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05 禁断の恋に悩める2人
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ここ、アルダース王国には、恋に悩む2人の男がいた。
*
俺はレンデス・アルダース。アルダース王国の第3王子だ。普段人前での一人称は「私」だ。
そんな俺は、今思わずつぶやいてしまう。
「クリスティーナ嬢・・・どうして君は、あいつの婚約者なんだ」
俺の心は、とある伯爵令嬢のことでいっぱいになっていた。彼女のことを考えると胸がはり裂けそうになる。
彼女ほど身も心も美しい女性は、他にいないのではないか、そう思っている。
だが、そんな彼女は、とある侯爵令息の婚約者だ。
その侯爵令息の名は、グスタフ・ブランス。
彼は見目が整った貴公子然とした男だが・・・その心の内はどす黒く濁った男だ。
彼は人前では品行方正のように振舞っているが、その裏ではかなりの下衆だ。俺は自分の配下である密偵に、クリスティーナ嬢の婚約者である彼のことを調べさせた結果。そのとんでもない性根を知った。
クリスティーナという婚約者がありながら、彼は裏で見目の良い女性達を口説いて浮気を繰り返していた。
さらに、自分の家の使用人達や、彼女や、彼女の使用人には横暴な態度を取っているという。
そんな男に、俺の心をかき乱して止まない彼女が婚約者として取られているなんて!
だが、王子という身でありながら、俺にはどうすることもできない・・・行き場を失ったこの気持ちは、どうすれば良いのだろうか・・・。
*
「先陣を切る!兵達よ!私に続けぇ!」
「おおおおおお!」
私はカミーユ・エーデルワイス。エーデルワイス辺境伯家の当主であり、このアルダース王国の大将軍の一人である。
私の家系は代々武門の家系。私も幼き頃より、父上から直々に鍛えられ、日々鍛錬に励んできた。
その結果、私は体躯に恵まれ、強靭な肉体と精神を身に着けた、と自負している。兵達を率いる将としても恥ずかしくないように振舞っているつもりだ。
そのおかげか、現在は軍の中でも大将軍の地位を拝命している。戦場では先陣を切って戦う姿に、他の兵達も慕ってくれていると思う。軍の仕事において、私は満ち足りた状態と言って良いだろう。
ただし、プライベートの私は、昔から思い悩んでいることがある。
私は・・・男が好きなのだ。
幼き日から男に囲まれて育ったせいだろうか、私は女性に一切興味を持てず、男の尻にばかりに目がいってしまうのだ。
それも、見目が整った軟弱な男だ。さらに言うと、内面が下衆なほど良い!そんな相手に、私は己の欲望の限りを尽くしてみたいという醜い願望を抱いているのだ。
貴公子然としているが、その内面はグールよりも腐ったようなそんなギャップを持つ男に強く惹かれるのだ。
私は幼き日から、相手の心の色が見える能力を持つ。
清らかなものほど、白く、下衆なほど黒く見えるのだ。
そして、私は齢35にして、ついに運命の相手を見つけた!
それが・・・グスタフ・ブランス侯爵令息だ。
彼は素晴らしい!軟弱で見目の整った貴公子然としていながらも、その内面はどんな汚物よりも汚く汚れている!彼の心の色は真っ黒だ!ここまで黒い人間自体なかなか珍しい。
まさに、私の運命の相手と言わざるを得ないくらいに完璧だ!
だが・・・彼にはクリスティーナ・ヤーロイ伯爵令嬢という婚約者がいる。
彼女の容姿は優れているのだろうと思うが、私の食指は一切動かない。
だが、一つだけ言えることがある、彼女の心は真っ白だ。ここまで白い人間も珍しい。
そんな相手と婚約しているのでは、私には全く勝ち目がないのだ。
私はこの気持ちを・・・どうしたら良いのだろう・・・。
*
俺はレンデス・アルダース。アルダース王国の第3王子だ。普段人前での一人称は「私」だ。
そんな俺は、今思わずつぶやいてしまう。
「クリスティーナ嬢・・・どうして君は、あいつの婚約者なんだ」
俺の心は、とある伯爵令嬢のことでいっぱいになっていた。彼女のことを考えると胸がはり裂けそうになる。
彼女ほど身も心も美しい女性は、他にいないのではないか、そう思っている。
だが、そんな彼女は、とある侯爵令息の婚約者だ。
その侯爵令息の名は、グスタフ・ブランス。
彼は見目が整った貴公子然とした男だが・・・その心の内はどす黒く濁った男だ。
彼は人前では品行方正のように振舞っているが、その裏ではかなりの下衆だ。俺は自分の配下である密偵に、クリスティーナ嬢の婚約者である彼のことを調べさせた結果。そのとんでもない性根を知った。
クリスティーナという婚約者がありながら、彼は裏で見目の良い女性達を口説いて浮気を繰り返していた。
さらに、自分の家の使用人達や、彼女や、彼女の使用人には横暴な態度を取っているという。
そんな男に、俺の心をかき乱して止まない彼女が婚約者として取られているなんて!
だが、王子という身でありながら、俺にはどうすることもできない・・・行き場を失ったこの気持ちは、どうすれば良いのだろうか・・・。
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「先陣を切る!兵達よ!私に続けぇ!」
「おおおおおお!」
私はカミーユ・エーデルワイス。エーデルワイス辺境伯家の当主であり、このアルダース王国の大将軍の一人である。
私の家系は代々武門の家系。私も幼き頃より、父上から直々に鍛えられ、日々鍛錬に励んできた。
その結果、私は体躯に恵まれ、強靭な肉体と精神を身に着けた、と自負している。兵達を率いる将としても恥ずかしくないように振舞っているつもりだ。
そのおかげか、現在は軍の中でも大将軍の地位を拝命している。戦場では先陣を切って戦う姿に、他の兵達も慕ってくれていると思う。軍の仕事において、私は満ち足りた状態と言って良いだろう。
ただし、プライベートの私は、昔から思い悩んでいることがある。
私は・・・男が好きなのだ。
幼き日から男に囲まれて育ったせいだろうか、私は女性に一切興味を持てず、男の尻にばかりに目がいってしまうのだ。
それも、見目が整った軟弱な男だ。さらに言うと、内面が下衆なほど良い!そんな相手に、私は己の欲望の限りを尽くしてみたいという醜い願望を抱いているのだ。
貴公子然としているが、その内面はグールよりも腐ったようなそんなギャップを持つ男に強く惹かれるのだ。
私は幼き日から、相手の心の色が見える能力を持つ。
清らかなものほど、白く、下衆なほど黒く見えるのだ。
そして、私は齢35にして、ついに運命の相手を見つけた!
それが・・・グスタフ・ブランス侯爵令息だ。
彼は素晴らしい!軟弱で見目の整った貴公子然としていながらも、その内面はどんな汚物よりも汚く汚れている!彼の心の色は真っ黒だ!ここまで黒い人間自体なかなか珍しい。
まさに、私の運命の相手と言わざるを得ないくらいに完璧だ!
だが・・・彼にはクリスティーナ・ヤーロイ伯爵令嬢という婚約者がいる。
彼女の容姿は優れているのだろうと思うが、私の食指は一切動かない。
だが、一つだけ言えることがある、彼女の心は真っ白だ。ここまで白い人間も珍しい。
そんな相手と婚約しているのでは、私には全く勝ち目がないのだ。
私はこの気持ちを・・・どうしたら良いのだろう・・・。
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