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第6章 親子の物語
第5話
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翌日も天候に恵まれ、予定通りフォルビアに向けて出立となったのだが、当初より同行者が1人増えていた。
「緊張します」
「楽にして座っていてちょうだい」
今回リリアナにはアルベルタが同乗していた。ジーン卿が彼女の事を気に入り、フォルビアに滞在している間身の回りの事をお願いしたいと頼んできたのだ。自分で身の回りの事は出来るし、フォルビアでは必要であれば見習い女神官を付けてもらう予定だったのだが気が変わったらしい。俺達としてもミステルの町で育った彼女に外の景色を見せたいと思っていたところだったので反対する理由は無かった。
「気を付けてね」
「お土産よろしく」
緊張しているアルベルタに同僚となったモニカやヤスミーンが声をかけている。ちなみに彼女達はこの夏の長期休暇の間に交代でアジュガへ里帰りをする予定となっていた。手紙でやり取りはしているだろうが、元気な姿を見せてあげるのが何よりの親孝行だと思う。
「大丈夫? 着くまで寝ていていいからね」
リーガス卿との試合の疲れを昨夜はオリガに癒してもらったのだが、ちょっと無理をさせすぎたみたいで彼女はまだ眠そうにしている。彼女はゆるゆると首を振ったが、俺が抱き寄せると素直に体を預けてくれた。そんな姿も可愛い。思わず頬が緩んでしまいそうになる。厳重に補助具で固定されて先頭に座るカミルは不思議そうに俺達を見上げていた。
同行者が増えたものの、道中は順調で夕刻にはフォルビア城に到着した。着場にはヒース卿がわざわざ出迎えてくれ、移動の疲れもあるだろうからとすぐに部屋へ案内してくれた。俺はそれほどではないが、オリガやカミルは疲れていた様子だったのでありがたかった。
家族で夕餉を済ませ、カミルを寝かしつけたところでヒース卿から酒席へのお誘いがあった。断れるはずもなく、オリガには先に休むように言って、俺は指定された別の客間へ向かった。そこには既にリーガス卿もいて、テーブルには酒瓶や酒肴が所狭しと並んでいた。何だかいつか見た光景と一緒だ。
「おう、来たか。まあ、座れ」
ヒース卿に勧められて空いている席に座ると、フロックス領産のエールがなみなみと注がれた酒杯を手渡される。口に出して言わないが、エルニアから無事に帰って来た俺への彼なりの労いのつもりらしい。
「報告書には目を通したが、実際のところどうだった?」
酒瓶がいくつか空になったところで、リーガス卿からそう切り出された。アジュガからフォルビアに来るまでの間、リーガス卿がその話題を振って来なかったのはここで話を聞くつもりだったかららしい。
「フォルビアよりひどかったです」
長引きすぎた内乱で領民の心は荒み、支援に来たと言ってもなかなか信じてはもらえなかった。支援活動は彼等と信頼関係を築くことから始まった。ようやく信じてもらえるようになった頃に、他国から応援に来た竜騎士がとった横柄な態度によって全てが台無しにされたこともあった
礎の里の一部の高位神官とエルニアの生き残った有力者もひどかった。領民の為の支援物資を堂々と着服して横流ししていた。この辺りの話はアジュガの祝宴では語らなかったが、どこにも自分の利益しか考えない奴はいるものだと呆れ、俺達の心の方が荒みそうになりそうだった。俺の答えにヒース卿もリーガス卿も顔を顰《しか》めて酒を煽った。
「そいつらはどうなった?」
「アレス卿に事情を説明したら正式に抗議して下さりまして、竜騎士はその後本国へ強制帰国させられていました。着服に関わった者達も処罰を受けたはずです」
態度が横柄な奴に限って仕事はさぼってばかりだ。何の戦力にもなっていなかったので、奴が送還される時は俺達だけでなく真面目に取り組んでいた他国の竜騎士達も喜んでいた。そして一部の高位神官共の真の狙いは真珠の養殖技術だ。物資の横流しはほんの小遣い稼ぎと思っているのだろう。今後も注意が必要だ
「お前にだけ苦労を背負わせてしまったな」
俺の話に耳を傾けてくれていたヒース卿がポツリと言った。エルニアの一件に関しては何もできなかったと思っているのかもしれない。でも、それは違うと思う。
「そんな事は無いでしょう? 少なくとも陛下はヒース卿やリーガス卿が留守を守って下さるから安心して遠征に出られた。その間、何もなかった事はないでしょう? 俺は俺のできることをしてきただけですし、それに今頃一番大変な思いをしているのはアスター卿でしょう」
「……まあ、確かに」
今頃、礎の里では各国の代表が集まって会議を開いているはずだ。各国の利権だけでなく高位神官達の思惑も絡んで、その意見調整には時間がかかるはずだ。俺には到底無理な話で、アスター卿には我が国の利益となるようなものを是非とも分捕ってきていただきたい。その為の下ごしらえは済ませて来たつもりなので、後は彼とその補佐をしているオスカー卿の政治的手腕にお任せだ。
その後はロベリアやフォルビアでのこの1年ほどの話を聞いたりして酒杯を傾けた。特に大きな事件は起きていなくて、平和だった様だ。内乱終結から8年経とうとしている。早くエルニアもそう言えるようになって欲しいと思った。
そして次の日は案の定、二日酔いでまたしてもオリガの薬の世話になったのだった。
フォルビア城で移動の疲れや二日酔いの不調を癒して過ごし、仔竜の選定式の前日にフォルビア正神殿へ移動した。わざわざ出迎えてくれたトビアス神官長との挨拶を終えると、真っ先に向かったのは故グロリア女大公様の霊廟だった。
持参した花を供え、家族3人並んで祈りを捧げる。豪華な霊廟にカミルはここが墓所だと分からなかったみたいだが、俺達が祈りを捧げるのを見て気付いてくれたらしい。俺達の真似をして祈りを捧げていた。やっぱり、うちの子は賢い。
昨年のエルニア遠征に加えて家の事情などでここへ来るのも久しぶりになってしまった。心の中で不義理を詫び、遠いエルニアの地でティムも頑張っていることも付け加えた。グロリア様は笑って許して下さるだろうか? それとも小言を言われるだろうか? どちらかと言えば後者のような気もする。それでも故人の姿を思い出し、とても懐かしい気持ちになった。
そして一夜明け、仔竜の選定式が始まった。場所は仔竜達の遊び場となっている広場。カイ達第3騎士団の見習いはもちろん、第2騎士団と第6騎士団からも見習いが集まっている。立ち会うのはそれぞれの騎士団幹部と神官長。俺も関係者として混ぜてもらえた。そんな俺達が遠巻きに見守る中、候補の少年少女達は、昨年卵から孵った仔竜達と対面を果たした。
「お、早速か」
広場に入った瞬間に幾人かが相棒と巡り合うことが出来た。嬉しい事にその中にカイが居て、大地の力を持つ飛竜に選ばれていた。嬉しそうに相棒となった仔竜と戯れている彼の姿に俺は誇らしい気持ちとなった。
そしてその夜は無事に相棒が決まった見習い達のお祝いが開かれた。まだこういった場になれていないので、本来主役のはずの若者達は会場の隅の方で固まっている。その中にカイの姿も見つけたので、オリガを伴い声をかけた。
「カイ、おめでとう」
「無事に相棒と巡り会えて良かったわね」
「ありがとうございます」
俺の姿を見て、カイは顔を綻ばせる。その一方で一緒にいた若者達は驚きと共に憧れの視線を俺に向けて来るので、何だか背中がむず痒い。
「まだ正式に竜騎士になれたわけではない。気を引き締めてこれからも鍛錬に励みなさい」
「はい。頑張ります」
背中のむず痒さに耐えながら俺が声をかけると、カイだけでなく一緒に聞いていた若者達が神妙にうなずいていた。俺の言葉を真摯に受け止め、陛下の治世を支える優秀な人材が一人でも多く育ってくれれば俺も嬉しい。
その後はオリガと共に祝宴を楽しんだ。先日フォルビア城で飲みすぎたのもあり、お酒はほどほどにしておいた。そのおかげで二日酔いとは無縁の朝を迎えることが出来た。
「ルーク卿! 朝早く済みません。来てください」
まだ身支度も整わないうちに神官の1人が血相を変えて俺を呼びに来た。ただならない様子に急いで着替えを済ませると、そのまま仔竜の育成施設へ連れて行かれる。
クウクウクウ……
今年卵から孵ったばかりと思われる雛竜に1人の少女が囲まれている。困惑した様子のその少女はアルベルタだった。
「えっと、どうしましょう?」
それは俺も同じ意見だ。
「緊張します」
「楽にして座っていてちょうだい」
今回リリアナにはアルベルタが同乗していた。ジーン卿が彼女の事を気に入り、フォルビアに滞在している間身の回りの事をお願いしたいと頼んできたのだ。自分で身の回りの事は出来るし、フォルビアでは必要であれば見習い女神官を付けてもらう予定だったのだが気が変わったらしい。俺達としてもミステルの町で育った彼女に外の景色を見せたいと思っていたところだったので反対する理由は無かった。
「気を付けてね」
「お土産よろしく」
緊張しているアルベルタに同僚となったモニカやヤスミーンが声をかけている。ちなみに彼女達はこの夏の長期休暇の間に交代でアジュガへ里帰りをする予定となっていた。手紙でやり取りはしているだろうが、元気な姿を見せてあげるのが何よりの親孝行だと思う。
「大丈夫? 着くまで寝ていていいからね」
リーガス卿との試合の疲れを昨夜はオリガに癒してもらったのだが、ちょっと無理をさせすぎたみたいで彼女はまだ眠そうにしている。彼女はゆるゆると首を振ったが、俺が抱き寄せると素直に体を預けてくれた。そんな姿も可愛い。思わず頬が緩んでしまいそうになる。厳重に補助具で固定されて先頭に座るカミルは不思議そうに俺達を見上げていた。
同行者が増えたものの、道中は順調で夕刻にはフォルビア城に到着した。着場にはヒース卿がわざわざ出迎えてくれ、移動の疲れもあるだろうからとすぐに部屋へ案内してくれた。俺はそれほどではないが、オリガやカミルは疲れていた様子だったのでありがたかった。
家族で夕餉を済ませ、カミルを寝かしつけたところでヒース卿から酒席へのお誘いがあった。断れるはずもなく、オリガには先に休むように言って、俺は指定された別の客間へ向かった。そこには既にリーガス卿もいて、テーブルには酒瓶や酒肴が所狭しと並んでいた。何だかいつか見た光景と一緒だ。
「おう、来たか。まあ、座れ」
ヒース卿に勧められて空いている席に座ると、フロックス領産のエールがなみなみと注がれた酒杯を手渡される。口に出して言わないが、エルニアから無事に帰って来た俺への彼なりの労いのつもりらしい。
「報告書には目を通したが、実際のところどうだった?」
酒瓶がいくつか空になったところで、リーガス卿からそう切り出された。アジュガからフォルビアに来るまでの間、リーガス卿がその話題を振って来なかったのはここで話を聞くつもりだったかららしい。
「フォルビアよりひどかったです」
長引きすぎた内乱で領民の心は荒み、支援に来たと言ってもなかなか信じてはもらえなかった。支援活動は彼等と信頼関係を築くことから始まった。ようやく信じてもらえるようになった頃に、他国から応援に来た竜騎士がとった横柄な態度によって全てが台無しにされたこともあった
礎の里の一部の高位神官とエルニアの生き残った有力者もひどかった。領民の為の支援物資を堂々と着服して横流ししていた。この辺りの話はアジュガの祝宴では語らなかったが、どこにも自分の利益しか考えない奴はいるものだと呆れ、俺達の心の方が荒みそうになりそうだった。俺の答えにヒース卿もリーガス卿も顔を顰《しか》めて酒を煽った。
「そいつらはどうなった?」
「アレス卿に事情を説明したら正式に抗議して下さりまして、竜騎士はその後本国へ強制帰国させられていました。着服に関わった者達も処罰を受けたはずです」
態度が横柄な奴に限って仕事はさぼってばかりだ。何の戦力にもなっていなかったので、奴が送還される時は俺達だけでなく真面目に取り組んでいた他国の竜騎士達も喜んでいた。そして一部の高位神官共の真の狙いは真珠の養殖技術だ。物資の横流しはほんの小遣い稼ぎと思っているのだろう。今後も注意が必要だ
「お前にだけ苦労を背負わせてしまったな」
俺の話に耳を傾けてくれていたヒース卿がポツリと言った。エルニアの一件に関しては何もできなかったと思っているのかもしれない。でも、それは違うと思う。
「そんな事は無いでしょう? 少なくとも陛下はヒース卿やリーガス卿が留守を守って下さるから安心して遠征に出られた。その間、何もなかった事はないでしょう? 俺は俺のできることをしてきただけですし、それに今頃一番大変な思いをしているのはアスター卿でしょう」
「……まあ、確かに」
今頃、礎の里では各国の代表が集まって会議を開いているはずだ。各国の利権だけでなく高位神官達の思惑も絡んで、その意見調整には時間がかかるはずだ。俺には到底無理な話で、アスター卿には我が国の利益となるようなものを是非とも分捕ってきていただきたい。その為の下ごしらえは済ませて来たつもりなので、後は彼とその補佐をしているオスカー卿の政治的手腕にお任せだ。
その後はロベリアやフォルビアでのこの1年ほどの話を聞いたりして酒杯を傾けた。特に大きな事件は起きていなくて、平和だった様だ。内乱終結から8年経とうとしている。早くエルニアもそう言えるようになって欲しいと思った。
そして次の日は案の定、二日酔いでまたしてもオリガの薬の世話になったのだった。
フォルビア城で移動の疲れや二日酔いの不調を癒して過ごし、仔竜の選定式の前日にフォルビア正神殿へ移動した。わざわざ出迎えてくれたトビアス神官長との挨拶を終えると、真っ先に向かったのは故グロリア女大公様の霊廟だった。
持参した花を供え、家族3人並んで祈りを捧げる。豪華な霊廟にカミルはここが墓所だと分からなかったみたいだが、俺達が祈りを捧げるのを見て気付いてくれたらしい。俺達の真似をして祈りを捧げていた。やっぱり、うちの子は賢い。
昨年のエルニア遠征に加えて家の事情などでここへ来るのも久しぶりになってしまった。心の中で不義理を詫び、遠いエルニアの地でティムも頑張っていることも付け加えた。グロリア様は笑って許して下さるだろうか? それとも小言を言われるだろうか? どちらかと言えば後者のような気もする。それでも故人の姿を思い出し、とても懐かしい気持ちになった。
そして一夜明け、仔竜の選定式が始まった。場所は仔竜達の遊び場となっている広場。カイ達第3騎士団の見習いはもちろん、第2騎士団と第6騎士団からも見習いが集まっている。立ち会うのはそれぞれの騎士団幹部と神官長。俺も関係者として混ぜてもらえた。そんな俺達が遠巻きに見守る中、候補の少年少女達は、昨年卵から孵った仔竜達と対面を果たした。
「お、早速か」
広場に入った瞬間に幾人かが相棒と巡り合うことが出来た。嬉しい事にその中にカイが居て、大地の力を持つ飛竜に選ばれていた。嬉しそうに相棒となった仔竜と戯れている彼の姿に俺は誇らしい気持ちとなった。
そしてその夜は無事に相棒が決まった見習い達のお祝いが開かれた。まだこういった場になれていないので、本来主役のはずの若者達は会場の隅の方で固まっている。その中にカイの姿も見つけたので、オリガを伴い声をかけた。
「カイ、おめでとう」
「無事に相棒と巡り会えて良かったわね」
「ありがとうございます」
俺の姿を見て、カイは顔を綻ばせる。その一方で一緒にいた若者達は驚きと共に憧れの視線を俺に向けて来るので、何だか背中がむず痒い。
「まだ正式に竜騎士になれたわけではない。気を引き締めてこれからも鍛錬に励みなさい」
「はい。頑張ります」
背中のむず痒さに耐えながら俺が声をかけると、カイだけでなく一緒に聞いていた若者達が神妙にうなずいていた。俺の言葉を真摯に受け止め、陛下の治世を支える優秀な人材が一人でも多く育ってくれれば俺も嬉しい。
その後はオリガと共に祝宴を楽しんだ。先日フォルビア城で飲みすぎたのもあり、お酒はほどほどにしておいた。そのおかげで二日酔いとは無縁の朝を迎えることが出来た。
「ルーク卿! 朝早く済みません。来てください」
まだ身支度も整わないうちに神官の1人が血相を変えて俺を呼びに来た。ただならない様子に急いで着替えを済ませると、そのまま仔竜の育成施設へ連れて行かれる。
クウクウクウ……
今年卵から孵ったばかりと思われる雛竜に1人の少女が囲まれている。困惑した様子のその少女はアルベルタだった。
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