掌中の珠のように

花影

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真相2

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最後にちょっとだけ♂2、♀1のエッチシーンがあります。
アナルセックスの表現もちょっとだけあります。


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「ダーヴァッド殿、少し猶予を頂けないだろうか?」
 義総は沙耶の肩を抱いたまま、相手を見据える。
「猶予……ですか?」
 親密な様子の2人の姿を見て、彼は困惑した表情を浮かべる。実のところ、まだ沙耶が義総と……幸嗣もだが、閨を共にするような深い仲だとは伝えていない。
「彼女は日本の一般家庭で育ちました。今すぐサイラムの王女として公表するには、先程本人も言っていた言葉の問題だけでなく、様々な障害があると言えます。今しばらく我が家で預かり、あらゆる教養を身に付けた後、改めて本人の希望を聞くのが良いのではないかと思うのですが?」
「ふむ……しかしそうなると、貴公にまた迷惑がかかる」
 ダーヴァッドは少し思案する表情となる。そこへ義総と幸嗣が畳み掛けるように言葉を繋ぐ。
「迷惑ではありませんよ。実は、私と弟は彼女に求婚しております。ああ、サイラムの王女だからではありません。彼女の為人ひととなりが気に入っての事です。しかし、彼女が遠慮してなかなか答えを貰えない状況です」
「話し合った結果、自信と教養を身に付けた後、どちらを選ぶか決めてもらう事になっております。私達には不本意ですが、どちらも選ばずにサイラムに……という選択肢が増えると言うわけです」
 会話は全て英語で行われていた。沙耶は予めこういった内容で交渉すると聞かされていたが、それでもハラハラしながらセランの訳を聞いていた。
「ガラムが使用した薬の所為で、彼女の体調もまだ優れない時があります。近頃は随分良くなってきましたが、精神的な後遺症もあるので、環境が変われば悪化する恐れもあると医者は言っております」
 沙耶の病状は、欲情する部分を除いてダーヴァッドにも伝えてあった。義総の言葉に彼は考え込んでしまう。
「幸い、我が家の環境には随分慣れてきました。体調が良くなれば勉強も進み、自然と自信もついてくるでしょう」
 義総がそう締めくくったところで、一旦話を区切る事になった。そっと塚原が昼食の準備が整った事を知らせに来たので、一同はダイニングに席を移した。
 昼食の席では固い話は抜きにして、翌日が誕生日の沙耶の為に料理長が腕を振るった料理がふるまわれた。デザートは旬の果物をふんだんに使った大きなバースデーケーキ。チョコレートプレートに名前が入り、色とりどりの飴細工も飾ってある。今日の料理の中で一番力が入っているかもしれない。
「沙耶の誕生日は明日だったね。気に入るか分からないが、プレゼントを用意したよ」
 食後の飲み物が運ばれてくる頃、ダーヴァッドはセランに命じて何やら大きな包みを2つ持ってこさせた。
「私に……ですか?」
 驚く沙耶にダーヴァッドは笑みを浮かべて頷いた。
「開けて見なさい」
 促された沙耶はまず、一抱えもある平たい箱を開けてみる。中には以前に見せてもらった両親の絵姿が、大きく引き伸ばされて立派な額に入っていた。
 サラにもらった絵の方は、落としていたのを義総が拾ってくれていたので、今は彼女の宝物として小さな額に入れて飾っている。その絵より大きい分、2人の顔立ちがはっきりとわかる。
「……」
「気に入らないかね?」
 沙耶が黙り込んでしまい、ダーヴァッドは心配そうに尋ねてくる。
「いえ……嬉しいです。ありがとうございます」
 思いがけないプレゼントに沙耶は涙ぐみそうになっていた。そんな彼女にもう一つのプレゼントも開けるようにダーヴァッドは促した。
「綺麗……」
 大きな箱に入っていたのは、紫の地に細かいつる草の模様が施されたサイラムの民族衣装だった。全体的に刺繍やビーズでちりばめられていて、とても華やかである。それに合わせた靴や、宝石をちりばめた装飾品も多数用意されている。
「サイラムは18歳で成人と認められる。公の場で着れるものを用意した。
 彼としては彼女を養女として迎えるための準備だったのかも知れない。
「着てみるか?」
 衣装を体に当てていると、義総がいつの間にか綾乃を呼んでいた。
「はい、着てみたいです」
 沙耶は喜び、着替えるために自分の部屋に向かう。その間に男達はリビングに席を移し、交渉が再開された。沙耶が大倉家に留まる事はほぼ確定していたので、後はその他の細かい条件を徹底的に議論した。
 通訳を介さず、ダーヴァッドと義総は互いの意見を交わし、2人の話を聞きながら幸嗣が時折自分の意見を加える。着替えの済んだ沙耶が表れてもすぐには気付かないほど熱心に話し込んでいた。
「あの……」
 躊躇いがちに沙耶が声をかけてようやく3人は沙耶に気付く。
「似合いますか?」
 はにかみながらくるりとその場で回転すると、幾重にも重なったブレスレットや髪飾りがシャラリと鳴る。少し派手かと思ったが、沙耶の顔立ちには良く似合っていた。
「ああ、よく似合う」
「綺麗だよ」
 3人が褒めるとやはりうれしいのか頬を染める。始めて見る衣装に綾乃が苦心して着付けてくれたくれた甲斐があった。
 だが、話し合いはまだ終わってなかったので、その後は邪魔にならないよう、少し離れたところで寝そべっているアレクサンダーの毛並みを整えてやった。
 自分の事なのだが、口を挟む余地が無いのは確かだった。



 日が傾きかける頃、沙耶は義総や幸嗣と並んで車に乗り込むダーヴァッドを玄関で見送った。
「それではな、沙耶。ミスター・大倉、彼女を頼みます」
 ダーヴァッドは名残惜しく沙耶を抱擁し、義総と握手を交わした。互いの交渉術の限りを尽くした午後からの時間は、彼にとって実に有意義だったのかもしれない。
 ダーヴァッドは沙耶の後見人としての地位を得、義総は彼女の日本での生活全てを一任されるという形で落ち着き、費用はそれぞれが等分に出し合う事になった。双方それぞれが納得し、沙耶が20歳になった時、最終的にどうするかを彼女が決める事になり、それは彼女も了承した。
「お気を付けて、伯父様……」
 沙耶は悩んだ挙句、後見人となったダーヴァッドをそう呼ぶことに決めた。娘のいない彼は父と呼んで欲しかったようだが、それでも片言の英語でそう呼んでもらうと嬉しそうにしている。
「ダーヴァッド様、お時間が……」
 セランが遠慮がちに声をかける。ダーヴァッドはこれから支援してくれる各国の代表と会合の予定だった。時間がずれ込み、もうあまり余裕が無かった。
「分かった」
 渋々ダーヴァッドは車に乗り込み、セランが一堂に礼をして助手席に乗った。車が動き始めると、その車の前後を守るように護衛が乗った車も動き出した。
 沙耶は車が門を抜け、見えなくなってもしばらくその場を動こうとはしなかった。
「沙耶?」
 義総が訝しんで声をかける。ここは西日が差す。あまり暑い場所にいたのでは体に良くないのではないかと、過保護なくらいに彼は心配していた。
「気分が悪くなった?」
 過保護なのは幸嗣も同様である。長身を屈めて顔を覗き込んでくる。
「いえ……伯父様はこれからが大変なのに、これで良かったのかなって……」
「後悔しているのか?」
 沙耶の呟きに義総は怪訝そうに尋ねる。見ると幸嗣の眉間にも皺が寄っている。折角、大倉家で預かる事が正式に決まったのに、ダーヴァッドの所へ行きたくなったのかと暗に彼等は訊いているのだ。
「後悔しているわけではありません。このままでは何の役にも立ちませんし……」
 沙耶は慌てて否定するが、2人からは何だか不穏な空気が漂ってくる。
「プレゼントをもらって向こうの方が良くなった?」
「これは由々しき事態だ」
「あの……あの……」
 2人の視線を痛いくらいに感じる。どう釈明しようか迷っているうちに、沙耶の体は義総に抱き上げられる。
「お前の居場所は私の腕の中だと身を以て証明しなければならないようだな」
「その衣装、なかなかそそられるよね」
「え? え?」
 沙耶が狼狽している間に、義総はさっさと自分の部屋に向かって歩き始め、幸嗣もそれについてくる。獲物を狙うような目つきの2人がこれから何をしようとしているかは聞くまでも無かった。
「ま……まだ、明るいのに……」
「関係ない」
 男2人の返事は見事にハモっていた。沙耶の抵抗空しく、部屋に着くなりすぐに裸にされてベッドに押し倒される。彼女の体を熟知している彼等はすぐに感じる部分を攻め始め、たちまち絶頂へと導いてしまう。
「あぁぁぁ……あぁん!」
 一休みする間もなく、秘所には義総が、後孔には幸嗣が欲望を突き立ててくる。以前は後孔に入れられて感じる事は無かったが、あの薬の所為でより強い刺激を求めるのが普通になってしまい、こうして同時に抱かれて得られる快感を体が覚え込んでしまった。冷静に考えればはしたないと思うのだが、体は正直に反応してしまう。
「ああ、沙耶……」
「愛しているよ」
 2人が耳元で囁いてくる。全身を貫く快感に沙耶は体を震わせ、夜が更けるまで淫猥な快楽に身を任せてしまった。


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本編の中に記入し忘れたこと。

沙耶はピルを飲んでます。
別荘にいた頃、ひどい生理痛も医者に診察してもらい、それを軽減する為にピルが処方されてました。
初心な彼女はその薬が避妊薬になる事を知らず、いつぞや義総が言った「子供が出来ているかも……」のセリフを真に受けていた。
……といった設定を考えていました。
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