掌中の珠のように

花影

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執着6

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♂2、♀1の複数プレイがあります。苦手な方はご遠慮ください。


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「よ、義総様……」
 沙耶は体を離そうとするのだが、幸嗣がしっかりと体を押さえていて離してくれない。そうしている間に義総がソファに近寄ってきて、幸嗣の腕から沙耶を解放する。
「手を出すなと言わなかったか?」
 沙耶は義総に抱き上げられると何故かほっとする。それでもまだ震えが止まらず、ギュッと義総にしがみつく。
「もちろん覚えているよ。だけどさぁ、沙耶の家庭教師引き受けたし、留守中の仕事殆ど俺がやったんだからご褒美が欲しいな。それに、今諦めても兄さんがいない時に何するかわかんないよ?」
「それで、何が言いたい?」
 腕の中の沙耶に顔を寄せながら義総は弟を睨み付けるが、当の幸嗣は平気な様子で受け流す。
「だから一緒に抱かせてよ。兄さんが一緒なら沙耶もそれ程緊張しないだろうし、元々俺も沙耶の婚約者候補だよ。それなのに兄さんが抜け駆けしたんじゃないか。もう一つ言わせてもらうと、こうなる事も想定済みでしょ?」
 義総はため息をついた。当初の計画では義総もこんなに早く沙耶に手を出すつもりは無かったし、大倉家に留まる名目に婚約という案が出た時に、本来なら沙耶に義総自身か幸嗣を選んでもらう予定だった。
 弟の提案は想定済みで沙耶にも伝えてはいるが、セックスに対してコミュニケーションの一種ととらえた節がある自分達の感覚と初心な彼女とでは大きな隔たりがある。加えて今の義総の心情としては例え弟でも沙耶を他人には抱かせたくなかった。
 しかし、仕事の都合上、今後は留守をする機会も増えるので、その間に勝手に手を出されるのはもっと困る。大人しい沙耶はきっと逃れる事は出来ないだろう。
「……沙耶は嫌がるぞ」
「してみないと分からないでしょ? 案外気に入ったりして……」
 義総は諦めたようにため息をつくと、沙耶の顔を覗き込んでくる。
「沙耶、今夜は私と幸嗣の2人で抱くがいいか?」
 確認といった聞かれ方に、沙耶は断ることができなかった。だが、怖くて頷くことができない。
「是非、そうさせてよ。そうでもないと、俺は治まりそうにない」
 幸嗣は沙耶の手を取り、甲に口づける。
「で……でも」
 沙耶は戸惑い、ただ義総の腕の中でオロオロするばかりだった。だが、その間に兄弟の間ですっかり話がまとまってしまい、義総は沙耶を抱えたままリビングを後にする。幸嗣もそれに続き、2階の沙耶の部屋の隣にある義総の部屋へと連れて行かれていた。
 間接照明で照らされた部屋は別荘の寝室よりもはるかに広く、そして当主の威厳を示すかのような重厚な家具が並べられていた。
 だが、そんな室内を観察する余裕もなく、またもやオロオロしている間に脱がしやすさを基準に選ばれた服はあっという間に剥ぎ取られてしまう。そして裸にされた沙耶は広いベッドに寝かされ、その目の前で男2人も服を脱ぎ始めた。
「怖がらなくていいよ。気持ち良くしてあげるだけだから」
 先に裸になった幸嗣がベッドに登って沙耶に近づいてくる。彼女は体を隠しながら後ずさりするが、反対側からベッドに登ってきた義総に抱きしめられる。
「怖いか?」
「はい……」
 沙耶が頷くと、義総は緊張を和らげるために唇を重ねる。幸嗣は彼女の肩にサワサワと優しく触れ、手に取った彼女の手に幾度もキスをする。
「ん……」
 義総が沙耶の胸の膨らみを弄り始める。彼女が声を上げると、幸嗣も負けてはいられないとばかりにほっそりした足をとり、つま先から丹念に舌を這わせる。
「あ……ああっ」
「かわいい声だね」
 幸嗣は嬉しそうに言うと太腿を優しく撫で、強く吸い付いては赤い痕を残す。その間に義総は両手で強く絞り上げるように沙耶の胸を掴むと、固くなった先端を口に含み、舌で転がすように愛撫する。
「はぁ……あぁ……」
 女性の扱いに慣れた2人の愛撫を一身に受け、沙耶の体は上気し、息が乱れてくる。
「まだ怖いか?」
 聞きなれた低い声に囁かれると沙耶は息を乱しながら頷く。義総に見られるのにも慣れていないのに、幸嗣にも裸身を曝してこんな事をされるのは恥ずかしいし、嫌で仕方なかった。
「もう……許して……」
「ダメだ」
「まだ始まったばかりだよ」
 沙耶は首を振って嫌がるが、2人の愛撫は一層激しさを増してくる。逃れようとしても、力のある男2人にがっちり抑え込まれていて、身動きもできない。
「そろそろ沙耶のココを見させてもらおうかな」
 幸嗣が沙耶の内腿に手をかける。彼女は閉じている足に力を入れようとするが、右足は義総が、左足は幸嗣が掴んで大きく広げられる。
「い……いやぁ……」
 広げられた股間からトロリと何かが溢れ出た感触がして沙耶は恥ずかしさのあまり顔を覆う。そんな彼女の耳元に義総が息を吹きかけて囁く。
「お前のイヤラシイ所も幸嗣に良く見てもらえ」
 あれだけ弟が沙耶にちょっかいを出すのを嫌がっていた義総も、今の状況をすっかり楽しんでしまっている。今までにもこんな事を2人がかりでしたことがあるのか、兄弟の息はピタリと合っていて、沙耶をどんどん淫らに責めたてていく。彼女は襲ってくる快楽を振り払うように長い髪を乱して首を振る。
「恥ずかしがる事は無いよ、凄く綺麗だ。蜜で濡れた花弁が俺を誘っているよ」
 恥ずかしがる沙耶の反応を楽しんでいるのか、幸嗣は淫猥な言葉を投げかけてくる。一方で義総は彼女の乳房を揉む力が一層強くなり、固くなった突起を執拗に攻め立てている。もうそれだけでおかしくなってしまいそうなのに、内腿に舌を這わせていた幸嗣がとうとう蜜を零している秘所の中へ指を一本滑り込ませてきた。
「んんっ」
「もうグチョグチョですんなり入ったよ」
 濡れた指を沙耶に見せつけると、その指を舐めてまた彼女の中に埋めて動かす。
「あぁっ!」
「ここもプックリ膨れて可愛い」
 チュッと音をたてて幸嗣がむき出しにした下の突起に口づける。そして溢れ出た蜜を丹念に舐めとり、中に入れる指を2本に増やして動かし始める。
「気持ちいいかい? 指を締め付けているよ」
「いやぁ……言わないで……」
 沙耶は頭を振って嫌がるが、彼女の意思とは別に内部は咥え込んだ指をもっと感じようと締め付けている。
「凄い。いっぱい蜜が溢れて来たぞ」
 幸嗣が指を動かす度に淫靡な水音が寝室に響き渡る。それに煽られてか胸を愛撫する義総の動きも激しさを増し、沙耶は今までにない快感に襲われて声を上げる。
「や……やんっ、あぁ……あっ、あっ、あぁっ!」
 目の前は真っ白になり、体はビクビクと痙攣を起こしながら沙耶は絶頂に達していた。


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うまく言い包められたと思い込んでいる幸嗣。
一方で渋々承諾したような義総。
でも、一番可哀そうなのは2人に翻弄される沙耶。
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