【R18】転生したらお姫様で嫁いだ王子様は触手プレイ好きの変態だった

水野恵無

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「おっかしいと思ったんだよな。妙によそよそしいし。まぁそれも今世のお前の人生の楽しみ方なんだとノってやったのが悪かったのか?」
「……え?」

 聞き捨てならないセリフに今度こそ思考が止まる。
 今世って言った?今世なんて言葉、つまり前世があるって前提だ。ルトブルク国には輪廻転生なんて考えは無い。ていうか多分この世界の人達は、死んだら同じ魂を持って新しい肉体で生を受けるっていう「生まれ変わり」っていう認識そのものが無い。
 だからそんなセリフ、普通に出てくるはずがないんだ。

「こうなったらイチから説明してやるとだな、俺はお前を知ってる。前世があることも知ってる。そういうトコ引っくるめて全部、ディアナに惹かれたからな」
「前世なんて……え、なんで?」
「お前、この触手の幼体を見て普通に『触手がなんでこんなとこに?』って言ったんだよ。覚えてないか?」
「覚えてます。でもそれが」

 何?
 首を傾げた私に、エーヴァルト様がニヤニヤと笑う。その笑い方はさっきまでの完璧王子とは全然違って、でもなんか悪役っぽくてこれはこれで良い!って思った。
 ……だって私、腹黒ドSキャラが好きなんだもん!

「お前は知らなかったみたいだけどな、この世界には『触手』なんて概念は無い。こいつを見たやつらの反応は決まって『バケモノ!気持ち悪い!殺して!』だ」
「え?この国では普通の存在なんじゃ?」
「いや?こいつは俺のオリジナル魔法生物だって言っただろ?」

 そういえば聞いた気がする。

「こいつは、俺がせっかく魔法のある国に生まれ変わったんなら折角ならファンタジーでしかなかった触手プレイをしてみてぇって願望で生んだ生物だ。だからこいつを『触手』って呼べるお前も前世の割と近い時代に生きてた人間だったんじゃないかって想像できたってわけだ。理解できたか?」
「え、待ってください」

 情報が多すぎて処理しきれない。

「俺が女装してたのは変装だ。あの時期はまだこの国の跡継ぎ争いが酷くてな、命狙われてたからよ。でも『大きくなったら迎えに行くから結婚しよう』って言っただろ?」
「それは聞きましたけど、でも」

 女の子だと思ってたからよくある子供の他愛ない約束だって思ってて。
 多分お父様もそうだったんだろう。ルトブルク国の王子からの求婚だなんてきっと本気にしてなくて、だから私にも知らせてもくれていなくて。

 って、待って。

「エーヴァルト様が私のこと好きな理由って触手プレイに付き合ってくれる唯一の女だからってことですか!?」
「まぁそれが切っ掛けだったことは否定できねぇな」

 けらけらと笑うその悪気ない態度に目眩がする。
 すいっと立ち上がったエーヴァルト様が私の顔を覗き込んできた。澄んだ碧眼に真っ直ぐ見つめられてどうしようもなくドキドキしてしまう。

「今はディアナのその飾らない可愛さを本気で愛してる」
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