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とりかえあやかし奇譚
11.
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晴れ渡った初夏の空が広がるその日、朱雀門の前には貴族や庶民問わず、様々なひとびとが集まっていた。
天下の罪や罰をあまねく清め祓う儀式、大祓。その大祭が執り行われる日であった。
此度の祝詞は、今上帝の姉が務める。彼女は新斎宮として決定しており、最近の内裏の状況を鑑み、本来祝詞を奏上する役の中臣から役目を引き受けたのであった。
祝詞を奏上するため、新斎宮が供を引き連れ姿を現す。
ざわざわとひとびとの呟きがさざ波のように広がる。
「あれが新斎宮さま…」
「なんと神々しいお姿か…」
「あの御方ならば内裏の怪異も祓ってくださるに違いない」
「ああそれにしても口惜しや、侍従の君の笛を聴けぬとは…」
「まこと、口惜しい」
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