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07 ミートの能力

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ガツガツガツガツ・・・
バクバクバクバク・・・

「お前は本当に良く食うのう、ミートよ」
「ありがとうございます!師匠!」

 俺は師匠と一緒に晩飯を食べていた。
 晩飯は、俺が狩ってきたデビルボアの丸焼きだ。

 この地獄の底には様々な魔物達が生息していた。

 死者の怨念が宿ったアンデッド系の魔物・・・グール、スケルトン、ゴースト、ネクロマンサー、リッチ・・・

 魔素によって強化された狂暴な獣の魔物・・・デビルハイエナ、デビルボア、デビルウルフ、デビルタイガー・・・

 地下世界に生きる、巨大な魔物・・・ジャイアントフット、デビルマンティス、エンシェントドラゴン・・・

 他にもたくさんいるが、どれも危険な魔物達ばかりだ。
 中には、1匹でも外の世界に出たら、世界が滅亡すると言われるほどの魔物もいるという。

 まさに地獄って感じだ。

 俺は最近ようやく外の魔物を狩れるようになってきた。
 今日はデビルボアを狩ってきた。全長5mほどの猪だ。
 正面から突っ込んできたデビルボアを正拳突きで倒したんだ!

 師匠のおかげで、俺のパワーはとても向上したし、体内で練り上げる気も相まって、今ではデビルボアは一撃で倒せるようになった。
 手刀で動脈を斬って血抜きもしたから、肉は美味い!
 ちなみに、調味料は塩だ。どうやら、ここらへんの岩は岩塩が採れるようで、ここでの食事は主に塩味だ。

 塩味だけだと味気ないと思うかもしれない。

 だが、これが美味い!

 空腹の時に食べる物はなんでも美味いだろう?だからこのデビルボアの丸焼きも俺はペロっと平らげた。

「お前の食いっぷりは見ていて気持ちがいいのう。食うのも才能じゃからのう。お前はまだまだ強くなれるぞ!」
「本当ですか!師匠!ありがとうございます!」

 師匠に褒められたぞ!嬉しい!
 糞親父に仕込まれた毎日の食事という名の地獄の胃拡張訓練が、まさかここで役に立つとは・・・。

 あの時の食事は只々辛いだけだった。味も普通に食べたら美味しいんだろうけど、食べる量が量だから、苦痛のほうがはるかにでかかった。
 それが今や、地獄に住む魔物の肉を塩を振って美味しく食べている状態だ。

 本当に空腹は最高の調味料だなぁ。

「鍛錬によって、お前の筋肉は鋼のように鍛えられた。ここに来た当初が懐かしいのう」
「師匠のおかげで、贅肉を全て筋肉に変えることができました。力こそパワー!筋肉はマッスル!って合言葉と共にw」
「ははは!かなり身体はできあがってきたのう。精神力もかなり鍛えられてきておる。技の訓練もそろそろ本腰を入れてもよいかものう」
「おぉぉぉ!やった!嬉しいです!師匠!」

 ついに俺も本格的な技を!
 師匠の使う神技の数々にどれほど俺が憧れていたことか!
 師匠の修行のおかげで、普通の正拳突きや手刀もかなりの威力になったけど、やっぱり男としては必殺技に憧れるだろう!?

 俺にも波動拳とか使えるようになるのかな?!
 あとは瞬間移動とか!?みんなの元気を集めて投げつける技とか!?

 うー!楽しみだぜ!
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