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16.一つの幸せの形
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咄嗟に、あ、マズイ、と悟る。
その時にはもうソファに押し倒されていた。
「一週間だぞ、一週間。一日だって離れていたくないのに、一週間。その間にアリーサが知らん男を引き込んだらと思うと夜も眠れないというのにっ」
「わ、わ! 待ってヨアキム! 妊娠してるから! セックスは出来ないから!」
ヨアキムの手が不穏に身体を撫でて首筋を舐められる。
失言を悟ったけど、それ以上にヨアキムの暴走を許すわけにはいかない。妊娠してない時だったらそのまま足腰立たないくらいまで抱き潰されてたけど、今は医者にも禁止されてるから。
ヨアキムが私の制止にぴたりと動きを止めた。葛藤しているのかぐぐっと拳を握り締めているのが見えて、そうして深く息を吐きながらほんの少し顔を離してくれた。
「ごめんね、私の言い方が悪かった。一週間なら家にある食料でどうにか保つし、誰とも会わないから大丈夫だよ」
それより長いと、村の人に頼んでもらって何かしら届けて欲しいけど。一週間なら大丈夫だ。
「……すまない。アリーサの事になるとカッとなってしまう」
「私が好きなのはヨアキムだけだよ。もうヨアキム以外、誰も要らないから。……あ、でも子供が産まれたら大事にしたいけど」
「ああ、そうだな。俺とアリーサの子供だ、大切に育てよう」
私のまだぺったんこなお腹を撫でて、ヨアキムが顔を緩めて笑った。
ヨアキムの不安定は全部私のせいだ。
私がヨアキムを待てなかったから。その反動で色んな男と寝たから。
そのせいでヨアキムはずっと苦しんでいる。
でもこの生活がヨアキムのためだけで、私がただ我慢を強いられているだけかというと、そんなことは全然ない。
ヨアキムに囲われて、ヨアキムだけで完結する世界。ヨアキムが出掛けても必ず帰ってきてくれる安心感。
それは私にとっても何よりもの幸せだ。
ヨアキムも私もどこか壊れてる。
でもイビツな者同士がぴったり合わさって一つの幸せの形になっているんだと思う。
だってヨアキムも私も、ずうっと想い合っていた初恋の相手とこうして一緒になれたのだから。
完璧じゃなくても、これが私たちの辿り着いた幸せなんだ。
その時にはもうソファに押し倒されていた。
「一週間だぞ、一週間。一日だって離れていたくないのに、一週間。その間にアリーサが知らん男を引き込んだらと思うと夜も眠れないというのにっ」
「わ、わ! 待ってヨアキム! 妊娠してるから! セックスは出来ないから!」
ヨアキムの手が不穏に身体を撫でて首筋を舐められる。
失言を悟ったけど、それ以上にヨアキムの暴走を許すわけにはいかない。妊娠してない時だったらそのまま足腰立たないくらいまで抱き潰されてたけど、今は医者にも禁止されてるから。
ヨアキムが私の制止にぴたりと動きを止めた。葛藤しているのかぐぐっと拳を握り締めているのが見えて、そうして深く息を吐きながらほんの少し顔を離してくれた。
「ごめんね、私の言い方が悪かった。一週間なら家にある食料でどうにか保つし、誰とも会わないから大丈夫だよ」
それより長いと、村の人に頼んでもらって何かしら届けて欲しいけど。一週間なら大丈夫だ。
「……すまない。アリーサの事になるとカッとなってしまう」
「私が好きなのはヨアキムだけだよ。もうヨアキム以外、誰も要らないから。……あ、でも子供が産まれたら大事にしたいけど」
「ああ、そうだな。俺とアリーサの子供だ、大切に育てよう」
私のまだぺったんこなお腹を撫でて、ヨアキムが顔を緩めて笑った。
ヨアキムの不安定は全部私のせいだ。
私がヨアキムを待てなかったから。その反動で色んな男と寝たから。
そのせいでヨアキムはずっと苦しんでいる。
でもこの生活がヨアキムのためだけで、私がただ我慢を強いられているだけかというと、そんなことは全然ない。
ヨアキムに囲われて、ヨアキムだけで完結する世界。ヨアキムが出掛けても必ず帰ってきてくれる安心感。
それは私にとっても何よりもの幸せだ。
ヨアキムも私もどこか壊れてる。
でもイビツな者同士がぴったり合わさって一つの幸せの形になっているんだと思う。
だってヨアキムも私も、ずうっと想い合っていた初恋の相手とこうして一緒になれたのだから。
完璧じゃなくても、これが私たちの辿り着いた幸せなんだ。
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