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第12話 低音のイマシメ 後編
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指紋?そこまで細かく無くてはいけない犯行だったのだろうか。
「近くに居て当たってしまった。じゃあ、ダメだったのか?」
井ノ尾は態度を急変させ、口の端を上へ動かし分かりやすく笑顔になった。その笑顔には、何かを見下すような視線が伺えた。
「センセーさ、私がやったのは小西の殺人…死んでないけど、それだけだと思ってんの?」
「…これだけじゃ…ないのか?」
井ノ尾は静かに笑いながら、声を出した。
「センセーのクラスの右手ない子居るじゃん。あの子復讐したいって言うからさ、私が復讐対象の給食にあの子の指入れてあげたの。あと、ウチのクラスの東にストレス発散方法と偽って己の体を斬らせたのも私。上手いこと乗せて『ストレス発散出来ないから死にました』って言わせた感じ?」
名護の前に居るのは単なるメンタリスト気取りなただの生徒。しかしそんな口車に乗り、自殺にまで追い込むなんてどれほどの口述を持ち合わせているのだろうか?
「センセーだって、同じような事してる癖に正義の味方気取りで私に説教ですか?」
「…先生がなにをしたって言うんだ?」
井ノ尾の暴露はエスカレートする一方だった。
「センセー、とぼけないで下さいよ。ウチのクラスに『居た』飯田?だっけ。あいつに毒盛らせたレストランチェーン店の店長…『センセの指示』でやったんでしょ?」
少しの沈黙が流れたが、会話は再開された。
「何故気づいたんだ?」
「センセー自分で言ったじゃん、『何故分かったのか…でも簡単だった』って。私、科学については凄い意欲あるんで薬品名も分かりますよ?センセーからちょっとだけ人体に有害な成分の香りがしますから。人体に影響のない薬品は存在しませんから、この事件について私の見解ですが、『始めに毒の材料と解毒剤を飲ませ、最後の二品待ちきれなかったのでは無く材料と解毒剤の分解液を二つ盛ったから』で合ってますか?」
名護は手を叩き、笑顔で正解を告げた。
「それじゃ、お互い同業者って事だな。今のうちに和解しておくか?」
「……そうですね。まぁ…『小西は私の獲物』です。今後邪魔をしないで貰いたいですね。」
こうして和解が成立した。
「近くに居て当たってしまった。じゃあ、ダメだったのか?」
井ノ尾は態度を急変させ、口の端を上へ動かし分かりやすく笑顔になった。その笑顔には、何かを見下すような視線が伺えた。
「センセーさ、私がやったのは小西の殺人…死んでないけど、それだけだと思ってんの?」
「…これだけじゃ…ないのか?」
井ノ尾は静かに笑いながら、声を出した。
「センセーのクラスの右手ない子居るじゃん。あの子復讐したいって言うからさ、私が復讐対象の給食にあの子の指入れてあげたの。あと、ウチのクラスの東にストレス発散方法と偽って己の体を斬らせたのも私。上手いこと乗せて『ストレス発散出来ないから死にました』って言わせた感じ?」
名護の前に居るのは単なるメンタリスト気取りなただの生徒。しかしそんな口車に乗り、自殺にまで追い込むなんてどれほどの口述を持ち合わせているのだろうか?
「センセーだって、同じような事してる癖に正義の味方気取りで私に説教ですか?」
「…先生がなにをしたって言うんだ?」
井ノ尾の暴露はエスカレートする一方だった。
「センセー、とぼけないで下さいよ。ウチのクラスに『居た』飯田?だっけ。あいつに毒盛らせたレストランチェーン店の店長…『センセの指示』でやったんでしょ?」
少しの沈黙が流れたが、会話は再開された。
「何故気づいたんだ?」
「センセー自分で言ったじゃん、『何故分かったのか…でも簡単だった』って。私、科学については凄い意欲あるんで薬品名も分かりますよ?センセーからちょっとだけ人体に有害な成分の香りがしますから。人体に影響のない薬品は存在しませんから、この事件について私の見解ですが、『始めに毒の材料と解毒剤を飲ませ、最後の二品待ちきれなかったのでは無く材料と解毒剤の分解液を二つ盛ったから』で合ってますか?」
名護は手を叩き、笑顔で正解を告げた。
「それじゃ、お互い同業者って事だな。今のうちに和解しておくか?」
「……そうですね。まぁ…『小西は私の獲物』です。今後邪魔をしないで貰いたいですね。」
こうして和解が成立した。
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