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第三章 私の外れスキルは『せんい』 ~アリエス共和国のヘレの場合
第09話 悪役令嬢は狐がお好き
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次の日の朝、私はアリアに起こされる前に目が覚めた。時計を観ると六時……今までは七時にアリアが起こしてくれていたけど、長旅で疲れているはずなのにいつもより早く前が覚めてしまった。またアリアが居なくなってしまわないか心配だったから――でも大丈夫そのアリアは私の横でスゥスゥと可愛い寝息をたてている。
「ふふ」
私は嬉しくなってつい声を出し笑ってしまった。
アリアの可愛らしいケモノ耳がピクッと動いた。パチッ
「あ、ヘレお嬢様おはようございます。まさか私の方が寝坊するなんて」
「ごめんなさい起こすつもりは無かったのよ、アリアの寝顔を見ていたらつい」
「……本当ならそろそろ朝食のご用意をしたいのですが、材料が手持ちに無くて」
「そうだわ、なら私が取って来ようかしら、お魚だけど。ちょっと川辺に行ってくるわね、アリアはまだ寝ていていいのよ」
「いえ、ヘレお嬢様。私も一緒に行きます」
「アリア、昨日も夜に言ったけど私はもう屋敷を出たの。ボイオティア家の三女を捨てたのよ。だからヘレと呼び捨てでいいのよ」
「いえ、私にとっては、ヘレお嬢様はずっとヘレお嬢様です。ボイオティア家は関係ありません」
「はぁ、分かったわ」
私は久しぶりにアリアに髪をセットして貰った、アリアはいつも『お嬢様と言えばツインドリルですよ』と言ってくるので『何それ?』と聞くと『コロネですよ』と言い返してくるので、『だから何それ?』と聞くと『だから縦ロールですよ』といつものやる取りをした。
二人の仕度が終わると私達はゴレクサに乗って森の中にある川辺に向かった。ズンズンズンと足音を立てて走るゴレクサの肩の上で揺れながらアリアの顔が少しひきつっていたけど。
「『ソーイング戦意』! ですわ」
魔力の針と糸を操作して私はどんどんお魚を釣っていく。私達が泊まった空き家に置いてあった桶に釣ったお魚を入れていく。
「すごいです、それにしてもこの川には沢山魚がいますね」
「森の奥だから魔獣とか怖くて人間が入って来てないのかも知れないわね、そうだわ、せっかくなのでシュラタン村の人達の分も取っておきましょう」
沢山お魚が入っている桶をゴレクサに持ってもらい私達は村に戻った。丁度朝食にはよい時間になっていて村の人達も喜んでいた。
「聖女ヘレ様、子供達の呪いを無料で治して頂いた上にこんなに沢山の魚まで頂いて、聖女アリア様も有難うございます」
「だから私は聖女ではなく、聖女はお嬢様だけだと言っているでしょ」
「いえ、でも最初に子供達に慈悲を与えてくださったのは聖女アリア様ですから」
「ふふ」
「もうヘレお嬢様も笑っていないで何か言ってあげてください」
「いいじゃない別に聖女様でも、ふふふ」
私達はお食事が終わると空き家に戻り今後の話をする事にした。
「それにしてもアリアを聖女だと思うって事はこの村の人達は、獣人族は魔力が低いので魔法はあまり得意じゃなく、ましてや聖魔法を使える獣人族は居ないとか知らないみたいね、獣人の国に一番近い村なのに獣人族の聖女は存在しない事を。おかしいわね。ふふ」
「……」
「あら? どうしたのアリア? 黙り込んでしまって?」
「い、いえ、それよりお茶を入れますね」
「お茶? もしかして猫さんのアレ?」
「いえ、申し訳ございません、アレは値段が張るしもう持って居ないのです」
普通のお茶も美味しかったわ。
「それでこれからどうするの? 予定通り獣人族の国を通って魔法国家キャンサーに向かうの?」
「そうですね、ところで私は通れると思いますか? 獣人国レオを」
「え? それは通れるのでは? それとも獣人国には何か人間族には知らない決まり事でもあるのかしら?」
「いえ、違います、言い間違えました、私ではなくヘレお嬢様が通れるのかと」
「私? うーん通行証や身分証が不要で見た目が獣人族に見えるだけで通れるなら、私のスキルで何とかなりそうだけど、そう言えばアリアは獣人国の身分証は持って居るのよね?」
「えっ?」「えっ?」
「えーと、はい、持って居ますよ、ただちょっと予定を変えようかなと、ヘレお嬢様が一緒ならばわざわざ魔法国家キャンサーに行かなくてもよくなりました」
「どういう事かしら?」
「はい、ヘレお嬢様のスキルなら船を作れるのではないかと思いまして」
「船? 船が必要なの? でも船ならこの国にもあるわよ、魔法国家キャンサーにある魔導船はないけど、似た様な仕組みのゴーレム船ならあるわ」
「この国の船は私の行きたい場所には向かわないので」
「あらそうなの、船を作るなら実際やってみないと分からないけど私の魔力の糸は浮くのかしら?」
「もし糸自体浮かなくても、火属性にすれば海水と反発するのでは?」
「そうね、後は木に糸を縫って木と木を繋げて普通に木造船を作るって手もあるわね、うん、何とかなりそうね、それでどれくらいの大きさの船にするの? 近くならそんなに大きな船でなくてもいいと思うわ」
「そうですね、私の行きたい場所はちょっと遠くなので、できれば大きくて中でゆったりできて絶対に沈まない頑丈な船をお願いいたします」
「遠く? 場所は聞いてもいいのかしら?」
「……大海の真ん中にある古の魔大陸です」
「古の魔大陸? 学院の授業で習った事が有るわ、確か魔人族と言う種族が住んでいた国だったかしら?」
でも授業では古の魔大陸は現在不毛の地で動物や植物、水すら無いと習ったわ。だからどの国の人もそこに行く価値を見いだせないので誰も行かないと。この国は無論の事、魔法国家キャンサーの人達だって行くとは思えないのだけど……。
「はい、その通りです……行くの止めますか?」
「まさか、心配しないで、私も行くわよ、でも古の魔大陸の海域には強い海の魔物が沢山いるって授業で習ったわ、何か船に武器とかも必要かしら?」
「それは……多分船に武器が無くても大丈夫だと思います、お嬢様のスキルや私のスキルで何とかなりますよ」
「そうなの? アリアがそう言うなら、では早速船を作りに森へ行きましょう」
「森ですか? 海辺ではなく?」
「海辺だと船の材料が無いでしょ、森で作って私のマジックバックに入れて海辺まで運べばいいのよ、それに一日で出来ると思わないし、暫くこの村に滞在しましょう」
「なるほど、分かりました」
「ところで森の中の木って勝手に切っても良いのかしら?」
「どうでしょう? ただ朝の感じだと森の中には村の人達は行っていないようなので、大丈夫なのでは?」
「一応村長さんに聞いてみましょう」
村長さんに聞いたところ、やはり森の奥には魔物が居るので村の人達は奥まで行っていないとの事。なので森の奥に居る魔物を倒しつつ木を切っていく事にした。
ただ実際に行ってみると森の奥には魔物か何かの気配は何となく感じるけど、ゴレクサを怖がっているのか今のところ一度も会っていない。そう言えばこの旅でも『魔物除けの結界石』のおかげで一度も出会ってなかったわね。
結局斧を持たせたゴレクサにどんどん木を切らせて運んだだけだった。
そうこうしているうちにスキルレベルも上がってLv7になったわ。その時に覚えたのが
―――――――――――――
『時間属性の繊維』:時間属性を含んだ魔力で作った繊維を出す事が出来る。
―――――――――――――
「ふふ」
私は嬉しくなってつい声を出し笑ってしまった。
アリアの可愛らしいケモノ耳がピクッと動いた。パチッ
「あ、ヘレお嬢様おはようございます。まさか私の方が寝坊するなんて」
「ごめんなさい起こすつもりは無かったのよ、アリアの寝顔を見ていたらつい」
「……本当ならそろそろ朝食のご用意をしたいのですが、材料が手持ちに無くて」
「そうだわ、なら私が取って来ようかしら、お魚だけど。ちょっと川辺に行ってくるわね、アリアはまだ寝ていていいのよ」
「いえ、ヘレお嬢様。私も一緒に行きます」
「アリア、昨日も夜に言ったけど私はもう屋敷を出たの。ボイオティア家の三女を捨てたのよ。だからヘレと呼び捨てでいいのよ」
「いえ、私にとっては、ヘレお嬢様はずっとヘレお嬢様です。ボイオティア家は関係ありません」
「はぁ、分かったわ」
私は久しぶりにアリアに髪をセットして貰った、アリアはいつも『お嬢様と言えばツインドリルですよ』と言ってくるので『何それ?』と聞くと『コロネですよ』と言い返してくるので、『だから何それ?』と聞くと『だから縦ロールですよ』といつものやる取りをした。
二人の仕度が終わると私達はゴレクサに乗って森の中にある川辺に向かった。ズンズンズンと足音を立てて走るゴレクサの肩の上で揺れながらアリアの顔が少しひきつっていたけど。
「『ソーイング戦意』! ですわ」
魔力の針と糸を操作して私はどんどんお魚を釣っていく。私達が泊まった空き家に置いてあった桶に釣ったお魚を入れていく。
「すごいです、それにしてもこの川には沢山魚がいますね」
「森の奥だから魔獣とか怖くて人間が入って来てないのかも知れないわね、そうだわ、せっかくなのでシュラタン村の人達の分も取っておきましょう」
沢山お魚が入っている桶をゴレクサに持ってもらい私達は村に戻った。丁度朝食にはよい時間になっていて村の人達も喜んでいた。
「聖女ヘレ様、子供達の呪いを無料で治して頂いた上にこんなに沢山の魚まで頂いて、聖女アリア様も有難うございます」
「だから私は聖女ではなく、聖女はお嬢様だけだと言っているでしょ」
「いえ、でも最初に子供達に慈悲を与えてくださったのは聖女アリア様ですから」
「ふふ」
「もうヘレお嬢様も笑っていないで何か言ってあげてください」
「いいじゃない別に聖女様でも、ふふふ」
私達はお食事が終わると空き家に戻り今後の話をする事にした。
「それにしてもアリアを聖女だと思うって事はこの村の人達は、獣人族は魔力が低いので魔法はあまり得意じゃなく、ましてや聖魔法を使える獣人族は居ないとか知らないみたいね、獣人の国に一番近い村なのに獣人族の聖女は存在しない事を。おかしいわね。ふふ」
「……」
「あら? どうしたのアリア? 黙り込んでしまって?」
「い、いえ、それよりお茶を入れますね」
「お茶? もしかして猫さんのアレ?」
「いえ、申し訳ございません、アレは値段が張るしもう持って居ないのです」
普通のお茶も美味しかったわ。
「それでこれからどうするの? 予定通り獣人族の国を通って魔法国家キャンサーに向かうの?」
「そうですね、ところで私は通れると思いますか? 獣人国レオを」
「え? それは通れるのでは? それとも獣人国には何か人間族には知らない決まり事でもあるのかしら?」
「いえ、違います、言い間違えました、私ではなくヘレお嬢様が通れるのかと」
「私? うーん通行証や身分証が不要で見た目が獣人族に見えるだけで通れるなら、私のスキルで何とかなりそうだけど、そう言えばアリアは獣人国の身分証は持って居るのよね?」
「えっ?」「えっ?」
「えーと、はい、持って居ますよ、ただちょっと予定を変えようかなと、ヘレお嬢様が一緒ならばわざわざ魔法国家キャンサーに行かなくてもよくなりました」
「どういう事かしら?」
「はい、ヘレお嬢様のスキルなら船を作れるのではないかと思いまして」
「船? 船が必要なの? でも船ならこの国にもあるわよ、魔法国家キャンサーにある魔導船はないけど、似た様な仕組みのゴーレム船ならあるわ」
「この国の船は私の行きたい場所には向かわないので」
「あらそうなの、船を作るなら実際やってみないと分からないけど私の魔力の糸は浮くのかしら?」
「もし糸自体浮かなくても、火属性にすれば海水と反発するのでは?」
「そうね、後は木に糸を縫って木と木を繋げて普通に木造船を作るって手もあるわね、うん、何とかなりそうね、それでどれくらいの大きさの船にするの? 近くならそんなに大きな船でなくてもいいと思うわ」
「そうですね、私の行きたい場所はちょっと遠くなので、できれば大きくて中でゆったりできて絶対に沈まない頑丈な船をお願いいたします」
「遠く? 場所は聞いてもいいのかしら?」
「……大海の真ん中にある古の魔大陸です」
「古の魔大陸? 学院の授業で習った事が有るわ、確か魔人族と言う種族が住んでいた国だったかしら?」
でも授業では古の魔大陸は現在不毛の地で動物や植物、水すら無いと習ったわ。だからどの国の人もそこに行く価値を見いだせないので誰も行かないと。この国は無論の事、魔法国家キャンサーの人達だって行くとは思えないのだけど……。
「はい、その通りです……行くの止めますか?」
「まさか、心配しないで、私も行くわよ、でも古の魔大陸の海域には強い海の魔物が沢山いるって授業で習ったわ、何か船に武器とかも必要かしら?」
「それは……多分船に武器が無くても大丈夫だと思います、お嬢様のスキルや私のスキルで何とかなりますよ」
「そうなの? アリアがそう言うなら、では早速船を作りに森へ行きましょう」
「森ですか? 海辺ではなく?」
「海辺だと船の材料が無いでしょ、森で作って私のマジックバックに入れて海辺まで運べばいいのよ、それに一日で出来ると思わないし、暫くこの村に滞在しましょう」
「なるほど、分かりました」
「ところで森の中の木って勝手に切っても良いのかしら?」
「どうでしょう? ただ朝の感じだと森の中には村の人達は行っていないようなので、大丈夫なのでは?」
「一応村長さんに聞いてみましょう」
村長さんに聞いたところ、やはり森の奥には魔物が居るので村の人達は奥まで行っていないとの事。なので森の奥に居る魔物を倒しつつ木を切っていく事にした。
ただ実際に行ってみると森の奥には魔物か何かの気配は何となく感じるけど、ゴレクサを怖がっているのか今のところ一度も会っていない。そう言えばこの旅でも『魔物除けの結界石』のおかげで一度も出会ってなかったわね。
結局斧を持たせたゴレクサにどんどん木を切らせて運んだだけだった。
そうこうしているうちにスキルレベルも上がってLv7になったわ。その時に覚えたのが
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