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第61話
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レレが目を覚ましたのは、それからしばらく経ってからだった。
「……」
彼女はぼんやりとした表情で周囲を確認する。
やはり、まだ薬の影響が残っているのだろう。
「良かった、気が付いたんだね」
「……私は……一体……?」
「僕達は、宿の主人に薬を盛られたんだ。でも、あの男は、もうこの世にいないから安心して」
「……そう、ですか……」
レレが上体を起こそうとしたので、僕はそれを手伝った。
「……不覚です。あんな男に、まんまと騙されるなんて……」
レレが悔しそうに言った。
「仕方がないよ。薬は、スープに入ってたんだ。メドニ茸の味や香りが強いせいで、眠り薬が混ざっていても気付きにくかったはずだよ」
「……ティルトが助けてくれたんですね……ありがとうございます」
「いや……僕達を助けてくれたのは、ノエルだよ」
「ノエルが……?」
レレは困惑した様子だった。
僕は、レレが眠った後の出来事を伝える。
「そんなことがあったなんて……」
ノエルがされたことの詳細は省いたが、それでも、レレにとっては衝撃が大きかったようだ。
「僕も初めての時はそうだったけど……ノエルは、人を殺してしまって、かなり混乱しているみたいなんだ。今は、クレアとロゼットが付き添ってくれているけど……しばらくしたら、レレにも様子を見に行ってくれないかな?」
「……分かりました」
レレはベッドから下りようとしたが、意識が遠のいたらしく、よろめいた。
僕は、瞬間的に魔法を発動させてレレを支える。
「レレ!」
「……すいません。もう少し休ませてください」
「そうだね……ごめん。君の身体への配慮が足りなかった」
「いいえ。ノエルのことが心配なのは、私も同じです。もう少し休んだら、大丈夫だと思いますから……」
レレはそう言ったが、彼女の身体はベルさんより小さいため、同じ量のスープを飲んだのであれば影響は大きいはずである。
彼女は、再び目を閉じた。
まだ眠たそうにしている。
「もう少し、ベッドで休んだ方が良さそうだね」
「……すいません」
僕は、レレをベッドに寝かせた。
「あら、お楽しみの最中だったかしら?」
突然、ベルさんの声がして、僕は驚いた。
「ベルさん!」
「こんな状況でディフィを押し倒すなんて、貴方、なかなかやるわね」
「押し倒したりしてません!」
「叔母様……ティルトに失礼です……」
「隠さなくてもいいじゃない。オットームの男は、女の子にお酒を飲ませて、抵抗できないようにしてから押し倒すらしいわよ? それに比べれば、自分で飲ませたわけじゃないから、悪質性は低いと思うけど?」
「レレに、そんな酷いことはしませんよ! 彼女の体調が良くないから、寝かせていただけです!」
「そう……。やっぱり、ディフィも具合が悪いのね」
「……じゃあ、ベルさんも?」
「ええ。そのせいで、困ったことになったわ。魔法が上手く発動しないのよ」
「えっ!?」
それは、重大なことを意味していた。
クレアやロゼットは元々戦えないし、当然ながら、ノエルも戦うことができない。
そして、レレも戦えそうにない状況だ。
ベルさんまでもが戦えないということは、戦えるのは僕1人になってしまったということである。
たった1人で、全員を守るなんて……できるだろうか?
「そういうわけで、貴方には、私達と一緒にいてほしいの。これから、服と身体を洗って、血の汚れを落とそうと思うけど、貴方も来てちょうだい」
「いや、でも……それって、全員が裸になるってことですよね?」
「当たり前じゃない。でも、四の五の言ってる場合じゃないでしょ? 一番嫌がりそうなクレアには、ちゃんと事情を話したわ。あの子も、一応納得してくれたわよ。服はなるべく捨てたくないし、髪を汚れたままにするのは嫌だもの」
「……ノエルはどうするんですか? 僕の前で裸になるなんて、凄く嫌がるんじゃ……?」
「この状況で、あの子が拒むはずがないでしょ? あの子は、貴方が思っているよりも、ずっと肝が据わってるのよ?」
「……それ、ベルさんが無理強いしてませんよね?」
「貴方……本当に、私のことを何だと思ってるのよ……?」
「……すいません。でも、レレは具合が悪そうですから、お風呂に入るのは危ないんじゃ……?」
「湯船に入る必要はないから大丈夫よ。さあ、急ぎましょう? 夜の間に、この村からは出ておかないといけないから、時間がないわ」
「何というか……皆に悪い気がします」
「貴方、まだそんなことを言ってるの? 誰かが襲ってきたら、たとえどんな状況でも、貴方1人で、全員を守らないといけないのよ? クレア達の羞恥心のことなんて、考えている場合じゃないでしょ?」
「……仕方がありませんね」
僕も覚悟を決めた。
非常事態に便乗するようで、気は進まないのだが……そんなことを言っている場合でないことは確かだ。
しかし、彼女達全員が裸になったら、さすがに辛抱できなくなって、射精してしまうかもしれない……。
決して誰にも言えないことだが、それが一番心配なことだった。
「……」
彼女はぼんやりとした表情で周囲を確認する。
やはり、まだ薬の影響が残っているのだろう。
「良かった、気が付いたんだね」
「……私は……一体……?」
「僕達は、宿の主人に薬を盛られたんだ。でも、あの男は、もうこの世にいないから安心して」
「……そう、ですか……」
レレが上体を起こそうとしたので、僕はそれを手伝った。
「……不覚です。あんな男に、まんまと騙されるなんて……」
レレが悔しそうに言った。
「仕方がないよ。薬は、スープに入ってたんだ。メドニ茸の味や香りが強いせいで、眠り薬が混ざっていても気付きにくかったはずだよ」
「……ティルトが助けてくれたんですね……ありがとうございます」
「いや……僕達を助けてくれたのは、ノエルだよ」
「ノエルが……?」
レレは困惑した様子だった。
僕は、レレが眠った後の出来事を伝える。
「そんなことがあったなんて……」
ノエルがされたことの詳細は省いたが、それでも、レレにとっては衝撃が大きかったようだ。
「僕も初めての時はそうだったけど……ノエルは、人を殺してしまって、かなり混乱しているみたいなんだ。今は、クレアとロゼットが付き添ってくれているけど……しばらくしたら、レレにも様子を見に行ってくれないかな?」
「……分かりました」
レレはベッドから下りようとしたが、意識が遠のいたらしく、よろめいた。
僕は、瞬間的に魔法を発動させてレレを支える。
「レレ!」
「……すいません。もう少し休ませてください」
「そうだね……ごめん。君の身体への配慮が足りなかった」
「いいえ。ノエルのことが心配なのは、私も同じです。もう少し休んだら、大丈夫だと思いますから……」
レレはそう言ったが、彼女の身体はベルさんより小さいため、同じ量のスープを飲んだのであれば影響は大きいはずである。
彼女は、再び目を閉じた。
まだ眠たそうにしている。
「もう少し、ベッドで休んだ方が良さそうだね」
「……すいません」
僕は、レレをベッドに寝かせた。
「あら、お楽しみの最中だったかしら?」
突然、ベルさんの声がして、僕は驚いた。
「ベルさん!」
「こんな状況でディフィを押し倒すなんて、貴方、なかなかやるわね」
「押し倒したりしてません!」
「叔母様……ティルトに失礼です……」
「隠さなくてもいいじゃない。オットームの男は、女の子にお酒を飲ませて、抵抗できないようにしてから押し倒すらしいわよ? それに比べれば、自分で飲ませたわけじゃないから、悪質性は低いと思うけど?」
「レレに、そんな酷いことはしませんよ! 彼女の体調が良くないから、寝かせていただけです!」
「そう……。やっぱり、ディフィも具合が悪いのね」
「……じゃあ、ベルさんも?」
「ええ。そのせいで、困ったことになったわ。魔法が上手く発動しないのよ」
「えっ!?」
それは、重大なことを意味していた。
クレアやロゼットは元々戦えないし、当然ながら、ノエルも戦うことができない。
そして、レレも戦えそうにない状況だ。
ベルさんまでもが戦えないということは、戦えるのは僕1人になってしまったということである。
たった1人で、全員を守るなんて……できるだろうか?
「そういうわけで、貴方には、私達と一緒にいてほしいの。これから、服と身体を洗って、血の汚れを落とそうと思うけど、貴方も来てちょうだい」
「いや、でも……それって、全員が裸になるってことですよね?」
「当たり前じゃない。でも、四の五の言ってる場合じゃないでしょ? 一番嫌がりそうなクレアには、ちゃんと事情を話したわ。あの子も、一応納得してくれたわよ。服はなるべく捨てたくないし、髪を汚れたままにするのは嫌だもの」
「……ノエルはどうするんですか? 僕の前で裸になるなんて、凄く嫌がるんじゃ……?」
「この状況で、あの子が拒むはずがないでしょ? あの子は、貴方が思っているよりも、ずっと肝が据わってるのよ?」
「……それ、ベルさんが無理強いしてませんよね?」
「貴方……本当に、私のことを何だと思ってるのよ……?」
「……すいません。でも、レレは具合が悪そうですから、お風呂に入るのは危ないんじゃ……?」
「湯船に入る必要はないから大丈夫よ。さあ、急ぎましょう? 夜の間に、この村からは出ておかないといけないから、時間がないわ」
「何というか……皆に悪い気がします」
「貴方、まだそんなことを言ってるの? 誰かが襲ってきたら、たとえどんな状況でも、貴方1人で、全員を守らないといけないのよ? クレア達の羞恥心のことなんて、考えている場合じゃないでしょ?」
「……仕方がありませんね」
僕も覚悟を決めた。
非常事態に便乗するようで、気は進まないのだが……そんなことを言っている場合でないことは確かだ。
しかし、彼女達全員が裸になったら、さすがに辛抱できなくなって、射精してしまうかもしれない……。
決して誰にも言えないことだが、それが一番心配なことだった。
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