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狐の小道
双剣
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私は動かなくなったBOSSに言った。
「これが最後の、BOSSが私たちに見せたかった姿なんだよね。食べられる、殺される側、弱い立場の人が強い立場の人と和解するためには血を流さなくてはないってこと。」
BOSSの攻撃が一瞬止まった瞬間を狙って私は剣を刺した、剣技を習っていたわけではないし素人同然だった。そんな私が今まで戦いを強いられてきたBOSSに、剣を当てることができた。BOSSは失った理性の中で、私たちにメッセージを伝えたかったんだろう。
こんなところに剣があること自体おかしかった。
「天ちゃむ、俺BOSSに殺されかけた。BOSSって俺に恨みでもあったのかな。」
私は首を横に振った。
「そんなことはないと思うよ。BOSS多分、快麻に何か伝えたかったんだと思う。そして、それはもう快麻に伝わってると思う。すごいいきなりだったでしょ、BOSSが怒り出したって言うか暴走したの。あれって多分私たちを試したんだと思う。」
「試す?」
「そう、人間は自分と違う異物を排除したいの。だから今と同じようなことが、これから先の旅の中にもあるって言うことを伝えたかったんだと思う。緊急時の訓練って言ったところかな。それを私たちに命がけで、クワガタたちの気持ちも込めて私たちに託したんだと思う。」
「そういうことか、そして俺たちは今の作戦を咄嗟に考えた。身に着いたのかもしれないということだな。」
「うん。BOSSがしたことは間違いかもしれないし、正解かもしれない。もっと話をして違うやり方ができたかもしれない、でもこのやり方を選んだBOSSの想いをのせて、旅をしよう。私たちの心にBOSSはいる。」
快麻は納得し、BOSSの亡骸を抱き締め階段を下りた。防犯対策で階段が落ちるというのは帰り道では関係ないらしい。
クワガタの城を出た瞬間、門番の三匹の無口なクワガタのうち一匹が口を開いた。
「おい、お前ら。頼んだぞ。BOSSの亡骸は任せろ。だが、その前にやることがある。」
クワガタたちはBOSSの亡骸に飛びついた。ガチャガチャガチャ。BOSSの外骨格が外れる音がする。ぐろいと言えばぐろい。
「これをやる。」
そういうとクワガタたちは快麻の手元までBOSSの大きな二つの顎を持ってきた。
「BOSSの顎、持ち手まで加工されてる。剣か?」
「そうだ。BOSSの顎の双剣だ。BOSSの顎は人間の鉄砲の力でも防げる硬さがある。この先も絶対に役に立つはずだ。」
私たちはクワガタたちに会釈をして、別れを告げ、元々いた道に戻ってきた。
「これが最後の、BOSSが私たちに見せたかった姿なんだよね。食べられる、殺される側、弱い立場の人が強い立場の人と和解するためには血を流さなくてはないってこと。」
BOSSの攻撃が一瞬止まった瞬間を狙って私は剣を刺した、剣技を習っていたわけではないし素人同然だった。そんな私が今まで戦いを強いられてきたBOSSに、剣を当てることができた。BOSSは失った理性の中で、私たちにメッセージを伝えたかったんだろう。
こんなところに剣があること自体おかしかった。
「天ちゃむ、俺BOSSに殺されかけた。BOSSって俺に恨みでもあったのかな。」
私は首を横に振った。
「そんなことはないと思うよ。BOSS多分、快麻に何か伝えたかったんだと思う。そして、それはもう快麻に伝わってると思う。すごいいきなりだったでしょ、BOSSが怒り出したって言うか暴走したの。あれって多分私たちを試したんだと思う。」
「試す?」
「そう、人間は自分と違う異物を排除したいの。だから今と同じようなことが、これから先の旅の中にもあるって言うことを伝えたかったんだと思う。緊急時の訓練って言ったところかな。それを私たちに命がけで、クワガタたちの気持ちも込めて私たちに託したんだと思う。」
「そういうことか、そして俺たちは今の作戦を咄嗟に考えた。身に着いたのかもしれないということだな。」
「うん。BOSSがしたことは間違いかもしれないし、正解かもしれない。もっと話をして違うやり方ができたかもしれない、でもこのやり方を選んだBOSSの想いをのせて、旅をしよう。私たちの心にBOSSはいる。」
快麻は納得し、BOSSの亡骸を抱き締め階段を下りた。防犯対策で階段が落ちるというのは帰り道では関係ないらしい。
クワガタの城を出た瞬間、門番の三匹の無口なクワガタのうち一匹が口を開いた。
「おい、お前ら。頼んだぞ。BOSSの亡骸は任せろ。だが、その前にやることがある。」
クワガタたちはBOSSの亡骸に飛びついた。ガチャガチャガチャ。BOSSの外骨格が外れる音がする。ぐろいと言えばぐろい。
「これをやる。」
そういうとクワガタたちは快麻の手元までBOSSの大きな二つの顎を持ってきた。
「BOSSの顎、持ち手まで加工されてる。剣か?」
「そうだ。BOSSの顎の双剣だ。BOSSの顎は人間の鉄砲の力でも防げる硬さがある。この先も絶対に役に立つはずだ。」
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