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第1章 異世界《エムメルク》の歩き方
第8話 結局頼るのは物理の力
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「とにかくそれの柄を強く握れ」
「握れって……こうか?」
半信半疑でフォークの柄をぎゅっと握る。すると、フォークは紫色のオーラを纏って俺の身長くらいまでに一気に伸びた。
こうなると見た目はフォークだが、形はトライデントのような三叉槍に見えなくもない。いや、ひょっとするとこれもフォークではなくて槍なのかもしれない。
そんな淡い期待を抱いていたが、ノアが「ふふん」と笑いながら速攻で打ち砕いた。
「名づけて『バトルフォーク』だ」
「やっぱりこれフォークなんじゃねえのかよ!」
少しくらい望みをくれよ」と思ったが、ノアは俺のツッコミをスルーして言葉を紡いだ。
「それと、簡易的な属性魔法なら微量の魔力で使えるぞ」
「え⁉︎」
俺の持つ属性……すなわち氷。ノアの言うことが本当なら魔力がたったの三しかない俺でも打てるということか。
さっそく使おうとしているとノアも俺の行動を読んでいるかのようにステータスボードを出した。
俺が覚えている魔法は――
「『冷たい風』」
その呪文を告げると、まるで自分から冷気が出ているかのように手のひらが冷たくなった。その冷気がバトルフォークにも伝い、周りの空気を一気に冷たくさせる。
――これが、魔法。この感触なら、行ける気がする。
「おっしゃぁぁ! 行けぇぇ!」
雄叫びをあげながらバトルフォークをスライムに向けて突き出す。すると、フォークの櫛状の部分に冷気が集まった……気がした。
「……あれ?」
俺の気合いとは裏腹に、フォークの先端から白いキラキラとした粒子が出ている。粒子はスライムのほうに飛んで行ったが、スライムの顔が少し濡れただけで何もダメージは与えられてない。これには構えていたスライムもポカンとしており、不思議そうに首を傾げた。ただ、それを一部始終見ていたノアだけが爆笑している。
「なんだよそれ、貴様が出してるのただの粉雪ではないか」
「うるせえクソにゃんこ! 初めてなんだから仕方がないだろ! そもそも案内人なんだからコツくらい教えろよ!」
「魔法にコツなんてない。強いて言えばイメージと情熱とノリだ」
「本当にコツじゃないな! むしろ今その三つでやったわ!」
啖呵を切って喋る俺に、ノアは呆れたように息を吐く。
このやり取りには敵のスライムも戦いの最中なのに半笑いだ。ギャグみたいな事態だが、状況が悪さは相変わらず横ばいだ。流石にそれはまずい。
「くそ……結局物理攻撃かよ」
魔法は一旦諦め、改めてバトルフォークを構える。すると、スライムも殺る気を取り戻したのか、再び跳ねだした。
スライムがまた俺を目がけて飛んでくる。だが、同じ手は二度も食らわん。
「おらぁ!」
かけ声と共に突撃してきたスライムを蹴り返す。
「ピギャッ!」と短い断末魔をあげたスライムはまるでサッカーボールのように勢いよく飛んでいき、そのまま原っぱに何バウンドもして転がった。
「おお~」
俺の肩の上でノアが感心した声をあげる。
正直、スライムがここまで飛んでいったことにも驚いたが、何より自分の体の軽さに驚いた。
体が軽いことだけでない。蹴りの力だって強くなっているし、腹部まで飛んできたスライムをちゃんと芯を狙って蹴り返せた程の動体視力と瞬発力も身についている。
これは、俺の身体能力が上がっているということか?
疑問をぶつけるようにノアを見ると、彼はニンマリと悪戯っぽく笑った。
「――そういうことだ。存分に暴れたまえ」
それだけ言うと、ノアはポンッと俺の肩から降りて距離を保つようにその場から退いた。
「握れって……こうか?」
半信半疑でフォークの柄をぎゅっと握る。すると、フォークは紫色のオーラを纏って俺の身長くらいまでに一気に伸びた。
こうなると見た目はフォークだが、形はトライデントのような三叉槍に見えなくもない。いや、ひょっとするとこれもフォークではなくて槍なのかもしれない。
そんな淡い期待を抱いていたが、ノアが「ふふん」と笑いながら速攻で打ち砕いた。
「名づけて『バトルフォーク』だ」
「やっぱりこれフォークなんじゃねえのかよ!」
少しくらい望みをくれよ」と思ったが、ノアは俺のツッコミをスルーして言葉を紡いだ。
「それと、簡易的な属性魔法なら微量の魔力で使えるぞ」
「え⁉︎」
俺の持つ属性……すなわち氷。ノアの言うことが本当なら魔力がたったの三しかない俺でも打てるということか。
さっそく使おうとしているとノアも俺の行動を読んでいるかのようにステータスボードを出した。
俺が覚えている魔法は――
「『冷たい風』」
その呪文を告げると、まるで自分から冷気が出ているかのように手のひらが冷たくなった。その冷気がバトルフォークにも伝い、周りの空気を一気に冷たくさせる。
――これが、魔法。この感触なら、行ける気がする。
「おっしゃぁぁ! 行けぇぇ!」
雄叫びをあげながらバトルフォークをスライムに向けて突き出す。すると、フォークの櫛状の部分に冷気が集まった……気がした。
「……あれ?」
俺の気合いとは裏腹に、フォークの先端から白いキラキラとした粒子が出ている。粒子はスライムのほうに飛んで行ったが、スライムの顔が少し濡れただけで何もダメージは与えられてない。これには構えていたスライムもポカンとしており、不思議そうに首を傾げた。ただ、それを一部始終見ていたノアだけが爆笑している。
「なんだよそれ、貴様が出してるのただの粉雪ではないか」
「うるせえクソにゃんこ! 初めてなんだから仕方がないだろ! そもそも案内人なんだからコツくらい教えろよ!」
「魔法にコツなんてない。強いて言えばイメージと情熱とノリだ」
「本当にコツじゃないな! むしろ今その三つでやったわ!」
啖呵を切って喋る俺に、ノアは呆れたように息を吐く。
このやり取りには敵のスライムも戦いの最中なのに半笑いだ。ギャグみたいな事態だが、状況が悪さは相変わらず横ばいだ。流石にそれはまずい。
「くそ……結局物理攻撃かよ」
魔法は一旦諦め、改めてバトルフォークを構える。すると、スライムも殺る気を取り戻したのか、再び跳ねだした。
スライムがまた俺を目がけて飛んでくる。だが、同じ手は二度も食らわん。
「おらぁ!」
かけ声と共に突撃してきたスライムを蹴り返す。
「ピギャッ!」と短い断末魔をあげたスライムはまるでサッカーボールのように勢いよく飛んでいき、そのまま原っぱに何バウンドもして転がった。
「おお~」
俺の肩の上でノアが感心した声をあげる。
正直、スライムがここまで飛んでいったことにも驚いたが、何より自分の体の軽さに驚いた。
体が軽いことだけでない。蹴りの力だって強くなっているし、腹部まで飛んできたスライムをちゃんと芯を狙って蹴り返せた程の動体視力と瞬発力も身についている。
これは、俺の身体能力が上がっているということか?
疑問をぶつけるようにノアを見ると、彼はニンマリと悪戯っぽく笑った。
「――そういうことだ。存分に暴れたまえ」
それだけ言うと、ノアはポンッと俺の肩から降りて距離を保つようにその場から退いた。
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