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第9章 束の間の休息
第138話 リオンの武器
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「リオちゃん、この杖は?」
口に手を当てて驚くアンジェの隣で、セリナが「うふふ」と笑う。
「お礼の品です。リオン君、武器がないようだったので」
「え、これセリナが作ったのか?」
「はい。リハビリがてら、ですが」
目を細めるセリナの隣でリオンは得意気な表情を浮かべながら背負っていた杖を構えた。
杖はリオンの身長くらいの長さがあり、先端に緑色の宝玉が埋め込まれていた。長さはあるが華奢なリオンでも振り回せるくらいの軽さで、コアが組み込まれたこの宝玉でマジックパワーも高まるという優れものだ。
「きっとリオン君は近距離よりも遠距離のほうが向いていると思ったので、魔法特化の武器にしてみました」
「ありがとうセリちゃん。これで鬼に金棒ね」
パチンとウインクするアンジェにセリナは「それほどでも」と首を振る。
武器だけではない。リオンの衣類もたくさん買ってもらったようで、彼女が持つ買い物籠には衣類がいっぱい入っていた。
「病み上がりだったのに、大荷物で悪かったな」
頭を掻きながら申し訳なく言うが、セリナはにこやかな表情で「大丈夫です」と言い切る。
「ゴレちゃんとムンちゃんにも運ぶの手伝ってもらったので」
と、セリナが言うと、呼ばれたと思ったのか地面から二体のゴーレム……ゴレちゃんとムンちゃんが現れた。
「ム~!」
元気いっぱいに両手を挙げるゴレちゃんとムンちゃん。確かにこいつらは増殖もするし、力もあるから荷物運びには便利だ。それに、リオンにもすっかり懐いているようで今も楽しそうに彼の周りをくるくると回っていた。
「まー……久しぶりに見たけどこいつらも元気そうで」
半目になりながらハイテンションのゴーレム二体を眺める。その横ではアンジェとセリナも微笑ましそうにして見守っていた。
「でも、セリナが良くなって安心したわ」
「みなさんのおかげですよ。でも、ギルドの復興作業をまったくしていないので、職場の人には申し訳なく思ってます……」
「いいのよセリちゃん。そんなのは男どもに任せちゃいなさい」
「ウフフ」と上品に口に手を当てて笑うアンジェに、セリナも釣られるように笑う。
ほんわかとした和やかな空気が流れる。ただ、他愛のない話に花を咲かせるのもいいが、腹も減ってきた。それはノアも同じようで「まだか?」と言うように俺の頭に乗っかってくる。
「そろそろ飯食いに行こうぜ」
ノアを乗せながら後ろで腕を組んで、くるりと方向転換する。そして、前方に見えた見知った顔に「あれ?」と小首を傾げた。
「ミドリーさんじゃないっすか」
思わず声をかけると彼も俺たちに気づいたようで「やあ」と手を挙げて挨拶する。
「揃いも揃って珍しいな」
「あ、はい。これからみんなで昼飯食いにくいところっす」
「あっはっは。それはいいことだ。たんと食べてこい」
ミドリーさんは笑いながらゴレちゃんムンちゃんと戯れていたリオンの頭を撫でる。
いきなり撫でられて驚いたのか、リオンはぽかんとした様子でミドリーさんを眺めていた。数日ぶりに再会したミドリーさんだが、相変わらず壮快感溢れる人である。
「でも、神官様も無事に会合が終わったようで安心しました」
「ああ。特に問題はない。そちらはどうだ?」
「こちらも特に変わりはないっすよ。あ、そういえばギルドが無事再開したので、さっそく教会にクーラの水と薬草届けておいたんで」
「そうかそうか。ありがとよ。お前たちがいたらこの街も安心だな」
腕を組んだミドリーさんは嬉しそうにニッと笑う。
そう言ってくれるミドリーさんだが、俺たちなんかより彼がいたほうがこの街は安心・安全だろう。組んだ腕からはっきりと見える筋肉の筋だっていつ見ても逞しい。警備的な意味でもこちらのほうが頼りがいがあるに決まっている。
しかし、正直この街に戻るのにもっと何日も空くと思っていたから、少しだけ拍子抜けしていた。無論、この数日の間に怪我人もおらず、リオンの出番もなかった。まあ、早く帰ってくることに越したことはないのだが――
口に手を当てて驚くアンジェの隣で、セリナが「うふふ」と笑う。
「お礼の品です。リオン君、武器がないようだったので」
「え、これセリナが作ったのか?」
「はい。リハビリがてら、ですが」
目を細めるセリナの隣でリオンは得意気な表情を浮かべながら背負っていた杖を構えた。
杖はリオンの身長くらいの長さがあり、先端に緑色の宝玉が埋め込まれていた。長さはあるが華奢なリオンでも振り回せるくらいの軽さで、コアが組み込まれたこの宝玉でマジックパワーも高まるという優れものだ。
「きっとリオン君は近距離よりも遠距離のほうが向いていると思ったので、魔法特化の武器にしてみました」
「ありがとうセリちゃん。これで鬼に金棒ね」
パチンとウインクするアンジェにセリナは「それほどでも」と首を振る。
武器だけではない。リオンの衣類もたくさん買ってもらったようで、彼女が持つ買い物籠には衣類がいっぱい入っていた。
「病み上がりだったのに、大荷物で悪かったな」
頭を掻きながら申し訳なく言うが、セリナはにこやかな表情で「大丈夫です」と言い切る。
「ゴレちゃんとムンちゃんにも運ぶの手伝ってもらったので」
と、セリナが言うと、呼ばれたと思ったのか地面から二体のゴーレム……ゴレちゃんとムンちゃんが現れた。
「ム~!」
元気いっぱいに両手を挙げるゴレちゃんとムンちゃん。確かにこいつらは増殖もするし、力もあるから荷物運びには便利だ。それに、リオンにもすっかり懐いているようで今も楽しそうに彼の周りをくるくると回っていた。
「まー……久しぶりに見たけどこいつらも元気そうで」
半目になりながらハイテンションのゴーレム二体を眺める。その横ではアンジェとセリナも微笑ましそうにして見守っていた。
「でも、セリナが良くなって安心したわ」
「みなさんのおかげですよ。でも、ギルドの復興作業をまったくしていないので、職場の人には申し訳なく思ってます……」
「いいのよセリちゃん。そんなのは男どもに任せちゃいなさい」
「ウフフ」と上品に口に手を当てて笑うアンジェに、セリナも釣られるように笑う。
ほんわかとした和やかな空気が流れる。ただ、他愛のない話に花を咲かせるのもいいが、腹も減ってきた。それはノアも同じようで「まだか?」と言うように俺の頭に乗っかってくる。
「そろそろ飯食いに行こうぜ」
ノアを乗せながら後ろで腕を組んで、くるりと方向転換する。そして、前方に見えた見知った顔に「あれ?」と小首を傾げた。
「ミドリーさんじゃないっすか」
思わず声をかけると彼も俺たちに気づいたようで「やあ」と手を挙げて挨拶する。
「揃いも揃って珍しいな」
「あ、はい。これからみんなで昼飯食いにくいところっす」
「あっはっは。それはいいことだ。たんと食べてこい」
ミドリーさんは笑いながらゴレちゃんムンちゃんと戯れていたリオンの頭を撫でる。
いきなり撫でられて驚いたのか、リオンはぽかんとした様子でミドリーさんを眺めていた。数日ぶりに再会したミドリーさんだが、相変わらず壮快感溢れる人である。
「でも、神官様も無事に会合が終わったようで安心しました」
「ああ。特に問題はない。そちらはどうだ?」
「こちらも特に変わりはないっすよ。あ、そういえばギルドが無事再開したので、さっそく教会にクーラの水と薬草届けておいたんで」
「そうかそうか。ありがとよ。お前たちがいたらこの街も安心だな」
腕を組んだミドリーさんは嬉しそうにニッと笑う。
そう言ってくれるミドリーさんだが、俺たちなんかより彼がいたほうがこの街は安心・安全だろう。組んだ腕からはっきりと見える筋肉の筋だっていつ見ても逞しい。警備的な意味でもこちらのほうが頼りがいがあるに決まっている。
しかし、正直この街に戻るのにもっと何日も空くと思っていたから、少しだけ拍子抜けしていた。無論、この数日の間に怪我人もおらず、リオンの出番もなかった。まあ、早く帰ってくることに越したことはないのだが――
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