【R15】昼は聖女、夜は執行者~神から授かった力と、悪役令嬢の力を借りて、不当な婚約破棄をする輩を成敗します~

ねお

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05 アルバントロ伯爵への執行

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「ごきげんよう、ジョセフ・アルバントロ伯爵様」
「お、お前は、堕落聖女!なぜお前がここにいる!?」

 私の目の前にいる、でっぷりと太った男・・・アルバントロ伯爵が驚いた顔をしている。毎回皆びっくりするのよね。だって、ここは厳重な警備の伯爵邸内。普通なら猫の子一匹入れないような場所。
 でも、私には神のお力を与えられているから、潜入なんてちょちょいのちょいなのよね。

「本日は神のありがたいお言葉を伝えに参りました」
「どうやって侵入したのかわからんが、ふざけた真似を!聖女といえども容赦はせんぞ!おい!誰かこの不届き者を外に出せ!おい!」

 伯爵があわてて助けを呼んでいます。が、それは無駄なことです。

「このお部屋には結界を張っていますので、外に声は届きませんし、外からこの部屋に入ることもできませんよ」
「な、なんだと!小癪なぁ!!!」

 助けがこないことがわかると、今度は肉だるまが私に殴りかかってきました。どうやら伯爵様は大変お元気な様子なので、執行前に少し興奮を抑えて差し上げましょう。

どごぉ!

ばきぃ!

「ぐおおおお!」

 聖女パンチをお見舞いしました。私の細腕ではそのまま殴っても当然ダメージなど与えられない訳ですが、そこは神パワーで超強化されている訳で、ゴッドハンドの聖女パンチで骨やらを砕いた訳です。

ぼきぃ!
ぐしゃあ!

「ひぃぃぃ!や、やめてくださいぃぃ」

 気づいたら聖女キックもお見舞いしていました。私の目の前には、ボコボコになった伯爵が身を丸めています。あら、折れた腕や足から骨が突き出ています。ちょっとやり過ぎてしまったので、少しだけ回復してあげます。

「では、おとなしくなったので、これから神のお言葉を伝えますね。」

 伯爵は恐怖の表情で私を見上げております。とりあえずお話は聞いているようなので続けます。

「あなたは、ストラウド伯爵領内に盗賊に扮した配下の貴族の私兵を向かわせ、多くの罪なき人間を殺害した。これに間違いはありませんか?」

「そ、そんなことはしていな・・・ぐああああ!」

ぼきぃ!

「嘘をつくと神罰がくだります」

 神罰と言う名の体罰です。嘘だということは間違いない訳なので、私のキックが伯爵へとんだ訳です。

「ま、間違いありません・・・」

「よろしい。更に、ストラウド伯爵領内にあなたの私兵を派遣し、略奪や強姦などの悪逆を尽くし、人々を不幸にした。これに間違いはありませんか?」

「それは私は知らな・・・ぎゃああああ!」

ひゅん!・・・どさ。

 下段からの聖女チョップをお見舞いしました。伯爵の腕にヒットして、腕が飛びました。断面から血が噴き出していますので、魔法で止血だけします。

「知らなくても、あなたの指示の結果、そうなったのですから、きちんとお認めになってください」

「ま、間違い、ありません・・・」

「よろしい。では最後に、ストラウド伯爵を脅して金品、物資を奪い取った他、コリンナ・ストラウド伯爵令嬢までも婚約者として奪い取り・・・コリンナ嬢の初めてまで奪った。そして、ストラウド伯爵領富の全てを奪った後にはコリンナ嬢を捨てようとしていた。これに間違いはありませんか?」

「・・・・ま、ま、間違い・・・ありません・・・・」

 私の顔を見ている伯爵の声が震えていますね。どうしてでしょうか?

「認めましたね。罪状は以上です。では、あなたに神罰を与えます」

「あなたへの神罰は、肉毟られの刑です。これから執行場所へ送りますので、そちらで肉をむしりとられてください」







「こ、ここは?」

 堕落聖女の言葉の後、俺は墓場のようなところに立っていた。先ほど奴に暴行された傷は全て治っている。どうにかして、この場から逃げなければ!

ウゥ~

オォ~

「ひ、ひぃぃ!」

 突然、周囲の墓石から一斉に死人のような者達が出てきた。
 うっ!ひどい臭いだ。死臭だろうか・・・。


――彼らはグールです。生者の血肉を啜る魔物ですね。これからあなたは、彼らから肉を毟り取られて奪われます。でも安心してください。死んでもちゃんと生き返り、ちゃんと元の場所へ戻ってこれます。


 で、では1回だけ殺されれば、この場所から解放されるのだな!痛いのは嫌だが、1回だけなら、なんとか・・・


――言い忘れていましたが、あなたのせいで不幸になった人間の数に比例した回数、あなたは殺されて生き返ります。不幸になった人間の数の10倍の回数です。更に、あなたのせいで強姦された人間の数の100倍の数、死んでしまった人間の数の1,000倍の数が加算されます。あとおまけに、コリンナを不幸にした分として1万回を加算します。合計すると何回になるかわかりませんが、それが終わり次第ちゃんと元の場所へ戻ってこれますので、しっかり懺悔してください。


「そ、そんな!あんまりだ!・・・ひ、ひぃぃぃ!く、来るな!やめて、やめてくれぇぇえぇ!!!」


ウゥ~

オォ~
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