掌中の珠のように Honey Days

花影

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★アドベンドカレンダー2

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12月15日

 アドベンドカレンダーは日々その内容が豪華になっていた。初めの数日はマシュマロやジンジャーマンのクッキーといったお菓子やアロマキャンドル、クリスマスの置物といったものが入っていたのだが、10日を過ぎた頃からその内容が明らかに変わってきた。
 新色の口紅やマニキュアといった化粧品にクリスマスモチーフのアクセサリ。今日は限定品らしい化粧筆のセットが入っていた。値段までは分からないが、それでも彼女の同年代の女性であればそれ一つでもプレゼントしてもらえれば嬉しい品ばかりだ。
「もう、こんなにお金かけなくていいのに……。嬉しいけど」
 部屋の窓から庭のイルミネーションを眺めながら沙耶は呟く。
 12月に入ってからは義総も幸嗣もただでさえ忙しいのに付き合いも加わってまともに顔を合わせられる日が少なくなっている。エトワールの再建はまだ半ばで、加えて人材不足がその忙しさに拍車をかけていた。
 あのアドベンドカレンダーも庭のイルミネーションも沙耶が寂しい思いをしないようにと2人が知恵を出し合って用意してくれていたのだ。だからこそ身に余るものが入っていても文句も言えない。2人に対してメールでお礼を言う日々が続いている。本当は2人に会いたくて仕方がない。けれども忙しいのが分かっているから電話も我慢していた。

トントン……

 扉をノックされ、綾乃が来たのだろうと思った沙耶は窓の外を眺めながら返事する。すると、扉が開いて誰かが入ってきた。その人物がガラスに映ると、沙耶は驚いて振り向く。
「義総さん!」
 驚きよりも嬉しさが勝って彼に抱きついていた。
「沙耶……」
 義総は自分の胸に飛び込んできた彼女を抱きしめる。そして2人は顔を見合わせると唇を重ねた。幾度も唇を重ね、やがてそれが落ち着くと2人は仲良く並んでソファに腰掛ける。
「予定が1つ早く終わって、少し時間が出来たから顔を見に来た」
「また、すぐに出てしまうの?」
「1時間くらいだ」
 会えて嬉しいのだが、義総の返答に沙耶は表情を曇らせる。だがすぐに、短時間でも顔を見られたのだからと気持ちを切り替えた。
「いつも、素敵な贈り物をありがとう」
「気に入ってくれたか?」
「うん」
 面と向かってアドベンドカレンダーのお礼が言えて、沙耶は嬉しくなって彼の体にピタリと寄り添う。義総はそんな彼女の肩を抱いて引き寄せた。
「気に入ったものはあったか?」
「どれも……。でも、あのスノードームが一番かな」
 沙耶が指差したのは昨年もらったツリーの隣に飾ってある置物だった。内容がワンランク上がる前、9日目に入っていたプレゼントだった。
「そうか」
 義総はそれだけ応えると、引き寄せた沙耶を膝にのせて唇を重ねる。こうして触れ合えるのも10日ぶりの上に時間制限もある。顔を見れた喜びが過ぎると、今度は欲が顔をのぞかせてくる。
「沙耶……」
 口づけを深めながら指は沙耶の耳に触れ、首筋をくすぐっていく。彼女が甘い吐息を漏らすと、着ているワンピースのファスナーを下げ、するりと胸元をはだける。
「あ……」
 義総はその胸元に顔を寄せ、立ち昇る彼女の匂いを嗅ぎながら舌を這わせる。じれったくて甘くて熱いその刺激に沙耶は義総の頭を抱えて体を震わせた。これから起こる事の期待に体の奥が熱く疼いている。欲求不満なのは彼だけではない。沙耶も彼を欲していた。
「義総……さん、私、もう……」
 喘ぎながら発した言葉は途切れ途切れになる。何が言いたいか察した義総は彼女を抱き上げてベッドに向かう。
「あまり加減が出来ないかもしれない」
「いいの……。来て……」
 裸になるのももどかしく、義総は脱いだ上着と解いたネクタイを放り投げ、ベルトを緩めるとズボンと下着も脱ぎ捨てて沙耶にのしかかる。そして彼女のワンピースの裾をまくり、ショーツを脱がせると、いきり立った彼自身を彼女の秘所にこすりつけた。
「沙耶……」
 すでにそこは期待に濡れそぼっていた。擦るたびにグチグチと音がなり、彼の屹立はあっという間にあふれ出た蜜にまみれる。このままでも気持ちいいのだが、体はもっと強い快楽を求めている。義総は自身の角度を変えると、その快楽を待ちわびる秘孔へ彼の長大なものを沈めていく。
「ああ……」
 その締め付けに義総は甘い吐息を漏らす。こうして交わるのが久しぶりなのもあってすぐに達しそうになるのをどうにか堪えた。しかし、彼女の中はそれを許さないとばかりに蠢いて、彼のモノを締め付けてくる。その誘惑に抗う事ができず、義総は奥を穿つようにガツガツと腰を打ち付ける様に動かした。
「あぁっ、だ、だめぇぇぇ!」
 激しい挿送に沙耶はたちまち上り詰めていた。それでも義総の腰の動きは止まらない。過ぎた快楽におかしくなりそうで怖くなり、沙耶は義総にしがみつく。そんな彼女に口づけると、淫猥な水音を響かせながらなおも腰の動きは激しさを増してくる。
「きゃぁぁぁぁん!」
 再び絶頂に達した沙耶と同時に義総も最奥に精を放っていた。しばし脱力し、体が重なる。
「沙耶……」
「義総さん……」
 少し落ち着くと2人は顔を見合わせて唇を重ねる。もっと繋がっていたい。その気持ちが強かったが、時間が迫っていた。義総は仕方なくけだるい体を起こした。
「行っちゃうの?」
「ゴメン」
 このまま朝までずっと一緒に居たいが、それをしてしまうと肝心な日に一緒に居られない。現在、義総も幸嗣も分刻みのスケジュールをこなしているのは、聖夜に愛しい人と過ごす為だからだ。沙耶もそれを知っているから、寂しさを感じながらもそれ以上我儘は言わないようにしていた。
「行ってくる」
「……気を付けてね」
 寂しそうに見上げる沙耶にもう一度口づけると、義総は脱ぎ散らかした服を手早く身に付ける。そして後ろ髪引かれる思いをしながら沙耶の部屋を後にしていった。
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