紫電の射手 勇者パーティで無能扱いされて追放しかし、雷に打たれて世界最強の魔法剣士に!

秋水

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第二章 紫電の剣

act.29 破壊と創造

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「ごめんね。待たせちゃって」

 イグナールとマキナが話しをしているとモニカがようやく追いついてきた。

「こちらこそ申し訳ございません。配慮が足りませんでした」

 マキナは言わずもがなだが、慎重に歩いてきたモニカはイグナールと比べると疲労の色が見える。呼吸は落ち着いているものの、膝に手をついている。

「ねぇマキナ、この道、じゃない道を真っ直ぐいけば研究所なのよね?」
「はい。その通りでございます」

 よし! とモニカは掛け声を上げるとスクッと姿勢を正す。

「じゃあちょっと2人とも下がって」

 進路上のイグナールとマキナを横に退かせる。

「『我に眠りし力よ、我が意思に従え』『揺蕩う水よ、形を成し顕現せよ』」

 モニカの詠唱で大人が3人は入れる程巨大な水弾を形成される。

「おいおい、モニカまさか!」
「そのまさかよ。道がないなら作ればいいじゃないってね! 研究所は地下なんでしょう? じゃあ問題ないよね。――――アクアボール!」

 彼女は掛け声に合わせて手を振った。その手が示す方向へ真っ直ぐ巨大な水弾が猛スピードで進む。立ちふさがる茂みや木々を粉砕し、地面を抉り、あっと言う間に道が出来上がっていく。

 モニカの豪快な破壊行為で道が出来上がる。破壊と創造は表裏一体とは言うが、まさにこのことだろうとイグナールは思う。破壊と再生の女神となったモニカは腰に手を当て、フン! と鼻を鳴らし得意気な表情を浮かべる。

「すごいな……」

 その思い切りがと言いかけたイグナールであったが、モニカが得意気な表情から自慢げな表情に変わったのを見逃さなかった。

「まぁね! もっと早く気が付けばよかったわ。さぁ、出発しましょう!」

 イグナールは出かかった言葉を飲み込んだ。モニカは意気揚々と先頭を歩いていく。無表情かつ、無言のマキナがそれに続き、イグナールも続く。

◇◇◇

「あぁ! もしかしてあれじゃない⁉」

 しばらく歩いて行くと先頭のモニカが声を上げる。彼女の指差す先を見ると抉れた地面の途中に穴らしき空間と近くにガラクタが散乱している。

「マキナ。もしかしてあれは……」
「はい。研究所への入り口でございますね」

 モニカの放った巨大なアクアボールは確かに進みやすい道を作ったが、研究所への入り口をも破壊していた。

「イグナール! マキナ! 早くう!」

 しかし、その本人はたいして気にしていないようである。
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