1 / 20
1.ほんと目立つよねー
しおりを挟む
※注意※
痴漢についての描写があります。
苦手な方はお気をつけください。
夏休み真ん中の登校日。
久しぶりの早起き、暑い通学路にセミの鳴き声、日焼け止めと日傘で紫外線対策してどうにかたどり着いた教室。
背中を流れる汗の感触やうんざりしていた全部が、教室についてその顔を見たら飛んでった。
――岡本。
「うっわ、岡本ってば真っ黒で金髪んなってんじゃん」
「っ」
ドアのとこで突っ立ってたら後ろから掛けられたユーコの声に心臓が口から飛び出るかと思った。
なんでもない振りでどうにか振り向く。
「ねー、ほんと目立つよねー」
「岡本ぉ! ちょっとあんた、夏休みだからって調子乗ってない!?」
ユーコが笑いながら大きな声で岡本に話しかけて、また心臓が跳ねた。
夏休みが始まって登校日の今日まで、二十日くらい会ってなかったんだからそんないきなり。
窓際の机の上に座って他の男子と喋ってた岡本がこっちを見るのが、妙にゆっくりに見えた。
窓からの光で金髪がキラキラ光ってる岡本と目が合って。
その瞬間の笑顔が脳内に勝手に保存された。
「よぉ久しぶり、紗知にユーコ」
私の名前を先に呼んでくれる。そんな事が嬉しいとか、私も相当な末期だ。
岡本がひょいって机から降りてこっちに近寄ってきた。かなり日焼けした肌がこんがり小麦色になってる。
大丈夫、さっきトイレに寄って化粧は直してきたし汗も拭いた。スプレーだってちゃんとした。だから大丈夫。
「これめちゃくちゃキレイに染まってんだろ」
「……え、や、」
「しかもほっとんど傷んでねぇの、すごくね?」
「そ、そうなんだぁ?」
「触ってみろって紗知」
岡本が腰を曲げて私に頭を見せてくる。それどころか触ってみろって言ってる。何これ、どういう状況?
全然意味分かんなくて頭の中が真っ白になる。
「ユーコ、来て!」
何を言えばいいのかも何をすればいいのかも分かんなくなった私は、ユーコの手を引いてトイレに引き返してた。
痴漢についての描写があります。
苦手な方はお気をつけください。
夏休み真ん中の登校日。
久しぶりの早起き、暑い通学路にセミの鳴き声、日焼け止めと日傘で紫外線対策してどうにかたどり着いた教室。
背中を流れる汗の感触やうんざりしていた全部が、教室についてその顔を見たら飛んでった。
――岡本。
「うっわ、岡本ってば真っ黒で金髪んなってんじゃん」
「っ」
ドアのとこで突っ立ってたら後ろから掛けられたユーコの声に心臓が口から飛び出るかと思った。
なんでもない振りでどうにか振り向く。
「ねー、ほんと目立つよねー」
「岡本ぉ! ちょっとあんた、夏休みだからって調子乗ってない!?」
ユーコが笑いながら大きな声で岡本に話しかけて、また心臓が跳ねた。
夏休みが始まって登校日の今日まで、二十日くらい会ってなかったんだからそんないきなり。
窓際の机の上に座って他の男子と喋ってた岡本がこっちを見るのが、妙にゆっくりに見えた。
窓からの光で金髪がキラキラ光ってる岡本と目が合って。
その瞬間の笑顔が脳内に勝手に保存された。
「よぉ久しぶり、紗知にユーコ」
私の名前を先に呼んでくれる。そんな事が嬉しいとか、私も相当な末期だ。
岡本がひょいって机から降りてこっちに近寄ってきた。かなり日焼けした肌がこんがり小麦色になってる。
大丈夫、さっきトイレに寄って化粧は直してきたし汗も拭いた。スプレーだってちゃんとした。だから大丈夫。
「これめちゃくちゃキレイに染まってんだろ」
「……え、や、」
「しかもほっとんど傷んでねぇの、すごくね?」
「そ、そうなんだぁ?」
「触ってみろって紗知」
岡本が腰を曲げて私に頭を見せてくる。それどころか触ってみろって言ってる。何これ、どういう状況?
全然意味分かんなくて頭の中が真っ白になる。
「ユーコ、来て!」
何を言えばいいのかも何をすればいいのかも分かんなくなった私は、ユーコの手を引いてトイレに引き返してた。
0
お気に入りに追加
201
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。
石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。
すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。
なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして
みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。
きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。
私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。
だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。
なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて?
全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです!
※「小説家になろう」様にも掲載しています。

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる