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三章:人付き合いは難しい
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家に戻った後、ベネッサさんは私を自室へ連れて行き、ベッドに座らせた。
それから心配そうな様子でついてきたラスに、声を掛ける。
「少し二人にしてくれる?」
ラスはベネッサさんではなく私を見つめた。
「……ミカ、どうする? 俺、出てた方がいい?」
「うん、お願い」
酷い鼻声だったが、ラスは「分かった」と頷き、扉を閉める。
ベネッサさんはベッド脇のテーブルから水差しを取り上げ、コップに注いで渡してくれた。
「ゆっくり飲むのよ。急がなくていいからね」
こくりと頷き、まだ冷たい水で喉を湿らす。
ベネッサさんはどこまでも穏やかだった。それがとてもありがたい。
ゆっくりとコップの水を飲み干し、ふう、と息をつく。
ベネッサさんはそっと隣に座った。
私は何度も躊躇った後、チェインとの一部始終を話し始める。
自己保身に走りそうになる度、手の中の羽をぎゅ、と握った。
「――……本当に申し訳ないことをしてしまいました」
再び込み上げてきた涙を手の平で押さえ、絞り出すように話し終える。
ベネッサさんに軽蔑されても仕方ない。
私はそれだけのことをしてしまったのだから。
諦めと怯えが入り混じり、胸の中がぐちゃぐちゃになる。
本当は嫌われたくない。この家の皆にだけは、嫌われたくない。
ベネッサさんは「そうだったのね」と呟き、私の肩を抱き寄せた。
その優しい仕草に私を嫌悪する様子はなく、こんな時だというのにホッとしてしまう。
「きちんとミカに説明しておかなかった私達にも非があると思うわ。ユーグの魔法を過信してしまってた。ユーグは西の島で育ったわけじゃないってこと、うっかり忘れてたの。ごめんね、ミカ」
「ベネッサさんが謝ることじゃないです!」
慌てて顔を上げ、否定する。
ベネッサさんは慈しみに満ちた眼差しで私を見ていた。
「最初から結婚を考えずに求愛するタリムの男はいないのよ。一度つがってみて体の相性が合わない場合は、雨期をまたいで別の女性に求愛することはあるけどね。その場合も片方だけが合わないと感じることはないし、女性の方から断る決まりなの」
初めて耳にした情報にじっと聞き入る。
確かにユーグさんの魔法では、そこまでは分からなかった。
「ただびとは、タリム人と違って多産だと言われている。きっと、チェインはミカとの間に子供が欲しくなったのね。『試す』って言い方はミカにとってはいい加減に聞こえたかもしれないけど、ミカの逃げ道を残す為のチェインなりの気遣いだったんだと思うわ」
西の島では特に珍しい『ただびと』だから、興味本位で声を掛けたのだと思っていた。
私は最初から、チェインを誤解してたんだ。
「求愛は、その場できっぱりと断るのがルールなの。ミカが言った言葉は、条件付きの承諾だと誤解されてもおかしくないのよ」
「そう、なんですね」
チェインの驚いた顔が脳裏を過ぎる。
私の常識と、彼の常識はまるで違った。
チェインは私に歩み寄ろうとしてくれたけど、私は最初から本気にすらしていなかった。
彼への申し訳なさが更に増す。
「私からも、チェインに説明しておくわ。ミカは知らなかったんだもの。チェインを振り回そうと思って思わせぶりな態度を取ったわけじゃないって、きっと分かってもらえる。チェインは馬鹿じゃないし、悪人でもないからね」
「……ベネッサさんが間に入ったら、チェインはどう感じると思いますか? これ以上傷つけたくないです」
私はすぐには頷かず、意見を求めてみた。
ベネッサさんに任せる方が楽だけど、それじゃダメだと思ったのだ。
「チェインも混乱してるだろうし、すっきりすると思うわよ。親が娘の縁談に口を挟むのは、当たり前でしょう?」
ベネッサさんが悪戯っぽく微笑んで言う。
親、という言葉に、ぶわりと目頭が熱くなった。
「……よろしくお願いします」
深々と頭を下げた拍子に、大粒の涙が膝に落ちる。
ベネッサさんは腰紐に挟んだ布を抜き取り、私の頬を拭ってくれた。
「ミカは向こうの世界では大人だったかもしれないけど、この世界では何も知らない子ども同然なの。子どもは間違うのが仕事だわ。そうでしょ?」
私が間違ったのは、この世界の常識を知らなかったせいだけではないけど、その言葉に少し心が軽くなる。
「そうかも……。でも、次からは間違えないように気をつけます」
次があるなら、の話だけど、と胸の中で付け加える。
私がチェインにした仕打ちが村中に広まれば、声を掛けてくる人はいなくなるだろう。
その方がいい。私に恋愛は向いてない。
「自分を追い詰めないで、ミカ。この世で間違わないのは、神様だけよ」
ベネッサさんの助言が、一拍遅れて胸にしみこむ。
間違わないのは、神様だけ、か――。
そうかもしれない。
人はみんな不完全で、その不完全さを許し合って生きていくしかないのかもしれない。
泣き腫らした目で夕食の席についた私を見て、ラスは辛そうに顔を顰めた。
何か言いたそうに口を開け閉めしたけど、結局は何も言わず、ただ私の背中を撫でてくれる。
その優しい温もりがとても貴重なものに思えて、私は小さく嘆息した。
数日後、ダンさんがジャンプから戻ってきた。
ベネッサさんからチェインとのことを聞いたはずなのに、彼は私を一切責めなかった。
それどころか、話題にも出さない。
そわそわと気にしているうちに、十日が経つ。
……もしかして、ベネッサさんは話してなくて、ダンさんは何も知らないんじゃないだろうか。
ふと疑念が湧いてくる。
もしそうなら、次の狩りの時、ダンさんは困った羽目になるんじゃないか。
チェインがチームから抜けたら、どうしよう。
一旦考え始めると、居ても立ってもいられなくなった。
私は夕食の時、思い切ってダンさんにチェインのことを聞いてみた。
「あの、チェインはどうしてますか?」
「ん? 元気にしてるよ」
ダンさんはかぶついていた肉を置き、けろりとした顔で答えた。
「そ、そうですか」
「しばらくはへこんでたみたいだけど、ベネが説明したら分かってくれたそうだ。今度町で会ったら、話してごらん」
「……はい」
チェインにまた会うと思っただけでずしりと気持ちが重くなったが、いつまでも引きこもって泣いてるわけにもいかない。
彼がどうしてるかこの目で確かめるまで、多分、私は前に進めない。
チェインの方は私に会いたくないかもしれないから、遠目に探してみよう。
心を決めて、目前のサラダに戻った。
それから心配そうな様子でついてきたラスに、声を掛ける。
「少し二人にしてくれる?」
ラスはベネッサさんではなく私を見つめた。
「……ミカ、どうする? 俺、出てた方がいい?」
「うん、お願い」
酷い鼻声だったが、ラスは「分かった」と頷き、扉を閉める。
ベネッサさんはベッド脇のテーブルから水差しを取り上げ、コップに注いで渡してくれた。
「ゆっくり飲むのよ。急がなくていいからね」
こくりと頷き、まだ冷たい水で喉を湿らす。
ベネッサさんはどこまでも穏やかだった。それがとてもありがたい。
ゆっくりとコップの水を飲み干し、ふう、と息をつく。
ベネッサさんはそっと隣に座った。
私は何度も躊躇った後、チェインとの一部始終を話し始める。
自己保身に走りそうになる度、手の中の羽をぎゅ、と握った。
「――……本当に申し訳ないことをしてしまいました」
再び込み上げてきた涙を手の平で押さえ、絞り出すように話し終える。
ベネッサさんに軽蔑されても仕方ない。
私はそれだけのことをしてしまったのだから。
諦めと怯えが入り混じり、胸の中がぐちゃぐちゃになる。
本当は嫌われたくない。この家の皆にだけは、嫌われたくない。
ベネッサさんは「そうだったのね」と呟き、私の肩を抱き寄せた。
その優しい仕草に私を嫌悪する様子はなく、こんな時だというのにホッとしてしまう。
「きちんとミカに説明しておかなかった私達にも非があると思うわ。ユーグの魔法を過信してしまってた。ユーグは西の島で育ったわけじゃないってこと、うっかり忘れてたの。ごめんね、ミカ」
「ベネッサさんが謝ることじゃないです!」
慌てて顔を上げ、否定する。
ベネッサさんは慈しみに満ちた眼差しで私を見ていた。
「最初から結婚を考えずに求愛するタリムの男はいないのよ。一度つがってみて体の相性が合わない場合は、雨期をまたいで別の女性に求愛することはあるけどね。その場合も片方だけが合わないと感じることはないし、女性の方から断る決まりなの」
初めて耳にした情報にじっと聞き入る。
確かにユーグさんの魔法では、そこまでは分からなかった。
「ただびとは、タリム人と違って多産だと言われている。きっと、チェインはミカとの間に子供が欲しくなったのね。『試す』って言い方はミカにとってはいい加減に聞こえたかもしれないけど、ミカの逃げ道を残す為のチェインなりの気遣いだったんだと思うわ」
西の島では特に珍しい『ただびと』だから、興味本位で声を掛けたのだと思っていた。
私は最初から、チェインを誤解してたんだ。
「求愛は、その場できっぱりと断るのがルールなの。ミカが言った言葉は、条件付きの承諾だと誤解されてもおかしくないのよ」
「そう、なんですね」
チェインの驚いた顔が脳裏を過ぎる。
私の常識と、彼の常識はまるで違った。
チェインは私に歩み寄ろうとしてくれたけど、私は最初から本気にすらしていなかった。
彼への申し訳なさが更に増す。
「私からも、チェインに説明しておくわ。ミカは知らなかったんだもの。チェインを振り回そうと思って思わせぶりな態度を取ったわけじゃないって、きっと分かってもらえる。チェインは馬鹿じゃないし、悪人でもないからね」
「……ベネッサさんが間に入ったら、チェインはどう感じると思いますか? これ以上傷つけたくないです」
私はすぐには頷かず、意見を求めてみた。
ベネッサさんに任せる方が楽だけど、それじゃダメだと思ったのだ。
「チェインも混乱してるだろうし、すっきりすると思うわよ。親が娘の縁談に口を挟むのは、当たり前でしょう?」
ベネッサさんが悪戯っぽく微笑んで言う。
親、という言葉に、ぶわりと目頭が熱くなった。
「……よろしくお願いします」
深々と頭を下げた拍子に、大粒の涙が膝に落ちる。
ベネッサさんは腰紐に挟んだ布を抜き取り、私の頬を拭ってくれた。
「ミカは向こうの世界では大人だったかもしれないけど、この世界では何も知らない子ども同然なの。子どもは間違うのが仕事だわ。そうでしょ?」
私が間違ったのは、この世界の常識を知らなかったせいだけではないけど、その言葉に少し心が軽くなる。
「そうかも……。でも、次からは間違えないように気をつけます」
次があるなら、の話だけど、と胸の中で付け加える。
私がチェインにした仕打ちが村中に広まれば、声を掛けてくる人はいなくなるだろう。
その方がいい。私に恋愛は向いてない。
「自分を追い詰めないで、ミカ。この世で間違わないのは、神様だけよ」
ベネッサさんの助言が、一拍遅れて胸にしみこむ。
間違わないのは、神様だけ、か――。
そうかもしれない。
人はみんな不完全で、その不完全さを許し合って生きていくしかないのかもしれない。
泣き腫らした目で夕食の席についた私を見て、ラスは辛そうに顔を顰めた。
何か言いたそうに口を開け閉めしたけど、結局は何も言わず、ただ私の背中を撫でてくれる。
その優しい温もりがとても貴重なものに思えて、私は小さく嘆息した。
数日後、ダンさんがジャンプから戻ってきた。
ベネッサさんからチェインとのことを聞いたはずなのに、彼は私を一切責めなかった。
それどころか、話題にも出さない。
そわそわと気にしているうちに、十日が経つ。
……もしかして、ベネッサさんは話してなくて、ダンさんは何も知らないんじゃないだろうか。
ふと疑念が湧いてくる。
もしそうなら、次の狩りの時、ダンさんは困った羽目になるんじゃないか。
チェインがチームから抜けたら、どうしよう。
一旦考え始めると、居ても立ってもいられなくなった。
私は夕食の時、思い切ってダンさんにチェインのことを聞いてみた。
「あの、チェインはどうしてますか?」
「ん? 元気にしてるよ」
ダンさんはかぶついていた肉を置き、けろりとした顔で答えた。
「そ、そうですか」
「しばらくはへこんでたみたいだけど、ベネが説明したら分かってくれたそうだ。今度町で会ったら、話してごらん」
「……はい」
チェインにまた会うと思っただけでずしりと気持ちが重くなったが、いつまでも引きこもって泣いてるわけにもいかない。
彼がどうしてるかこの目で確かめるまで、多分、私は前に進めない。
チェインの方は私に会いたくないかもしれないから、遠目に探してみよう。
心を決めて、目前のサラダに戻った。
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