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第二章 紫電の剣
act.23 戦闘人形
しおりを挟む「それは……なんなんだ?」
「私(わたくし)の活動に必要なコアでございます」
「コア?」
聞い、ことのない単語に困惑するイグナール。
「たぶん、わかりやすく言うと大きな魔石みたいなものかな。古代技術で作られたね。これだけでもマキナが人じゃないことはわかるでしょう?」
マキナがさっき言ったように、古代技術で作られた人形だとしよう。だが、バージス一帯に未開の遺跡などはなかったはずである。彼女の言う研究所はどこにあるのか、何故彼女は今頃目覚めたのか、何故俺を主人として呼ぶのか……
イグナールの中で無数とも思える疑問が湧きあがってくる。
「ああああもう! いきなりそんなこと言われてもわかんねーよ! 取りあえず今知りたいのは俺に何であんなことをしたかだ!」
イグナールが荒ぶる中、冷静にボタンを留め直し、エプロンを身に着けるマキナ。無表情を一切崩さず平然と答える。
「エネルギー補給のためでございます。本来はもうしばらく観察し判断を下すはずだったのですが、何分エネルギーの枯渇が迫っていましたので、マスター、イグナール様の雷属性の魔力を経口摂取させて頂きました」
「つまりマキナは今、イグナールの魔力で動いてるってことなのよ」
またもやモニカが補足してくれる。
「私たちオートマトンは、マスターから頂いた魔力をエネルギーに活動致します。ですので、イグナール様をマスターとして登録致しました」
「ちょっと待ってくれ、それだとモニカでもよかったってことか?」
一拍置いて冷静にマキナは答える。
「いいえ、魔王軍への強襲を目的として作られた私(わたくし)は戦闘能力に秀でる雷の魔法使い様と共に戦うこと目的とし製造、チューニングされております。故に、イグナール様の魔力でしか活動することが出来ません」
「そういうことか……わけがわからん言葉もあるけど、概ね理解できた」
マキナは雷の魔法使いの魔力でしか動けない、魔王と戦うための人形……
「それじゃ、マキナがいた時代には雷属性の魔法使いは珍しくなかったのか?」
今の時代では無属性を除くと炎、水、風、土の属性以外の魔法使いはいない。だが、マキナの話では雷の魔法使いが存在したとはっきりと言っている。
「申し訳ございません、そう言った情報は私(わたくし)のメモリーに存在致しません」
「そうか……」
この属性を知れる機会だと思ったのにとこぼし、落胆を露わにするイグナール。
「しかし、研究所でアーカイブを参照すれば何か手がかりを得られるかもしれません」
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