【R18】恥ずかしくて好きな人から逃げてたら、無理やりに捕まえられた

水野恵無

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1.ほんと目立つよねー

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※注意※
痴漢についての描写があります。
苦手な方はお気をつけください。




 夏休み真ん中の登校日。
 久しぶりの早起き、暑い通学路にセミの鳴き声、日焼け止めと日傘で紫外線対策してどうにかたどり着いた教室。
 背中を流れる汗の感触やうんざりしていた全部が、教室についてその顔を見たら飛んでった。

――岡本おかもと

「うっわ、岡本ってば真っ黒で金髪んなってんじゃん」
「っ」

 ドアのとこで突っ立ってたら後ろから掛けられたユーコの声に心臓が口から飛び出るかと思った。
 なんでもない振りでどうにか振り向く。

「ねー、ほんと目立つよねー」
「岡本ぉ! ちょっとあんた、夏休みだからって調子乗ってない!?」

 ユーコが笑いながら大きな声で岡本に話しかけて、また心臓が跳ねた。
 夏休みが始まって登校日の今日まで、二十日くらい会ってなかったんだからそんないきなり。

 窓際の机の上に座って他の男子と喋ってた岡本がこっちを見るのが、妙にゆっくりに見えた。
 窓からの光で金髪がキラキラ光ってる岡本と目が合って。
 その瞬間の笑顔が脳内に勝手に保存された。

「よぉ久しぶり、紗知さちにユーコ」

 私の名前を先に呼んでくれる。そんな事が嬉しいとか、私も相当な末期だ。
 岡本がひょいって机から降りてこっちに近寄ってきた。かなり日焼けした肌がこんがり小麦色になってる。

 大丈夫、さっきトイレに寄って化粧は直してきたし汗も拭いた。スプレーだってちゃんとした。だから大丈夫。

「これめちゃくちゃキレイに染まってんだろ」
「……え、や、」
「しかもほっとんど傷んでねぇの、すごくね?」
「そ、そうなんだぁ?」
「触ってみろって紗知」

 岡本が腰を曲げて私に頭を見せてくる。それどころか触ってみろって言ってる。何これ、どういう状況?
 全然意味分かんなくて頭の中が真っ白になる。

「ユーコ、来て!」

 何を言えばいいのかも何をすればいいのかも分かんなくなった私は、ユーコの手を引いてトイレに引き返してた。
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