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第二章 俺の外れスキルは『ものマネ』 ~ジェミニ王国のディオの場合
第05話 誤算
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「『スライムの鳴き声』!」
「ピュー、ピュー」「ピュー、ピュー」「ピュー、ピュー」「ピュー、ピュー」「ピュー、ピュー」
ポワンッピヨンッ ポワンッピヨンッ ポワンッピヨンッ ポワンッピヨンッ ポワンッピヨンッ
俺の周りに五つの魔方陣が現れ、そこから青い半透明のスライムが現れた。
スパッ スパッ スパッ スパッ、スパッ
すべてのスライムを一刀両断して、割れたスライムの核を麻袋に詰める。
それにしても今まで何百回と『スライムの鳴き声』を使ってスライムを呼び出したが結局全部、青い半透明のスライムばかりだったな。
スライムには他にも種類が居るのに……俺の持っている『スライムの鳴き声』はこの青い半透明のスライム専用って事か……。
「(スライムの鳴き声マネ解除)」
さて今日もノルマのスライム二百匹狩ったし冒険者ギルドに戻るとするか。
「よう、久しぶりだな!」
――声をした方を向くとスクロイと三人の冒険者風の男達がこちらに向かって歩いてきた。
「スクロイ……」
「はぁあ? スクロイ? 違うだろスクロイ様だろ! 俺様はここの次期領主様だぞ!」
「……」
「チッ、面白くねぇ、まあいい、どうせもうそのムカつく顔を見ることもない――お前ら殺していいぞ!」
「ほんとにいいんでやすか? 一応その……兄弟……」
スクロイはギロリッとそいつを睨んだ。
「い、いえなんでもねぇえでやんす、じゃあとっとと終わらせてくるでやんす」
三人の男達は俺を囲むようにして剣を構えた。――全員剣士系か。
「これも次期領主様の命令でやんすから恨まないでくださいや」
斬りかかって来る男達に向かって俺は剣を構えた。
「『パリイ』!」、「『二連斬り』!」
ガキンッ スパッ
「なっ、ぎゃぁ」
初めに斬りかかって来た男の剣を受け流しカウンターでそのまま利き腕を斬りつけた。血が噴き出し持っていた剣を落とした。
スクロイ達は驚いた顔をしているが俺は攻撃の手を休めない。なぜならこいつらは俺を殺そうとしているから。
「『二連斬り』!」
スパパッ
「いでぇぇぇぇぇぇえ」
二人目の男の利き腕を高速で斬りつける。斬られた腕を押さえつけ地面に這いつくばっている。よし後一人。残った男をギロリと睨みつけると一瞬怯んだ。今だ。
「『二連斬り』!」
スパパッ
「ぎゃっあぁぁあ、腕が、腕がぁ、ち、血が止まらないでやんす」
三人目の男も利き腕を素早く斬りつけると俺は返り血を浴びた、がそんな事は気にしていられない。スクロイを見ると、唇を噛みしめて俺を睨みつけていた。
「お前は来ないのか?」
「ぐっ、なんで? なんでお前が剣術スキルの技を……」
「こいつらに早くポーションか『回復魔法』使ってやらないと、もう剣を持てなくなるぞ」
スクロイは地面にしゃがみ込んで腕を押さえて唸っている男達三人を見て苛立ちそして声を荒げる。
「くそっ、役立たず共め! 帰るぞ! 覚えとけよ、お前はぜってーぶっ殺す!」
「まてっ! 父上は知っているのか?」
「……当たり前だ! 知っているも何も親父の命令だからな!」
スクロイ達が逃げ帰っていくのを見つめながら、剣を握っている自分の手が震えて居る事に気づいた。
始めて真剣で人を斬りつけたから……深く斬りつけていないからあまり感触は伝わって来なかったが――馴れないとダメなんだろうな……。さてとっ。
「『ステータス』!」
―――――――――――――
ディオ (男、15歳)
種族:人間族
冒険者ランク:E
ジョブ:ものマネ士
スキル:ものマネ Lv4:『声マネ』、『技マネ』
スロット1:『スライムの鳴き声』
スロット2:『パリイ』※下級剣術Lv4の技
スロット3:『二連斬り』※中級剣術Lv2の技
称号:『スライムキラー』
―――――――――――――
『技マネ』:対象となる1つの技をマネることができる。取得条件は対象となる技を一度実際に見なければならない。ただし自分のスキルレベルより高いものは覚えることは出来ない。発動条件は技名を叫ぶ。
―――――――――――――
頭の中に情報が流れ込んでくる。
屋敷を追い出されてから二週間、結構強くなったな。
最初の頃は宿屋に戻った後は『宿屋のおやじの声』をマネて、ずっと部屋でおやじの『声マネ』してスキルのレベル上げをしていたよなぁ。
ただ解除するのを忘れたまま宿屋の娘さんに話しかけてしまった時は、『へっ?』って顔されて焦ってしまった事は今となっては良い思い出。
それでこのままずっと誰かの『声マネ』してればどんどんレベルが上がっていく、と喜んでいたんだけど、結局スキルレベル3くらいからまったく上がる気配が無くなった。
スキルレベル3で覚えた『技マネ』で、スライムの技『体当たり』を『技マネ』したが、実際使ってみるとすぐにこれじゃ無いと気付き、スライム討伐が終わった後は毎日冒険者ギルドにある訓練所に通って先輩冒険者達の訓練を眺めていた。
良さそうな技があればマネて、スライム討伐で試してみての繰り返しだったな。
そのうちスキルレベルが4になって『スロット3』が増えた。
今、入れている『二連斬り』はマネるのに苦労した。なぜなら太刀筋が見えなかったから。『技マネ』は見ないとマネることができない。
目を凝らして、それでも見えなくて近づいたら危うく斬られるところだった。
ちなみに『スロット2』入れている技は、今俺が覚えられるレベルは4までなのだが、色々試したり先輩冒険者達に酒をおごって情報を聞いたりと試行錯誤した結果、使い勝手の良かった『パリイ』にしている。
―――――――――――――
『パリイ』:相手の物理攻撃を受け止める又は受け流す。
『二連斬り』:素早く2回連続で斬りつける。
―――――――――――――
――さてとっ、これからどうするか。
今回はあいつらが俺を舐めていたから本気を出す前に片付けられたけど、最初から全力で、しかも作戦を立ててこられたら流石に一人じゃ勝てないな。
なんてたって、あいつらは剣士系のジョブだったはず。すなわちステータス補正が付いて……あれ? それにしてはあんまり強く感じなかったな……。
『ものマネ士』は戦闘系のジョブでは無いと思ってステータス補正は諦めていたけど、もしかして俺にもステータス補正が付いているんじゃないか? ステータス補正が付いているかどうか調べる手段は無いのかな? うーん……。
とりあえず……拠点を変えるか、そもそもこの街に居続ける利点も無いしな。
「ピュー、ピュー」「ピュー、ピュー」「ピュー、ピュー」「ピュー、ピュー」「ピュー、ピュー」
ポワンッピヨンッ ポワンッピヨンッ ポワンッピヨンッ ポワンッピヨンッ ポワンッピヨンッ
俺の周りに五つの魔方陣が現れ、そこから青い半透明のスライムが現れた。
スパッ スパッ スパッ スパッ、スパッ
すべてのスライムを一刀両断して、割れたスライムの核を麻袋に詰める。
それにしても今まで何百回と『スライムの鳴き声』を使ってスライムを呼び出したが結局全部、青い半透明のスライムばかりだったな。
スライムには他にも種類が居るのに……俺の持っている『スライムの鳴き声』はこの青い半透明のスライム専用って事か……。
「(スライムの鳴き声マネ解除)」
さて今日もノルマのスライム二百匹狩ったし冒険者ギルドに戻るとするか。
「よう、久しぶりだな!」
――声をした方を向くとスクロイと三人の冒険者風の男達がこちらに向かって歩いてきた。
「スクロイ……」
「はぁあ? スクロイ? 違うだろスクロイ様だろ! 俺様はここの次期領主様だぞ!」
「……」
「チッ、面白くねぇ、まあいい、どうせもうそのムカつく顔を見ることもない――お前ら殺していいぞ!」
「ほんとにいいんでやすか? 一応その……兄弟……」
スクロイはギロリッとそいつを睨んだ。
「い、いえなんでもねぇえでやんす、じゃあとっとと終わらせてくるでやんす」
三人の男達は俺を囲むようにして剣を構えた。――全員剣士系か。
「これも次期領主様の命令でやんすから恨まないでくださいや」
斬りかかって来る男達に向かって俺は剣を構えた。
「『パリイ』!」、「『二連斬り』!」
ガキンッ スパッ
「なっ、ぎゃぁ」
初めに斬りかかって来た男の剣を受け流しカウンターでそのまま利き腕を斬りつけた。血が噴き出し持っていた剣を落とした。
スクロイ達は驚いた顔をしているが俺は攻撃の手を休めない。なぜならこいつらは俺を殺そうとしているから。
「『二連斬り』!」
スパパッ
「いでぇぇぇぇぇぇえ」
二人目の男の利き腕を高速で斬りつける。斬られた腕を押さえつけ地面に這いつくばっている。よし後一人。残った男をギロリと睨みつけると一瞬怯んだ。今だ。
「『二連斬り』!」
スパパッ
「ぎゃっあぁぁあ、腕が、腕がぁ、ち、血が止まらないでやんす」
三人目の男も利き腕を素早く斬りつけると俺は返り血を浴びた、がそんな事は気にしていられない。スクロイを見ると、唇を噛みしめて俺を睨みつけていた。
「お前は来ないのか?」
「ぐっ、なんで? なんでお前が剣術スキルの技を……」
「こいつらに早くポーションか『回復魔法』使ってやらないと、もう剣を持てなくなるぞ」
スクロイは地面にしゃがみ込んで腕を押さえて唸っている男達三人を見て苛立ちそして声を荒げる。
「くそっ、役立たず共め! 帰るぞ! 覚えとけよ、お前はぜってーぶっ殺す!」
「まてっ! 父上は知っているのか?」
「……当たり前だ! 知っているも何も親父の命令だからな!」
スクロイ達が逃げ帰っていくのを見つめながら、剣を握っている自分の手が震えて居る事に気づいた。
始めて真剣で人を斬りつけたから……深く斬りつけていないからあまり感触は伝わって来なかったが――馴れないとダメなんだろうな……。さてとっ。
「『ステータス』!」
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ディオ (男、15歳)
種族:人間族
冒険者ランク:E
ジョブ:ものマネ士
スキル:ものマネ Lv4:『声マネ』、『技マネ』
スロット1:『スライムの鳴き声』
スロット2:『パリイ』※下級剣術Lv4の技
スロット3:『二連斬り』※中級剣術Lv2の技
称号:『スライムキラー』
―――――――――――――
『技マネ』:対象となる1つの技をマネることができる。取得条件は対象となる技を一度実際に見なければならない。ただし自分のスキルレベルより高いものは覚えることは出来ない。発動条件は技名を叫ぶ。
―――――――――――――
頭の中に情報が流れ込んでくる。
屋敷を追い出されてから二週間、結構強くなったな。
最初の頃は宿屋に戻った後は『宿屋のおやじの声』をマネて、ずっと部屋でおやじの『声マネ』してスキルのレベル上げをしていたよなぁ。
ただ解除するのを忘れたまま宿屋の娘さんに話しかけてしまった時は、『へっ?』って顔されて焦ってしまった事は今となっては良い思い出。
それでこのままずっと誰かの『声マネ』してればどんどんレベルが上がっていく、と喜んでいたんだけど、結局スキルレベル3くらいからまったく上がる気配が無くなった。
スキルレベル3で覚えた『技マネ』で、スライムの技『体当たり』を『技マネ』したが、実際使ってみるとすぐにこれじゃ無いと気付き、スライム討伐が終わった後は毎日冒険者ギルドにある訓練所に通って先輩冒険者達の訓練を眺めていた。
良さそうな技があればマネて、スライム討伐で試してみての繰り返しだったな。
そのうちスキルレベルが4になって『スロット3』が増えた。
今、入れている『二連斬り』はマネるのに苦労した。なぜなら太刀筋が見えなかったから。『技マネ』は見ないとマネることができない。
目を凝らして、それでも見えなくて近づいたら危うく斬られるところだった。
ちなみに『スロット2』入れている技は、今俺が覚えられるレベルは4までなのだが、色々試したり先輩冒険者達に酒をおごって情報を聞いたりと試行錯誤した結果、使い勝手の良かった『パリイ』にしている。
―――――――――――――
『パリイ』:相手の物理攻撃を受け止める又は受け流す。
『二連斬り』:素早く2回連続で斬りつける。
―――――――――――――
――さてとっ、これからどうするか。
今回はあいつらが俺を舐めていたから本気を出す前に片付けられたけど、最初から全力で、しかも作戦を立ててこられたら流石に一人じゃ勝てないな。
なんてたって、あいつらは剣士系のジョブだったはず。すなわちステータス補正が付いて……あれ? それにしてはあんまり強く感じなかったな……。
『ものマネ士』は戦闘系のジョブでは無いと思ってステータス補正は諦めていたけど、もしかして俺にもステータス補正が付いているんじゃないか? ステータス補正が付いているかどうか調べる手段は無いのかな? うーん……。
とりあえず……拠点を変えるか、そもそもこの街に居続ける利点も無いしな。
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