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第2幕~林木の深きにて、、寝迷う老木、火翳して魔女は蒼海の故地へ、待つ人は海口に
あ…そうです、、お父さんがルルヒラさんの剣、鍛えてくれるそうですよ?
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馬小屋のある宿は、【林のフォリンズ】ではそれほど多くない。
この町に来た当初は多少、値が張ると思ったものの餌やりも、宿主が担当してくれるとの事で、この宿に決めたのだった。
「紅毛ちゃん
今日も走ったわね、、
さあて、、」
二頭の馬面を撫でる。
敷地内の馬小屋に【ニチリア紅毛】二頭を預け、二階の部屋に戻るのはユエリだ。
この宿は二階建てで、下に食堂及び、調理場。
それから、体の汚れを落とす為の、狭く区切られた小間が並び、簡易な給水装置が備え付けられている。
宿泊客は少ないようで、宿の裏手の建物で食品店を営んでいるらしく、経営の足しにしてるとの事だった。
袋に入ったハーブ類の他、〈ハーブ、薬草になる四百の雑草〉の分厚い本が入った荷袋、腰の丸鞘のショテルダガーを外し、降ろす。
この短刀、ショテルダガー…【フォリンズの種火】で買ったものだが、彼女にとっては草刈りの鎌と、そう違わない。
半円状の刀身が、雑草を刈る際に扱い易い。
日常用にも、ぴったりな品だった。
「今日も良く切れてたわねえ、、
さて、と、、」
部屋の隅に荷物と共に放置してあった、ドクロの模型を見やる。
これも【フォリンズの種火】で購入したもので、【魔銀の気手繰りドクロ】とサクイヤは呼んでいた、カガシン作の試作品だ。
ドクロの部分には魔銀が少量混ぜられていて、【外気法】の操気によって、【念動】により浮く。
また、内臓された【火応石】で両目部分の窪みから、火を吹くものだった。
今現在、【念動】切れで操気術の扱えない彼女は、時々このドクロを掴んでは、操気を流し込めないかと集中していた。
「、、上手くいくのかしらね?」
日課となった、士官教習所でも行われる【外気法】の訓練の初歩と同様だ。
まず、ドクロを手に持ち、内臓の【火応石】が光らないか試す。
光れば、【火応石】が反応した証左でもあり、各属気の適性を判断する際にも使われる所法だ。
小さく燈火の色に灯った。
「光りはするのよねえ、、
昨日よりましかしら?」
次いで、【火操術】の属気の感触を肌に感じつつ、ドクロから手を離す。
昨日は手から離した際に燈火の光は、シュン…と萎み失せたのだった。
「上手く、、
灯ってるわね」
確かな手応えを感じた。
手を離したまま、ドクロの灯りは掻き消えずにいる。
そして、【念動】の操気を流し込めば、ドクロは浮き上がるはずだ。
カタカタとドクロが揺れ、嘲笑うような挙動を見せる。
手応えを感じ、更に操気を流し込んだ。
結果は期待通り。
浮き上がるドクロの窪んだ眼差しを睨みつけ、集中したのが功を奏した。
背後に、ガチャリ…と、ドアを開く音が聞こえたのは、そんな時だ。
集中が切れ、ドクロが落下する。
「あー、いや、、
浮いてたな、今、、」
少し、間の悪そうなルルヒラだ。
「早かったわねえ、、
まあ、ようやく調子が出そうなところよ?
もう一回ね、、」
今度は手に持つ事も無く、燈火に灯り、宙に浮かぶドクロだ。
「んー、浮かんでるな、しかし、、」
指を手繰り、ドクロをキャッチする。
「まあねえ
ようやく、暇から抜け出せそうね
明日から、かしら」
荷袋を置き、鎧を外すルルヒラに言った。
「あー、そうだな
居ないと飯が、あまり、な?」
「、、でしょうね
まあ、明日から探索復帰よ
ご飯、期待しとくのねえ、、」
次の日から、いつもの魔女然とした格好で復帰するユエリだった。
先の尖ったツバ付き帽子に黒髪を覗かせる。
背後にドクロを漂わせながら…。
肩剥きのローブドレスの上に、青と深い青の波紋が印象的な外套を纏った姿は久しぶりだった。
「今日は、そうねえ、、
もっと奥まで行こうかと、、
思っててね?」
組合の建物の中、丸テーブルに腰掛けるのは三人だ。
「ですか…それでしたら、、
…依頼の方はどうします?」
今日も受付嬢のサクイヤは、栗色髪を降ろしている。
紙片の束をめくりながら聞いてきた。
「んー、そうだな、、
何かあるのか?
俺にも分かるやつでな、、?」
聞き返すのは、まだ眠気の残ってそうなルルヒラだ。
組合に発注された依頼の中には、ダンジョンの奥まで赴かなければ達成出来ないようなものが、放置されているのが現状だった。
依頼主も当たればいいだろう、ぐらいの気持ちで発注したものがほとんどだ。
《ニチリア、西の深木林》の深層に進む冒険者の数が、少ないのが原因だ。
「そうですね…杉林より奥となりますとですね、、
分かりやすいものなら、この辺りですね…」
紙片を幾つか取り出す。
〈極上の滴る肉を
種類/討伐、及び回収
報酬/ウキワグマ一頭につき、銀貨四枚、銅貨二十五枚、焼肉食べ放題チケット五回分
概要/近頃は仕入れが少ねえ、、
肉食いてえ奴は【ミート・グラベル】…フォリンズの魂を育てる【ミート・グラベル】だっ!
異論は認めねえっ、、!〉
「んー?ここもか、、」
「一度、行ってみたいわね
【ミート・グラベル】、、」
「…お父さんと行きましたね
この前です
あと、三回分残ってるんですよ?チケット…
では…次です」
〈アーティファクトを是非
種類/探索
報酬/アーティファクト一つにつき、最低で銀貨三十枚、他に望みがあれば、応相談
概要/アーティファクトを何かしら一つ〉
「アーティファクトねえ
いざとなったら、、
売れるわね、これ、、」
荷袋から片眼鏡、【望遠レンズ・モノクル】を取り出す。
「んー、売る気はないな
今のところだが、、」
「…ですね
でも、望遠レンズ・モノクルなら、、
もっといい値がつくと思いますよ?
さて…最後ですね」
〈琥珀の採掘、或いは討伐
種類/採集、場合によっては討伐
報酬/琥珀の量次第、最大で銀貨十六枚分
概要/フォーク・ウッドの巣穴からの採掘、或いはフォーク・ウッドの根足からの発掘〉
「フォーク・ウッドねえ、、
どうなのよ?実際、、」
【歩く大木】と、そのままな異名の【フォーク・ウッド】だが、伐採業者の日頃の管理が行き届いている地帯では、見掛ける事は滅多に無い。
つまり、伐採業者の足の及ばない地帯では、この魔物が闊歩していると思ってよい。
「そうですね…個体差の大きい魔物なので…
深部では【ベアハンド・マウンテン】と共生関係を築いてますね
他に【木登り葡萄】…
それから【クルイ殻ムシ】との共生も確認されてます
【フォーク・ウッド】は夜行性のものが多くて、昼間は巣穴に生えて擬態している事が、ほとんどですが、、
これも一概に言えませんね…
あ…そうです
歳経た個体ほど、強力でしたね」
深部で【ベアハンド・マウンテン】と共生しているものが歳経た傾向にあるらしい。
歳経た【フォーク・ウッド】の方が、足か巣穴に琥珀を蓄えている場合が多い、との事だった。
「んー、夜行性か、、
で、どれを受けるか、だな」
「受けるだけなら…タダですよ?
この三つの依頼は、特に期限も無いので…」
「そうねえ、、
アーティファクトのやつは、、
抜いとくべきね」
途中、ルルヒラの顔を伺ったものの、やはり気乗りしないようだった。
ユエリ自身も、愛用してる身としては片眼鏡を手放すつもりは無い。
「では…〈極上の滴る肉を〉と、、
〈琥珀の採掘、或いは討伐〉ですね?」
「あー、そうだな、、
決まりか?」
「決まりね
久しぶりの探索よ」
サクイヤに見送られ、二人は組合を出たのだった。
この町に来た当初は多少、値が張ると思ったものの餌やりも、宿主が担当してくれるとの事で、この宿に決めたのだった。
「紅毛ちゃん
今日も走ったわね、、
さあて、、」
二頭の馬面を撫でる。
敷地内の馬小屋に【ニチリア紅毛】二頭を預け、二階の部屋に戻るのはユエリだ。
この宿は二階建てで、下に食堂及び、調理場。
それから、体の汚れを落とす為の、狭く区切られた小間が並び、簡易な給水装置が備え付けられている。
宿泊客は少ないようで、宿の裏手の建物で食品店を営んでいるらしく、経営の足しにしてるとの事だった。
袋に入ったハーブ類の他、〈ハーブ、薬草になる四百の雑草〉の分厚い本が入った荷袋、腰の丸鞘のショテルダガーを外し、降ろす。
この短刀、ショテルダガー…【フォリンズの種火】で買ったものだが、彼女にとっては草刈りの鎌と、そう違わない。
半円状の刀身が、雑草を刈る際に扱い易い。
日常用にも、ぴったりな品だった。
「今日も良く切れてたわねえ、、
さて、と、、」
部屋の隅に荷物と共に放置してあった、ドクロの模型を見やる。
これも【フォリンズの種火】で購入したもので、【魔銀の気手繰りドクロ】とサクイヤは呼んでいた、カガシン作の試作品だ。
ドクロの部分には魔銀が少量混ぜられていて、【外気法】の操気によって、【念動】により浮く。
また、内臓された【火応石】で両目部分の窪みから、火を吹くものだった。
今現在、【念動】切れで操気術の扱えない彼女は、時々このドクロを掴んでは、操気を流し込めないかと集中していた。
「、、上手くいくのかしらね?」
日課となった、士官教習所でも行われる【外気法】の訓練の初歩と同様だ。
まず、ドクロを手に持ち、内臓の【火応石】が光らないか試す。
光れば、【火応石】が反応した証左でもあり、各属気の適性を判断する際にも使われる所法だ。
小さく燈火の色に灯った。
「光りはするのよねえ、、
昨日よりましかしら?」
次いで、【火操術】の属気の感触を肌に感じつつ、ドクロから手を離す。
昨日は手から離した際に燈火の光は、シュン…と萎み失せたのだった。
「上手く、、
灯ってるわね」
確かな手応えを感じた。
手を離したまま、ドクロの灯りは掻き消えずにいる。
そして、【念動】の操気を流し込めば、ドクロは浮き上がるはずだ。
カタカタとドクロが揺れ、嘲笑うような挙動を見せる。
手応えを感じ、更に操気を流し込んだ。
結果は期待通り。
浮き上がるドクロの窪んだ眼差しを睨みつけ、集中したのが功を奏した。
背後に、ガチャリ…と、ドアを開く音が聞こえたのは、そんな時だ。
集中が切れ、ドクロが落下する。
「あー、いや、、
浮いてたな、今、、」
少し、間の悪そうなルルヒラだ。
「早かったわねえ、、
まあ、ようやく調子が出そうなところよ?
もう一回ね、、」
今度は手に持つ事も無く、燈火に灯り、宙に浮かぶドクロだ。
「んー、浮かんでるな、しかし、、」
指を手繰り、ドクロをキャッチする。
「まあねえ
ようやく、暇から抜け出せそうね
明日から、かしら」
荷袋を置き、鎧を外すルルヒラに言った。
「あー、そうだな
居ないと飯が、あまり、な?」
「、、でしょうね
まあ、明日から探索復帰よ
ご飯、期待しとくのねえ、、」
次の日から、いつもの魔女然とした格好で復帰するユエリだった。
先の尖ったツバ付き帽子に黒髪を覗かせる。
背後にドクロを漂わせながら…。
肩剥きのローブドレスの上に、青と深い青の波紋が印象的な外套を纏った姿は久しぶりだった。
「今日は、そうねえ、、
もっと奥まで行こうかと、、
思っててね?」
組合の建物の中、丸テーブルに腰掛けるのは三人だ。
「ですか…それでしたら、、
…依頼の方はどうします?」
今日も受付嬢のサクイヤは、栗色髪を降ろしている。
紙片の束をめくりながら聞いてきた。
「んー、そうだな、、
何かあるのか?
俺にも分かるやつでな、、?」
聞き返すのは、まだ眠気の残ってそうなルルヒラだ。
組合に発注された依頼の中には、ダンジョンの奥まで赴かなければ達成出来ないようなものが、放置されているのが現状だった。
依頼主も当たればいいだろう、ぐらいの気持ちで発注したものがほとんどだ。
《ニチリア、西の深木林》の深層に進む冒険者の数が、少ないのが原因だ。
「そうですね…杉林より奥となりますとですね、、
分かりやすいものなら、この辺りですね…」
紙片を幾つか取り出す。
〈極上の滴る肉を
種類/討伐、及び回収
報酬/ウキワグマ一頭につき、銀貨四枚、銅貨二十五枚、焼肉食べ放題チケット五回分
概要/近頃は仕入れが少ねえ、、
肉食いてえ奴は【ミート・グラベル】…フォリンズの魂を育てる【ミート・グラベル】だっ!
異論は認めねえっ、、!〉
「んー?ここもか、、」
「一度、行ってみたいわね
【ミート・グラベル】、、」
「…お父さんと行きましたね
この前です
あと、三回分残ってるんですよ?チケット…
では…次です」
〈アーティファクトを是非
種類/探索
報酬/アーティファクト一つにつき、最低で銀貨三十枚、他に望みがあれば、応相談
概要/アーティファクトを何かしら一つ〉
「アーティファクトねえ
いざとなったら、、
売れるわね、これ、、」
荷袋から片眼鏡、【望遠レンズ・モノクル】を取り出す。
「んー、売る気はないな
今のところだが、、」
「…ですね
でも、望遠レンズ・モノクルなら、、
もっといい値がつくと思いますよ?
さて…最後ですね」
〈琥珀の採掘、或いは討伐
種類/採集、場合によっては討伐
報酬/琥珀の量次第、最大で銀貨十六枚分
概要/フォーク・ウッドの巣穴からの採掘、或いはフォーク・ウッドの根足からの発掘〉
「フォーク・ウッドねえ、、
どうなのよ?実際、、」
【歩く大木】と、そのままな異名の【フォーク・ウッド】だが、伐採業者の日頃の管理が行き届いている地帯では、見掛ける事は滅多に無い。
つまり、伐採業者の足の及ばない地帯では、この魔物が闊歩していると思ってよい。
「そうですね…個体差の大きい魔物なので…
深部では【ベアハンド・マウンテン】と共生関係を築いてますね
他に【木登り葡萄】…
それから【クルイ殻ムシ】との共生も確認されてます
【フォーク・ウッド】は夜行性のものが多くて、昼間は巣穴に生えて擬態している事が、ほとんどですが、、
これも一概に言えませんね…
あ…そうです
歳経た個体ほど、強力でしたね」
深部で【ベアハンド・マウンテン】と共生しているものが歳経た傾向にあるらしい。
歳経た【フォーク・ウッド】の方が、足か巣穴に琥珀を蓄えている場合が多い、との事だった。
「んー、夜行性か、、
で、どれを受けるか、だな」
「受けるだけなら…タダですよ?
この三つの依頼は、特に期限も無いので…」
「そうねえ、、
アーティファクトのやつは、、
抜いとくべきね」
途中、ルルヒラの顔を伺ったものの、やはり気乗りしないようだった。
ユエリ自身も、愛用してる身としては片眼鏡を手放すつもりは無い。
「では…〈極上の滴る肉を〉と、、
〈琥珀の採掘、或いは討伐〉ですね?」
「あー、そうだな、、
決まりか?」
「決まりね
久しぶりの探索よ」
サクイヤに見送られ、二人は組合を出たのだった。
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