87 / 231
第3章 2人の物語
第29話
しおりを挟む
一夜明け、傍らに温もりを感じない寂しい朝を迎えた。一抹の寂しさを抱えながら身支度を整え、朝食を済ませた俺はティムと共に本宮へ赴き、昼迄は日課の飛竜の世話と己の鍛錬をして過ごした。
午後からは家令候補との面談が予定されていたので、ブランドル家へオリガを迎えに行き、共に自分のものとなった屋敷に帰った。ブランドル公御夫妻が御多忙のため、代わりに家令のセバスティアンさんが立ち会ってくれることになっていた。
ちなみにオリガは午前中、婚礼に向けた準備をしていたらしい。幾分疲れた様子だったのはやはりグレーテル様や侍女達の熱意に根負けしたからかもしれない。
屋敷に着くと、正式に使用人が決まるまでブランドル家から派遣されている使用人達に迎えられる。指定した時間にはまだ余裕があったので、一息ついてから応接間に移動した。
やがて予告された時間通りその人物が訪ねてきた。そしてその姿をみた俺達は驚きのあまり固まった。
「よろしくお願いします」
入ってきたのは本宮で侍官をしているサイラスだった。何故……。
「え? いや、我が家の家令候補が来るって聞いたんだけど?」
「ええ、間違いありません」
サイラスは笑みを浮かべてうなずいている。想定外の事に俺はオリガと顔を見合わせ、そして同席してくれているセバスティアンさんを見る。彼がうなずいたので間違いないのだろう。本宮の安定した仕事を辞めてまで俺のとこで働きたいと言うのは何か事情があるのかもしれない。そう思いなおして話だけは聞いてみることにした。
「理由を聞かせてほしい」
「身内が不祥事を起こしたので、その引責で本宮を辞することになりました」
サイラスの返答に俺達は驚きを隠せなかった。本当はこの春で辞めなければならなかったらしいのだが、引き継ぎが長引いたのと本宮へ帰って来る俺の世話はどうしてもしたかった事もあって昨日まで勤めていたらしい。
「不祥事って一体……」
「ルーク卿が阻止して下さった計略に舅が関わっていました」
「え……」
サイラスは内乱がはじまる直前に格上の貴族の家に婿入りしていた。文官を数多く輩出している家だが、内乱中はうまく立ち回りその地位は保たれていた。しかし、彼の舅の友人の中には処分を受けた者もいたらしく、不満を募らせた彼等に感化されてあの計略に加担してしまったらしい。
「怪しげな集まりに参加しているのは気付いていました。しかし、私では止めることが出来ませんでした」
奥方の家族からは侍官という仕事を軽んじられてその立場は弱く、唯一の理解者だった奥方も出産を控えていて父親を諫《いさ》めることが出来なかったらしい。
だが、俺は知っている。国内のみならず国外からの賓客をもてなすこともある彼の頭の中には、各国の国主や有力貴族の交友関係に個人的な好き嫌い等、諸々の情報が記憶されている。その知識量は外交官にも引けを取らない。奥方のご家族は相手の本質を分かっていない愚かな人の様だ。
「奥様はどこにいらっしゃるんですか?」
一緒に話を聞いていたオリガが訪ねる。その顔は少し青ざめていた。
「子供も無事に生まれましたので、所領で舅に代わって後始末をしています。彼女を手伝うことも考えましたが……」
領地の大半は没収され、家は奥方ではなく別の親族が継ぐことになったらしい。後始末には親族の手助けも必要だった。疎まれている彼がいると、その手助けも得られない可能性があるらしい。
「私も引責で処分を受けることになると決まると、彼女は泣いて離縁してくれと言ってきました。だからと言って妻子を見捨てることなどできません。降格になっても仕事を続けて2人を養おうと思っていたのですが、サントリナ公とブランドル公にお声をかけていただき、ルーク卿の元で働かせていただこうと決意しました。もちろん、ルーク卿が雇って下さるのでしたらですが……」
サイラスの言葉に俺とオリガは顔を見合わせる。またもや確認する様にセバスティアンさんを仰ぎ見ると、彼は無言でうなずいていた。
確かに、彼とは気心が知れているし雇うことが出来たら慣れない皇都での暮らしも楽になるし、これからは嫌でも増える貴族達との付き合いに頼もしい助人となってくれるはずだ。それでも俺の中にはまだ迷いがあった。本当に俺のところでいいのだろうか?
「サイラスは俺なんかに雇われて本当にいいのか?」
「ルーク卿、あまりご自身を卑下なさらないでください。貴方様はこの国を救った正真正銘の英雄です。これからもこの国にはなくてはならない存在です。それでもおごることなく他者への労りを忘れない、そんなお方にお仕えできるのはこれ以上無い喜びです」
誉め言葉に俺は段々と気恥ずかしくなってくる。もはや不採用にする理由はなく、俺は喜んでサイラスを家令に迎えることにした。
その後はセバスティアンさんの意見を参考にして細かい契約内容を取り決めた。サイラスは既に侍官の職は辞しているので明日から仕えてくれることになった。屋敷に住み込みで働いてくれることになり、所領の後始末が済んだら奥方と子供も呼ぶことになっている。
「改めてよろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
これから長い付き合いになるサイラスと握手を交わして契約を完了した。屋敷を賜ってどう管理しようか悩んでいたが、頼もしい家令に来てもらえることになって俺は大いに安堵したのだった。
サントリナ家やブランドル家から推薦されていただけあって、選定の面談に来てくれた使用人達はいずれも優秀な人達ばかりだった。サイラスとセバスティアンさんの意見も聞きながら熟考を重ねた結果、今までも我が家へ来てくれていた夫婦を住み込みで雇うことになった。
夫フーゴが主に外回りを担当し、妻リタが家の中の事を受け持つ。そして所領の後始末が済めばサイラスの奥さんも来てくれるらしい。しかし、当面は子育てに専念してもらうことになるだろう。家の規模の事を考えたら使用人の数が少ない気もするが、オリガも俺もたいていの事は自分で出来るので問題ないし、俺の収入を考えたらこの辺りが限度だった。
屋敷の方は俺に譲渡されるにあたって傷んだ個所が改修されていた。調度品もそのまま使えるので、オリガやサイラスと相談して使いやすいように配置を変えた。これで宿舎として借りていた時以上に居心地のいい家になったはずだ。
当初の予定では皇都には半月ほどの滞在予定だった。屋敷を賜ると言う想定外の出来事に加え、グレーテル様がこだわりぬいたオリガの花嫁衣裳の手直しが思った以上に時間がかかり、既に一月近く滞在していた。
その間、俺は自分の屋敷に滞在し、オリガはグレーテル様のご要望でブランドル家に滞在していた。当然、一人寝の寂しい夜は継続中だった。それでも日中は自由に会えるので、午前の鍛錬が終わると彼女を迎えに行ったり、家で待っていてくれたりして午後は一緒に過ごした。
念願だった2人での買い物にも出かけた。組紐は真っ先に買いに行ったし、アジュガの人達へのお土産も2人で選んだ。ブランドル公邸やサントリナ公邸、更には北棟でのお茶会にも呼ばれてちょっとだけ窮屈な時間を過ごしたこともあった。だが、ようやく花嫁衣装が仕上がり、今日、再びアジュガへ向けて出立する運びとなった。
あと数日もすれば陛下が国主会議に出立されるので本当はそれまで待とうとしたのだが、陛下御自身からアジュガのみんなが首を長くして待っているのだから早く行くようにと言われてしまい、そのお言葉に甘えることにしたのだ。
「お気をつけていってらっしゃいませ」
屋敷を出る俺にサイラスはそう言って見送ってくれた。最初は今までの侍官としての仕事の違いに少し戸惑っていた様子だったが、元々の素質に加えてセバスティアンさんからその心構えを習ったのもあってこの一月に満たない時間ですっかり板につくようになっていた。
俺は一度馬車でブランドル家へ立ち寄り、グレーテル様と使用人達に見送られてオリガと共に本宮へ向かった。そこで待ってくれていたラウル達と合流し、今度は第1騎士団の竜騎士達に見送られて皇都を発った。
アジュガはすっかりお祭り騒ぎとなっていた。町中が花で彩られ、広場にはいくつもの屋台が立ち並び、大道芸人がそれぞれの技を披露していた。上空からでも酒を飲んで酔っ払っている親方衆の姿も確認できた。
「兄さん、これは……」
「聞くまでもないだろう。お前の到着が遅いから先に始まった」
着場に迎えに来てくれた兄さんは苦笑しながらそう答えた。まあ、確かに当初の予定より随分遅れてしまったが、主役抜きでよくここまで盛り上がれるものだ。まあ、娯楽にされるのももう慣れた。俺は諦めの境地で飛竜から降ろされた荷物の運び先の手配をした。
今回、一番嵩張るのはオリガの花嫁衣裳。身に付ける宝飾品と併せて厳重に梱包されたその箱を俺達の家へ慎重に運び込む。一方の俺の礼装は実家に運んでもらった。グレーテル様の結婚まで同衾禁止は今なお継続中なので、式まで俺は実家に泊ることにしていた。ただ、オリガを一人にするのは不安なので、ティムが泊ってくれることになっている。
既に夕刻。実家にオリガやティムも含めて家族が集まり、夕餉となった。今日俺達が帰ることを聞いたご近所さんからもお祝いとばかりに様々な差し入れがあったとかで食卓は実に賑やかだった。当然、踊る牡鹿亭のミートパイもある。でもやっぱり、母さんが作ってくれた料理が美味しい。
「式は3日後になった。それまであの状態が続くのかと思うと頭が痛いけど」
兄さんの愚痴に俺達はただ苦笑するしかなかった。飲んで騒ぎたいだけかもしれないが、その中に祝ってくれる気持ちがあるはずだ。多分……。その後は互いの近況を話したりして夕餉の席は賑やかに、そして笑いが絶えないまま終えたのだった。
午後からは家令候補との面談が予定されていたので、ブランドル家へオリガを迎えに行き、共に自分のものとなった屋敷に帰った。ブランドル公御夫妻が御多忙のため、代わりに家令のセバスティアンさんが立ち会ってくれることになっていた。
ちなみにオリガは午前中、婚礼に向けた準備をしていたらしい。幾分疲れた様子だったのはやはりグレーテル様や侍女達の熱意に根負けしたからかもしれない。
屋敷に着くと、正式に使用人が決まるまでブランドル家から派遣されている使用人達に迎えられる。指定した時間にはまだ余裕があったので、一息ついてから応接間に移動した。
やがて予告された時間通りその人物が訪ねてきた。そしてその姿をみた俺達は驚きのあまり固まった。
「よろしくお願いします」
入ってきたのは本宮で侍官をしているサイラスだった。何故……。
「え? いや、我が家の家令候補が来るって聞いたんだけど?」
「ええ、間違いありません」
サイラスは笑みを浮かべてうなずいている。想定外の事に俺はオリガと顔を見合わせ、そして同席してくれているセバスティアンさんを見る。彼がうなずいたので間違いないのだろう。本宮の安定した仕事を辞めてまで俺のとこで働きたいと言うのは何か事情があるのかもしれない。そう思いなおして話だけは聞いてみることにした。
「理由を聞かせてほしい」
「身内が不祥事を起こしたので、その引責で本宮を辞することになりました」
サイラスの返答に俺達は驚きを隠せなかった。本当はこの春で辞めなければならなかったらしいのだが、引き継ぎが長引いたのと本宮へ帰って来る俺の世話はどうしてもしたかった事もあって昨日まで勤めていたらしい。
「不祥事って一体……」
「ルーク卿が阻止して下さった計略に舅が関わっていました」
「え……」
サイラスは内乱がはじまる直前に格上の貴族の家に婿入りしていた。文官を数多く輩出している家だが、内乱中はうまく立ち回りその地位は保たれていた。しかし、彼の舅の友人の中には処分を受けた者もいたらしく、不満を募らせた彼等に感化されてあの計略に加担してしまったらしい。
「怪しげな集まりに参加しているのは気付いていました。しかし、私では止めることが出来ませんでした」
奥方の家族からは侍官という仕事を軽んじられてその立場は弱く、唯一の理解者だった奥方も出産を控えていて父親を諫《いさ》めることが出来なかったらしい。
だが、俺は知っている。国内のみならず国外からの賓客をもてなすこともある彼の頭の中には、各国の国主や有力貴族の交友関係に個人的な好き嫌い等、諸々の情報が記憶されている。その知識量は外交官にも引けを取らない。奥方のご家族は相手の本質を分かっていない愚かな人の様だ。
「奥様はどこにいらっしゃるんですか?」
一緒に話を聞いていたオリガが訪ねる。その顔は少し青ざめていた。
「子供も無事に生まれましたので、所領で舅に代わって後始末をしています。彼女を手伝うことも考えましたが……」
領地の大半は没収され、家は奥方ではなく別の親族が継ぐことになったらしい。後始末には親族の手助けも必要だった。疎まれている彼がいると、その手助けも得られない可能性があるらしい。
「私も引責で処分を受けることになると決まると、彼女は泣いて離縁してくれと言ってきました。だからと言って妻子を見捨てることなどできません。降格になっても仕事を続けて2人を養おうと思っていたのですが、サントリナ公とブランドル公にお声をかけていただき、ルーク卿の元で働かせていただこうと決意しました。もちろん、ルーク卿が雇って下さるのでしたらですが……」
サイラスの言葉に俺とオリガは顔を見合わせる。またもや確認する様にセバスティアンさんを仰ぎ見ると、彼は無言でうなずいていた。
確かに、彼とは気心が知れているし雇うことが出来たら慣れない皇都での暮らしも楽になるし、これからは嫌でも増える貴族達との付き合いに頼もしい助人となってくれるはずだ。それでも俺の中にはまだ迷いがあった。本当に俺のところでいいのだろうか?
「サイラスは俺なんかに雇われて本当にいいのか?」
「ルーク卿、あまりご自身を卑下なさらないでください。貴方様はこの国を救った正真正銘の英雄です。これからもこの国にはなくてはならない存在です。それでもおごることなく他者への労りを忘れない、そんなお方にお仕えできるのはこれ以上無い喜びです」
誉め言葉に俺は段々と気恥ずかしくなってくる。もはや不採用にする理由はなく、俺は喜んでサイラスを家令に迎えることにした。
その後はセバスティアンさんの意見を参考にして細かい契約内容を取り決めた。サイラスは既に侍官の職は辞しているので明日から仕えてくれることになった。屋敷に住み込みで働いてくれることになり、所領の後始末が済んだら奥方と子供も呼ぶことになっている。
「改めてよろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
これから長い付き合いになるサイラスと握手を交わして契約を完了した。屋敷を賜ってどう管理しようか悩んでいたが、頼もしい家令に来てもらえることになって俺は大いに安堵したのだった。
サントリナ家やブランドル家から推薦されていただけあって、選定の面談に来てくれた使用人達はいずれも優秀な人達ばかりだった。サイラスとセバスティアンさんの意見も聞きながら熟考を重ねた結果、今までも我が家へ来てくれていた夫婦を住み込みで雇うことになった。
夫フーゴが主に外回りを担当し、妻リタが家の中の事を受け持つ。そして所領の後始末が済めばサイラスの奥さんも来てくれるらしい。しかし、当面は子育てに専念してもらうことになるだろう。家の規模の事を考えたら使用人の数が少ない気もするが、オリガも俺もたいていの事は自分で出来るので問題ないし、俺の収入を考えたらこの辺りが限度だった。
屋敷の方は俺に譲渡されるにあたって傷んだ個所が改修されていた。調度品もそのまま使えるので、オリガやサイラスと相談して使いやすいように配置を変えた。これで宿舎として借りていた時以上に居心地のいい家になったはずだ。
当初の予定では皇都には半月ほどの滞在予定だった。屋敷を賜ると言う想定外の出来事に加え、グレーテル様がこだわりぬいたオリガの花嫁衣裳の手直しが思った以上に時間がかかり、既に一月近く滞在していた。
その間、俺は自分の屋敷に滞在し、オリガはグレーテル様のご要望でブランドル家に滞在していた。当然、一人寝の寂しい夜は継続中だった。それでも日中は自由に会えるので、午前の鍛錬が終わると彼女を迎えに行ったり、家で待っていてくれたりして午後は一緒に過ごした。
念願だった2人での買い物にも出かけた。組紐は真っ先に買いに行ったし、アジュガの人達へのお土産も2人で選んだ。ブランドル公邸やサントリナ公邸、更には北棟でのお茶会にも呼ばれてちょっとだけ窮屈な時間を過ごしたこともあった。だが、ようやく花嫁衣装が仕上がり、今日、再びアジュガへ向けて出立する運びとなった。
あと数日もすれば陛下が国主会議に出立されるので本当はそれまで待とうとしたのだが、陛下御自身からアジュガのみんなが首を長くして待っているのだから早く行くようにと言われてしまい、そのお言葉に甘えることにしたのだ。
「お気をつけていってらっしゃいませ」
屋敷を出る俺にサイラスはそう言って見送ってくれた。最初は今までの侍官としての仕事の違いに少し戸惑っていた様子だったが、元々の素質に加えてセバスティアンさんからその心構えを習ったのもあってこの一月に満たない時間ですっかり板につくようになっていた。
俺は一度馬車でブランドル家へ立ち寄り、グレーテル様と使用人達に見送られてオリガと共に本宮へ向かった。そこで待ってくれていたラウル達と合流し、今度は第1騎士団の竜騎士達に見送られて皇都を発った。
アジュガはすっかりお祭り騒ぎとなっていた。町中が花で彩られ、広場にはいくつもの屋台が立ち並び、大道芸人がそれぞれの技を披露していた。上空からでも酒を飲んで酔っ払っている親方衆の姿も確認できた。
「兄さん、これは……」
「聞くまでもないだろう。お前の到着が遅いから先に始まった」
着場に迎えに来てくれた兄さんは苦笑しながらそう答えた。まあ、確かに当初の予定より随分遅れてしまったが、主役抜きでよくここまで盛り上がれるものだ。まあ、娯楽にされるのももう慣れた。俺は諦めの境地で飛竜から降ろされた荷物の運び先の手配をした。
今回、一番嵩張るのはオリガの花嫁衣裳。身に付ける宝飾品と併せて厳重に梱包されたその箱を俺達の家へ慎重に運び込む。一方の俺の礼装は実家に運んでもらった。グレーテル様の結婚まで同衾禁止は今なお継続中なので、式まで俺は実家に泊ることにしていた。ただ、オリガを一人にするのは不安なので、ティムが泊ってくれることになっている。
既に夕刻。実家にオリガやティムも含めて家族が集まり、夕餉となった。今日俺達が帰ることを聞いたご近所さんからもお祝いとばかりに様々な差し入れがあったとかで食卓は実に賑やかだった。当然、踊る牡鹿亭のミートパイもある。でもやっぱり、母さんが作ってくれた料理が美味しい。
「式は3日後になった。それまであの状態が続くのかと思うと頭が痛いけど」
兄さんの愚痴に俺達はただ苦笑するしかなかった。飲んで騒ぎたいだけかもしれないが、その中に祝ってくれる気持ちがあるはずだ。多分……。その後は互いの近況を話したりして夕餉の席は賑やかに、そして笑いが絶えないまま終えたのだった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる