く。
見えないように、前を開いたコートの下に手を滑り込ませて腹を撫でる。
エレベーターに閉じ込められたあの夏の日はTシャツを着ていても汗だくだった。
「連絡、する。また会おう?」
撫でていた下腹部の筋肉がヒクッと震え、首筋に熱い息がかかる。
そしてその熱だけ残して、大鳥の身体は離れていった。
「マジで時間やべぇから。じゃーな。お前もまっすぐ帰れよ」
大鳥はなんでもないような清々しい顔をして、左手で軽く手を振って去っていく。
タクシーに乗り込むまでを遠目で見送りながら、君の香りが残る手の平を握って、それを閉じ込めた。
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