白銀の簒奪者

たかまちゆう

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第54話

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 僕は、ロゼットに歩み寄った。

「じゃあ、ベルさんが戻ってくるまで楽しませてもらおうかな」
「……」

 こちらを睨んでいるものの、ロゼットは、僕に何も言わなかった。

 抵抗する意思のないことを確認して、僕はロゼットの後ろに回り、両胸を揉んだ。
 やはり、このやり方が、女性の胸を一番楽しめると思う。

「……お尋ねしてもよろしいでしょうか?」

 ロゼットは、抵抗はしないままで言った。

「何かな?」
「どうすれば、ペティ達を逃がしていただけますか?」
「逃がさないよ。縛って放置するって言ってるでしょ?」
「ですが、それでは、通りすがりの男に犯されてしまうおそれがあります」
「だから面白いんだよ」
「……貴方はとんでもない外道ですね」
「……」

 反抗的な態度を許す気はない。
 僕は、ロゼットの乳房から手を離して、代わりに脇腹を撫でた。

「……!」

 さすがに、これにはロゼットも抵抗した。

「暴れたら駄目だよ?」
「……」

 ロゼットが大人しくなったことを確認して、僕は遠慮なく脇腹を責める。

「嫌……やめて……!」

 耐えられなくなったらしく、ロゼットが懇願してくる。

 それでも、僕はロゼットを責め続けた。
 お仕置きのためだけでなく、ようやく反応をしてもらえて嬉しかったからだ。

 ロゼットの脇腹を撫でたり突いたりして苦悶させる。
 そちらに意識が移ったタイミングで、もう1回胸に手を回して揉んだ。

 今度は、乳房を揉まれることも嫌がってくれたので、その反応をじっくりと楽しんだ。

「楽しそうね」

 ロゼットが落ち着いてきたので、次は何をしようか考えていると、ベルさんの声がした。
 その手には、洗濯紐のようなものが束ねられている。

「ありがとうございます、ベルさん。おかげで、とっても気分がいいです」
「そう……。少し複雑な気分だわ」

 ベルさんはそう言ったが、すぐにペティ達を縛り始めた。


 作業が終わった後で、僕は使用人達に言った。

「いいかい? 人質になっているロゼットのことを考えるなら、僕達のことは誰にも話しちゃ駄目だよ? 追手が来たら、足手まといになる彼女を殺すしかなくなるからね?」

 身動きが取れない状態の使用人達は、ようやく魔法の効果が薄れたらしく、どうにか拘束を解けないかと試みているようだったが、成功する様子はなかった。

「待たせたね、ロゼット。とりあえず服を着て。その後で、君には道案内をしてもらうよ?」
「……分かりました」

 憤りを隠せない様子で、ロゼットは服を身に着けた。

「いっそのこと、裸のままで連れて行けば、逃げられないかもしれないわね」
「ベルさん……さすがに、それは無理ですよ」
「私は逃げたりしません。あのタームという男の子を、助けなければいけませんから」

 服を元通りに着たロゼットは、僕達にそう宣言した。

「あら、どうしてオットームである貴方が、ダッデウドを助けるの?」
「お婆様のなさっていることは、あまりにも非人道的ですから」
「今までは、弄ばれている男の子を助けなかったくせに」
「あの子を逃がしたとしたら、お婆様は何をするか分かりませんでした。あの人は、老いていく自分が耐えられないのでしょう。既に、精神を病んでしまっているのです」
「だからって、男の子を虐げてもいい、ということにはならないわ。私は、貴方のお婆さんを殺すわよ? その後で、貴方も殺すわ」
「構いません。お婆様も、私も、死んで償うべきなのでしょうから。……ですが、お婆様の元にいる使用人や、お婆様が雇った娼婦の命は、助けていただけませんか?」
「冗談じゃないわ。男の子に危害を加えた者は、全員殺すに決まっているじゃない」

 ベルさんは、ロゼットの頼みを聞き入れることはなかった。
 そして、全裸のままで縛り上げた使用人達は放置して、本来の住人が逃げ出した屋敷を後にした。


 僕も、ロゼットのお婆さんに雇われている娼婦については、殺してしまっても構わないと思う。

 相手は女性だが、娼婦であれば、全裸にしても恥ずかしがったりはしないだろう。
 それは凌辱しても同じだろうし、そもそも、平気で身体を男に売るような女を抱きたいとは思わない。

 利用価値のない悪人など、さっさと始末するべきだ。

 だが、直接的な関係のない使用人まで殺すのは、やりすぎのような気がする。


「……ねえ、ロゼット。ダッデウドの男の子に、直接的な危害を加えた者は、生かしておくつもりがないけど……そうでない者については、全員見逃してあげてもいいわ。お仕置きも、免除してあげてもいいわよ?」

 突然のベルさんの申し出に、僕は驚いた。
 一体、どうして急に態度を変えたのだろう?

「何故そのようなことを? 何が目的ですか?」

 ロゼットは、訝しげな顔をして、ベルさんに尋ねた。

「その代わりに、私達が貴方やペティ達に対してしたことを、私の仲間には黙っていてほしいの」
「……ひょっとして、貴方達の仲間は、虐殺に反対しているのですか?」
「そうよ」
「ベルさん、そんなことを教えたら……!」

 僕は慌てた。
 自分から弱点を暴露するなんて、酷いミスだ。

 こんな話を聞いたら、むしろロゼットは、クレア達に全てを暴露するに違いない。

「隠そうとしたって、どうせ、すぐにバレるわ。あの子達なら、ロゼットを縛ることにすら反対しそうだもの」
「……」

 確かに、馬車で2日かかる距離を、縛った状態で歩かせるというのは、酷いことをしている印象を与えそうだ。

 ノエルの件もある。
 ベルさんがロゼットを縛ることには、クレア達が反対するだろう。

 彼女達の態度を見れば、僕達の間に温度差があることは、簡単に見抜かれてしまうに違いない。

「貴方達の仲間は、善良なのですね」
「甘すぎて嫌になるわ。そういう子達だから、ティルトが貴方達にしたことは、知られたくないのよ」
「暴露するなと言われて、私が大人しく従うと思いますか? 事実を伝えるだけで、貴方達の信頼関係を崩壊させられるというのに」
「思うわ。この取引に応じてくれないなら、私は、貴方のお婆さんのところにいる使用人を、皆殺しにするわよ?」
「……約束は、必ず守ってください。男の子に直接的な危害を加えていない使用人は、全員、危害を加えずに逃がす。間違いありませんね?」
「結構よ」

 話はまとまった。

 本当に良かった……。
 ロゼット達を散々弄んだことを知られたら、皆から嫌われてしまうに違いないと後悔していたところだったのだ。
 これで、僕はクレア達から嫌われずに済みそうだ。
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