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第1幕~林の町にて、、先行く二人、雨揺らぎ騒林追うは一人と、また一人
、、んー、この森、、キノコしか居ないのか?
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《ニチルイン王国》の《王都ニチリア》は周囲に広がる《ニチリア平原》を、その名称に因む。
ニチリア産の名馬、【ニチリア紅毛】と言えば、その名の通り紅の体毛鮮やかな、脚の長い馬だ。
ニチリア紅毛を有する、ニチルイン王国軍が、まるで夕日が差し迫るようだ…と、過去に評されたのも、昔の話。
確かに、この紅毛で騎馬隊を並べれば、落日を宣告しに来た恐怖の軍団…と、目にした者には映る事だろう。
そんな由緒ある名馬に跨るのは、男女二人。
男は若白髪で外套を纏った旅装だ。
女は黒髪で、ツバ付きの先の尖った帽子をかぶる他は、外套に身を包んでやはり旅装だった。
両者は連れ立って二頭の紅毛を並べ、小走らせている。
「お手のものよねえ、、
馬術の実習、受けといて良かったわね、ルルヒラ?」
「あー、確かにな
選択科目で、ユエリが選んでいたからな」
「、、ふうん?
、、にしては、最初から上手く乗れてたわよね?
どうしてかしら?」
「あー、小さい頃にな、少し、、」
彼はどうにも、故郷の話や幼少の頃の話になると歯切れが悪い。
学舎では他の在学生とそれほど深く付き合う事も無く、付かず離れず…の距離感を保ち続けて、今日に至る。
「あー、いや、そうだな
没落したんだ、俺の父親がな」
隠す必要も薄まったと考え直したのか、ルルヒラは言った。
士官候補生の中には貴族の子弟も多い。
彼の生家を知れば、それを理由にいびり散らすような者も居ないとも限らなかったのだ。
「、、ああ、やっぱりね
まあ、察しはついてるわよ
かく言う私も、、」
「、、天涯孤独、だったな」
「、、そう、よく覚えてたわね」
彼の故郷の隣町で、彼女は育ったらしい。
引き取り手も無く、施設に預けられたのを特待生の境遇を得て、士官候補生に選ばれたという話だった。
「だからねえ、帰っても別に、、
特に寄る所も無いのよ?」
「、、んー、それならな」
馬上で今後の計画を話し合う二人だ。
彼、ルルヒラの故郷までは王都から、町を五つほど南に降った先だった。
「そうそう、西の森ね」
《ニチリア、西の深木林》と呼ばれる、それなりに深い森林地帯がある。
王国からダンジョン認定を受け、冒険者の登録の無い者、または軍属で無い者の進入は、あまり歓迎されない地帯だ。
ダンジョンとは、【ダンジョンの核晶】を中心に発生する、周辺とは一線を画した危険地帯の事だった。
ダンジョンの内部は、【魔物】と呼ばれる、通常とはやや生態の異なる生き物が棲息する他、トラップや宝箱なども自然発生する。
大抵の国では、資源として活用されるが中には、ダンジョンの成長に伴い危険度を増し、封鎖されたダンジョンもあるとの事だった。
しかし、人というのは未踏の地に憧れを抱く者も一定数いるようで。
そんな危険なダンジョンに踏み込もうというのが、冒険者と呼ばれる、無法者と見做されがちな人種だった。
「あー、西の深木林、か、、
実地講習の時、行ったな、一度」
「ええ、行ったわね
浅いとこだったけど、、」
見合わせる二人の顔は、何処か嬉しそうだ。
「、、行くか」
「、、決まりね」
そうと決まれば、紅毛を駆けらせるのは速い。
一つ夜営を挟み、彼女の故郷の町の一つ手前の、林道の町《林のフォリンズ》に着いたのは二日後だった。
冒険者組合というものがある。
ルルヒラも、ユエリも士官生時代に実地講習の流れで登録を済ませたものだ。
一応、ダンジョンで得た物の買い取り、民間の依頼を冒険者へ斡旋など、冒険者の得た利益の調整や相互扶助に役立つ組織だ。
それなりに大きな国、それなりの規模の町では必ず、この組合の建物がある。
ニチルイン王国では大抵の町には一軒ある、翼を模した彫像を屋根に頂いた大きな建物だ。
翼はどうやら、自由を象徴するらしい。
「自由ねえ、、
自由といえば、これ以上に自由な仕事もないわね」
「あー、そうだな
むしろ、羽を伸ばすのにも丁度いいしな」
組合の建物の中、二人は席に座っている。
他の席は人もまばらで、受付嬢が数人居る以外は、冒険者が数組たむろっているだけだ。
昼日中はやはり、人が少ないようだった。
「そうねえ、その真っ白い毛でも毛繕いしといたら?
サボってる場合でも無いでしょうよ」
「んー、いや、、
サボってる訳でも無くてだな?」
何とは無しに来てみたのはいいものの、特別する事も無く、麗らかな午後を満喫しようかと体が欲していただけだった。
一応、準備がてら何か無いものかと寄ってみたが、西の深木林は両者共に初めてでは無い以上、無駄足だったとようやく思い至った所だ。
「さて、、
どうするか?」
「、、そうねえ
今日は宿でも取って明日にする?」
そんな呑気なやり取りの中、遠慮がちな声が掛かった。
「あの…冒険者の方ですよね?」
受付嬢の一人がカウンターから、こちらの席に赴いた所だった。
「まあ、一応は、、
成り立てだけどねえ」
受付嬢は一瞬、困惑したが士官卒業生の、剣と馬を模したバッジを見せれば、納得したのか頷く。
「あ…教習所の方でしたか、、
そういえば卒業式典、おとといでしたよね」
冒険者に成り立てにしては、歴戦とまでは言えなくともそれなりに雰囲気があるように見えるらしかった。
「、、で、どうしたのよ?
困り事かしら、、?」
「…そうなんですよ
お二人共、依頼を受ける気は無いですか?」
「ふうん?依頼ねえ、、
ルルヒラ?」
テーブルに体を預け、ヤル気の無さを全身で表現する男に聞く。
「、、んー、そうだな
俺は別に、どっちでもいい」
「、、って訳で、事情なら聞くわ」
どうやら、西の深木林に迷い込んだらしい子供の探索…との事だった。
「先ほど…施設から依頼があってですね?
孤児院からの依頼なんですが、どうにも西の深木林の方へ向かったとの話で…」
「ふうん、、身寄りの無い子達、ねえ
まあ、いいわ
受けるわ、その依頼」
受付嬢はホッとしたのか、
「…よ、良かったです
この時間帯だと、ほとんどの方が居なくてですね」
「んー、人助けか
悪くないな、そういうのも
、、たまにはな」
そして、二人は建物を後にした。
あの後、急いで宿を取り、二頭の紅毛を馬小屋に預けて徒歩のまま森へ。
《ニチリア、西の深木林》に着いたのは、小一時間も経たない内だ。
「近いわね、案外」
「んー、そうだな
さて、気を引き締めるか」
そんな事を言うルルヒラだが、特に気負いは感じられない。
外套の下に覗くのは簡易な鎧に、腰にさげたこれまた簡易な剣、他には旅の一式が入った荷袋、それから採集用の大袋ぐらいだ。
彼の後に続くユエリも、これまでかぶっていたツバ付き帽子の他、外套の下にはスリット入りの、足元に近づくにつれ窄まったローブドレスぐらいだった。
手に杖を持つのは、魔女と言われれば魔女らしかった。
「魔女ねえ、どう?
それっぽく見えるかしら?」
「、、んー、もう少しな
飾り付けとか必要なんじゃないか?
ドクロとか、気味の悪い宝石とか、、
そういうアレな」
「、、やっぱりねえ、
このままだと、駆け出しもいい所よね
かく言う、あんたも…」
お互い、冒険者として服装には、それなりに気を使いたい所だった。
衣類に何の素材を使っているか…が、冒険者に対する評価の基準の一つになり得るのは、よくある事らしい。
そんなやり取りの内に、林木の中を歩いていく。
「んー、パライズマッシュ、か…
この森では定番らしいな」
「スープにすると美味しいのよね、あれ
任せて、、」
ユエリは杖を構える。
林立の合間から、跳ねるキノコが二体、飛び出して来た所だ。
「あの弾性を持つ、食感を楽しむのにはねえ
程よく、こんがり焼くのが一番なのよ」
構えた杖から、火球が浮かび上がる。
【プラーナ操気術】と呼ばれる、【火操術】の初歩だ。
【パライズマッシュ】に向け、火球は直進。
避ける間も無く直撃した火球は、のたうつキノコを程よく焼き焦がしていく。
「調理の際は火で炙り、麻痺毒を抜く事が肝要、、
って書いてあったわね
弾性が失われる為、焼き過ぎ注意とも、、」
「んー、そうだな
なお近付く際には、黄色の煙が立たなくなってから、、
だったか?」
キノコへ目を向ければ、黄色の混じった煙が立ち昇っている。
「そうそう、よく覚えてるわね
今日の夕飯はあれにしとくわ」
煙が立たなくなった頃合いを見て、大袋に詰めていく。
その後はまた、探索リスタートだ。
ニチリア産の名馬、【ニチリア紅毛】と言えば、その名の通り紅の体毛鮮やかな、脚の長い馬だ。
ニチリア紅毛を有する、ニチルイン王国軍が、まるで夕日が差し迫るようだ…と、過去に評されたのも、昔の話。
確かに、この紅毛で騎馬隊を並べれば、落日を宣告しに来た恐怖の軍団…と、目にした者には映る事だろう。
そんな由緒ある名馬に跨るのは、男女二人。
男は若白髪で外套を纏った旅装だ。
女は黒髪で、ツバ付きの先の尖った帽子をかぶる他は、外套に身を包んでやはり旅装だった。
両者は連れ立って二頭の紅毛を並べ、小走らせている。
「お手のものよねえ、、
馬術の実習、受けといて良かったわね、ルルヒラ?」
「あー、確かにな
選択科目で、ユエリが選んでいたからな」
「、、ふうん?
、、にしては、最初から上手く乗れてたわよね?
どうしてかしら?」
「あー、小さい頃にな、少し、、」
彼はどうにも、故郷の話や幼少の頃の話になると歯切れが悪い。
学舎では他の在学生とそれほど深く付き合う事も無く、付かず離れず…の距離感を保ち続けて、今日に至る。
「あー、いや、そうだな
没落したんだ、俺の父親がな」
隠す必要も薄まったと考え直したのか、ルルヒラは言った。
士官候補生の中には貴族の子弟も多い。
彼の生家を知れば、それを理由にいびり散らすような者も居ないとも限らなかったのだ。
「、、ああ、やっぱりね
まあ、察しはついてるわよ
かく言う私も、、」
「、、天涯孤独、だったな」
「、、そう、よく覚えてたわね」
彼の故郷の隣町で、彼女は育ったらしい。
引き取り手も無く、施設に預けられたのを特待生の境遇を得て、士官候補生に選ばれたという話だった。
「だからねえ、帰っても別に、、
特に寄る所も無いのよ?」
「、、んー、それならな」
馬上で今後の計画を話し合う二人だ。
彼、ルルヒラの故郷までは王都から、町を五つほど南に降った先だった。
「そうそう、西の森ね」
《ニチリア、西の深木林》と呼ばれる、それなりに深い森林地帯がある。
王国からダンジョン認定を受け、冒険者の登録の無い者、または軍属で無い者の進入は、あまり歓迎されない地帯だ。
ダンジョンとは、【ダンジョンの核晶】を中心に発生する、周辺とは一線を画した危険地帯の事だった。
ダンジョンの内部は、【魔物】と呼ばれる、通常とはやや生態の異なる生き物が棲息する他、トラップや宝箱なども自然発生する。
大抵の国では、資源として活用されるが中には、ダンジョンの成長に伴い危険度を増し、封鎖されたダンジョンもあるとの事だった。
しかし、人というのは未踏の地に憧れを抱く者も一定数いるようで。
そんな危険なダンジョンに踏み込もうというのが、冒険者と呼ばれる、無法者と見做されがちな人種だった。
「あー、西の深木林、か、、
実地講習の時、行ったな、一度」
「ええ、行ったわね
浅いとこだったけど、、」
見合わせる二人の顔は、何処か嬉しそうだ。
「、、行くか」
「、、決まりね」
そうと決まれば、紅毛を駆けらせるのは速い。
一つ夜営を挟み、彼女の故郷の町の一つ手前の、林道の町《林のフォリンズ》に着いたのは二日後だった。
冒険者組合というものがある。
ルルヒラも、ユエリも士官生時代に実地講習の流れで登録を済ませたものだ。
一応、ダンジョンで得た物の買い取り、民間の依頼を冒険者へ斡旋など、冒険者の得た利益の調整や相互扶助に役立つ組織だ。
それなりに大きな国、それなりの規模の町では必ず、この組合の建物がある。
ニチルイン王国では大抵の町には一軒ある、翼を模した彫像を屋根に頂いた大きな建物だ。
翼はどうやら、自由を象徴するらしい。
「自由ねえ、、
自由といえば、これ以上に自由な仕事もないわね」
「あー、そうだな
むしろ、羽を伸ばすのにも丁度いいしな」
組合の建物の中、二人は席に座っている。
他の席は人もまばらで、受付嬢が数人居る以外は、冒険者が数組たむろっているだけだ。
昼日中はやはり、人が少ないようだった。
「そうねえ、その真っ白い毛でも毛繕いしといたら?
サボってる場合でも無いでしょうよ」
「んー、いや、、
サボってる訳でも無くてだな?」
何とは無しに来てみたのはいいものの、特別する事も無く、麗らかな午後を満喫しようかと体が欲していただけだった。
一応、準備がてら何か無いものかと寄ってみたが、西の深木林は両者共に初めてでは無い以上、無駄足だったとようやく思い至った所だ。
「さて、、
どうするか?」
「、、そうねえ
今日は宿でも取って明日にする?」
そんな呑気なやり取りの中、遠慮がちな声が掛かった。
「あの…冒険者の方ですよね?」
受付嬢の一人がカウンターから、こちらの席に赴いた所だった。
「まあ、一応は、、
成り立てだけどねえ」
受付嬢は一瞬、困惑したが士官卒業生の、剣と馬を模したバッジを見せれば、納得したのか頷く。
「あ…教習所の方でしたか、、
そういえば卒業式典、おとといでしたよね」
冒険者に成り立てにしては、歴戦とまでは言えなくともそれなりに雰囲気があるように見えるらしかった。
「、、で、どうしたのよ?
困り事かしら、、?」
「…そうなんですよ
お二人共、依頼を受ける気は無いですか?」
「ふうん?依頼ねえ、、
ルルヒラ?」
テーブルに体を預け、ヤル気の無さを全身で表現する男に聞く。
「、、んー、そうだな
俺は別に、どっちでもいい」
「、、って訳で、事情なら聞くわ」
どうやら、西の深木林に迷い込んだらしい子供の探索…との事だった。
「先ほど…施設から依頼があってですね?
孤児院からの依頼なんですが、どうにも西の深木林の方へ向かったとの話で…」
「ふうん、、身寄りの無い子達、ねえ
まあ、いいわ
受けるわ、その依頼」
受付嬢はホッとしたのか、
「…よ、良かったです
この時間帯だと、ほとんどの方が居なくてですね」
「んー、人助けか
悪くないな、そういうのも
、、たまにはな」
そして、二人は建物を後にした。
あの後、急いで宿を取り、二頭の紅毛を馬小屋に預けて徒歩のまま森へ。
《ニチリア、西の深木林》に着いたのは、小一時間も経たない内だ。
「近いわね、案外」
「んー、そうだな
さて、気を引き締めるか」
そんな事を言うルルヒラだが、特に気負いは感じられない。
外套の下に覗くのは簡易な鎧に、腰にさげたこれまた簡易な剣、他には旅の一式が入った荷袋、それから採集用の大袋ぐらいだ。
彼の後に続くユエリも、これまでかぶっていたツバ付き帽子の他、外套の下にはスリット入りの、足元に近づくにつれ窄まったローブドレスぐらいだった。
手に杖を持つのは、魔女と言われれば魔女らしかった。
「魔女ねえ、どう?
それっぽく見えるかしら?」
「、、んー、もう少しな
飾り付けとか必要なんじゃないか?
ドクロとか、気味の悪い宝石とか、、
そういうアレな」
「、、やっぱりねえ、
このままだと、駆け出しもいい所よね
かく言う、あんたも…」
お互い、冒険者として服装には、それなりに気を使いたい所だった。
衣類に何の素材を使っているか…が、冒険者に対する評価の基準の一つになり得るのは、よくある事らしい。
そんなやり取りの内に、林木の中を歩いていく。
「んー、パライズマッシュ、か…
この森では定番らしいな」
「スープにすると美味しいのよね、あれ
任せて、、」
ユエリは杖を構える。
林立の合間から、跳ねるキノコが二体、飛び出して来た所だ。
「あの弾性を持つ、食感を楽しむのにはねえ
程よく、こんがり焼くのが一番なのよ」
構えた杖から、火球が浮かび上がる。
【プラーナ操気術】と呼ばれる、【火操術】の初歩だ。
【パライズマッシュ】に向け、火球は直進。
避ける間も無く直撃した火球は、のたうつキノコを程よく焼き焦がしていく。
「調理の際は火で炙り、麻痺毒を抜く事が肝要、、
って書いてあったわね
弾性が失われる為、焼き過ぎ注意とも、、」
「んー、そうだな
なお近付く際には、黄色の煙が立たなくなってから、、
だったか?」
キノコへ目を向ければ、黄色の混じった煙が立ち昇っている。
「そうそう、よく覚えてるわね
今日の夕飯はあれにしとくわ」
煙が立たなくなった頃合いを見て、大袋に詰めていく。
その後はまた、探索リスタートだ。
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