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13.異変

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 それは突然のことだった。


「レム様が悩んでる。貴方のせい。子供扱いされて傷付いてる」

 朝起こしに来たミミが、怒った顔でそんなことを言ってきた。

「ちょっと待ってよ。前にも言ったけど、レムは僕の世界の感覚ではまだ子供なんだよ」
「だったら、せめて結婚を受け入れて」
「それは……」
「レム様が小さいことが、そんなに不満なの?」
「そんなことはないよ! レムがいい子なのは分かってるし……」
「でも、貴方は大きな女性に憧れてる。そうでしょ?」
「いや、それは……」
「変態」
「それはちょっと失礼じゃないかな!」
「うるさい」

 ミミは右手を突き出してきた。
 僕は思わず身構えた。

 しかし、今回は頭にも下半身にも痛みがやってこなかった。

「うっ……!」

 ミミが呻き、頭を抱えて膝をついた。
 そして、その表情が苦悶から驚愕へと変わる。

「ミミ、大丈夫?」

 様を付け忘れたが、そんなことを気にする余裕はお互いに無かった。

「そんな……有り得ない! 貴方の序列は、30位よりも下のはず……! しかも、相手の魔法を返す魔法なんて……」

 ミミは恐怖の表情を浮かべていた。
 僕を見る目は、とてつもない化け物を見ているようだった。

 突然ミミの姿が消えた。
 これは……瞬間移動の魔法?


 どうすればいいのか分からないでいると、突然頭の中に声が響いた。

『ヒカリ、すぐに私の部屋に来て。大切な話があるの』

 ランゼローナ様の声だ。
 これがテレパシーの魔法なのだろう。


 何か、とんでもないことが起こっているようだ。
 僕は、混乱しながら部屋を後にした。
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