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第二章 俺の外れスキルは『ものマネ』 ~ジェミニ王国のディオの場合
第10話 魔石
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「『ステータス』!」
―――――――――――――
ディオ (男、15歳)
種族:人間族
冒険者ランク:D
ジョブ:ものマネ士
スキル:ものマネ Lv6:『声マネ』、『技マネ』、『魔法マネ』
スロット1:『スライムの鳴き声』
スロット2:『パリイ』※下級剣術Lv4の技
スロット3:『二連斬り』※中級剣術Lv2の技
スロット4:『ファイヤーボール』※下級攻撃魔法Lv1の技
称号:『スライムキラー』
―――――――――――――
『魔法マネ』:対象となる1つの魔法をマネることができる。取得条件は対象となる魔法を一度実際に見なければならない。ただし自分のスキルレベルより高いものは覚えることは出来ない。発動条件は魔法名を叫ぶ。
『ファイヤーボール』:手のひらから火の玉を出すことができる。威力は込める魔力によって異なる。
―――――――――――――
情報が頭の中に流れてきた。
スキルレベル5で『魔法マネ』を覚えスキルレベル6で『スロット』がまた一つ増えたのだ。
「では私の技を一つくらいまねしてみるかい?」
「え?」
「ジョブやスキルを教えてもらったお礼だよ。そもそもそれが目的で私にスキルの事を話したのでは? ふふふっ」
「――え? う? お見通しですか、すいません……」
「ふふふっ、いいのだよ、私も本当に覚えられるのか興味があるし、それでどんな技をまねしたいかい?」
「『東洋剣術』ってどんな技があるんですか?」
「そうだな、レベル6までの技なら、瞬間的に破壊力を上げたり、斬撃を飛ばしたり、三連続攻撃したり、うーん、ちなみに私のおすすめは『円月斬リ』だな」
「『円月斬リ』ですか?」
「そう、自分の周囲に居る多人数への攻撃、もしくは敵の攻撃を受け流してから、反撃できる。少年の覚えている『パリイ』の上位互換になるかな」
うーん、斬撃を飛ばしたかったが放出系の攻撃手段は最悪『ファイヤーボール』で代用できるか――。
「それでお願いします」
「よしっ、では立って私に剣で攻撃してきたまえ」
そう俺に言うと、レダさんも鞘から剣を抜いた。
「ん? その剣は?」
俺の持っている剣とは違い、細長く、刃も片側にしか付いていない。さらには美しい曲線を描いていて、武器というより芸術品に見える。ただすぐ折れそうな感じがするが大丈夫なのだろうか?
「めずらしいだろ、これは剣ではなく『刀』という武器だ。さっき言った師匠の国の剣で、戦士達の間では主流の武器となっているそうだ。んっ? 折れるんじゃないかと心配そうな顔をしているな、大丈夫だ、斬りかかって来い」
「はい! いきます。――たぁぁぁ」
「――ほうっ、『円月斬リ』!」
カキンッ スゥゥゥ
俺の剣は受け止めら――そのまま円を描くように受け流されると同時に首元に刃を置かれた。
「うっ」
「これが『円月斬リ』だ。まねられたかね?」
≪ピコン! 『円月斬リ』をマネました。スロットに空きがありません。入れ替えますか?≫
スロット2の『パリイ』と入れ替えてくれ。
≪スロット2の『パリイ』を消去し代わりに『円月斬リ』を入れました≫
―――――――――――――
『円月斬リ』:円を描くように自分の周りの敵を攻撃、または敵の攻撃を受け流しそのまま反撃する。
―――――――――――――
「――はい、マネれました」
「そうか、では見せてくれ、行くぞ! はぁぁぁっ」
「『円月斬リ』!」
カキンッ スゥゥゥ
俺は刀を受け止めて、そのまま円を描くように受け流し同時にレダさんの首元に剣を突き付けた。
「おみごと、刀じゃなくてもこの技が使えるのか心配だったのだがな」
「ありがとうございます」
「それにしても少年の剣を受けて感じたのだが、少年の素早さや攻撃力を考えると『ものマネ士』というジョブは、かなりのステータス補正が付いているのではないか?」
「そうなのですかね? 強い魔物と戦っていないのであまり実感が……」
「ん? 違うのか? 幼いころから剣の稽古をしていたのなら、その辺は感覚で分かるんじゃないのか?」
「最近この感じに慣れてきたので気にしていなかったけど、確かに体が軽いですし力も溢れ出てくる感じがします……スキルレベルが上がって来たから、いや違うかな、スロットが増えてそこに強い技をセットするようになってからかな?」
俺はしばらくの間腕を組み――うーん、そうなるとスロットにセットする技はちゃんと考えて入れないとホントに『外れスキル』になるな。なんとなく記念に取っておいているけど、もう鳴き声は要らないかな? いやしかし鳴き声を出しているスライムに会ったのはあの時だけなんだよなぁ、消した後また欲しくなっても入手するのが難しそうだな。どうする、いやまてよ、強くなっているのは称号のおかげという線もあるのか――と色々悩みだしてしまった。
「ま、まあ話はこれくらいにして、そろそろボス討伐に行こうか、ボスはホブゴブリン一体とお供に二体のゴブリンアーチャーだ」
通常のゴブリンは人間の子供くらいの背丈だが、ホブゴブリンは人間の大人より少し大きい。そしてゴブリンアーチャーは弓を装備しているゴブリンだ。
しばらく進むと、俺の身長の二倍ほどある、大きな両開きの扉が薄暗く輝いているのが見えた。その扉には見た事がない文字が沢山刻まれており、触ると少しひんやりとしていた。
「さて、この扉の向こうにボスがいる。準備は良いかい?」
俺はレダさんの問いにゆっくりと頷き、ボス部屋の扉を両手で押し開けた。
中に入ると真っ白い霧が立ち込めっており、それが晴れると同時に俺達が入って来た大きな扉が音を立てて勝手に閉じてしまった。
ボス部屋の中はとても広くて天井もかなり高い。今まで通って来た洞窟エリアの大きさを考えると物理的におかしい気がする。が今はそれどころではない。
前方にホブゴブリンと二体のゴブリンアーチャーが視覚に入ってきた。
ホブゴブリンは武器を装備していないが代わりに丈夫そうな何かの皮で作った鎧を装着していた。両腕をぐるぐると回し、準備運動でもしているのだろうか?
そしてその両隣に居るゴブリンアーチャーに何かの合図を出した。と同時にゴブリンアーチャー達は矢を放って来たので『円月斬リ』で斬り落とし、一直線にホブゴブリンに向かって走り出しホブゴブリンの顔に向かって『ファイヤーボール』を数発放った。
それを嫌がったホブゴブリンは腕で顔を庇ったので、その隙を突いて一気に近づき『二連斬り』で首を跳ねた。断末魔をあげること無く首が地面に転がる。それを見て怯んだゴブリンアーチャーを二体同時に『円月斬リ』で弓ごと斬り倒した。
「ふー、呆気なかったな」
パチパチパチパチ
「いやぁすごいな少年、まさに秒殺じゃないか」
死体が消えコロンっと小さな魔石二つとそれより少し大きな魔石一つが現れた。
「はは、今日のドロップアイテムは結局全部魔石でした」
「いや、逆に運が良いのではないかな、浅い階層は魔石の方が金になる」
ゴオォォォ
ボス部屋の奥の扉が開いた。そこにも部屋があり次層へ続く階段とダンジョンの入り口にあった操作装置。そしてその操作装置を中心に地面には転移陣が描かれていた。
「その装置の上にダンジョンカードを置くと攻略状況を記録できる、すると次からはダンジョンの入り口からここへ転移できるようになる」
俺は言われるがままダンジョンカードを置いた。ピカリとカードが光った。
「これで完了だ、まあ予定より随分早いが……地上に戻ろう、その装置の『1F』と書かれた所を押してくれ」
俺はまた言われるがまま『1F』と書かれた所を押した。すると足元に描かれていた転移陣が青く光り出した。ふぅ、何とか終わったな。
「少年、まだ冒険は終わっていないぞ、何が起こるのか分からないのがダンジョンだ、だから最後まで気を抜かないようにするのだぞ」
転移陣の上に立っている俺達の身体が青白く光り出した。気が付くとダンジョンの入り口の転移陣の上に立っていた。ダンジョンの外に出て大きく深呼吸をする。
すぅぅ、ふぅぅ、そして俺の初ダンジョン攻略は無事に終わったのだった。
―――――――――――――
ディオ (男、15歳)
種族:人間族
冒険者ランク:D
ジョブ:ものマネ士
スキル:ものマネ Lv6:『声マネ』、『技マネ』、『魔法マネ』
スロット1:『スライムの鳴き声』
スロット2:『パリイ』※下級剣術Lv4の技
スロット3:『二連斬り』※中級剣術Lv2の技
スロット4:『ファイヤーボール』※下級攻撃魔法Lv1の技
称号:『スライムキラー』
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『魔法マネ』:対象となる1つの魔法をマネることができる。取得条件は対象となる魔法を一度実際に見なければならない。ただし自分のスキルレベルより高いものは覚えることは出来ない。発動条件は魔法名を叫ぶ。
『ファイヤーボール』:手のひらから火の玉を出すことができる。威力は込める魔力によって異なる。
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情報が頭の中に流れてきた。
スキルレベル5で『魔法マネ』を覚えスキルレベル6で『スロット』がまた一つ増えたのだ。
「では私の技を一つくらいまねしてみるかい?」
「え?」
「ジョブやスキルを教えてもらったお礼だよ。そもそもそれが目的で私にスキルの事を話したのでは? ふふふっ」
「――え? う? お見通しですか、すいません……」
「ふふふっ、いいのだよ、私も本当に覚えられるのか興味があるし、それでどんな技をまねしたいかい?」
「『東洋剣術』ってどんな技があるんですか?」
「そうだな、レベル6までの技なら、瞬間的に破壊力を上げたり、斬撃を飛ばしたり、三連続攻撃したり、うーん、ちなみに私のおすすめは『円月斬リ』だな」
「『円月斬リ』ですか?」
「そう、自分の周囲に居る多人数への攻撃、もしくは敵の攻撃を受け流してから、反撃できる。少年の覚えている『パリイ』の上位互換になるかな」
うーん、斬撃を飛ばしたかったが放出系の攻撃手段は最悪『ファイヤーボール』で代用できるか――。
「それでお願いします」
「よしっ、では立って私に剣で攻撃してきたまえ」
そう俺に言うと、レダさんも鞘から剣を抜いた。
「ん? その剣は?」
俺の持っている剣とは違い、細長く、刃も片側にしか付いていない。さらには美しい曲線を描いていて、武器というより芸術品に見える。ただすぐ折れそうな感じがするが大丈夫なのだろうか?
「めずらしいだろ、これは剣ではなく『刀』という武器だ。さっき言った師匠の国の剣で、戦士達の間では主流の武器となっているそうだ。んっ? 折れるんじゃないかと心配そうな顔をしているな、大丈夫だ、斬りかかって来い」
「はい! いきます。――たぁぁぁ」
「――ほうっ、『円月斬リ』!」
カキンッ スゥゥゥ
俺の剣は受け止めら――そのまま円を描くように受け流されると同時に首元に刃を置かれた。
「うっ」
「これが『円月斬リ』だ。まねられたかね?」
≪ピコン! 『円月斬リ』をマネました。スロットに空きがありません。入れ替えますか?≫
スロット2の『パリイ』と入れ替えてくれ。
≪スロット2の『パリイ』を消去し代わりに『円月斬リ』を入れました≫
―――――――――――――
『円月斬リ』:円を描くように自分の周りの敵を攻撃、または敵の攻撃を受け流しそのまま反撃する。
―――――――――――――
「――はい、マネれました」
「そうか、では見せてくれ、行くぞ! はぁぁぁっ」
「『円月斬リ』!」
カキンッ スゥゥゥ
俺は刀を受け止めて、そのまま円を描くように受け流し同時にレダさんの首元に剣を突き付けた。
「おみごと、刀じゃなくてもこの技が使えるのか心配だったのだがな」
「ありがとうございます」
「それにしても少年の剣を受けて感じたのだが、少年の素早さや攻撃力を考えると『ものマネ士』というジョブは、かなりのステータス補正が付いているのではないか?」
「そうなのですかね? 強い魔物と戦っていないのであまり実感が……」
「ん? 違うのか? 幼いころから剣の稽古をしていたのなら、その辺は感覚で分かるんじゃないのか?」
「最近この感じに慣れてきたので気にしていなかったけど、確かに体が軽いですし力も溢れ出てくる感じがします……スキルレベルが上がって来たから、いや違うかな、スロットが増えてそこに強い技をセットするようになってからかな?」
俺はしばらくの間腕を組み――うーん、そうなるとスロットにセットする技はちゃんと考えて入れないとホントに『外れスキル』になるな。なんとなく記念に取っておいているけど、もう鳴き声は要らないかな? いやしかし鳴き声を出しているスライムに会ったのはあの時だけなんだよなぁ、消した後また欲しくなっても入手するのが難しそうだな。どうする、いやまてよ、強くなっているのは称号のおかげという線もあるのか――と色々悩みだしてしまった。
「ま、まあ話はこれくらいにして、そろそろボス討伐に行こうか、ボスはホブゴブリン一体とお供に二体のゴブリンアーチャーだ」
通常のゴブリンは人間の子供くらいの背丈だが、ホブゴブリンは人間の大人より少し大きい。そしてゴブリンアーチャーは弓を装備しているゴブリンだ。
しばらく進むと、俺の身長の二倍ほどある、大きな両開きの扉が薄暗く輝いているのが見えた。その扉には見た事がない文字が沢山刻まれており、触ると少しひんやりとしていた。
「さて、この扉の向こうにボスがいる。準備は良いかい?」
俺はレダさんの問いにゆっくりと頷き、ボス部屋の扉を両手で押し開けた。
中に入ると真っ白い霧が立ち込めっており、それが晴れると同時に俺達が入って来た大きな扉が音を立てて勝手に閉じてしまった。
ボス部屋の中はとても広くて天井もかなり高い。今まで通って来た洞窟エリアの大きさを考えると物理的におかしい気がする。が今はそれどころではない。
前方にホブゴブリンと二体のゴブリンアーチャーが視覚に入ってきた。
ホブゴブリンは武器を装備していないが代わりに丈夫そうな何かの皮で作った鎧を装着していた。両腕をぐるぐると回し、準備運動でもしているのだろうか?
そしてその両隣に居るゴブリンアーチャーに何かの合図を出した。と同時にゴブリンアーチャー達は矢を放って来たので『円月斬リ』で斬り落とし、一直線にホブゴブリンに向かって走り出しホブゴブリンの顔に向かって『ファイヤーボール』を数発放った。
それを嫌がったホブゴブリンは腕で顔を庇ったので、その隙を突いて一気に近づき『二連斬り』で首を跳ねた。断末魔をあげること無く首が地面に転がる。それを見て怯んだゴブリンアーチャーを二体同時に『円月斬リ』で弓ごと斬り倒した。
「ふー、呆気なかったな」
パチパチパチパチ
「いやぁすごいな少年、まさに秒殺じゃないか」
死体が消えコロンっと小さな魔石二つとそれより少し大きな魔石一つが現れた。
「はは、今日のドロップアイテムは結局全部魔石でした」
「いや、逆に運が良いのではないかな、浅い階層は魔石の方が金になる」
ゴオォォォ
ボス部屋の奥の扉が開いた。そこにも部屋があり次層へ続く階段とダンジョンの入り口にあった操作装置。そしてその操作装置を中心に地面には転移陣が描かれていた。
「その装置の上にダンジョンカードを置くと攻略状況を記録できる、すると次からはダンジョンの入り口からここへ転移できるようになる」
俺は言われるがままダンジョンカードを置いた。ピカリとカードが光った。
「これで完了だ、まあ予定より随分早いが……地上に戻ろう、その装置の『1F』と書かれた所を押してくれ」
俺はまた言われるがまま『1F』と書かれた所を押した。すると足元に描かれていた転移陣が青く光り出した。ふぅ、何とか終わったな。
「少年、まだ冒険は終わっていないぞ、何が起こるのか分からないのがダンジョンだ、だから最後まで気を抜かないようにするのだぞ」
転移陣の上に立っている俺達の身体が青白く光り出した。気が付くとダンジョンの入り口の転移陣の上に立っていた。ダンジョンの外に出て大きく深呼吸をする。
すぅぅ、ふぅぅ、そして俺の初ダンジョン攻略は無事に終わったのだった。
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