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第1幕~林の町にて、、先行く二人、雨揺らぎ騒林追うは一人と、また一人
さあて、、よく寝た事だし、そうね。たまには紅毛ちゃんでも走らせる?
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中継所を後にし、《クアッキ杉林》を抜けて、ダンジョンの浅い層を歩く。
荷車を後ろ手に引くのはルルヒラ。
操気術の【天変地異】と呼ばれる、史上ほとんど使用者の居ない術を使ったせいか、気を失ったユエリをサクイヤが背負う格好だった。
「びっくりですよ…本当に、、
ルルヒラさんと言い、ユエリさんと言い…
わたし、驚かされてばかりですね」
「んー、そうか?
俺ぐらいなら、王都にも幾らか居たな
、、とは言え、ユエリほどとなると、な?
さすがに居ないかもしれないが、、」
士官教習所の候補生の中では駿才と言えた彼だったが、それがそのまま王都で並ぶ者が無いのかと言えば、そんな事は無かった。
王国軍の中には一度、特別講師として教習所を訪れた事のある者など、彼を超える【剣気】の使い手だったと言ってよい。
だが、異例中の異例と言えば、やはりユエリだろう。
《ニチルイン王立士官候補生学術教習所》の教習長が直々に特待生として招き、早くから脚光を浴びた。
【外気法】の【属気付与】によって新たな属気の発見、活用に関する研究に貢献したのを始めに、彼女が書いた著作〈天候、そして地勢に適った、操気の勧め〉は一部、教本の参考に抜粋された事もある。
各属気の操気術を扱う才能は特にずば抜けていて、入学一年に足らずして教官が教える範囲を超え、教習長が教鞭を取るに至ったほどだった。
時を同じくして入学した、王族の息女とも親交があって将来的に何かしらのポストが、彼女の為に用意されている、と噂される始末だったのだ。
例えば、教習長も兼任している宮廷顧問など、出世の足がかりとしてはちょうどいい、などと噂話の類を耳にした事もあった。
噂好きな王都の空気に日頃から嫌気が差していたのか、王都を出て《林のフォリンズ》に辿り着き、ここ今日に至る。
「んー、そろそろか」
雨でぬかるんだ地面で、荷車の進みが悪い。
「ですね…もう入り口ですよ」
この《ニチリア、西の深木林》の、ダンジョンマップに記される最初の地点だ。
どうやら、【ベアハンド・マウンテン】の襲撃から逃げてきた伐採業者や冒険者が、たむろっているらしい。
他に、町の方から来たばかりの者も居るようだ。
「おい代理っ、居たぜ…娘さん」
ハチマキをした木こり男が叫んでいる。
手招いて呼ばれたのは、カガシンだった。
「あァ、そりァあ居らァな?
ちィとばかしじゃァ、おらァの娘ァ
へばらねェんだぜェ?」
背中に両刃の大斧を提げ、筋骨逞しい姿は今から討ち入る構えなのか、娘のサクイヤからすると珍しくも腰にある武器【気応式銃】が気になった。
操気に対応する気の弾丸を撃ち出す、彼の秘蔵の【アーティファクト】だ。
「お父さん…何してるんです?」
一応、聞いた。
「あァ、ベアハンドが出たんだァな
中継所てェ話ィだが、、
通らなァかったかァ?」
「それでしたら…一体はここですよ
他はどうなのか、分かりませんが、、
…お父さん?」
ルルヒラの引いてきた、荷車の中を示す。
「あァ、、?
狩ったァんかァ、、?」
拍子抜けしたような顔だ。
ハチマキの男がシートの端をめくり、確認していた。
「おい代理っ、、
確かだぜ…
娘さんと、そいつがか?」
「いえ…彼一人で、、
ルルヒラさんが、ですよ
、、シキョモンさん?」
シキョモンと呼ばれたハチマキ男と、他のたむろっている面々は、やや唖然とした面持ちだ。
「あー、一応な?
いや、確かに強かったな、、
、、三体居たら、やられたのは俺の方だったかもな」
終わりの方を目撃したサクイヤからすると、大言壮語には聞こえないが、一体ならず三体も、とあっては冗談に聞こえるらしい。
「まァ、兄ィちゃんならァな
不思議でもねェか、、?
しィかし三体たァ、大きく出らァな?」
やや小首を傾げながらも、【剣気】を扱えると聞いているカガシンは、納得したようだ。
「でェよ、、?
そっちの姉ェちゃん、無事なんかィ?」
サクイヤが背負うユエリの身を案じたのか、訊ねてくる。
「ユエリさんですが…念動切れですね、、
操気の使い過ぎです…
杉林の火災を消したの、、
、、ユエリさんなんですよ?」
各属気を動かす操気は、手にした媒体…ユエリの場合は杖と【念動】によって動く。
操気術者が一度に扱える操気の総量は限られ、それでも無理に扱おうとすれば、いずれ【念動】切れを起こすものだ。
大抵の操気術者は己の一度に扱える、操気の総量を自覚している為、【念動】切れを起こす事はあまり無い。
「へェ、、
てェと、この雨は姉ェちゃんがァ、かァ、、?」
「あー、天変地異だな
ユエリ以外で使えるやつがいるかは、、
、、分からないけどな?」
「まァ、、お伽話ィみてェな話だァな?」
操気術者の中には天候を操る者が居る、という事はカガシンの言うお伽話の類で、よく知られてはいた。
「ですね…それで、、
お父さんは森に…?」
「あァ、ちィとな、、
様子見がてらァな?
起きたァら、姉ェちゃんにァ、、
よろしく伝ェとくんだぜェ」
もし、杉林の火災の対応に遅れていれば…ダンジョン内での、生き物や植生の成長は促進されているとは言え、《林のフォリンズ》の林業には痛手だったと言える。
【フォリンズの種火】の職人達にとっても、特に鍛冶職人の扱う木炭や、一般家庭の暖炉など…生活に根差す、火の供給に影響があったかもしれなかった。
カガシンは【ベアハンド・マウンテン】の襲撃に居合わせたシキョモンの報せを受け、数人の冒険者を連れ参じたとの事だった。
「さて…ユエリさん、起きませんね」
カガシン一行を見送り、町へと向かう。
「んー、念動切れだからな、、」
【念動】切れからの回復には、個人差がある。
一度に扱える操気量の多いユエリなら、それほど長く気を失っているとも考えにくい。
「まー、ユエリなら、、
すぐ起きるだろうな」
ただ、起きた後も暫くの間は操気術を使えなくなる事が予想される。
己の扱える操気量を超えた【天変地異】による反動が長引く事も、十分考えられた。
「んー、しばらくは一人で探索か
さて、どうするかな、、」
操気術を扱えないユエリをダンジョンに連れて行く事は、些か躊躇われる。
「明日…ですか?
護衛の依頼なんて斡旋出来ますよ?
中継所の再建に…必要になると思います」
「んー、そうだな、、
ユエリが起きてから考えるか、、」
今後の見通しを考えるにも、ユエリの復調にどれぐらいかかるか…が、焦点になる。
「…ですね」
ダンジョンの入り口からさほど離れてない町へと戻った。
宿の部屋でユエリを降ろした後、組合で〈骨のある魔物の骨〉の報告を済ませ、【ベアハンド・マウンテン】を含む魔物の清算を、驚きの視線に晒されながらも済ませたのだった。
荷車を後ろ手に引くのはルルヒラ。
操気術の【天変地異】と呼ばれる、史上ほとんど使用者の居ない術を使ったせいか、気を失ったユエリをサクイヤが背負う格好だった。
「びっくりですよ…本当に、、
ルルヒラさんと言い、ユエリさんと言い…
わたし、驚かされてばかりですね」
「んー、そうか?
俺ぐらいなら、王都にも幾らか居たな
、、とは言え、ユエリほどとなると、な?
さすがに居ないかもしれないが、、」
士官教習所の候補生の中では駿才と言えた彼だったが、それがそのまま王都で並ぶ者が無いのかと言えば、そんな事は無かった。
王国軍の中には一度、特別講師として教習所を訪れた事のある者など、彼を超える【剣気】の使い手だったと言ってよい。
だが、異例中の異例と言えば、やはりユエリだろう。
《ニチルイン王立士官候補生学術教習所》の教習長が直々に特待生として招き、早くから脚光を浴びた。
【外気法】の【属気付与】によって新たな属気の発見、活用に関する研究に貢献したのを始めに、彼女が書いた著作〈天候、そして地勢に適った、操気の勧め〉は一部、教本の参考に抜粋された事もある。
各属気の操気術を扱う才能は特にずば抜けていて、入学一年に足らずして教官が教える範囲を超え、教習長が教鞭を取るに至ったほどだった。
時を同じくして入学した、王族の息女とも親交があって将来的に何かしらのポストが、彼女の為に用意されている、と噂される始末だったのだ。
例えば、教習長も兼任している宮廷顧問など、出世の足がかりとしてはちょうどいい、などと噂話の類を耳にした事もあった。
噂好きな王都の空気に日頃から嫌気が差していたのか、王都を出て《林のフォリンズ》に辿り着き、ここ今日に至る。
「んー、そろそろか」
雨でぬかるんだ地面で、荷車の進みが悪い。
「ですね…もう入り口ですよ」
この《ニチリア、西の深木林》の、ダンジョンマップに記される最初の地点だ。
どうやら、【ベアハンド・マウンテン】の襲撃から逃げてきた伐採業者や冒険者が、たむろっているらしい。
他に、町の方から来たばかりの者も居るようだ。
「おい代理っ、居たぜ…娘さん」
ハチマキをした木こり男が叫んでいる。
手招いて呼ばれたのは、カガシンだった。
「あァ、そりァあ居らァな?
ちィとばかしじゃァ、おらァの娘ァ
へばらねェんだぜェ?」
背中に両刃の大斧を提げ、筋骨逞しい姿は今から討ち入る構えなのか、娘のサクイヤからすると珍しくも腰にある武器【気応式銃】が気になった。
操気に対応する気の弾丸を撃ち出す、彼の秘蔵の【アーティファクト】だ。
「お父さん…何してるんです?」
一応、聞いた。
「あァ、ベアハンドが出たんだァな
中継所てェ話ィだが、、
通らなァかったかァ?」
「それでしたら…一体はここですよ
他はどうなのか、分かりませんが、、
…お父さん?」
ルルヒラの引いてきた、荷車の中を示す。
「あァ、、?
狩ったァんかァ、、?」
拍子抜けしたような顔だ。
ハチマキの男がシートの端をめくり、確認していた。
「おい代理っ、、
確かだぜ…
娘さんと、そいつがか?」
「いえ…彼一人で、、
ルルヒラさんが、ですよ
、、シキョモンさん?」
シキョモンと呼ばれたハチマキ男と、他のたむろっている面々は、やや唖然とした面持ちだ。
「あー、一応な?
いや、確かに強かったな、、
、、三体居たら、やられたのは俺の方だったかもな」
終わりの方を目撃したサクイヤからすると、大言壮語には聞こえないが、一体ならず三体も、とあっては冗談に聞こえるらしい。
「まァ、兄ィちゃんならァな
不思議でもねェか、、?
しィかし三体たァ、大きく出らァな?」
やや小首を傾げながらも、【剣気】を扱えると聞いているカガシンは、納得したようだ。
「でェよ、、?
そっちの姉ェちゃん、無事なんかィ?」
サクイヤが背負うユエリの身を案じたのか、訊ねてくる。
「ユエリさんですが…念動切れですね、、
操気の使い過ぎです…
杉林の火災を消したの、、
、、ユエリさんなんですよ?」
各属気を動かす操気は、手にした媒体…ユエリの場合は杖と【念動】によって動く。
操気術者が一度に扱える操気の総量は限られ、それでも無理に扱おうとすれば、いずれ【念動】切れを起こすものだ。
大抵の操気術者は己の一度に扱える、操気の総量を自覚している為、【念動】切れを起こす事はあまり無い。
「へェ、、
てェと、この雨は姉ェちゃんがァ、かァ、、?」
「あー、天変地異だな
ユエリ以外で使えるやつがいるかは、、
、、分からないけどな?」
「まァ、、お伽話ィみてェな話だァな?」
操気術者の中には天候を操る者が居る、という事はカガシンの言うお伽話の類で、よく知られてはいた。
「ですね…それで、、
お父さんは森に…?」
「あァ、ちィとな、、
様子見がてらァな?
起きたァら、姉ェちゃんにァ、、
よろしく伝ェとくんだぜェ」
もし、杉林の火災の対応に遅れていれば…ダンジョン内での、生き物や植生の成長は促進されているとは言え、《林のフォリンズ》の林業には痛手だったと言える。
【フォリンズの種火】の職人達にとっても、特に鍛冶職人の扱う木炭や、一般家庭の暖炉など…生活に根差す、火の供給に影響があったかもしれなかった。
カガシンは【ベアハンド・マウンテン】の襲撃に居合わせたシキョモンの報せを受け、数人の冒険者を連れ参じたとの事だった。
「さて…ユエリさん、起きませんね」
カガシン一行を見送り、町へと向かう。
「んー、念動切れだからな、、」
【念動】切れからの回復には、個人差がある。
一度に扱える操気量の多いユエリなら、それほど長く気を失っているとも考えにくい。
「まー、ユエリなら、、
すぐ起きるだろうな」
ただ、起きた後も暫くの間は操気術を使えなくなる事が予想される。
己の扱える操気量を超えた【天変地異】による反動が長引く事も、十分考えられた。
「んー、しばらくは一人で探索か
さて、どうするかな、、」
操気術を扱えないユエリをダンジョンに連れて行く事は、些か躊躇われる。
「明日…ですか?
護衛の依頼なんて斡旋出来ますよ?
中継所の再建に…必要になると思います」
「んー、そうだな、、
ユエリが起きてから考えるか、、」
今後の見通しを考えるにも、ユエリの復調にどれぐらいかかるか…が、焦点になる。
「…ですね」
ダンジョンの入り口からさほど離れてない町へと戻った。
宿の部屋でユエリを降ろした後、組合で〈骨のある魔物の骨〉の報告を済ませ、【ベアハンド・マウンテン】を含む魔物の清算を、驚きの視線に晒されながらも済ませたのだった。
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