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51.春の訪れ(1)*
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四月になり、春らしい暖かな日が続いている。そんなある日、珍しく数日のお休みが取れそうだと透也から聞かされていた。仕事から帰宅すると、足早に綾芽の元へ駆け寄る。
「綾芽、明日京都へ行くぞ!」
急な提案に、手に持っていた菜箸を落としそうになった。
「せっかくのお休みなのに、透也さん疲れていないんですか?」
「綾芽の顔さえ見れれば、疲れなんて吹き飛ぶよ」
京都へ行けるのは素直に嬉しい。けれど、このところ仕事と事件の処理で忙しく立ち回り、もし休日を取得できるのであれば、綾芽としては家でゆっくりと過ごしてもらいたかった。
最近の綾芽といえば、透也の寝室で寝ることは当たり前で、逆に隣で寝てもらわないと落ち着いて眠れないほどだった。毎朝寝顔を見ることができ、手を伸ばせば、すぐに透也に触れることができるなんて、どれほど幸せなことか。
ただ、綾芽の睡眠を妨げる、たった一つのことだけを除いては……。
「綾芽……」
今夜もまた、ベッドサイドの明かりを消すと、透也からの声が掛かる。
返事をする前に透也の手が伸びて体を引き寄せられると、急いで着ているパジャマを脱がせようとする。
「と、透也さん、今夜も……ですか? お仕事で疲れているのでは?」
「分かっているだろ? 俺は、どうしても綾芽を抱かないと眠れない」
「でも、こんなに……毎晩は……」
毎回そう断ってはいるけれど、綾芽自身も唇を重ねられてしまうと、いつの間にか舌先を伸ばし、透也の舌に絡みつかせてしまう。
「んんっ……はぁっ」
このところ綾芽に対する透也の執着が激しい。
以前は子作りという大義名分のため、ある程度は理解していたものの、最近の綾芽を求める頻度は増える一方だった。綾芽自身、困惑しながらも、体が記憶している快楽に火を点けられてしまうと、拒むことが難しい。
唇が重なり、彼の腕に引き込まれる瞬間、身体の奥がじんわりと蕩け出し、結局こちらも応えたくなってしまうのだ。
透也の指先は綾芽の感じる箇所を辿り、どこが感じるかを正確に把握し、優しく刺激してくる。
クチュクチュと舌先でお互いの口の中をかき混ぜると、頭の中は淡いピンク色に染まり、身体は透也の指先を待ち焦がれた。
「綾芽とのキスは溶けるように甘くて、柔らかい。味わうほど、もっと欲しくなる」
いつの間にか片手の指先同士を絡めて恋人繋ぎにすると、透也の尖った舌が何度も口腔内を漁った。
「ふぁぁぁんっ……」
透也の指先は綾芽の乳暈を辿り、優しく愛撫するが、硬くなって上を向いた先端に直接触れず、もう片方の手も、下腹部のなだらかに盛り上がった丘を撫でるだけで、疼き始めた襞の奥には近付こうとしない。
「んんっ……」
もっと気持ち良くしてもらいたい欲求が綾芽に生まれ、自然と腰をうねらせた。透也は動きを止め、挑戦的な視線で綾芽の瞳を見つめる。
「どうして欲しい?」
「意地悪です。迫っておきながら、そんなこと……」
「そうじゃない。少しは綾芽が欲しい俺の気持ちが理解できるだろう?」
「分かってます。私だって……こんな風に焦らされたら……」
「それなら、どうして欲しい?」
透也の誘うような視線に、綾芽は困惑した表情を浮かべながら目を潤ませ答えた。
「……さ、触って欲しいです……」
「どこを?」
そんな恥ずかしいこと言えるわけない。早く気持ち良くさせて欲しいだけなのに……。
言葉にできず口元をパクパクしながら透也に視線を送った。透也は綾芽を楽しそうに見つめたまま、ゆっくりと片手で下腹部を撫で上げ、こちらの様子を伺っている。
「答えないなら、今夜はやめておこうか?」
身体の奥は疼いたまま、中途半端な気持ちで終わってしまっては、一晩中おかしくなりそうだった。こんな体にされてしまっては、綾芽の方が参ってしまいそう。
「透也さんの……あの……」
意地悪そうな視線が綾芽を追い詰める。
「フッ……」
透也がニヤリと笑みを浮かべ、身体を起こした。背中を支えられ、抱き起こされる。足を伸ばしお互いが向かい合う形になった。
「嘘だよ。ちょっと困らせてみたかったんだ。そんな風に、ちょっと困った顔をした綾芽が可愛くて仕方がない。今夜はこのまま繋がろうか?」
「こ、このままって?」
透也はベッドの上に足を伸ばして座り、その上に綾芽をまたがせる対面座位の姿勢を取らせた。
「こうすれば、綾芽の甘く悶えるような表情が良く見える」
「やぁっ……」
綾芽は声を上げている最中の自分を想像し、恥ずかしくなり顔を覆った。
「俺は綾芽の幸せそうな表情が見たいだけだ」
向い合って抱っこされているような形になり、足を開いた状態で座っているから、綾芽の中心部には透也の硬くなった屹立が直接当たる。透也は綾芽の腰に手を伸ばすと、力強く引き寄せた。
「こうして綾芽を抱く度に、毎晩実感する。やっと手に入れることができたって。綾芽はずっと俺の腕の中だ」
「私も……私も透也さんを手に入れました」
綾芽も嬉しくなって、背中に回した手に力を入れた。お互いが顔を寄せ合うと、柔らかなキスを何度も重ね、やがて舌を絡め合う。溶け出した秘裂は触れられてもいないのに、ヒクヒクと蠢く。透也の指先が腹部を伝い、そっと綾芽の蜜口に差し込まれた。グチュッと鈍い音を立て、何度か抽送を繰り返す。
「んあぁっ……」
疼きを沈めるための指先が綾芽の深部を探ると、心地よさのあまり陶酔し、そのまま浮遊している感覚に襲われる。思わず身体を反らし、倒れそうになるところを透也の腕が抱きかかえた。
「綾芽……俺も気持ち良くさせて」
綾芽の背中に回した腕に力を入れ、身体を持ち上げると、透也の張りつめて暴発しそうな男根を当てがった。熟して広がった花びらを押し分け、透也の先端が侵入していく。
「んっ……ふあぁぁっ……んあっ」
綾芽が膝の上に乗っている形になっているから、滑り良くなっている中心部は、すんなりと透也のものを受け入れた。
一瞬にして太く尖った槍は綾芽の隘路を塞ぐ。その押し広げられた感覚が頭の中を巡り、腰が抜けそうな快感に包まれる。
「準備はいいか?」
燃えるような瞳で尋ねられ、綾芽は半分浮遊しているような視線で瞬きを繰り返した。ゆっくりと頷くと、透也は綾芽の身体をがっしりと支え、下から突き上げるように貫く。突き上げる度に、ジンジンと甘い痺れが大きな波になって綾芽に襲い掛かる。
「あ、あぁ~んっ」
その動きに堪らず、透也の首回りに掴まりながら、顎を反らした。身体が勝手に反応し、下腹部が小刻みに揺れる。奥が窄む感覚がして、綾芽の締め付けに透也も荒い声を上げた。
「いいよ。綾芽のすべてを味わい尽くしているみたいで、ものすごく気持ちがいい」
「透也さん……はぁぁ……そんなに何度も突いたら……あぁんっ……」
「イク時は、教えて。綾芽の声をもっと聞きたい」
「だって……はぁんっ……とてもいいです……ああぁっ……イクっ!」
透也が腰を短く何度も突き上げると綾芽は全身を硬直させ、あまりの快感に逃げ場を失い、上半身をのけ反らせた。綾芽の秘所は何度も収縮し、捕えていた肉楔を強く締め付ける。
「綾芽……あぁ」
透也はうめき声を上げると、何度か綾芽を押し上げた。生暖かいものが身体の奥で弾け、ほとばしる感覚が広がる。しばらく抱き合ったまま唇を重ね、甘いキスを交わす。心地良い余韻がいつまでも体内に残り、幸せな気持ちのまま意識を手放した。
「綾芽、明日京都へ行くぞ!」
急な提案に、手に持っていた菜箸を落としそうになった。
「せっかくのお休みなのに、透也さん疲れていないんですか?」
「綾芽の顔さえ見れれば、疲れなんて吹き飛ぶよ」
京都へ行けるのは素直に嬉しい。けれど、このところ仕事と事件の処理で忙しく立ち回り、もし休日を取得できるのであれば、綾芽としては家でゆっくりと過ごしてもらいたかった。
最近の綾芽といえば、透也の寝室で寝ることは当たり前で、逆に隣で寝てもらわないと落ち着いて眠れないほどだった。毎朝寝顔を見ることができ、手を伸ばせば、すぐに透也に触れることができるなんて、どれほど幸せなことか。
ただ、綾芽の睡眠を妨げる、たった一つのことだけを除いては……。
「綾芽……」
今夜もまた、ベッドサイドの明かりを消すと、透也からの声が掛かる。
返事をする前に透也の手が伸びて体を引き寄せられると、急いで着ているパジャマを脱がせようとする。
「と、透也さん、今夜も……ですか? お仕事で疲れているのでは?」
「分かっているだろ? 俺は、どうしても綾芽を抱かないと眠れない」
「でも、こんなに……毎晩は……」
毎回そう断ってはいるけれど、綾芽自身も唇を重ねられてしまうと、いつの間にか舌先を伸ばし、透也の舌に絡みつかせてしまう。
「んんっ……はぁっ」
このところ綾芽に対する透也の執着が激しい。
以前は子作りという大義名分のため、ある程度は理解していたものの、最近の綾芽を求める頻度は増える一方だった。綾芽自身、困惑しながらも、体が記憶している快楽に火を点けられてしまうと、拒むことが難しい。
唇が重なり、彼の腕に引き込まれる瞬間、身体の奥がじんわりと蕩け出し、結局こちらも応えたくなってしまうのだ。
透也の指先は綾芽の感じる箇所を辿り、どこが感じるかを正確に把握し、優しく刺激してくる。
クチュクチュと舌先でお互いの口の中をかき混ぜると、頭の中は淡いピンク色に染まり、身体は透也の指先を待ち焦がれた。
「綾芽とのキスは溶けるように甘くて、柔らかい。味わうほど、もっと欲しくなる」
いつの間にか片手の指先同士を絡めて恋人繋ぎにすると、透也の尖った舌が何度も口腔内を漁った。
「ふぁぁぁんっ……」
透也の指先は綾芽の乳暈を辿り、優しく愛撫するが、硬くなって上を向いた先端に直接触れず、もう片方の手も、下腹部のなだらかに盛り上がった丘を撫でるだけで、疼き始めた襞の奥には近付こうとしない。
「んんっ……」
もっと気持ち良くしてもらいたい欲求が綾芽に生まれ、自然と腰をうねらせた。透也は動きを止め、挑戦的な視線で綾芽の瞳を見つめる。
「どうして欲しい?」
「意地悪です。迫っておきながら、そんなこと……」
「そうじゃない。少しは綾芽が欲しい俺の気持ちが理解できるだろう?」
「分かってます。私だって……こんな風に焦らされたら……」
「それなら、どうして欲しい?」
透也の誘うような視線に、綾芽は困惑した表情を浮かべながら目を潤ませ答えた。
「……さ、触って欲しいです……」
「どこを?」
そんな恥ずかしいこと言えるわけない。早く気持ち良くさせて欲しいだけなのに……。
言葉にできず口元をパクパクしながら透也に視線を送った。透也は綾芽を楽しそうに見つめたまま、ゆっくりと片手で下腹部を撫で上げ、こちらの様子を伺っている。
「答えないなら、今夜はやめておこうか?」
身体の奥は疼いたまま、中途半端な気持ちで終わってしまっては、一晩中おかしくなりそうだった。こんな体にされてしまっては、綾芽の方が参ってしまいそう。
「透也さんの……あの……」
意地悪そうな視線が綾芽を追い詰める。
「フッ……」
透也がニヤリと笑みを浮かべ、身体を起こした。背中を支えられ、抱き起こされる。足を伸ばしお互いが向かい合う形になった。
「嘘だよ。ちょっと困らせてみたかったんだ。そんな風に、ちょっと困った顔をした綾芽が可愛くて仕方がない。今夜はこのまま繋がろうか?」
「こ、このままって?」
透也はベッドの上に足を伸ばして座り、その上に綾芽をまたがせる対面座位の姿勢を取らせた。
「こうすれば、綾芽の甘く悶えるような表情が良く見える」
「やぁっ……」
綾芽は声を上げている最中の自分を想像し、恥ずかしくなり顔を覆った。
「俺は綾芽の幸せそうな表情が見たいだけだ」
向い合って抱っこされているような形になり、足を開いた状態で座っているから、綾芽の中心部には透也の硬くなった屹立が直接当たる。透也は綾芽の腰に手を伸ばすと、力強く引き寄せた。
「こうして綾芽を抱く度に、毎晩実感する。やっと手に入れることができたって。綾芽はずっと俺の腕の中だ」
「私も……私も透也さんを手に入れました」
綾芽も嬉しくなって、背中に回した手に力を入れた。お互いが顔を寄せ合うと、柔らかなキスを何度も重ね、やがて舌を絡め合う。溶け出した秘裂は触れられてもいないのに、ヒクヒクと蠢く。透也の指先が腹部を伝い、そっと綾芽の蜜口に差し込まれた。グチュッと鈍い音を立て、何度か抽送を繰り返す。
「んあぁっ……」
疼きを沈めるための指先が綾芽の深部を探ると、心地よさのあまり陶酔し、そのまま浮遊している感覚に襲われる。思わず身体を反らし、倒れそうになるところを透也の腕が抱きかかえた。
「綾芽……俺も気持ち良くさせて」
綾芽の背中に回した腕に力を入れ、身体を持ち上げると、透也の張りつめて暴発しそうな男根を当てがった。熟して広がった花びらを押し分け、透也の先端が侵入していく。
「んっ……ふあぁぁっ……んあっ」
綾芽が膝の上に乗っている形になっているから、滑り良くなっている中心部は、すんなりと透也のものを受け入れた。
一瞬にして太く尖った槍は綾芽の隘路を塞ぐ。その押し広げられた感覚が頭の中を巡り、腰が抜けそうな快感に包まれる。
「準備はいいか?」
燃えるような瞳で尋ねられ、綾芽は半分浮遊しているような視線で瞬きを繰り返した。ゆっくりと頷くと、透也は綾芽の身体をがっしりと支え、下から突き上げるように貫く。突き上げる度に、ジンジンと甘い痺れが大きな波になって綾芽に襲い掛かる。
「あ、あぁ~んっ」
その動きに堪らず、透也の首回りに掴まりながら、顎を反らした。身体が勝手に反応し、下腹部が小刻みに揺れる。奥が窄む感覚がして、綾芽の締め付けに透也も荒い声を上げた。
「いいよ。綾芽のすべてを味わい尽くしているみたいで、ものすごく気持ちがいい」
「透也さん……はぁぁ……そんなに何度も突いたら……あぁんっ……」
「イク時は、教えて。綾芽の声をもっと聞きたい」
「だって……はぁんっ……とてもいいです……ああぁっ……イクっ!」
透也が腰を短く何度も突き上げると綾芽は全身を硬直させ、あまりの快感に逃げ場を失い、上半身をのけ反らせた。綾芽の秘所は何度も収縮し、捕えていた肉楔を強く締め付ける。
「綾芽……あぁ」
透也はうめき声を上げると、何度か綾芽を押し上げた。生暖かいものが身体の奥で弾け、ほとばしる感覚が広がる。しばらく抱き合ったまま唇を重ね、甘いキスを交わす。心地良い余韻がいつまでも体内に残り、幸せな気持ちのまま意識を手放した。
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