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第6章 親子の物語
第18話
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飛んでいる飛竜達の姿をカミルに見せて、エアリアルに会いに行こうと約束した翌日、早速計画を実行に移したのだが失敗に終わった。玄関を出てから馬車に乗せるまでは俺が抱いていたので問題なかったが、本宮に着いたところで大勢の竜騎士に囲まれて怖くなってしまったらしく、大泣きしてしまってそのまま引き返すこととなったのだ。
彼等も悪気があったわけではない。カミルを元気づけようと集まってくれたのだが、それが返って逆効果になってしまった。今日は無理をさせないと決めて外出を控え、俺もオリガもずっと息子の傍にいることに決めた。
「旦那様、オスカー卿とシュザンナ様がお見えになられました」
その日の午後、昼寝をしているカミルに付き添っていると、サイラスが来客を告げた。2人は夏至祭後すぐに領地に戻っていたはずだったのだが、いつの間にか戻ってきていたらしい。もしかしたら可愛がってくださっているカミルが事件に巻き込まれたと聞いて文字通り飛んできてくれたのかもしれない。
本来であれば夫婦そろって応対するべきなのだろうけれど、お昼寝中とはいえ今の状態のカミルから2人とも離れるのは良くない。オリガにカミルを任せると衣服を改めて応接間へ向かった。
「お待たせしました」
「いえ、急にお邪魔してすみません」
2人とも立ち上がって礼をする。心なしか表情がさえない。やはりカミルの事を心配して来てくれたのだろう。そんな2人に改めて席を勧め、サイラスが入れてくれたお茶で喉を潤した。
「事件の事聞きました。カミル君はどうしていますか?」
ほどなくしてオスカー卿が本題を切り出してきた。シュザンナ様もご心配のご様子で表情を曇らせている。
「外に出るだけでなく、家族や我が家の使用人以外の特に男性が怖いみたいです」
「何てこと……。あの時……私が皇都に着いた時にカミル君を伴わなければ……」
昨日の事を含めて事件後の様子を伝えると、シュザンナ様は声を震わせる。オスカー卿はそんな彼女の手を握って彼女を慰める。
「シュザンナ様の所為ではありませんよ」
どうやら皇都に到着した時の事を気に病んでおられる様だ。あの時は大半の貴族が出迎えに参加し、その中には当然あの男もいた。シュザンナ様と並んで歩くカミルの姿も目の当たりにしただろう。
「確かにあの時にあの男はカミルの姿を見たはずです。ですが、あれよりも前にどうやらその存在は知っていた様です」
あの日以来、シュテファンが毎日の様に捜査の報告書を俺によこしてくれている。それによると、ミムラス家の家令がお家の将来を案じてカミルの事も調べ上げ、あの男に報告し、レオナルトを呼び戻すか、カミルを引き取るか判断を仰いでいた。あの男はレオナルトを呼び戻すのは恥と思ったのか、カミルを引き取る事を選んだらしい。親である俺達に拒否されるとは思ってもいなかったと言うから、自分本位でしか物事を考えられないのだと呆れたのだ。
「でも……」
「あの時のカミルは本当にもう、可愛くて、勇ましくて、親として誇らしかったんです。そんな姿を見せて頂けたのもシュザンナ様のおかげですよ」
「ルーク卿……」
シュザンナ様が涙ぐみ、オスカー卿が肩を抱いて慰めていると、パタパタと子供の足音が聞こえてくる。どうやらお昼寝から覚めたカミルが俺を探しているらしい。
「おとうしゃん、どこ?」
お2人に断って席を立ち、廊下に出る。そして「こっちだよ」と声を上げると、カミルが廊下を小走りにかけて来て、その後からサイラスが付いて来ている。
「カミル、お母さんは?」
「おきがえ、してる」
俺に駆け寄って来たカミルを抱き上げる。確認の為にサイラスへ視線を向けると、オリガは衣服を改めている最中で、カミルは待っていられなくて俺を探しに来たらしい。
「お客様にご挨拶しようか」
「こわくない?」
「大丈夫だよ」
カミルをあやしながら応接間へ戻る。カミルは不安そうに俺の上着をキュッと握りしめていたが、シュザンナ様の姿を見て幾分ホッとしたように力を抜いた。
「おねぇしゃん……」
「カミル君。こんにちは」
どうやらシュザンナ様の事を覚えていた様だ。小さな声で「こんにちは」と挨拶を返していた。それからほどなくして着替えを終えたオリガも応接間へやって来た。サイラスがお茶を淹れなおし、カミルがおやつを食べている間、和やかに近況を報告し合った。そして久しぶりに息子の笑顔を見ることが出来た。
カミルがシュザンナ様から離れるのを渋った。ここ数日では珍しい事だったので、お2人を夕餉に誘ったところ、特にご予定は無かったらしく快く受けて下さった。急なお客様だったが、リタも喜んで用意をしてくれて、久しぶりに賑やかな夕餉となった。
夕食後もカミルはシュザンナ様にくっついて離れず、今はオリガとシュザンナ様に挟まれて絵本を読んでもらっていた。でも、目をこすり始めたので、そろそろ寝てしまいそうだ。
俺とオスカー卿はそんな微笑ましい光景を眺めながら酒杯を傾けていた。
「ルーク卿、郊外にある我がサントリナ家の別荘にいらっしゃいませんか?」
不意にオスカー卿からそんな提案を受けた。最近まではソフィア様がその別荘で療養しておられた。だが、彼女は最愛の夫の側に居たいと望み、多忙なサントリナ公が仕事の合間にでも会いに行ける皇都の公邸に移られていた。あちらには最低限の人手しか残していないが、少人数であれば問題なく滞在できるらしい。
「あの別荘なら飛竜も傍まで来ることが出来ます。皇都から陸路で行くには少し時間がかかりますが、人の多い本宮へ行くよりかはカミル君の負担が少ないのではないでしょうか?」
オスカー卿もカミルを早くアジュガへ連れて行った方が良いと思ってくれている様だ。昨日の失敗から西棟の中に規制をかけて着場まで他人に会わないように移動する計画を雷光隊で考えていたのだが、この申し出の方が楽かもしれない。
「良いのですか?」
「勿論です」
だが、俺1人で答えは出せない。オリガやサイラス、後は協力してくれている雷光隊の皆と一度話し合ってから返事をすることにした。もちろんオスカー卿は快く承諾してくれた。
「寝てしまったわ」
オリガの呟きに振り向いてみれば、カミルはシュザンナ様に寄りかかって眠っていた。満足そうな笑みを浮かべている。久しぶりに楽しい時間を過ごせたみたいで良かった。
オスカー卿の提案を受け、家族や協力してくれる仲間と計画を練り直し、2人が訪問してくれた2日後には準備が整っていた。元々アジュガへ移動する為の荷造りは済ませていて、後はカミルの状態次第だった。カミルにも入念に話をして聞かせたところ、乗り気になったので決行の運びとなった。
「怖いかい?」
手を繋いで玄関を出ようとすると、やはり怖いのかカミルの足が止まる。抱っこしようかと声をかけると、首を振ってそのまま足を踏み出した。玄関前には俺たち家族の他に別荘まで同行してくれるオスカー卿とシュザンナ様、一緒にアジュガへ行くサイラスと見送りのリタとウーゴがいる。特にシュザンナ様にいい所を見せたいと思ったのか、カミルは頑張って自らの足で止めてある馬車まで歩いた。本当にすごい進歩だ。
「頑張ったね。偉いよ」
オリガと2人、頭を撫でて褒めてあげると、カミルも嬉しそうだ。馬車にはカミルと女性陣、サイラスは荷物を載せたもう1台の馬車に乗り込み、そして俺達は騎馬で並走する。ちなみにアジュガまで同行してくれるコンラートとエーミールとマティアスはエアリアルを連れて飛竜で先行してくれている。向こうへ着いたら飛竜達が迎えてくれる手筈となっていた。
そして途中幾度か休憩を挟み、その日の午後には目的の別荘に到着した。別荘の近くの広場では、エアリアルが俺達の到着を待っていた。
「えあるぅ!」
馬車から降りると、カミルは自ら飛竜の元へ駆け寄った。この数日間の姿が嘘の様だ。
「良かった……」
「そうだね」
エアリアルに抱き着き、カミルが笑っている。傍らのオリガの肩を抱いてその光景を見守っているうちに何だか涙が出て来た。
その翌日、当初の予定より半月ほど遅れて俺達はアジュガへ向けて出立した。
彼等も悪気があったわけではない。カミルを元気づけようと集まってくれたのだが、それが返って逆効果になってしまった。今日は無理をさせないと決めて外出を控え、俺もオリガもずっと息子の傍にいることに決めた。
「旦那様、オスカー卿とシュザンナ様がお見えになられました」
その日の午後、昼寝をしているカミルに付き添っていると、サイラスが来客を告げた。2人は夏至祭後すぐに領地に戻っていたはずだったのだが、いつの間にか戻ってきていたらしい。もしかしたら可愛がってくださっているカミルが事件に巻き込まれたと聞いて文字通り飛んできてくれたのかもしれない。
本来であれば夫婦そろって応対するべきなのだろうけれど、お昼寝中とはいえ今の状態のカミルから2人とも離れるのは良くない。オリガにカミルを任せると衣服を改めて応接間へ向かった。
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「いえ、急にお邪魔してすみません」
2人とも立ち上がって礼をする。心なしか表情がさえない。やはりカミルの事を心配して来てくれたのだろう。そんな2人に改めて席を勧め、サイラスが入れてくれたお茶で喉を潤した。
「事件の事聞きました。カミル君はどうしていますか?」
ほどなくしてオスカー卿が本題を切り出してきた。シュザンナ様もご心配のご様子で表情を曇らせている。
「外に出るだけでなく、家族や我が家の使用人以外の特に男性が怖いみたいです」
「何てこと……。あの時……私が皇都に着いた時にカミル君を伴わなければ……」
昨日の事を含めて事件後の様子を伝えると、シュザンナ様は声を震わせる。オスカー卿はそんな彼女の手を握って彼女を慰める。
「シュザンナ様の所為ではありませんよ」
どうやら皇都に到着した時の事を気に病んでおられる様だ。あの時は大半の貴族が出迎えに参加し、その中には当然あの男もいた。シュザンナ様と並んで歩くカミルの姿も目の当たりにしただろう。
「確かにあの時にあの男はカミルの姿を見たはずです。ですが、あれよりも前にどうやらその存在は知っていた様です」
あの日以来、シュテファンが毎日の様に捜査の報告書を俺によこしてくれている。それによると、ミムラス家の家令がお家の将来を案じてカミルの事も調べ上げ、あの男に報告し、レオナルトを呼び戻すか、カミルを引き取るか判断を仰いでいた。あの男はレオナルトを呼び戻すのは恥と思ったのか、カミルを引き取る事を選んだらしい。親である俺達に拒否されるとは思ってもいなかったと言うから、自分本位でしか物事を考えられないのだと呆れたのだ。
「でも……」
「あの時のカミルは本当にもう、可愛くて、勇ましくて、親として誇らしかったんです。そんな姿を見せて頂けたのもシュザンナ様のおかげですよ」
「ルーク卿……」
シュザンナ様が涙ぐみ、オスカー卿が肩を抱いて慰めていると、パタパタと子供の足音が聞こえてくる。どうやらお昼寝から覚めたカミルが俺を探しているらしい。
「おとうしゃん、どこ?」
お2人に断って席を立ち、廊下に出る。そして「こっちだよ」と声を上げると、カミルが廊下を小走りにかけて来て、その後からサイラスが付いて来ている。
「カミル、お母さんは?」
「おきがえ、してる」
俺に駆け寄って来たカミルを抱き上げる。確認の為にサイラスへ視線を向けると、オリガは衣服を改めている最中で、カミルは待っていられなくて俺を探しに来たらしい。
「お客様にご挨拶しようか」
「こわくない?」
「大丈夫だよ」
カミルをあやしながら応接間へ戻る。カミルは不安そうに俺の上着をキュッと握りしめていたが、シュザンナ様の姿を見て幾分ホッとしたように力を抜いた。
「おねぇしゃん……」
「カミル君。こんにちは」
どうやらシュザンナ様の事を覚えていた様だ。小さな声で「こんにちは」と挨拶を返していた。それからほどなくして着替えを終えたオリガも応接間へやって来た。サイラスがお茶を淹れなおし、カミルがおやつを食べている間、和やかに近況を報告し合った。そして久しぶりに息子の笑顔を見ることが出来た。
カミルがシュザンナ様から離れるのを渋った。ここ数日では珍しい事だったので、お2人を夕餉に誘ったところ、特にご予定は無かったらしく快く受けて下さった。急なお客様だったが、リタも喜んで用意をしてくれて、久しぶりに賑やかな夕餉となった。
夕食後もカミルはシュザンナ様にくっついて離れず、今はオリガとシュザンナ様に挟まれて絵本を読んでもらっていた。でも、目をこすり始めたので、そろそろ寝てしまいそうだ。
俺とオスカー卿はそんな微笑ましい光景を眺めながら酒杯を傾けていた。
「ルーク卿、郊外にある我がサントリナ家の別荘にいらっしゃいませんか?」
不意にオスカー卿からそんな提案を受けた。最近まではソフィア様がその別荘で療養しておられた。だが、彼女は最愛の夫の側に居たいと望み、多忙なサントリナ公が仕事の合間にでも会いに行ける皇都の公邸に移られていた。あちらには最低限の人手しか残していないが、少人数であれば問題なく滞在できるらしい。
「あの別荘なら飛竜も傍まで来ることが出来ます。皇都から陸路で行くには少し時間がかかりますが、人の多い本宮へ行くよりかはカミル君の負担が少ないのではないでしょうか?」
オスカー卿もカミルを早くアジュガへ連れて行った方が良いと思ってくれている様だ。昨日の失敗から西棟の中に規制をかけて着場まで他人に会わないように移動する計画を雷光隊で考えていたのだが、この申し出の方が楽かもしれない。
「良いのですか?」
「勿論です」
だが、俺1人で答えは出せない。オリガやサイラス、後は協力してくれている雷光隊の皆と一度話し合ってから返事をすることにした。もちろんオスカー卿は快く承諾してくれた。
「寝てしまったわ」
オリガの呟きに振り向いてみれば、カミルはシュザンナ様に寄りかかって眠っていた。満足そうな笑みを浮かべている。久しぶりに楽しい時間を過ごせたみたいで良かった。
オスカー卿の提案を受け、家族や協力してくれる仲間と計画を練り直し、2人が訪問してくれた2日後には準備が整っていた。元々アジュガへ移動する為の荷造りは済ませていて、後はカミルの状態次第だった。カミルにも入念に話をして聞かせたところ、乗り気になったので決行の運びとなった。
「怖いかい?」
手を繋いで玄関を出ようとすると、やはり怖いのかカミルの足が止まる。抱っこしようかと声をかけると、首を振ってそのまま足を踏み出した。玄関前には俺たち家族の他に別荘まで同行してくれるオスカー卿とシュザンナ様、一緒にアジュガへ行くサイラスと見送りのリタとウーゴがいる。特にシュザンナ様にいい所を見せたいと思ったのか、カミルは頑張って自らの足で止めてある馬車まで歩いた。本当にすごい進歩だ。
「頑張ったね。偉いよ」
オリガと2人、頭を撫でて褒めてあげると、カミルも嬉しそうだ。馬車にはカミルと女性陣、サイラスは荷物を載せたもう1台の馬車に乗り込み、そして俺達は騎馬で並走する。ちなみにアジュガまで同行してくれるコンラートとエーミールとマティアスはエアリアルを連れて飛竜で先行してくれている。向こうへ着いたら飛竜達が迎えてくれる手筈となっていた。
そして途中幾度か休憩を挟み、その日の午後には目的の別荘に到着した。別荘の近くの広場では、エアリアルが俺達の到着を待っていた。
「えあるぅ!」
馬車から降りると、カミルは自ら飛竜の元へ駆け寄った。この数日間の姿が嘘の様だ。
「良かった……」
「そうだね」
エアリアルに抱き着き、カミルが笑っている。傍らのオリガの肩を抱いてその光景を見守っているうちに何だか涙が出て来た。
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