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第15章 絶望の街『イルニス』
第207話 黄土の創造者
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「ムー!」
勇ましい声と共にファイヤー・コアにぶつかっていったゴレちゃんが、爆弾と共に爆発した。
「なっ」
この行動に驚いたのはケインのほうだった。まさか小さなゴレちゃんが大きいゴレムンちゃんの身代わりになって爆発を受けるとは、思っていなかった──というよりは、ゴレちゃんが犠牲になってもセリナが眉一つ上げないくらい落ち着いていることに驚いているようだった。
「あんた……可愛い顔して意外と残酷なんだな。自分のゴーレムがさっそく犠牲になったっていうのに」
笑ってはいるが、ケインの頬は引き攣っていた。そんな少しうろたえているケインに対して、セリナは涼しい顔で奴に告げた。
「安心してください。この子たちは大地がある限り何度も蘇ります。この大地全てが、私にとってのゴーレムなのです」
そう話している間もセリナの足元はぼこぼこと波打っており、中から先ほど爆発に巻き込まれて無惨に散ったはずのゴレちゃんが元気良く飛び出してきた。ゴーレムが何度も蘇る。この現状にケインは一瞬目を瞠ったが、すぐに笑い出した。
「……どうやら俺は、あんたの強さを見誤っていたみたいだ」
「評価を正しくしてくれたようで嬉しいです」
楽しげに笑うケインを前にしても、セリナの口調は変わらず丁寧だった。ただ、表情だけは終始真顔で、彼女の怒りの炎はこの間も静かに燃え続けていた。
「それでは、今度は私から行きます。ゴレムンちゃん!」
セリナが名前を呼ぶと、ゴレムンちゃんは「ウォォォ!」と野太い雄たけびをあげた。
息を呑むほど迫力の雄たけびだった。愛らしいゴレちゃん、ムンちゃんにはない気迫。そして圧倒的な巨体。これが目の前に現れたら大概の人なら足がすくんでしまうだろう。それくらいゴレムンちゃんには迫力と殺気があった。
大きく振りかぶったゴレムンちゃんは、ためらうことなく突き上げた拳をケインの頭上に落とした。
自身の風の魔法を使って高くジャンプしたケインは難なくゴレムンちゃんの攻撃を避けた。だが、ゴレムンちゃんの拳が当たった岩は粉々に砕け、貫通した地面は縦に真っ二つになるくらい地割れを起こしていた。
「おうおう、容赦ないな」
冷や汗を流しながら割れた地面を見ているケインに、今度は背後からゴレちゃんとムンちゃんが飛び乗って奴の背中を蹴り出した。
「ム~~!!」
可愛らしい声とは裏腹に、ゴレちゃんたちの攻撃力は凄まじく、蹴られたケインはその衝撃でぶっ飛ばされた。転がるように地面に叩きつけられたケインはすぐに手をついて体制を立て直したが、痛みで顔をしかめていた。
「くっそ……うぜえな、こいつら」
舌打ちをしながら、ケインは再びポケットから藍色のコアを取り出す。あれはアイス・コアだ。
ゴレムンちゃんの足元に投げられたアイス・コアはゴレムンちゃんの足元で音を鳴らして爆発した。
爆発したアイス・コアは大きな氷の塊と化して、爆風と共に地上を舞った。爆弾で『冷たい風』を作り出したようだ。
しかし、大きな氷の塊がガンガンと当たってもゴレムンちゃんの巨体はびくともしなかった。ただ、氷の塊が入り混じった爆風はゴレムンちゃんの視界を邪魔するようで動きづらそうにしていた。
「ほら、余所見してると危ないぜ」
ククッと笑いながらケインが指を鳴らすと、今度はゴレムンちゃんの足元で爆発が起きた。アイス・コアの爆弾で視界を奪っているうちに、本命のファイヤー・コアを爆発させたのだ。
爆発で足元が木っ端微塵に壊されたゴレムンちゃんはバランスを崩してその場に倒れ込んだ。その重みで地面が揺れるほどの衝撃が辺りを走ったが、セリナはすぐにまた地面に手をついてゴレムンちゃんの体の再生を始めた。
「あー……こいつもすぐに直っちゃう訳ね」
セリナの魔法で壊れた体がみるみると直っていくゴレムンちゃんを見て、ケインは弱ったように頭を掻いた。けれども、すぐにニヤリと口角を上げたケインは、下衆な表情を保ったまま高笑いした。
「やっぱり──叩くなら本体ってことだよな!」
笑いながらケインはセリナに向かってファイヤー・コアを一個、二個と連投する。彼女に当たる前にゴレちゃんとムンちゃんが高くジャンプするが、高さが足りずにコアはゴーレムたちの頭上を過った。このままではセリナに直撃する。
「セリナ!」
彼女の名前を叫んだところで、直撃したコアが火花を散らして爆発した。
近くにあった岩山ですらも巻き込んだ大きな爆発だった。飛んできた岩の破片はリオンの風の盾で護ってもらったが、爆風と砂埃が吹き荒れたせいで俺たちの視界は奪われてしまった。
勇ましい声と共にファイヤー・コアにぶつかっていったゴレちゃんが、爆弾と共に爆発した。
「なっ」
この行動に驚いたのはケインのほうだった。まさか小さなゴレちゃんが大きいゴレムンちゃんの身代わりになって爆発を受けるとは、思っていなかった──というよりは、ゴレちゃんが犠牲になってもセリナが眉一つ上げないくらい落ち着いていることに驚いているようだった。
「あんた……可愛い顔して意外と残酷なんだな。自分のゴーレムがさっそく犠牲になったっていうのに」
笑ってはいるが、ケインの頬は引き攣っていた。そんな少しうろたえているケインに対して、セリナは涼しい顔で奴に告げた。
「安心してください。この子たちは大地がある限り何度も蘇ります。この大地全てが、私にとってのゴーレムなのです」
そう話している間もセリナの足元はぼこぼこと波打っており、中から先ほど爆発に巻き込まれて無惨に散ったはずのゴレちゃんが元気良く飛び出してきた。ゴーレムが何度も蘇る。この現状にケインは一瞬目を瞠ったが、すぐに笑い出した。
「……どうやら俺は、あんたの強さを見誤っていたみたいだ」
「評価を正しくしてくれたようで嬉しいです」
楽しげに笑うケインを前にしても、セリナの口調は変わらず丁寧だった。ただ、表情だけは終始真顔で、彼女の怒りの炎はこの間も静かに燃え続けていた。
「それでは、今度は私から行きます。ゴレムンちゃん!」
セリナが名前を呼ぶと、ゴレムンちゃんは「ウォォォ!」と野太い雄たけびをあげた。
息を呑むほど迫力の雄たけびだった。愛らしいゴレちゃん、ムンちゃんにはない気迫。そして圧倒的な巨体。これが目の前に現れたら大概の人なら足がすくんでしまうだろう。それくらいゴレムンちゃんには迫力と殺気があった。
大きく振りかぶったゴレムンちゃんは、ためらうことなく突き上げた拳をケインの頭上に落とした。
自身の風の魔法を使って高くジャンプしたケインは難なくゴレムンちゃんの攻撃を避けた。だが、ゴレムンちゃんの拳が当たった岩は粉々に砕け、貫通した地面は縦に真っ二つになるくらい地割れを起こしていた。
「おうおう、容赦ないな」
冷や汗を流しながら割れた地面を見ているケインに、今度は背後からゴレちゃんとムンちゃんが飛び乗って奴の背中を蹴り出した。
「ム~~!!」
可愛らしい声とは裏腹に、ゴレちゃんたちの攻撃力は凄まじく、蹴られたケインはその衝撃でぶっ飛ばされた。転がるように地面に叩きつけられたケインはすぐに手をついて体制を立て直したが、痛みで顔をしかめていた。
「くっそ……うぜえな、こいつら」
舌打ちをしながら、ケインは再びポケットから藍色のコアを取り出す。あれはアイス・コアだ。
ゴレムンちゃんの足元に投げられたアイス・コアはゴレムンちゃんの足元で音を鳴らして爆発した。
爆発したアイス・コアは大きな氷の塊と化して、爆風と共に地上を舞った。爆弾で『冷たい風』を作り出したようだ。
しかし、大きな氷の塊がガンガンと当たってもゴレムンちゃんの巨体はびくともしなかった。ただ、氷の塊が入り混じった爆風はゴレムンちゃんの視界を邪魔するようで動きづらそうにしていた。
「ほら、余所見してると危ないぜ」
ククッと笑いながらケインが指を鳴らすと、今度はゴレムンちゃんの足元で爆発が起きた。アイス・コアの爆弾で視界を奪っているうちに、本命のファイヤー・コアを爆発させたのだ。
爆発で足元が木っ端微塵に壊されたゴレムンちゃんはバランスを崩してその場に倒れ込んだ。その重みで地面が揺れるほどの衝撃が辺りを走ったが、セリナはすぐにまた地面に手をついてゴレムンちゃんの体の再生を始めた。
「あー……こいつもすぐに直っちゃう訳ね」
セリナの魔法で壊れた体がみるみると直っていくゴレムンちゃんを見て、ケインは弱ったように頭を掻いた。けれども、すぐにニヤリと口角を上げたケインは、下衆な表情を保ったまま高笑いした。
「やっぱり──叩くなら本体ってことだよな!」
笑いながらケインはセリナに向かってファイヤー・コアを一個、二個と連投する。彼女に当たる前にゴレちゃんとムンちゃんが高くジャンプするが、高さが足りずにコアはゴーレムたちの頭上を過った。このままではセリナに直撃する。
「セリナ!」
彼女の名前を叫んだところで、直撃したコアが火花を散らして爆発した。
近くにあった岩山ですらも巻き込んだ大きな爆発だった。飛んできた岩の破片はリオンの風の盾で護ってもらったが、爆風と砂埃が吹き荒れたせいで俺たちの視界は奪われてしまった。
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