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09 デートの下見
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――今度の休み、1日俺に付き合ってくれ
殿下からの爆弾発言から数日後、わたくしは王城の前にいました。
あの後詳しく話をお聞きしたところ、どうやら殿下は、レオン様とローラ様をくっつけるためにもう一度ダブルデートをしてはどうかとお考えのようです。
そして、今日これから殿下と一緒にお出掛けするのは、動物園という、珍しい動物達のいるところです。
わたくしも噂には聞いておりましたが、行ったことはありません。殿下も同様のようですが、どうやらそこはデートスポットとしてはかなり良い場所のようです。そして、行ったことのない場所へいきなり4人で向かうと色々とまごつきそうなので、下見として2人で行ってみよう、というのが、件の殿下の発言だったようです。
わたくしは、殿下の御心に感動いたしました。
あまりそういうことに関心がなさそうな殿下が、ご友人であるレオン様のためにここまで頑張っておられるのです!当初レオン様とローラ様をくっつけるのに最大の障壁だと思っていたのが、お恥ずかしい限りですのよ・・・。
わたくしもローラ様のために頑張りたいと思っておりますので、もちろん、喜んでお引き受けいたしましたわ!
「おはよう、アテナ嬢。今日も美しいな」
「!?!?お、おおおはようございます、殿下!殿下こそ、大変麗しゅう存じます」
ど、どうしたのかしら?殿下ったら、いきなりわたくしの美しいだなんて!しかも、そんな飛びっきりの笑顔で!不意打ちを食らったわたくしは、かなり動揺した声でお返事してしまいました。お、お恥ずかしい・・・。
「調子を狂わせてすまんな。どうせ下見をするのなら、恋人のように振舞ったほうが良いと友からアドバイスを受けたのでな」
「そ、そうでしたか。確かに、そのほうがより下見としては効果的かもしれませんね」
な、なるほど。そういうことでしたか。ホッと一息。・・・ん?ということは・・・?
「アテナ嬢もそう思うか。・・・そ、それならば、今日は1日お互い・・・こ、恋人のように振舞おうではないか。もちろん、レオンとローラ嬢のためにだ」
や、やはり、そういうことなんですね。たしかに、レオン様とローラ様のデートを成功させるためには、わたくし達もそういう気分を味わいながらでないといけないかもしれません。そういうことであれば、やぶさかではありませんのよ!
・・・殿下も声が震えていらっしゃるから、わたくしと恋人のように振舞うことに耐えていらっしゃるんだわ・・・。
・・・ん?なんかわたくし、少し残念に思っている・・・?いや、気のせいよね。気のせいよ。
「・・・レオン様とローラ様のためですものね!そういうことでしたら、今日はしっかりと恋人として振舞いましょう!」
わたくしは、思い切って、殿下の隣に立ちます。そして、殿下の腕にわたくしの腕を絡ませました!
びくぅ!
あ、殿下の身体がビクっと震えたわ。殿下も緊張なさっているのかも。
「あ、ああ・・・。よろしく頼む。」
殿下がそっぽを向きながらそうおっしゃいました。
う、ううう、これは想像以上に、気恥ずかしいですわね。
・・・
そして、殿下と二人で動物園デートの下見が始まりました。あくまで下見なのですが、動物園には様々な珍しい動物達がいて、それらを見るのは大変楽しいものです。愛くるしい動物もいれば、見た目が怖い動物もいまして、思わず殿下の腕をぎゅっと強く握ってしまうこともありました。
「す、すみません、殿下・・・」
「い、いや、気にしなくていい。今日の俺達は恋人同士なのだから、これが普通なのだ」
そう、今日一日は私達は恋人同士。
最初はお互いぎこちなかったのですが、だんだんとわたくし達は慣れていき、お互いに笑顔を向け合って、動物園の中を見て回ったのです。
特に楽しかったのは、直接動物達と触れ合えるコーナーです。そのコーナーにいる珍しい品種の猫が円らな瞳とふわふわとした毛並みで、とっても可愛いかったのですわ!
わたくしも殿下も猫好きですから、お互いに猫を撫でたり、子猫を抱っこしたりして楽しみました。
「うふふふ。この猫ちゃんはうちのマロンよりも愛想がいいですわね」
「フォンシュタイン家の愛猫か。俺も見てみたいものだな」
「まぁ!それでしたら是非我が家にお越しになってくださいませ!マロンもこの子達と同じようにコロコロとしてとっても可愛らしいんですのよ!」
「!ああ、じゃあ今度伺おう」
は!ついわたくしったら、殿下を我が家へお誘いしてしまったわ!失礼じゃなかったかしら・・・殿下も別に迷惑そうじゃなさそうね。よかった。
「で、ではその時にはレオン様とローラ様を恋人同士にするための作戦会議をしましょう」
「ふ、そうだな」
ふう。これで不自然じゃありませんわね。そう、あくまでもレオン様とローラ様のために殿下を我が家へお招きするのですわ!べ、別にわたくしが来て欲しいからとか、そういうのではありませんのよ!
殿下からの爆弾発言から数日後、わたくしは王城の前にいました。
あの後詳しく話をお聞きしたところ、どうやら殿下は、レオン様とローラ様をくっつけるためにもう一度ダブルデートをしてはどうかとお考えのようです。
そして、今日これから殿下と一緒にお出掛けするのは、動物園という、珍しい動物達のいるところです。
わたくしも噂には聞いておりましたが、行ったことはありません。殿下も同様のようですが、どうやらそこはデートスポットとしてはかなり良い場所のようです。そして、行ったことのない場所へいきなり4人で向かうと色々とまごつきそうなので、下見として2人で行ってみよう、というのが、件の殿下の発言だったようです。
わたくしは、殿下の御心に感動いたしました。
あまりそういうことに関心がなさそうな殿下が、ご友人であるレオン様のためにここまで頑張っておられるのです!当初レオン様とローラ様をくっつけるのに最大の障壁だと思っていたのが、お恥ずかしい限りですのよ・・・。
わたくしもローラ様のために頑張りたいと思っておりますので、もちろん、喜んでお引き受けいたしましたわ!
「おはよう、アテナ嬢。今日も美しいな」
「!?!?お、おおおはようございます、殿下!殿下こそ、大変麗しゅう存じます」
ど、どうしたのかしら?殿下ったら、いきなりわたくしの美しいだなんて!しかも、そんな飛びっきりの笑顔で!不意打ちを食らったわたくしは、かなり動揺した声でお返事してしまいました。お、お恥ずかしい・・・。
「調子を狂わせてすまんな。どうせ下見をするのなら、恋人のように振舞ったほうが良いと友からアドバイスを受けたのでな」
「そ、そうでしたか。確かに、そのほうがより下見としては効果的かもしれませんね」
な、なるほど。そういうことでしたか。ホッと一息。・・・ん?ということは・・・?
「アテナ嬢もそう思うか。・・・そ、それならば、今日は1日お互い・・・こ、恋人のように振舞おうではないか。もちろん、レオンとローラ嬢のためにだ」
や、やはり、そういうことなんですね。たしかに、レオン様とローラ様のデートを成功させるためには、わたくし達もそういう気分を味わいながらでないといけないかもしれません。そういうことであれば、やぶさかではありませんのよ!
・・・殿下も声が震えていらっしゃるから、わたくしと恋人のように振舞うことに耐えていらっしゃるんだわ・・・。
・・・ん?なんかわたくし、少し残念に思っている・・・?いや、気のせいよね。気のせいよ。
「・・・レオン様とローラ様のためですものね!そういうことでしたら、今日はしっかりと恋人として振舞いましょう!」
わたくしは、思い切って、殿下の隣に立ちます。そして、殿下の腕にわたくしの腕を絡ませました!
びくぅ!
あ、殿下の身体がビクっと震えたわ。殿下も緊張なさっているのかも。
「あ、ああ・・・。よろしく頼む。」
殿下がそっぽを向きながらそうおっしゃいました。
う、ううう、これは想像以上に、気恥ずかしいですわね。
・・・
そして、殿下と二人で動物園デートの下見が始まりました。あくまで下見なのですが、動物園には様々な珍しい動物達がいて、それらを見るのは大変楽しいものです。愛くるしい動物もいれば、見た目が怖い動物もいまして、思わず殿下の腕をぎゅっと強く握ってしまうこともありました。
「す、すみません、殿下・・・」
「い、いや、気にしなくていい。今日の俺達は恋人同士なのだから、これが普通なのだ」
そう、今日一日は私達は恋人同士。
最初はお互いぎこちなかったのですが、だんだんとわたくし達は慣れていき、お互いに笑顔を向け合って、動物園の中を見て回ったのです。
特に楽しかったのは、直接動物達と触れ合えるコーナーです。そのコーナーにいる珍しい品種の猫が円らな瞳とふわふわとした毛並みで、とっても可愛いかったのですわ!
わたくしも殿下も猫好きですから、お互いに猫を撫でたり、子猫を抱っこしたりして楽しみました。
「うふふふ。この猫ちゃんはうちのマロンよりも愛想がいいですわね」
「フォンシュタイン家の愛猫か。俺も見てみたいものだな」
「まぁ!それでしたら是非我が家にお越しになってくださいませ!マロンもこの子達と同じようにコロコロとしてとっても可愛らしいんですのよ!」
「!ああ、じゃあ今度伺おう」
は!ついわたくしったら、殿下を我が家へお誘いしてしまったわ!失礼じゃなかったかしら・・・殿下も別に迷惑そうじゃなさそうね。よかった。
「で、ではその時にはレオン様とローラ様を恋人同士にするための作戦会議をしましょう」
「ふ、そうだな」
ふう。これで不自然じゃありませんわね。そう、あくまでもレオン様とローラ様のために殿下を我が家へお招きするのですわ!べ、別にわたくしが来て欲しいからとか、そういうのではありませんのよ!
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