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第36話
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その夜、僕は気まずく感じて、なかなか寝られなかった。
しかし、クレア達は、問題なく眠っているようだ。
皆、一体どういう神経をしているんだろう……?
翌朝の彼女達は、今までと変わらない様子だった。
どうして平然としていられるのか、理解に苦しむ。
しかし、迂闊なことをして事態を悪化させるわけにはいかないので、僕はあえて何も言わなかった。
旅を再開してから、僕は気になっていたことをベルさんに尋ねた。
「レレに酷いことをした連中って、その後どうなったんですか?」
「ほとんどは、まだ子供だもの。オットームの社会と同程度のお仕置きをするだけで済ましたわ」
「……ちなみに、レレって、ダッデウドの村ではスカートを履いているんですか?」
「あら、興味津々かしら?」
「いや、ちょっと気になっただけですよ!」
「ダッデウドの女は、男の関心を惹くために、色々と努力をしているのよ。スカートの長さだって研究して、脚が魅力的に見えるようにしているわ。中には、ミアが履いていたのと同じくらい短いスカートを履く子だっているのよ?」
「ええっ!?」
それでは、ちょっとしたはずみで下着が見えてしまうはずだ。
ダッデウドの女性は、そこまでするのか……!
「そこまでやっても、反応してくれる男って、ダッデウドにはほとんどいないのよね……。ティルトは、そういうことに反応してくれるから、可愛いわよ?」
ベルさんは、僕の方を見て笑った。
クレア達の前で、僕をからかうのはやめてほしい。
「それにしても、いくら子供とはいえ……家に忍び込むのは、やりすぎですよね……」
「あら、それは、大人の男がやったことよ?」
「えっ!?」
「一応言っておくけど、その男は、生粋の小児性愛者ではなかったの。昔、姉さんのことが好きだったらしいのよ。ディフィを見て、姉さんが小さかった頃を思い出しちゃったらしいのよね……」
「……それ、本当は、ベルさんのお姉さんの方が目当てだったんじゃ……?」
「あら、違うわよ? その男、ディフィの下着を漁って、いけないことをしていたらしいから」
「……」
「……気持ち悪い」
近くで話を聞いていたクレアが、嫌悪感を露わにして言った。
いろいろな意味で、全身から血の気が引いてしまうような話である。
「その男は、すぐに監獄送りになったわ。でも、ダッデウドって理性が乏しいから、矯正するのは大変なのよね……」
「じゃあ、やっぱり……強制的に去勢、ですか?」
「そこまではしないわよ。今となっては、どんな性癖があったとしても、肉体的な欲求を抱えているダッデウドの男性は貴重だもの。まあ……子孫にあたる男性にも、そういう性癖が引き継がれたら、いずれはそういう処置をする必要が出てくるのかもしれないけど」
「……あれ? ちょっと待ってください。ダッデウドでも、牢屋に入れたら、改心して善良になったりするんですか?」
意外に思って僕は尋ねた。
2度と監獄に入れられたくないから悪いことをしない、というのは、理性があるから出来る判断であるはずだ。
理性が乏しいダッデウドを監獄に入れることが、果たして有効なのだろうか?
「男用のダッデウドの監獄は、オットームとは大分違うのよ。目的は、その男のことを一生管理する女性を、強制的に作り出すことだから」
「……どういうことですか?」
「ダッデウドの監獄では、1人の男を、何人かの女性で管理するの。常に身体を拘束して自由を奪い、絶えず監視して、排泄も女性の前でさせるわ。入浴することも、自分で身体を拭くことも許されないの。許されるのは、女性に拭いてもらうことだけね」
「そんなに重い刑罰を与えるんですね……それでも、ダッデウドは矯正できないんですか?」
「だって、監獄から解放したら、理性なんて捨て去るんだもの。だから、一生見張り続ける以外に方法はないのよ。監獄の中では、自分を見張るパートナーを決めさせるために、自分で処理できないようにしておくの」
「処理って……?」
「貴方も男なんだから、分かるでしょ?」
「……!」
僕は、自分の顔が、耳まで真っ赤になっていることが分かった。
クレアとレレが、不思議そうな顔をして、こちらを見ている。
彼女達には、この話の意味を、一生知られたくないと思う。
「その結果として、男は持て余した欲求を満たすためだけに、子供を作ることになるそうよ」
「……女性の方は、それで本当にいいんですか?」
「当然じゃない。監獄で男を管理する女性は、その全員が、パートナーがいなくて困っている女性だもの。そうでもしないと、パートナーなんて得られないのよ。今は、オットームの男性を代わりにすることもできなくなったから……。私だって、応募しようか迷ったくらいよ」
ダッデウドの女性の執念は凄まじい。
性犯罪者に無理強いするようなことをしてまで、子供というのは欲しいものなのだろうか?
「そして、めでたく妊娠したら、男は普通の牢屋に移されて、女性の出産を待つことになるわ。無事に子供を産むことに成功したら、その女性は、夫のことを監視しながら子育てをする生活を送る、というわけよ」
「……」
やはり、ダッデウドの社会は壮絶なようだ。
しかし、クレア達は、問題なく眠っているようだ。
皆、一体どういう神経をしているんだろう……?
翌朝の彼女達は、今までと変わらない様子だった。
どうして平然としていられるのか、理解に苦しむ。
しかし、迂闊なことをして事態を悪化させるわけにはいかないので、僕はあえて何も言わなかった。
旅を再開してから、僕は気になっていたことをベルさんに尋ねた。
「レレに酷いことをした連中って、その後どうなったんですか?」
「ほとんどは、まだ子供だもの。オットームの社会と同程度のお仕置きをするだけで済ましたわ」
「……ちなみに、レレって、ダッデウドの村ではスカートを履いているんですか?」
「あら、興味津々かしら?」
「いや、ちょっと気になっただけですよ!」
「ダッデウドの女は、男の関心を惹くために、色々と努力をしているのよ。スカートの長さだって研究して、脚が魅力的に見えるようにしているわ。中には、ミアが履いていたのと同じくらい短いスカートを履く子だっているのよ?」
「ええっ!?」
それでは、ちょっとしたはずみで下着が見えてしまうはずだ。
ダッデウドの女性は、そこまでするのか……!
「そこまでやっても、反応してくれる男って、ダッデウドにはほとんどいないのよね……。ティルトは、そういうことに反応してくれるから、可愛いわよ?」
ベルさんは、僕の方を見て笑った。
クレア達の前で、僕をからかうのはやめてほしい。
「それにしても、いくら子供とはいえ……家に忍び込むのは、やりすぎですよね……」
「あら、それは、大人の男がやったことよ?」
「えっ!?」
「一応言っておくけど、その男は、生粋の小児性愛者ではなかったの。昔、姉さんのことが好きだったらしいのよ。ディフィを見て、姉さんが小さかった頃を思い出しちゃったらしいのよね……」
「……それ、本当は、ベルさんのお姉さんの方が目当てだったんじゃ……?」
「あら、違うわよ? その男、ディフィの下着を漁って、いけないことをしていたらしいから」
「……」
「……気持ち悪い」
近くで話を聞いていたクレアが、嫌悪感を露わにして言った。
いろいろな意味で、全身から血の気が引いてしまうような話である。
「その男は、すぐに監獄送りになったわ。でも、ダッデウドって理性が乏しいから、矯正するのは大変なのよね……」
「じゃあ、やっぱり……強制的に去勢、ですか?」
「そこまではしないわよ。今となっては、どんな性癖があったとしても、肉体的な欲求を抱えているダッデウドの男性は貴重だもの。まあ……子孫にあたる男性にも、そういう性癖が引き継がれたら、いずれはそういう処置をする必要が出てくるのかもしれないけど」
「……あれ? ちょっと待ってください。ダッデウドでも、牢屋に入れたら、改心して善良になったりするんですか?」
意外に思って僕は尋ねた。
2度と監獄に入れられたくないから悪いことをしない、というのは、理性があるから出来る判断であるはずだ。
理性が乏しいダッデウドを監獄に入れることが、果たして有効なのだろうか?
「男用のダッデウドの監獄は、オットームとは大分違うのよ。目的は、その男のことを一生管理する女性を、強制的に作り出すことだから」
「……どういうことですか?」
「ダッデウドの監獄では、1人の男を、何人かの女性で管理するの。常に身体を拘束して自由を奪い、絶えず監視して、排泄も女性の前でさせるわ。入浴することも、自分で身体を拭くことも許されないの。許されるのは、女性に拭いてもらうことだけね」
「そんなに重い刑罰を与えるんですね……それでも、ダッデウドは矯正できないんですか?」
「だって、監獄から解放したら、理性なんて捨て去るんだもの。だから、一生見張り続ける以外に方法はないのよ。監獄の中では、自分を見張るパートナーを決めさせるために、自分で処理できないようにしておくの」
「処理って……?」
「貴方も男なんだから、分かるでしょ?」
「……!」
僕は、自分の顔が、耳まで真っ赤になっていることが分かった。
クレアとレレが、不思議そうな顔をして、こちらを見ている。
彼女達には、この話の意味を、一生知られたくないと思う。
「その結果として、男は持て余した欲求を満たすためだけに、子供を作ることになるそうよ」
「……女性の方は、それで本当にいいんですか?」
「当然じゃない。監獄で男を管理する女性は、その全員が、パートナーがいなくて困っている女性だもの。そうでもしないと、パートナーなんて得られないのよ。今は、オットームの男性を代わりにすることもできなくなったから……。私だって、応募しようか迷ったくらいよ」
ダッデウドの女性の執念は凄まじい。
性犯罪者に無理強いするようなことをしてまで、子供というのは欲しいものなのだろうか?
「そして、めでたく妊娠したら、男は普通の牢屋に移されて、女性の出産を待つことになるわ。無事に子供を産むことに成功したら、その女性は、夫のことを監視しながら子育てをする生活を送る、というわけよ」
「……」
やはり、ダッデウドの社会は壮絶なようだ。
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